どこまで有名になろうが、どんな大きなステージに立とうが関係なく、
オンオフなんて気にせず、等身大のままで生きていきたい。
はいどーも。皆さんお久しぶりです。作者です。
投稿再開します。一話一話時間がかかるかもしれませんが、気長に待っててくれると嬉しいです。
* * * * *
師匠と初めて会ったのは、2年くらい前に初めて師匠のライブを見た時だった。
当時の私はSPACEというライブハウスに行くことが習慣で、毎日のように通って色々な「音」を聴いていた。私にとっては、SPACEのライブステージが憧れで、ステージの何もかもが輝いて見え、いつしか「(あのステージに立ちたい!)」と、強く思うようになった。
私が聴いた「音」の中でも、特に私の心に響かせた「音」を鳴らしていたのは
「………~~っ!!♪♪!!…」
そう。師匠こと比企谷八幡。当時の、いや、今になっても私にとって最高のギタリストは彼だ。
感情をそのまま「音」に乗せて、激しいアクセントになりつつも繊細で一音一音を丁寧に奏でている彼の姿を見て、
「(あぁ…。私はこの人についていこう…。)」
と、何としてでも弟子入りさせてもらうことにした。思い立ったが吉日というのは本当で、私はすぐにオーナーと連絡を取った。幸いにも私はよくSPACEに顔を出していたため、私を覚えてくれていたオーナーは二つ返事で会うことを了承してくれた。ただ、「弟子入りは自分で頼みな。」と言われたので、出会って早々にギターを教えて欲しいと懇願した。
師匠は最初は断り気味だったけど、何とか気合で弟子入りさせてもらった。それから今に至るまで、師匠は私にギターを教えてくれている。
バンドを辞めて音楽から離れていた時期も、師匠は「…師匠として弟子を育てる責任があるからな」といって月に何回かギターを教えに私の家に来てくれた。
私はいつまでも師匠の弟子だし、いつまでたっても憧れ。もしまた師匠がバンドを組むなら、私はそれを傍で支えたい。
だって師匠のことが大好きだから。弟子として支えなきゃ。
* * * * *
「はぁ~~~。」
せっかくの休日なのに午前中を睡眠で無駄にしてしまった。今日の予定は夜に弦巻たちのところへ行く予定がある。結局加入するのかしないのかについては決意が固めきれていない。
葉山と話した後、ずっとどうしようか葛藤していたが、いまだに答えが出せないでいる。いや、俺の覚悟が足りていないだけなのかもしれない。
「どしたの。お兄ちゃん。?そんなため息吐いて。幸せが逃げちゃうよ?」
自己嫌悪の思考に陥ったところで俺の妹、小町が話しかけてくる。
「少し迷っててな。」
「…もしかして、バンドのこと?」
「あぁ。」
既に家族にはバンドに誘われたという話をしている。具体的にはまだ話していないが、誘われたこと自体は話した。俺は二人の反応が怖くて正直心臓バックバクだったが、予想外にも喜んでくれて拍子抜けした記憶がある。
「俺自身は乗り気なんだがな。ただ本当に受けていいのかって気持ちがある。」
中学の頃に親父が倒れてから、お袋は俺たちのために必死に働いてくれ、不自由ない生活を送らせてくれた。さすがにお袋に無理させる訳にはいかないと思った俺はできることを全てやろうとした。
法外ではあるが、事情を知っているオーナーに頼み込んでライブハウスで働かせてもらったり、自分で作詞作曲してそれを売り込んだり。
様々な手段で稼いだ金を俺以外の名義でお袋の口座に振り込んでもらっていた。
いっぱいいっぱいだった俺にとっては、今バンドに誘われて自由なことをするというのは少々憚られる。
「……小町はね、お兄ちゃん。」
リビングの机に腰掛ける俺に対して小町は目の前の椅子に座って語り掛ける。目はまっすぐ俺を見つめていて、鋭いかと思いきや優しい目をしていた。
「この2年間、お兄ちゃんは小町とお母さんにために色々頑張ってくれてたことを知ってるし、我慢させていたのを申し訳ないと思ってる。」
「……」
「だからこそ…せめてお兄ちゃんの大好きな音楽だけでも…自分勝手に続けていいと思うよ。」
「それは…」
「大体お兄ちゃんは自分に厳しすぎ!…ちょっとくらい甘えてもだれも文句は言えないでしょ!」
俺の悩みなんて見据えていると言わんばかりの勢いで小町はそう言ってきた。
…瀬田にも、似たようなことを言われたな。「自分にもう少し甘くなってもいい」か。
「八幡。」
「…!?お袋…?」
俺たちの会話を聞いていたのか、ドアを開けてお袋が俺に話しかけてきた。今日はそうか…稀にある休みの日なのか。
「…母として、この2年間は本当に申し訳ないって思ってる。私が働きに出てる間、家のことだったり諸々の事をあんた達に任せっきりだったから。」
「いや、だからそれは当たり前のことだろ…?お袋が頑張ってるのを少しでも助けようと…「でも。」…!」
「親からしたら子供のために頑張るのは至極当然の事なの。」
「あんたが死ぬほど大好きな音楽から離れて、あれだけ嫌いだった理系科目を克服して特待で入学してくれた。
実はこっそり家計の手助けをしてくれてるのも、
小町のために毎日料理を作ってくれてるのも全部嬉しい。」
「………」
「だけど…子供が好きなことを我慢してるのだけは嬉しくない。親としてね。」
親というのは、全力で子供を愛し、育み、見守る存在。愛する子の為ならば、どんな苦難でさえ立ち向かえる。
やりたいことがさせて、生きたいように生かせる。比企谷の母にとって、これが最低限の親の在り方であったのだ。
確かに辛いこともあった。それでも、生きていけないことは無い。ただ子供たちに好きなことをやらせたい。そんな思いを抱えながら、比企谷の母は自分の欲に控えめな息子を諭した。
「だからさ、八幡。そんなかっこつけてないで好きな事をやりなさい。他のことは私に任せて。」
グシャッと息子の頭を数年ぶりに撫でた後、自室へ戻る。ただ嬉しかった。一時期は目の光さえ失い、この世に一欠片の希望も抱いていないような風貌で過ごす息子を見ていたから。
「…あんなやりたそうにしてんのに。素直じゃないなあ」
素直じゃない息子と、それを支える娘を思いながら眠りについた。
明日からの仕事にやる気を見出しながら。
「それで?…答えは決まった?」
お袋が部屋に戻ったのを尻目に、小町は問いかけてくる。
もう答えは決まってるだろ、そんな気概を感じる。
「…アイツらのとこに行ってくる。……さんきゅ」
「うん。行ってらっしゃい。」
※ ※ ※ ※ ※
街を駆けながら、弦巻に連絡を取る。「今から行く。」という文面を送った後に携帯をポケットにしまい、もう1段ギアを上げて弦巻の家へと向かう。
長らく走っていなかったため、息を切らしながら走り続ける。
「はぁ…はぁ…はぁ…!……っ!」
アドレナリンが出てるのが、自分でもわかる。
きっと嬉しいのだろう。音楽ができて。
涙が出そうなのだろう。家族が背中を押してくれて。
楽しみなのだろう。これから紡いでいく物語が。
今迄辛かった人生は、きっとこのためにあった。そう思うくらいに心臓が高鳴っている。
「……もしもし。」
弦巻の家の前についた俺は、弦巻に電話をかけて着いたという事を伝えた。その後、案内されたのはなんと弦巻の自室。どうやらハロハピの会議はここで行っているらしい。
中には当たり前と言うべきか、瀬田や松原、北沢と奥沢もいた。
「来てくれてありがとう!八幡!」
開口一番で感謝を伝える弦巻に「おう。こちらこそ。」と返して、おそらく皆が気にしているであろう本題を早速伝える。
「俺を誘ってくれたことに関してなんだが……」
「……。」
「…素直に嬉しかった。こんなに良いヤツらと一緒にバンドができるのかって。」
松原、北沢が成すリズム隊の音に、変幻自在なDJの奥沢が乗って、明確で繊細、快調なギターの瀬田が旋律を奏で、
自由奔放、多彩な動きを加えながらも天才的な歌声で観客を独自の世界へと誘う弦巻。
「俺はお前らにこれから沢山迷惑をかけるかもしれない。」
「そんなの気にしないわ!色んなことを助け合ってこその仲間だもの!」
「はぐみも助けるよ!!」
「ふっ……。私は君の為ならいつだって力を貸すさ。」
「わ、私も…!力になれるか分からないけど…精一杯助けるよ…!」
「力になれるか分からないですけど…。でも、もし必要なら私も一緒に助けます。」
5人は俺にそう言って笑顔を浮かべる。
それぞれの言葉に心の中で感謝しながら、俺は大きく息を吸ってから話し出す。
「…ハローハッピーワールド!キーボード担当。」
「「「…!!」」」
「花咲川高校2年。比企谷八幡。これからよろしく頼む。」
「もちろん!!ようこそ八幡っ!!」
「はやく一緒にやりたいっ!はぐみあの演奏ずっっともう1回やりたかったんだ〜!!」
「あの演奏は実に儚いものだったからね…私ももう一度奏でたいと思うよ。」
「よろしくね!八幡くん!!」
「…よろしくお願いします。比企谷先輩。」
「ありがとな…。」ボソッ
※ ※ ※ ※ ※
正式にハローハッピワールド!に加入した俺は、早速衣装合わせという名目で黒服さんに連れられてバカでかい部屋で衣装に着替えた。
カラフルでポップな衣装は俺の性に合わないような気がしていたが、黒が基調となっていてサーカス団の一員となったような気分だ。この衣装であいつらと演奏できると思うと、今から楽しみで仕方ない。
ていうか……なんでサイズピッタリなの??
「我々が採寸させていただいたデータを基に新調しました。」
いつ???
「それは秘密です。」
「あぁそうですか…あとナチュラルに心読まないでください。」
俺ってそんなに顔に出やすいのか?ポーカーフェイス得意なつもりだったんだけど。
「そうだ。黒服さん。」
「…?どうかなさいましたか?」
「あいつらのライブの演出って黒服さんたちが担当してるんですか?」
「はい。こころ様の要望に従い、演出や特殊効果を伴うものに関しては全て私たちが担当させていただいております。」
以前オーナーからハローハッピーワールド!のライブ映像を見せてもらった時に真っ先に注目したのは、世界観に合う舞台セットや特殊効果、照明等の工夫にだった。
個人的には、ライブを盛り上げるには演奏だけでなくそういった演出やアレンジがかなり影響を与えると思っている。故に、こだわりが強ければ強いほど「味」が出るという。とてつもなく俺好みな話だ。
「もしよかったらなんですけど、俺もその演出考えてもいいですかね?」
「…!もちろんです。喜んで。」
「ありがとうございます。」
黒服さんの了承も得れたことなので、俺はあいつらの元へと戻る。
「あら?…!!すっっっごく似合ってるわよ!八幡!」
戻って早々弦巻に新衣装を褒められる。こう、ストレートに言われると結構照れるな…。
「おう。さんきゅ。弦巻も似合ってるぞ。」
「ふふっ。ありがと!うれしいわ!」
「やっぱ男性だからなのか、わりと黒っぽいんですね。」
「まぁそれでもカラフルだし、世界観にもピッタリなんじゃないか?」
「うん。かっこいいと思うよ。」
奥沢と松原が俺の衣装を上から下まで一瞥した後にそう言ってきた。
「ハチくん背高いから色んな衣装合いそうだね!」
「確かに…こうして見るとスタイルが良いね。どうだい八幡。今度私の部活で王子の衣装ができるんだが、君も合わせに来ないかい?」
「今回は遠慮するが、また次の機会に着てみてもいいかもな。」
「八幡君の王子姿、見てみたいなぁ。」
「あ、私も気になる。先輩なら似合うだろうし。」
「もういいだろ…早く練習しようぜ。」
このままでは褒め殺されてしまうため、俺は練習しようと促す。
「あ。照れた。」
「黙りなさい。」
その後、衣装を着たまま練習をした。
もう俺はなんで家に防音室付きの部屋があるのかなんて聞かない。段々と染まってきている証拠だろうか。
「…〜…!♪♫♫〜…!」
前にセッションした時よりも音が合わさっているのを感じる。長らく感じていなかった仲間という存在に胸の内が少しだけ熱くなるのが分かる。
だがそれよりも……
「〜〜!♪♪!〜〜〜」ニコッ
やっぱり、弦巻の歌声は天性のものだろう。幅広い音域をこなせるというのは音楽を作るものとして羨ましいしありがたい。
笑顔と歌声でバンドを引っ張っていく弦巻に合わせるように、俺は1段ギアを上げた。
※ ※ ※
「〜〜〜♪♪!…!」
八幡の空気が変わったのが分かった。だけど刺々しい雰囲気じゃなくて、まるで全てを柔らかく包み込むように暖かい感情へ変わっている。
私が動きと歌でみんなを笑顔にするなら、八幡はその動きや歌の基となる音で笑顔にする。多分八幡は私たちを笑顔にしてくれている。
もしここがライブ会場で、私と薫、はぐみや花音、ミッシェルが観客の笑顔を見て楽しく演奏できるように、八幡は私たちの笑顔を見て楽しく演奏している。
それって本当に
「(とっっても楽しく歌えるわ!!)」
比企谷のライブスタイルは
「観客を最初に楽しませるより、まずは自分たちが楽しく。」
というものである。
美味しそうにご飯を食べてる人を見れば、此方もお腹が空いてくる理論と同じように、まずは此方が楽しそうに演奏していれば、自然と観客は笑顔になるのだ。
「(男の俺じゃ弦巻の声に合わせるにはどうしても限界がある。ならばせめて演奏と下ハモだけでも精一杯やってやる)」
俺は声を大にしてレスポンスを合わせるのは性に合ってない。だが、それを理由に歌わないのは論外。だから弦巻に合わせる。
変幻自在の弦巻にさらに色を加える。それが俺の役目だ。
曲も終わりに差し掛かったところで俺は前々からやってみたかったアレンジを加えて演奏する。上手く繋げたことに内心テンションが上がりながらドラムの松原に目を向けて終わりのタイミングを合わせる。
「〜!!………!」
「…ね、ねぇ…今の…」
「……あぁ…実に…」
「ん〜〜〜!!!最高だったわ!!!」
北沢、瀬田に続いて弦巻が終わった瞬間にキャッキャという感じで集まって興奮したように言ってきた。
「花音さ〜ん。戻ってきて〜」
「…わっ、…終わっ…たの…?」
ミッシェルこと奥沢は未だ心ここに在らずといった様子の松原に声をかけて現実に戻す。どうやら相当没頭していたらしい。よくあの難解なリズムを支えれるよなとか思ってたりするが、自分もそのリズムを作り出している身なのであんま松原に物言えねえな。
「(さっきの八幡くんのフレーズ…アレンジなのかな…?
やっぱ八幡くん……すごいなぁ…。)」
「(あのアレンジ…私のDJに影響がないようにして自然と繋げてた…。)」
「(ハチくんの演奏、やっぱすごくやりやすい!!)」
リズム隊やDJといった曲を支える松原、奥沢、北沢は先程の比企谷の工夫に気がついていた。なんなら弦巻と瀬田も気がついている。
先程弾いていた曲はハローハッピーワールド!として最初に作った曲にキーボードの譜面を付け足したもの。
練習も終わり、鶴巻の部屋に移動した後ミーティングのいう名のお話をする。丸く固まって何がしたいかだったりとか話し合うので、俺は松原と奥沢の間に座って主に弦巻、瀬田、北沢の意見を聞いていく。時折奇想天外な意見が飛んでくるので、現実的じゃない意見に関してはツッコんでいく。
「うーん…やっぱライブに出たいよね!」
「八幡も入ったことだし、折角なら大きなライブがいいね。」
「別にそんなに大々的にやらなくていいぞ?」
「ダメよ八幡!新メンバーとの初ライブは一生に一回だけだもの!盛大にやらないともったいないわ!」
「その気持ちだけで充分だ。」
「失礼します。」
「うおっ!!?…びっくりした…」
音もなく俺の真後ろに現れた黒服さんに驚く。多分松原と奥沢は俺の声に驚いたと思う。ごめんね。
「今から1ヶ月後に、花咲川高校で文化祭があります。そこで有志として参加するのは如何でしょうか?」
「「「……!!」」」キラーン
三バカ(奥沢命名)の目が今日1番に光り輝いたのがわかった。隣にいる奥沢もこいつらが何を言おうか分かっているのか、溜息をひとつ吐いた。ちなみに反対にいる松原はキョトンと首を傾げている。何それ可愛い。
「それよっ!!!」
「さいこーの舞台だねっ!!」
「新たに紡げる劇的な展開に胸が熱くなるね…!」
「そうと決まればすぐに行動よっ!!」
「はぐみ友達沢山呼ぶねっ!!」
「彼女も、八幡の演奏を久しぶりに聞きたいと言っていたからね。私もすぐに連絡してみるよ。」
この3人は「100の考より1の行」タイプなので出ると決まれば一目散にそこでへと駆け抜ける。瀬田は多分あいつに連絡をするのだろう。でもあいつ忙しそうだし来るか分からねぇぞ。
そういえばこの前の昼休みに偶然会ったときに「次の休日、空けておいてね?」って言われたな。意外と暇だったりするんだろうか。
「確か有志の参加申請の期限って明後日までとかじゃなかった?」
「うーん、たしか先生が言ってたような…。」
「知らなかったわ。」
「実行委員じゃないの…?」
「基本俺会議は寝てたし。」
「先輩ってもしかしてやばい…??」
失礼な。ネジが何本か飛んでるだけだろ。
「それじゃあ早速練習するわよっ!!」
「「「おーっ!!」」」
俺のハローハッピーワールド!としてのデビューライブは文化祭となる。
ま、いつも通りやっていきましょか。
* * * * *
場所は変わってCircle。バイトなう。俺は普段受付をしているんだが、ピークの時間以外はめちゃくちゃ暇なので中を歩き回って音漏れしてないかな~など暇つぶしをしている。今日もそのつもりだった……だが…
「ハッチー先輩ってギターも弾けるんですかっ!?」
「ベ…ベースも弾けるって聞いたんですけど…」
「ちょ、香澄!近いって!離れろ!」
「ふふん。師匠は私の憧れだもん。」
なにやらたえのバンドメンバーが絡んできた。雑誌を読んでた俺に対して受付の机から身を乗り出して話しかけてきたこの猫耳少女は戸山香澄。俺からは認識がなかったがたえから色々聞いていたのか、初対面の時から「ハッチー先輩!」と呼んできた。さすがのコミュ力。
とりあえず雑誌を机に置いて戸山を抑制する。
「まぁ一応、楽器全般嗜んではいるな。」
「教えてくださいっ!!」
「私からもお願いしたい。」
「どうしたんだ?そんな急に。」
「私、もっとうまくなりたいんですっ!!」
真っ直ぐな瞳で力強く言ってくる戸山。隣でたえや市ヶ谷も頷いている。牛込も控えめながらも承諾してほしそうに上目遣いでこっちを見てくる。やめてくれ。俺はその目に弱いんだよ。
「別に教えるくらいはいいんだがなぁ…。俺もバンドに入ったわけだし、時間とれるかわからねぇぞ?」
「ううん。それは大丈夫。いざとなったら師匠の秘蔵フォルダみんなに公開するから。」
「え???」
「ふっふっふ…巧妙に隠してたみたいだけどね。師匠の敗因はパスワードを私の誕生日にしていたことだよ。」
「くそったれ」
ちくせう。
「それで!教えてくれるんですか!?」
「はぁぁぁ…わぁったよ。時間は作ってやる。だが、やるからには俺は厳しいぞ。」
「望むところですっ!!」
「ほれ。お前らの部屋はまっすぐ行って突き当りを右の8号室な。」
「はーい!覚えててくださいね!ハッチー先輩!」
「あいあい。」
戸山らを送った後、再び雑誌に目を戻す。これはまぁ近々あるライブに出るバンドだったりとか流行りのロックなどがトピックとして挙げられている雑誌のため、情報ツールとしてはかなりいい雑誌となっている。
「ら~ん~。話しかけないと練習できないよ~?」
「い、いや、なんかやってるみたいだし…迷惑かなって…」
「どうした蘭!らしくないぞ?」
「あっ!あの人って確かつぐの店に来てた人じゃなかった?……つぐ?」
「…えっ!?あ、うん!そうだね!」
お客様かな?丁度キリのいいところまで読み終わったので顔を上げる。顔を上げると目の前にいたのはなんとびっくり。先ほどまで読んでいた雑誌に載っていたバンドのAfterglowであった。
「…ご予約の方ですか?」
「あ…えっ…と……はい。」
「あはは!緊張しすぎだろ!」
「ちょっ…!巴!」
赤いメッシュの入ったショートカットの女子に対して赤みがかった髪色の女子が言う。キリっとした印象でタッパがある。俺と同じくらいだな。
「予約のAfterglowでーすっ!」
桃色っぽい髪色の子が話しかけてきた。雑誌にはこの子がリーダーと記載されてた。率先して引っ張っていきそうなのはイメージ通りだろうか。
「はい。確認しました。5号室でお願いします。」
「ありがとうございます!」
「あ、ありがとうございます…!」
「しゃーしたー」
おい最後どうした。
控えめにお礼を言ってきてくれたのはセミショートヘアで少し暗めの茶色をした女子。この子は羽沢珈琲店の店員で、葉山と対談してからも何度か行っているがそのたびに顔を合わせている。
ゆったり目にお礼…?を伝えてくれたのは銀髪ショートカットの子。今井と同じコンビニで働いていたような気がする。前にいた…はず。
まぁ、それにしても…
「あいつらは覚えてなさそうだったけど…元気そうでよかった」
比企谷八幡
10年に一度の天才と呼ばれていた人を実力で泣かせたことがある鬼才。尚、本人に悪意はないよう。
実は蘭たちとは小さいころに会ったことがあるそうな。
比企谷小町
原作よりブラコン度が増している。バンドに入ったことについては、赤飯を炊こうとするほど喜んだそう。
比企谷八重(お袋)
子のためなら何でもできる母親。八幡。あんただって青春していいのよ。
弦巻こころ
初めて一人に対して明確に「笑顔にしたい」と思うようになったため、今回バンドに入ってくれて嬉しすぎて夜も眠れなかったらしい。
黒服
主にこころのボディーガード兼付き人。たいていのお願いはかなえてくれるランプの精みたいな存在。
八幡の要求も喜んで承諾してくれた。ちなみに黒服さんも楽しんで考えてる。
戸山香澄
コミュ力お化け。たえから八幡のことは聞いていたので、興味津々だったそうな。
正式に弟子入りした。この話は今後詳しくやる予定。
時間かかった割に駄文でごめんなさい。
これからいろいろなキャラが出てくるので今度しっかりと設定を練りこもうかなって思います。
ちなみに八幡が加入した時期は大体ポピパが正式に結成する前です。
では皆さん。また会いましょう。