ハイスクールD×D 心を刃に変える騎士と羽ばたく不死鳥 作:ogachan
でも、やりたくなっちゃったんです!
あの神器なら心剣と霊刃ができると思ったんです! それがやりたいんです!
「ここが駒王町……イリナが生まれ育った町か」
駅の外へ出て、開口一番にそんな言葉が出た
俺の名はレイ。レイ・ステイルハート。つい先日までヴァチカン法王庁直属の
ちなみにイリナというのは俺の部下であった少女だ。そしてこの町へ来ることになった理由でもある
少し前になるが、聖女とまで謳われたとあるシスターが教会から追放された
聞くところによると悪魔の傷を癒やしてしまい、それを理由に魔女の烙印を押されたそうだ
俺から言わせれば、ふざけるなという話しだった。シスターのことではない、彼女の処分を決めた教会の上層部だ
(……彼女だって頭では理解していたはずだ。周囲がそれをどう見るか。けれど彼女は、主から与えられた力と、その意味を信じて己の使命を全うしたんだ。なのになぜ彼女の優しさと勇気を誰も認めてやらなかったんだ)
任務で教会を離れていなければ――そう、何度も考えてしまう
俺がこの地にいるのは彼女の追放処分がきっかけであり、決めてでもあった
ずっと、迷ってはいた。本当に自分の歩んでいる道は正しいのか、と
教会も結局のところは人が営む組織だ。始まりはどうであれ、時が経てば綻びが生じる
そして、人間という生物は完璧を追求しながらもどこまでも不完全だ。初心を忘れずにいられる者のなんと少なきことか……
結局、俺は教会を抜けることを選び、信頼できる一部の者にのみ別れを告げて今に至る
イリナは俺の決意が本物だと知ると、かつての住まいの鍵を持ってきた。行く宛もなく彷徨うくらいなら使ってくれ、と
そうして俺は極東のこの国までやってきた
残念なことに目的はない。まだ何も決めていなかった
「とりあえず、家まで行ってみるか」
***
「さて、喚ぶならそろそろだな」
荷物の整理や食事などを済ませた俺は懐から1枚の小さなチラシを取り出す
『あなたの願いを叶えます』という謳い文句とともに刻まれているのはグレモリーの紋章
人間に擬態した魔物がこれを配っていたのを買い物中に見かけたので自ら受け取った。この町を管轄としている悪魔がいることは事前に聞いていたからだ
「さあ、グレモリーの悪魔よ、我が呼び声に従い、馳せ参じよ」
俺の声に呼応するようにチラシが宙を舞い、魔法陣が明滅する
次の瞬間、魔法陣から1人の小柄な白髪の少女が現れた
「……あなたが依頼者ですか?」
「そうなるね。まあ、依頼するほどのことでもないんだけど」
「構いません。依頼内容はなんでしょうか?」
無表情で淡々と述べる少女から敵意は感じない。ロザリオを始め、教会関係者だとわかるようなものは身につけていないのだから当然だが
「キミの主に会いたい」
「……理由を教えていただいても?」
「別に大したことじゃないよ。なに、この町を治める悪魔がどんな者なのか、直に会って確かめたいだけさ……これでもつい先日までは
「! ――っ!?」
今度ばかりは少女も警戒心をあらわにし、距離を取ろうとするが、家の中なので当然ながら背中から壁にぶつかる
「そう警戒しなくていいよ。争う気はないからね」
「信じろと……?」
「言っただろ。先日まではって」
「――え?」
あっけらかんと言う俺に対して、少女は口をぽかんとさせる
「先日まではって、いまは違うんですか……?」
「ああ、抜けてきたんだ」
「……どうしてこの町に?」
「偶然なことに部下がこの町の出身らしくてね。宿代わりにこの家を貸してくれたんだ」
「……教会を抜けた理由は?」
「……嫌気が差したんだ」
この場でごまかす意味も必要もなかったので正直に話す
「信じられないだろうけど、悪魔であろうと救ってみせた心優しいシスターがいたんだ」
「――」
「けれど教会の上層部は彼女を魔女だと蔑み、追放したんだ。それで嫌気が差した、だから抜けてきた」
「……主の指示を仰ぎますので一度帰ります。また来ますから少し待っていてください」
「あ、ああ。聞き分けの良い眷属でよかったよ」
魔法陣が広がる中、少女は思い出したように振り向く
「あなた、名前は?」
「レイだ。レイ・ステイルハート」
これが、彼女との再会と新たな戦いの日々につながることになるだなんて、この時の俺は予想もしていなかった
プロローグだけだと完全にアーシアがヒロイン
だけど、ごめんなさい。ヒロインはレイヴェルでございます
ライザーとのゲームで早速くっつけますのでお楽しみに