TS転生後の静かな高校生活は愛が重い子たちに囲まれておしまい!   作:あずももも

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34話 白鳥さんと爆弾発言と百合 2

「私ね。 自分で言うとイヤミだけど、かわいいでしょ?」

 

白鳥さんが、いつの間にか紅く染まったほっぺたを押さえ付けながら、視線を外したままで言う。

 

ええ、そりゃあもうかわいいよ。

 

中学までの戒めとして封印してる同時多発不純同性交遊が暴発しそうなほどに。

 

「だから、男子には月に何回か告白されるの。 ううん、クラス替えとか新入生の時期は1日に何回かが毎日。 それが小学校の頃からずっと」

 

「むぇぇ……」

 

脳が焼かれる。

 

僕はもうダメだ。

 

「でも、うなずいたことはないの」

 

脳が回復した。

 

僕はまだ大丈夫だ。

 

「お母さんがね? 小学生のときに『とりあえず良さそうって理由で付き合うのはやめときなさい』って教えてくれたの」

 

素晴らしい母親を持ったね白鳥さん、きっと白鳥さんに似て素敵な人なんだろうね。

 

「『男は狼だから、彼女になったら食べちゃう生物なの。 いざとなってやっぱなしってのはかわいそうだし、力の差で無理やりってなりがちなのよ』って言ったから。 言われた頃はよく分からなかったんだけどね」

 

白鳥さんのお母さん。

 

パーフェクトすぎる教育、ありがとう……!

 

おかげで僕の脳ははじけ飛ばずに済みました。

 

「『好きな人ができたら別に良いのよ?』とも言われたけど、本当に好きなのかなって思ったら結局誰ともね。 断るのが当たり前になっちゃったし」

 

白鳥さんのお母さんってことはきっと優しい系美人で良い感じにでっかくて良い子なのを妙齢にした感じだろうから、1回デートしませんか?

 

何、僕は経産婦でも行けるんです。

 

僕が口説いて女の子の目つきになるなら、何歳でも女の子は女の子なんです。

 

「……普通にみんな彼氏居たし、その中で彼氏作らないのはちょっと居心地悪かったんだけどね。 でも、『そういう子』って扱いになったらそれはそれで楽だったし――――結果的には、それで良かったのかもって」

 

うんうん、だから良い子のままなんだよね白鳥さん。

 

これでスポーツでぶいぶい言わせるオラオラ系の彼氏とか居たら染まっちゃってただろうからね。

 

こんな美少女なんだから、誘惑も多かったろうに。

 

「でもね、彼氏作っては別れる子たち見てたら、私、そんなに恋愛自体が好きじゃないんだなって思ってたの。 だって、その子たちは恋愛に夢中で、それがないと生きていけないって言ってたから」

 

だろうね。

 

男も女も一定数でそういう人居るからね。

下半身と上半身が完全に融合してるの。

 

僕?

 

僕は高校からは自制できてるからノーカンってことで。

 

何より女の子相手だから不純異性交遊じゃないし?

 

今は清らかだからね。

過去じゃない、今なんだ。

 

「だからね、もしかしたら私、男の子じゃなくて女の子の方が好きなのかもって」

「いやいやそれはまだ分からないでしょ……嬉しいけど」

 

「え……?」

 

あ、またぼーっとしてた。

 

「あっ。 ……むぇぇ……、そのぉ……自分の性的嗜好って、10代で決めつけるのは早いって……保健でも……」

 

「……そうだったわね。 でもね、その授業のおかげで『私は女子なんだから男子が好きなはず』って思い込みも取れたの」

 

なんてこったい。

 

この子が無駄にマジメなせいで逆に混乱することに。

 

どうやらこの様子だと、少なくとも告白してきた餓えた狼たちの中に付き合うほどには好きな相手は居なかったっぽいし、そういう答えになっちゃうのか。

 

いや、まあ?

 

この子が百合の道を進むのは大歓迎だし止めないし、なんなら近くで拝見させてもらいたい限りだけども。

 

けど良かった。

 

そういう話なら、僕が相手ってことには

 

「それで、今、誰が1番……女の子の中で好きなのかなーって思ったらね、1番は銀藤さん」

 

むぇぇ!?

 

「………………………………」

 

「……むぇぇぇぇぇぇぇ……」

 

「………………………………」

 

「む、むぇぇぇぇ……???」

 

え、やば。

 

え、待って?

 

この返しは想定外過ぎてむえむえしか言えない。

 

「……あ、言い忘れてたわ」

「むぇっ!?」

 

「お姉さん。 あなたのお姉さんの方のこと」

 

「むぇ!? ……むぇぇぇぇぇ……」

 

僕は脱力して机にべしゃり。

 

びっくりしたぁ……嬉しいけど地味女子デビューしたとたんに告られるのかと思って、心底びっくりしたぁ……!

 

「ごめんね、こっちを先に言っておけば良かったね」

「そうしてね……ついつい食べたく」

 

「食べたく?」

「……噛んだだけですぅ……」

 

「……そう」

 

良かった。

 

なんか密室の中の湿度が上がってる気がしたけども、そういうことね。

 

なるほど、確かにこの前助けた美人設定の姉設定だからね、そりゃそうなるか。

 

「あくまで、今ってだけ。 それに、アキノちゃんさんはライバル多そうだし」

「むぇぇ……」

 

「紅林さんの話では、女の子をたくさん食べちゃう悪ーい狼さんらしいし、お母さんの言ってたの考えると、さすがに告白とかもしないかな。 まだ本当に、これが恋かって分からないし。 相手は人気者だもん」

 

「その方が良いと思いますぅ……」

 

汗だくだく、メガネもさらに曇っている。

 

「………………………………」

 

そうだよ、つい数時間前の体育の授業で紅林さんに意味深な発言されたから「もしかしたら!!」って思っちゃったよ……。

 

あー、びっくりした。

 

けど僕の脳は元気いっぱいだ。

 

この子が男を知らない甘い――だからやめよう、下半身直結。

 

「………………………………」

 

いやー、しかし実に素晴らしい話を聞いた。

 

おかげでしばらく元気になれそうだ。

 

え?

 

もちろん白鳥さんを良い感じの熟女にしたお母さんのことでだよ?

 

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