TS転生後の静かな高校生活は愛が重い子たちに囲まれておしまい!   作:あずももも

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70話 詠唱完了(急)

「うそつき」

 

「銀藤さんのうそつき」

 

「わたし、嬉しかった」

 

「わたしみたいな子が居てわたしよりも話すの下手でわたしよりもしゃべるのが苦手な子が居るって」

 

「ごめんなさい」

 

「そんなあなただったからわたしはあなたを独占したの」

 

「わたしよりももっとダメだからって」

 

「本当はうそつきでそんなことなかったのに」

 

「うそつき」

 

「ごめんなさい」

 

「おんなじようにダサくておんなじようにメガネでおんなじように活字中毒な友達ができて嬉しかった」

 

「休み時間にも静かに本読んだりする友達が隣の席に居てくれて良かった」

 

「話すのが得意で顔も良くって明るかったらきっと1週間もしないうちに他の子たちのグループに入っちゃって仲良かったのが嘘みたいになるかもって怖かったから」

 

「小学校でも中学校でもそうだったから」

 

「わたしがあんまりにも話すのが下手で空気読めなくってダサくて体育も下手で成績悪くて芋みたいだからすぐにいちばん下のグループの子としかしゃべれなくなったから」

 

「わたしと一緒に居たらその子たちも下に見られるからしょうがないよね」

 

「でもそうならないって思って嬉しかった」

 

「体育で怖いボールが飛んできたときもわたしの前に飛び出してすごく痛いのから守ってくれて嬉しかった」

 

「でも両手首を粉砕骨折したって聞いてもっと嬉しかった」

 

「だってそうすれば治るまでのあいだはずっとわたしがあなたのお世話って理由で一緒に居られるから」

 

「おトイレだって言われたら手伝うつもりだったよ」

 

「泊まりがけでぜんぶ面倒見ても良かったんだ」

 

「そう言ったら冗談って思われてさせてもらえなかったし驚異的な回復力ですぐに包帯取れちゃったけど」

 

「でもお世話は嫌じゃない」

 

「それくらいわたしに依存してくれたらそれだけわたしはひとりぼっちじゃないから」

 

「わたしって酷いよね」

 

「分かってる」

 

「知ってる」

 

「でもあなたも悪いの」

 

「そんなわたしよりもダメダメな子だってフリしてたあなたも悪いの」

 

「本当のあなたはお姉さんでなんでもできる人だったの」

 

「交差点に突っ込んでこようとしてた車」

 

「交差点の先からわたしを見つけて文字どおりに飛んできて」

 

「それでわたしを守ってくれるくらいすごい人だったの」

 

「紅林さんみたいにおしゃれができておしゃれできる気の強さがあって」

 

「白鳥さんみたいに誰とでもおしゃべりできて先生からも気に入られるような人だったの」

 

「ねぇ知ってる」

 

「最近の銀藤さんはみんなから注目されてるんだよ」

 

「わたしだけが知ってたときとは違って」

 

「だって紅林さんと白鳥さんが夢中になるくらいの何かを持っててわたしみたいに怯える感じになってるのにちゃんと話の受け答えができてて彼女たちの友達から話しかけられた話題にもそれなりに答えられてて当然だよねだってあなたは本当は2人よりもすごい人なんだもんだから嘘つかなければきっと初日から2人よりも人気の女子になれてたんだ」

 

「でもそうしたら」

 

「わたしは」

 

「ひとりぼっち」

 

「ねぇ」

 

「どうしたら良かったの」

 

「あなたに話しかけなければ良かったの」

 

「あなたと仲良くなって依存しなければ良かったの」

 

「あなたを独占しようとしたからいけなかったの」

 

「分かってる」

 

「全部わたしのわがまま」

 

「わたしはわたしのためにあなたを利用しようとしただけ」

 

「なのにあなたはカゼ引いたダメダメなわたしにでも優しくて家にお見舞いにも来てくれて」

 

「どうして」

 

「どうしてなの」

 

「どうしてそこまでなんでもできるの」

 

「ずるい」

 

「ずるいよ」

 

「なんでもできてなんでも知ってて誰からも愛される人なのに」

 

「なんでわたしと同じだよって嘘ついてたの」

 

「嘘つき」

 

「嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき」

 

「ごめんなさい」

 

「でももうダメなの」

 

「あなたと一緒になれないならあなたが2人のどっちかと一緒になってわたしよりもダレカを好きになっちゃったら」

 

「わたしは耐えられないの」

 

「だから決めたの」

 

「一緒になれないなら3等分しちゃえば良いんだって」

 

「残念だけど人の骨は高いから綺麗に3等分にはできないし」

 

「おめめとか2個しかないから譲るしかないし」

 

「骨以外はすぐに腐っちゃうからすぐに堪能できなくなるけど」

 

「それでも銀藤さんを3分の1もらえたら納得できる気がするの」

 

「2人にこのこと言ったら顔真っ青になってた」

 

「さすがにそれはって本気で怯えてたの」

 

「あはは」

 

「わたしひとつだけ2人に勝てるところがあったんだね」

 

「だからねお姉さん」

 

「わたしが選ばれなかったらどうにかしてあなたをもらうの」

 

「そうすればずっと一緒に居られるの」

 

「物理的に動けなければあなたは他の誰のところにも行かないの」

 

「そうだよね」

 

「なんでもっと早く思いつかなかったんだろ」

 

「わたしはバカだから」

 

「でも手遅れになる前に思いつけて良かった」

 

「わたしはどんくさいし力も体力もないけど隙を狙い続けたらいつかはあなたを分割できるの」

 

「「もちろん今すぐでも良いけどどうかな銀藤さん」

 

「ああそっかそうだよねわたしちゃんと話せてるよね」

 

「普段みたいに話してると緊張してつっかえてそれで恥ずかしくってっていうのがなくなってるみたい」

 

「ありがとう銀藤さん」

 

「あなたのおかげでわたし、少しだけダメなところが良くなったよ」

 

「だからお詫びにあなたの3分の1をちょうだい」

 

「そうしたらずっと一緒に居られるよ」

 

「わたし1日中話しかけるから」

 

「小説の続きとか全部語り聞かせてあげるから」

 

「これから何日でも何週間でも何年でも何十年でも」

 

「そうすればあなたはわたしの言うことを聞かないと何もできなくてつまらないもんね」

 

「安心してね銀藤さん」

 

「わたしが死ぬまではずっとずっとずっとずっと話しかけてあげるから」

 

 

◆◆◆

 

 

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