TS転生後の静かな高校生活は愛が重い子たちに囲まれておしまい!   作:あずももも

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82話 反撃

「ぐ……ぬ……げぼっ」

 

あー。

 

人体として……いや、生物としてはどう考えても欠陥品の、男の体。

 

そこの欠陥――内臓が露出しているのに守られていないってところを、人体の中ではかなり硬い両膝で、しかも何割増しでぶち上げたもんだから……吐いちゃった。

 

思わず僕のなくなったはずの「それ」が、ひゅんってなるけども……女の子が無理やりやられてたらそれくらいの痛み――よりはちょっとだけマシでも、トラウマになること間違いなしの所業をするはずだったんだろう?

 

甘んじて体感してね?

 

「呻き声……大家とは連絡は!?」

「それが、連絡がつかなくて……!」

 

あ、お巡りさんたちが困ってる。

 

しかし僕も僕で、プレイ用のおもちゃとはいえ無駄にしっかりと作られているもんだから、女子高生の細腕で、しかもベッドに寝かされて頭の方で固定されてるそれを引きちぎるなんてのは不可能。

 

そして両足首も――まだ脚を開かされるところまで行っていなかったから、ほどかれていない。

 

あれ?

 

これ……おじさんが復活したらやばいんじゃ?

 

『少なくとも片方は破壊した手応えがある』

『武人でも起き上がることは難しいであろう。 急所ゆえな』

『えぐいッスけど、そのレベルのことしようとしたッスからね』

 

うん……まぁ、前科もりもりらしいし、確かに男として生まれたことを後悔する痛みは受けててほしいなぁ。

 

 

 

 

サイレンを鳴らし、大通りを疾走する車。

 

その後部座席に――無茶を押し通して乗せてもらい、すでに特定したその場所へと向かっている3人がいた。

 

「……銀藤ちゃん、すごいね。 あのチョーカー、カメラ入れてたんだ。 しかも、あのおじさん、撃沈させたんだ」

 

「ネットに人の顔さらして特定って、怖いけど……おかげで、あの人の名前が。 ……うん、確か警察署で聞いた名字と同じ」

 

「音声はこのスマホのアプリにしか届いてなくて、あのチョーカーからの映像だけを、わたしたちから離れてから、このスマホのアプリと連携して自動配信……しかも位置情報まで載せてる。 あ、明乃ちゃん、やっぱりすごい……」

 

そのスマホのアプリ上ですでに配信していたコメント欄は、それはもう見事な盛り上がりを見せている。

 

【アキノちゃんを襲ってるおじさん、一瞬で特定されて草】

【――株式会社の――さーん、何度目の逮捕ですかー】

【うわ、検索しただけで何件も出てきたよこの人の犯罪】

 

【ていうかさっき、この人につきまとわれたって子も降臨してたね】

【モデレーターの人?がアキノちゃんアカウントで説明してくれたけど、アキノちゃん、危なかったんだね】

【あー、おじさんのたうち回ってる  やっぱアレ、効くんだね】

 

「……自分を攫わせて、未成年略取……とかなんとかの罪状。 加えて、おじさんに襲われそうになったところを配信して、おじさんの顔も――多分、未来永劫ネットに残り続ける……私刑は良くないけど、こうでもしないと、たぶんあの人は、懲りない……」

 

「明乃さん……はぁ。 これだけ機転も利いて頭も良くって戦闘力みたいなのもあるのに、どうして私たちと3股したりしてあんなに慌てたりしていたのかしら」

 

「あははっ。 明乃ちゃん、女の子に目がないからねぇ。 うん、分かった。 あの人は、すごいのにおバカなんだよ」

 

「あ、明乃ちゃん……うん、許す。 わたしたち以外に手を出さないんなら……でも、間に合うんなら、おじさんの指、何本かで良いからじっくり……」

 

「ちょっと黒木ちゃん……? 物騒なことつぶやかないでぇ……」

 

「……明乃さん、黒木さんの相手だけ、ちゃんとやってよね……?」

 

「うふふふふ……もう絶対に離さない……明乃ちゃんに見合うスキルと仕事手に入れて、毎晩絶対に外に出させないんだから……うん、そう。 う、浮気の代償は……一生涯……」

 

 

 

 

「――おの、れぇ……小娘ぇ……!」

 

「うぇ? ……え? まじ?」

 

お巡りさんたちと、ドア越しかつ廊下越しでひととおりの情報交換をしていた僕。

 

ほとんど叫ぶような感じでしゃべらないと声が届かないからか、逆に心配させちゃってるのが申し訳ない。

 

けども僕からは動けないのは変わらない事実で、お巡りさんたちも律儀に法律を守らなきゃだからドアを蹴破るとか、マンガでありそうなことはしてくれなくって。

 

あ、でも、たった今、隣の人が帰ってきたから事情話してベランダからなんとか……って言ってたから、さすがにベランダのガラスくらいなら割って入ってくれるのかな?

 

まぁ拉致監禁と暴行1歩手前ってのは事実だし……それで処分受けそうなら僕の方からお巡りさんのお偉いさんに投書でもしないとね。

 

――そう思っていたら、吐くものを吐ききったからか、ゆらゆらと立ち上がるおじさん。

 

え?

 

常人じゃ無理って……え?

 

『――執念か』

『しくじった、手負いにし過ぎたか』

『どんだけ執着されてるんスか……』

 

僕の中の内なる声も、驚愕を叫んでいる。

 

「……貴、様……! 小娘……!」

 

……マジか。

 

マジかぁ。

 

そうは思う一方で、僕の中で――内なる声たちにも反対された、最終プランが提示される。

 

――うん。

 

ここまでの人なら……もう、行くとこまで行っちゃおっか。

 

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