TS転生後の静かな高校生活は愛が重い子たちに囲まれておしまい!   作:あずももも

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89話 天国な地獄

「お兄さん……とうとう女子とのコミュニケーションが取れないあまりに大学クビになったんですか?」

 

「ぼ、僕は学生の方だよ……? あと、いくらなんでもそこまでじゃないからね……ぶふっ……」

「あー、まぁ挙動不審な以外は至極普通のお兄さんですからね」

 

ぶろろろ。

 

僕は、一応はまだ病人扱いらしい。

 

本当はそんなことぜんぜんないのにね。

この子たちもぜんぜん加減してくれないのにね。

 

なんでだろうね。

 

曇らせて闇堕ちさせてヤンデレに進化させちゃったからだよね。

 

知ってた。

 

で、今朝もそうだったけども、帰りも――送り迎えは、なんと車。

 

しかも、運転手さんは――あのお兄さんだ。

 

「大学はいいんですか?」

 

「うん……ぼ、僕、夜行性だから」

「あー、夕方以降の授業なんですね」

 

今どき珍しく、大学の前半までに運転免許取ってたらしい彼。

 

で、なんでも僕が退治した鬼との接触のきっかけは電車。

 

だから――今世の両親の心情的にも、関わった大人たち的にも――3人、特に白鳥さん的にも、可能な限りに車が良いらしく。

 

「バ、バイト代としては破格にもらえてるから……」

 

「それで何か買う予定あるんですか?」

 

「百合ものをね……金額を気にしないで、毎日浴びるように楽しんでいるよ……でゅふふふふ……」

「うわぁ……」

 

そうだったよ……この人、女の子と触れ合うよりも女の子同士が触れ合っているのを愛でるのが好きなタイプだったよ……忘れてた。

 

ある意味で究極の紳士だよね。

僕とは対極にいる存在だ。

 

「……明乃ちゃん」

「彼は無害って知ってるでしょ?」

 

おっと、いけない。

 

僕が他人と話すとすぐこれだたからなぁ、もー。

 

「そうだけどぉ……」

「君たちとは24時間ずっといっしょじゃん。 彼とも知らない仲じゃないんだし、彼の通報のおかげで早く助かった面もあるんだからさ」

 

「銀藤さんの気道と肺胞と全身を巡った呼気に含まれる粒子を吸い込むだなんて……」

「それくらい許したげて? あとその表現は怖いからね黒木さん?」

 

そんな3人は――うん。

 

後部座席に――僕を含めてなんと4人が、それはもうぎゅうぎゅう詰めになっている。

 

なんで?

 

いやまぁ分かるけどさぁ……でもせめて、僕は助手席に乗りたかったなぁ。

 

「んっ……」

「明乃ちゃん……」

 

「あの、さすがに人前でするのはないかなぁって」

 

「だだだだ大丈夫!!!! 僕はただの空気だから!!」

「お兄さんの声がだいじょばないですってかハンドルちゃんとしてください運転手さんでしょお兄さんは」

 

ぎゅいんって車が揺れる感覚でひやってしたじゃないか。

 

でもおかげで白鳥さんのでっかいのがぐにゅって押し付けられて嬉しかったから良いけどさ。

 

「僕は紳士だから! だから存分に後ろで濃厚な百合を展開してくれるかなぁ!!」

「焦ると声が大きくなるのだけは治した方が良いと思いますよ」

 

知り合いが乳繰り合い始めるときほど緊迫する時間はないはず。

ほら、自分の親のそういうのを想像するだけで吐き気してくるでしょ?

 

なのにこの人……ああ、神聖の百合派なんだね。

 

うん、気持ちは分かるよ。

 

堕とした女の子同士が僕の命令でしてるのを愛でるのは楽しいからね。

 

まぁ今は僕がされる側なんだけどね。

どうしてこうなった。

 

「はぁ……はぁ……」

「んっ……ふぅ……」

「銀藤さん銀藤さん銀藤さん銀藤さん……」

 

僕に体をすりすりして手をもぞもぞ動かしてる両隣の白鳥さんと黒木さん、1人分離れてるけどシートベルトを伸ばしまくって体を倒し、顔を僕のふとももにうずめている紅林さん。

 

……学校じゃ、あれでも我慢してくれてるんだよね……その、ちょっとばかし過激な逃走劇に血まみれな姿見せちゃったせいで、おもおもになっちゃってるからね。

 

愛とか責任感とか罪悪感が重くなりすぎると、特に女の子は体を使って尽くす方に走っちゃうからね……うん。

 

女の子ってのは、良くも悪くも尽くす存在だからねぇ……ほら、母性本能が暴走してさ。

 

「こ、これ、バイト代もらうどころか返した上に百合堪能料金を!!!」

「いいからちゃんと前見て運転してくださいね」

 

バックミラーに映る僕は、やっぱりすだれビン底地味女子。

 

そんな僕に美少女3人がすがりついてむせかえるような真っピンクになってるのは……なんだかすごい光景だ。

 

うん、そりゃあこんなの見ちゃったら、自分は傍観者に努めて女の子同士の愛を眺めたいっていう拗くれきった性癖持ちにはたまらないよね。

 

僕?

 

僕ならそういう関係に「僕も混ぜてよ」って入り込む性癖持ちだから……。

 

「アキノちゃぁん……」

「本格的なのは家まで我慢してね? それだけは譲らないよ?」

 

「……いじわる」

「や、さすがに常識の範囲だからね?」

 

「ぎ、銀藤さんって……変なところで真面目……」

「知り合いと気まずくなるのが嫌なの」

 

ああ……良い子たちだったのになぁ。

 

なんでこんなにも残念を通り越したなにかになっちゃったんだろうなぁ。

 

『誰のせいだと』『思っておる』『んスか?』いやまぁ僕のせいだけども。

 

けども……うーん。

 

……数人の女の子を侍らせて、毎日女体を貪る日々。

 

これって中学となにが変わったんだろ……おかしいなぁ、僕、徹底的にジャンガリアンハムスターになってたはずなのに。

 

おっかしいなぁ……?

 

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