世界の何処かにある常春の国マリネラ。
ダイヤモンド輸出を中心とした国家事業として国益を生み出しているマリネラ王国。そんな王国を治める一人の王がいた。
「やあ!ボクはパタリロ」
彼の名は、パタリロ・ド・マリネール8世。マリネラ王国の若き国王である。しかし、その実態は、我儘で自分勝手なガキンチョにして、体型はずんぐりむっくりだし、美少年を自称しているが、その顔は潰れあんまんみたいなおもしろ顔だ。
「ナレーション五月蝿い!貴様の安い給料を更に減給するぞ!」
訂正⋯マスコットのようにラブリーチャーミーで、IQの高い天才として知られる。全国民期待の国王である。
「ふむ、その紹介でいい」
機嫌を良くしたパタリロは、目的地までロバに跨りながら移動していた。
「建設中の新しい僕のお城が完成している頃なんだよな。楽しみだ。ひどくこざっぱりしてる~」
パタリロは、建設中のパタリロ城を見て、驚愕した。全く、工事が進んでいなかったのだ。
「おい!タマネギ138号!」
パタリロは、建築担当のタマネギ部隊の隊員138号を呼び出した。
「これは殿下、お早い到着で」
「お前!パタリロ城ぜんぜん出来てないような?ていうかぜんぜんできてへどおまんがな!」
「新しい城ならまだまだですよ。だって、殿下お金けちってワタシ一人しか雇ってないじゃないですか」
「いいじゃん別に」
「いいですけど、あと30年はかかりますよ」
タマネギ138号の通告にパタリロは仰天した。
「え〜困るよ!バンコランに招待の手紙を渡しちゃったよ!どうすればいい!どうすればいい!ん~~!そうだ!」
場所は変わって、ロンドンにあるマンションの一室
黒髪ロングヘアーの美丈夫は、バンコラン。
イギリス王室に仕えるイギリス秘密情報部(MI6)のエージェントで階級は少佐。
そんな経歴を持つ彼は、寝室のベットで致していた。つまり、そういうことである。
「あん、あ⋯んぅ!バンコラン」
彼から寵愛を受けている美人はマライヒ。バンコランと同棲するパートナーであり、男である。もう一度言おう!男である!
二人の世界に突入しようとした瞬間、ピンポーン!と玄関のチャイムが鳴り出した。二人は、行為を一時中断。バンコランは、バスローブを身に纏いながら警戒していると玄関から声が聞こえた。
「郵便で〜す」
刺客でないことに安堵したバンコランは、早歩きで郵便物を受け取った。手紙を開封し、内容を読んだバンコランは、思わず頭を抱える。
「どうしたの?バンコラン」
「あの阿呆からだ」
バンコランは、マライヒに手紙を渡す。
「ほげ〜アホのパタリロからだ。え〜と何々?
『アホのバンコランへ、パタリロ城建てたから遊びに来い。ざまーみろ。お土産持ってこい。いいお土産を持って来い。
p.sオフロ上がりに耳そうじをすると湿っててめんどい』⋯行くの?」
「明日にな。行かねば後々、面倒臭くなる」
「⋯そう」
マライヒは、バンコランの回答に寂し気な表情を見せながら頬をかいた。その可愛らしい仕草に胸をズキュンと撃たれたバンコラン。クールな表情のまま、マライヒに近づき、両肩に手を乗せ、押し倒した。
「⋯マライヒ、続けるぞ」
「え、バンコラン、んむ!?」
バンコランからの突然のキスにマライヒは、頰を紅潮させ、うっとりとした眼で顔を蕩けた。昼間だが、二人の時間は始まったばかりである。
一方その頃、マリネラ王国では
「とにかく、小さい小屋でもいいから作るんだ」
「小屋でいいんですか?」
「急げ!明日までに造るでおま!」
パタリロは、木材を運びながら、タマネギ138号に小屋製作を急かす。
「⋯無茶言うなよバカ殿下」
「何か言ったか?」「⋯いえ」
パタリロの我儘にボヤいたタマネギ138号。刹那、タマネギ138号の体中に鋸や木槌などの大工道具が突き刺さった。パタリロ殿下は、地獄耳なのである。
翌日、マリネラ王国を訪れたバンコランは、手紙に同封されていた地図を頼りに目的地へと向かっていた。
「地図によれば、この辺りか。しまった!奴への土産を忘れていた。まぁ、アイツのことだ。そこら辺の草や石で良いだろう」
(いたな、何か歌ってるな気味の悪い。しかも、ギターの位置低っ!)
「あっ!バンコラン、よく来たな、待ってたぞ。弾き語りして」
「弾いてなかっただろ」
「実は、弾けないんだよ。今日はじめたばっかで」
「それなのに、何故そんな誇らしげにぶら下げてる?」
「ちぇっ、うるさいな全く、ギターなんかやめてやるよ!」
パタリロは、丸太にギターを振り下ろして、破壊した。
「さぁ、とにかく入って入って、出来立てほやほやのパタリロ城だぞ。ちょっと変なにおいがするけど入って入って。あっ、待った。お土産は持ってきたよな?」
「やはり、いるのか?」
「要りまくるよ。タダでパタリロ城に入ろうなんて図々しいにも程があるよ。片腹痛いわ⋯んが!?」
パタリロは、お土産袋を地面に落とした。袋の中には、大量の石と雑草が入っていた。
「石っておまえ、草ってお前」
「悪かったな。アホやってないで案内しろ」
城(小屋)に案内されたバンコランは、座布団に座る。パタリロは、菓子置きから饅頭を取り出す。
「饅頭でも食べるか。ちょっと変な匂いがするが。
不味っ!? ぺっぺっぺ!バンコラン!お茶を淹れてきてくれ!」
「私は客人の筈だが?」
「うるさい!ボクはマリネラ国王だぞ!」
「何を偉そうに」
「偉いもん!べろべろばー!」
パタリロは、煽るようにあっかんべーをした。
ブチッ!
ドンガラガッシャーン!
その態度にキレたバンコランは、青筋を立てながら、近くにあった机をパタリロに投げ付ける。お仕置きを受けたパタリロは、ボロボロになりながら足をピクピクさせた。
「然し何故、台所近くに風呂があるのだ」
台所でお茶の準備中に気になったバンコランは、隣にある浴室の扉を開けた。そこには、猫耳を付けたおじさんが入浴していた。
「⋯パンコ⋯ラン」
バキュン!バキュン!
バンコランは、ドタドタと走り、パタリロの元に駆け出す。
「潰れあんまん!風呂に変な奴がいたぞ!」
「ああ、あれはキャット竹島さんだよ。君の名前教えといた」
「名前間違っていたぞ!パンコランなどと呼んでいたぞ!」
「ごめん、ボクが間違えて教えたんだ」
「何でだ!あり得ないだろ!」
「お前の名前は、覚えづらいんだよ!プラズマやスーパーにゃんこの方が言いやすいが、バンコランはどうも」
「覚えやすいだろ!パタリロ!作品で3位以内に入る位には覚えやすい名前だろうが!」
「それより、お茶はまだか?ボクは国王だぞ」
「っく!ほら、茶だ。さっさと受け取れ」
「んにゃ〜バンコランからのお茶を貰えるとは、ボクも鼻高々だ。猛烈に指入ってるー!?」
バンコランは、小さい抵抗でお茶の中に指を入れながら提供した。
「流石は、ボクが友人に選んだ男!露骨に地味なな嫌がらせしやがる」
「貴様のミジンコみたいな城(小屋)を見物するのも暇つぶしにはなった。そろそろ帰る」
「そんな〜!一緒に枕投げしようではないか!ちょっと変な匂いするけど」
「仕方ない」
ポスッとパタリロに枕を当てる。
「待ァてええ〜〜!」
「どこの世界にこんな悲しい枕投げがあるんだ!ワンスローっておまえ」
「ハァ、投げればいいんだな?」
「うん、そうだ」
バンコランは、枕ではなく袋から中身を取り出し、投げる。
「おりゃっ!」「ポピー!」
・今日のポピー
『ピンクポピー』⋯「思いやり」
バンコランが投げた石に当たったパタリロは、頬を抑えながら蹲った。
「石はないだろ、石は」
「下らん。帰る」
パタリロは、帰ろうとするバンコランを止める為に、アルマジロのように丸まり、バンコランを目掛けて突進した。
「くそぅ!くらいやがれ!超必殺!マリネラ文化アタック!」
パタリロは、ずんぐりむっくりな体型を活かして、ピンボールのように跳ね回りながらバンコランを翻弄。
「やめんか馬鹿!ただでさえ、狭い部屋で暴れるな貴様!」
「マリネラ文化の重みを知れー!」
「ふっ」
「あ、避けられた。背中いたー!?」
マリネラ文化アタックをブリッジで避けたバンコラン。しかし、パタリロの必殺技により、早急に建てた為に欠陥建築と化していた小屋が倒壊を起こした。
「「「うわあああ!?」」」
パタリロ城(小屋)は、見事に全壊した。その光景を見たパタリロは、おもむろに手を叩いた。
「さあ皆さん!お手を拝借!」
「パパンがパン!だーれが殺したクックロビン!だーれが殺したクックロビン!」
パタリロのクックロビン踊りの茶番に付き合いきれないバンコランは、タマネギ138号から50tハンマーを受け取り、未だに踊っているパタリロに向けて勢い良く振り下ろした。
「だーれが殺した」
ゴチ〜ン!
「ほら、動きが遅いぞ!働け!働け!」
タマネギ138号は、ノロノロと動いているパタリロを鞭で叩いて、叱咤する。バンコランは、顔を上に上げ、月を眺めながら静かに煙草を吸っていた。
「ヒェ〜!木造建築は懲り懲りだ〜!」
夜のマリネラ王国中にパタリロの情けない悲鳴が木霊した。