ハフバと一緒にカサネちゃんPUが開催された世界線のイベントストーリーです。この世界のサオリに対して「やっぱり君は、きっといい先生になる」とか言わせたいし、頑張って準備したのをハルカに爆破されて、それでもハルカに対して真っ先に「怪我してない!?」って心配するシーンとか考えてたんですけど、そこまで肉付け出来なかったのでこれで許してください。
もしもカサネがPUされるなら、ガチャ名は片生とかつけたい、青春も欲しい、青春を照らす片生なる日華とかいいな
「…アイドル?」
こてんと首を傾げる白色の少女。世界を、そして1人の生徒を救うために自らの全てを捧げ、そして生き残った少女。
根元から腰に至るまで真っ白に染まりきった髪に、ルビーのように透き通り鮮血のように燃えている茜色の瞳。
ひび割れたヘイローが示す通り、完全なる反転に至り、しかし恐怖にも本質にも呑まれず、或いは本質の赴くままに人々を救い守ろうとする献身癖のある少女。
ティーパーティーの備える来客用のテラスには、そんな少女と、私とナギサがいた。
「…えぇ、信じられないかもしれませんが、もう一度アイドルのライブを行わなければテロを起こすという脅迫も届いていまして……」
「……キヴォトスはやっぱりキヴォトスなんだね…………」
どこか疲れたように呟く少女に、私はどこか気まずそうな顔で目を逸らす。
…正直、私もナギサもこんなことを彼女に頼みたくはない。トリニティも被害者とはいえ謝肉祭が原因でテロが起こるのなら、トリニティの生徒に依頼し場を収めるべきかもしれない。だが、文化祭の一度きりならともかく今後アイドルとして活動するとなると、学生として普通の生活ができるとは言いづらく、そういう意味では学籍を持たないカサネは適任だった。
とはいえ、カサネに対しても普通の学生としての生活を送って欲しいと思っている身としては、複雑な心持ちである。
「……うーん…力になりたいけど………うーん、ちょっと無理かもだなぁ…」
「…そうですか」
しかし意外にもカサネは断るようだ。というのも、カサネ本人の気質としては皆の笑顔を作るために尽力するアイドルは、これ以上無いくらいに彼女に合っているように思える。その場に居るだけで人々の笑顔を咲かせるような太陽のような独特の雰囲気。キヴォトスでもトップクラスの容姿。アイドルの素質で言えば彼女以上のものを持っている生徒はなかなか居ないだろう。
─────先生がそう思うのも無理はない。この世界でカサネの寿命について知っているのはプラナだけだ。そしてそのプラナも他ならぬカサネの願いと約束に従い、先生にすらそれを告げてない。
カサネ自身はよく分かっている。この世界でアイドルになったとして、他人にとっての自身の価値を高めてしまえば、灯火が消えたその時に大きな失落を齎してしまうと。
…ただし、この世界でもシャーレ体験入部中生徒という肩書きを利用し、多くの生徒の悩みや相談を解決して回り、その過程で多くの生徒の心を射止め、現時点で割と今更であることにはカサネすらも気付いていないが。
「期間としては1月程度を想定していたのですが、…それも厳しいでしょうか……?」
「……1ヶ月…か……」
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スタジオの鏡は午後の陽を反射して、淡く輝いている。
その中央で、カサネは舞っていた。
腰まで流れる白髪は陽光を吸い込み、深紅の瞳は燃えるように揺らめく。
小さな体は、しかし力強く精巧な人形が舞うようで、その動きは命を燃やす炎そのものだった。
慕ってくれる人が多かった。
彼女はいつも誰かのため前に立ち、やさしい献身を惜しまない。
誰かが落ち込めば、隣に座って話を聞き、涙を見せぬようにと、ただ傍で笑ってみせる。
その姿は心を照らし、いつしか彼女の周りには温かな光が集まっていた。
だが——誰も知らない。先生すらも。
その光を灯す燃料は、彼女の命そのものだったということを。
そして、残された時間はもう僅かしかないことを。
当然だけど恐怖はあった。
死を前にした恐怖は、人並みに、いや、それ以上にあった。
夜、ふと目を閉じた瞬間に、そのまま目を開けられなくなるのではないか。
もっともっとみんなの傍に居たい。
そんな思いが胸を締め付ける。
それでも、本当に恐れているのは、自分がいなくなった後に残される人たちが深く傷つくことだった。それだけだったのだ。
だから、決めた。
数日後の舞台で、自分の人生そのものを表すような輝きを、みんなに見せる。
それが、友人たちにとって決して沈まない太陽となるように。
舞台を見た人が、たった1人の例外なく、彼女を思い出すとき、そこに悲しみではなく温かな光だけが残るように。これ以上誰も、悲しまないように。
今日も、痛みに耐えながら練習は続く。
足運びは剣士の踏み込みのように鋭く、回転は研ぎ澄まされた剣戟のように迷いがない。
息を吸えば胸の奥が焼け、吐けば背骨の内側を刃が走る。
それでも、唇には笑みを浮かべる。浮かべてやる。
誰も、この戦場を知らなくていい。
この命懸けの戦いを、ただ美しい舞として見てもらえれば、それでいい。
「……カサネさん、ターンの後の肩の角度、もう少し落としてみませんか?」
マリーの声は春風のように優しい。
マリーにとっては、カサネは同級生であり、ダンスを教える相手、弟子であり、そしてほんの数週間で実ってしまった、誰にも言えない恋心を抱く相手でもある。
その瞳は、ただカサネを守りたいと願っていた。
「先生、いかがですか?」
マリーが後ろに立つ先生へと振り向き、問いかける。
「"とてもいいね…ただ、……なんだか少し無理をしているようにも見えるな"」
腕を組み、そう評価する先生がカサネに対して抱くのは決して恋ではないが、しかし特別な感情。
それは、カサネの生き方そのものへの敬意と、そしてある種の憧れですらあるものだ。
一連の流れが終わりに近づいた頃、鋭い足踏みの最中、しかしカサネは唐突によろめき、そして大きく咳き込んだ。
「カサネさん!?」
マリーが駆け寄ると、なんでもないように立ち上がり、そしてカサネはすぐに手を振る。その顔にはいつものように優しい微笑を浮かべて。
「ごめん…なんでもないよ………っ…あー…ちょっと、トイレに行ってくるね」
上擦った声。いつもよりなんだか小さく見える背中。その背中を見送りながら、二人は顔を見合わせる。
—この一週間、練習を初めてからトイレに行く頻度が随分多い気がする。
—その全てが、大きく咳き込んだ後だ。
—そして、咳き込んだ手を必ず後ろに隠している。まさに、今も。
小さな不審感。しかし積もり積もった確かなもの。
「"……カサネ、ちょっと待って"」
先生の低い声が、空気を震わせた。初めて聞くような、普段からは想像もつかないような重い声。
マリーが前に回り込み、静かに問いかける。
「……その手、見せてください」
カサネは一瞬だけ、困ったように微笑んだ。
辛そうにしながらも、優しく。
そうして、ゆっくりと手を前に出す。
そこには、べっとりと鮮やかな紅が、命の色が付着していた。
二人は、言葉を失ったまま、その小さな手に刻まれた真実を見つめ続ける。
カサネの手にべっとりと付いた紅は、どう見ても一時的な怪我のものではなかった。
それは、内側から溢れ出し、そして零れる命の色。終わりを告げる色だった。
「"……これは…"」
先生の声が震えた。
マリーは何度も瞬きをし、全てを察してしまったのか、必死に涙をこらえている。
「カサネさん……まさか……」
カサネは、そんな二人を見て、いつもの柔らかな笑みを浮かべてみせる。そうしていつものように話すのだ。
今まで何回、指揮能力で、大人のカードで、生徒達を守ってきた?
細かな時系列の前後やバタフライエフェクトはあれど、カサネは少なくとも花鳥風月部を退ける場所まではたどり着いているのだ。
大人のカードを使い、そのうえで複数部隊による連続攻撃という総力戦をしかけてようやく倒せる敵だって何体もいた。
カサネはそれらからもキヴォトスを守り続けていたんだ。
…もしもそんな力があるとするならば、きっとその代償は、
「……そんな怖い顔しないでください。……まだ大丈夫ですから」
「"大丈夫なわけっ……!"」
普段は滅多に声を荒げない先生が、鋭く言い放つ。少女の両肩に掴みかかり、そして壊れ物を扱うように、優しくその場に繋ぎ止めるように彼女を抑え、そして詰め寄る。
「"こんな状態で……舞台なんて、できるはずが……!"」
そうして、必死に言葉を重ねる。
「そうです…!…そんな命を削るようなこと、もう…やめてください……舞台なんて、今から中止にだって……」
懇願するようなマリーの声。
しかし、それでも。
カサネは目を逸らすことなく首を横に振る。
「……ううん、私はやり遂げてみせるよ」
「なぜ…ですか……?」
マリーの声が、震えで途切れる。
カサネは小さく息を吸い込み、そして、痛みを押し隠したまま、ふわりと笑顔を見せた。
その笑顔は、彼女の白い髪と赤い瞳の中で、まるで燃える太陽のように輝いている。
「……本当は怖いんだ。死ぬのは怖い。眠って、そのまま目が覚めないかもしれない夜っていうのは、本当に怖い」
「……でも、それ以上に怖いのは……私がいなくなったあと、私を好きでいてくれた人たちが、ずっと、…ずっと悲しんでしまうこと」
カサネは、マリーと先生をゆっくりと見つめる。自身の心を打ち明けるのは随分久しぶりだった。
私の取り繕わない本音なんてこんなもの。どれだけ英雄ぶったって、大人を演じたって死ぬのは怖いんだ。
でもそれ以上に怖いことがあるから、だから頑張らなくちゃいけない。
きっとみんなそうなんだ。死ぬのが怖くない訳じゃなく、それよりも怖いことがあるんだ。だから人は、人を命懸けで守るんだ。
……自分が居なくなったあとでも、みんなを守る為に、守れるように、私がするべきこと。
もう一度だけ、私は…
「……だから、私は太陽になる。もう一度だけ。二度と沈むことのない太陽に。…そうすれば、私を思い出すとき、みんなはきっと笑ってくれるから」
「カサネさん……」
マリーの瞳から、ついに涙が零れる。少女はその涙を拭うように手を伸ばし、しかし空を掴む手をそれでも伸ばす。
「だからね、舞台はやるよ。これは私が最後にできる悪足掻きで、そして人生最期の贈り物だから」
その声は穏やかで、しかし誰にも折ることのできない決意が宿っていた。
先生は口を開きかけて、そして閉じる。
あの笑顔を壊すことが、彼女を止めることが、どれほど愚かしいことかを悟ってしまったから。
マリーも、唇を噛みしめたまま、小さく頷いた。
「……わかりました」
「私たちも、精一杯支えます」
カサネは嬉しそうに目を細めて、くしゃりと笑う。
「うん……ありがとう」
その瞬間、戦場のような練習場に、再び太陽が昇った。
それは、たとえ燃え尽きようとも、人々の心からは決して沈まない烈日の光だ。
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大協会の礼拝堂は、いつも昼下がりの柔らかな光に満ちていた。大理石の床を伝う光は、彩色ガラスを通って七色に変わり、神像の足元を静かに染めている。
その中心で、ひとりの少女が膝をついていた。
腰までの白髪が、ステンドグラスの光を浴びて淡く輝く。長い睫毛を伏せ、細い指を組み合わせ、静かに祈る横顔。
その姿は、まるで聖女、あるいは天使だった。
あの時の光景を、私は今でもはっきりと思い出せる。
清掃や礼拝の準備、信者の案内。それは淡々とし、そして暖かい日常だったが、その日だけは違った。
祈るカサネの姿を見た瞬間、私は足を止め、目を奪われた。ともすれば神像よりも神秘的で、なぜだか光よりも温かな存在がそこにいた。
気がつけば、私は彼女に話しかけていた。
「……何を、お祈りしていたんですか?」
聞くべきではないとわかっていた。祈りは人それぞれの奥深くにある、触れてはならないものだ。
それでも、どうしても知りたかった。聞かざるを得なかったんだ。
カサネはゆっくりと目を開け、私を見て優しく笑った。
「みんなの笑顔を、祈ってたんだ」
屈託のない、澄みきった声と笑顔だった。
私はその答えになぜだか息を呑んだ。
当時はまだ知らなかった。
カサネが余命わずかであることも、常に体を蝕む痛みに耐えて生きていることも。知らなかったからこそ、ただその純粋さに心を打たれたのかもしれない。
けれど、今思えば……彼女は自分の命が長く続くようにと祈ることもできたはずだ。
それでも、ただ神に願ったのは「みんなの笑顔」だけだった。
……なんて、強い人なのだろう。
その強さは、誰かを押しのけるためのものではなく、いつだって誰かを抱きしめるためのものだった。寄り添うためのものだった。
その心の高貴さは、決して飾りでも偽物でもなく、本物の彼女が生きる姿そのものだった。
私は今、カサネのことを思う。あの祈りの時も、今この瞬間も、彼女は変わらない。
彼女は本気で、自分の命よりも誰かの笑顔を選ぶ人。
舞台袖で準備をしている彼女の背中を、私は見つめる。白い髪が揺れ、赤い瞳がまっすぐ前を向いている。あの時の祈りが、そのまま形を変えて、今この瞬間に息づいている。
……どうか、この舞台が、あなたの願いを叶える場所になりますように。
あなたが沈まない太陽であろうとするのなら、私はそれを、いつだって雲が隠すことの無いように、暖かな春風となってずっと見守ろう。
「……カサネさん」
彼女が振り返る。
「頑張ってください。絶対に、負けないで…」
私の祈りに、カサネは微笑み、力強く短く頷いた。
「うん……ありがとう、マリー」
開演のベルが鳴り、体育館のざわめきがさざ波のように引いていく。
…しかし、舞台袖で、カサネは胸の奥から込み上げる熱に思わず手を当てた。鮮烈な鋭い痛みと共に、口の中に金属の味が広がる。咄嗟に手で覆えば、紅が滲み、指先を染めた。
「カサネさん!」
マリーが駆け寄り、先生が肩を支える。
「…っ……!…出ないで、…ください!」
カサネは二人を見て、微笑む。
それは痛みを溶かし、恐怖を包み隠すようで、それでいて柔らかな笑みだった。
「……大丈夫。きっとこれが最期だから」
「……私は、太陽になるんだ。この世界の誰にも、もう二度と影を落とさせないように」
そう告げると、彼女はゆっくりと舞台へ歩き出した。まるで、そこが彼女の居場所であるかのようで、止める暇もなく自然体でステージに向かう。
——そして、幕が上がる。
ライトが降り注ぎ、少女は立っていた。
白い髪は潮騒のように揺れ、赤い瞳は夜明けの空を映しているかのように煌めく。
音楽が始まり、そして歌声が溢れ出す。
それは透き通っていて、しかし深く、どこまでも温かい。舞踏は歌声のように滑らかで、歌声は舞踏のように美しい。
その声は母なる海のようだ。
静かな浜辺に寄せる波のように、優しく、規則正しく、全てを包み込む音。
悲しみも、痛みも、その水面の下に等しく沈めてくれるようだった。
その姿は父なる山のようだ。
動じず、揺らがず、そこにあるだけで人を安心させる高嶺。
背筋をまっすぐに伸ばし、観客の視線を真正面から受け止めるその姿は、孤高でありながら誰も拒まない彼女の強さのようだ。
その笑顔は、天理を示す月のようだ。
夜闇を優しく照らし、迷う者に道を示す光。
触れれば消えてしまいそうな儚さと、どこまでも変わらぬ存在感が同居する神秘的な笑顔は満ち欠ける月のようだった。
そして少女は素朴な花のようだった。
特別じゃない一輪の花は、しかしどんなに強い風にも折れずに、ただそこに咲き、そして見る者の心を春の揺蕩う陽光のように温める。
歌い、踊っていた。
それは完璧だった。
呼吸一つ、手の先の角度一つ、全てが音と溶け合い、一つになっていく。
彼女は今、この瞬間だけは、誰のものでもない。彼女のものですらない。押し寄せる寿命にすらも捕えられず、あるいは今だけは彼女は世界そのものだった。
歓声が、拍手が、波のように押し寄せる。
少女は、それすらも包み込むように、最後の一音までを丁寧に歌い上げた。
永遠のようで、白昼夢のように一瞬の舞台。
深く息を吸い、時が止まったかのように最後のポーズで静止する。
ライトが彼女を照らす。その姿は、
海のように優しく、山のように揺るぎなく、月のように艶やかで、花のように皆を灯し——
そして、沈むことのない太陽のように温かい。
割れるような拍手。弾けるような大歓声。
カーテンがゆっくりと降りていく。
カサネは、微笑みながらマイクを置いた。
視界が揺れる。耳の奥で、拍手の音が遠のいていく。その音は、カサネの胸の奥まで響き、痛みと疲労の波を一瞬だけ遠ざけたようにすら感じた。
カーテンが下りきる。
照明が落ち、舞台袖の薄暗がりが戻ってくる。
カサネはゆっくりと座り込んだ。限界を迎えたように足が震えて、もう立ち上がれそうにない。
それでも、……彼女は笑っていた。
「……やりきりました、ね」
マリーが駆け寄り、息を弾ませて彼女の隣に膝をつく。
先生もすぐにやってきて、心配そうに覗き込む。
「"無理をしすぎだよ……"」
先生の声は、これ以上無いくらいに震えていた。
しかしカサネはどこか嬉しそうに首を横に振る。
「無理なんかじゃないですよ。これが、私のやりたいことだったんですから」
外から、アンコールの声が響いてくる。
しかしカサネは立たなかった。立てなかった。
代わりに、ステージの方に耳を澄まし、その歓声を静かに受け止める。
「……ちゃんと届いたかな。みんなに……みんなを笑顔に…できたかな」
「届いてますよ、…絶対に」
マリーが即答し、カサネは嬉しそうに目を細めた。
胸の奥の痛みは消えない。寿命は今ですら削られていく一方だ。
それでも、この瞬間だけは、身体の奥底に灯がともるかのように、痛みすらも心地よい。
カサネは少しだけ視線を落とし、指先で床をなぞるようにして言った。
「やっぱり私は、…絶対に負けないよ」
「"……負けない?"」
「うん。朽ちかけの身体にも、この先の運命にも、……仮に、明日この命が終わってしまうとしても……絶対に」
その声は、静かで、それでも揺るぎなかった。
先生とマリーは泣きそうな表情を浮かべて顔を見合わせ、そして嬉しそうに微笑んだ。
カサネを蝕む寿命は変わらないし、全てを解決してしまうような奇跡も起きてはくれない。
けれど、この誇り高い少女はそれでも、最後まで自分を貫き通すだろう。…そう確信できた。
会場からの歓声はまだ止まない。
それはまるで、カサネが灯した小さく幼い太陽が、人々の胸に優しく残り続けている証のようだった。
カサネはゆっくりと立ち上がる。
足はまだ震えていたが、背筋は彼女の信念のように真っすぐだ。
「……さーて、…片付けもしなきゃね」
悪戯っぽく笑うその笑顔は、きっと終わりすらも恐れない強く優しい笑顔。
そして今際の際に、それでも浮かべる彼女のその笑顔は
——それは確かに、本物の沈まない太陽の光だった。
燃え尽きたって決して沈まない太陽。
今一度昇った日華は人々の瞳に、脳に鮮烈に灼き付き、そうして人々の道を照らしていく。照らし続けていく。
彼女が負けない限りずっと。
……つまるところ、永遠に。
ケイ書きたいんだデカグラ更新してくれたのむ