強制的にクールダウンさせられた私です。皆様にもお見苦しいところをお見せしました。
相変わらず場面は暗いまま。時折亡者の悲鳴みたいのが聞こえる以外、放送事故レベルで変わり映えがしません。ライトないの?
「さて。エルドリッチが世界をパッケージングしてゲームにする目的、でしたわね。端的に言えば、株主と交わした契約ですの」
契約? てか株主!? いるの!?
「そりゃ株式会社ですもの。総会だって定期的に開かれていますのよ?」
世界を滅ぼす邪悪な存在が、一気に身近になっちまったんですけど!?
じゃあ株主は、世界がパッケージングされることで何を得るんですか?
「さあ?」
さあ!? 知らねーで仕事してんの!?
「知る必要も理解する必要もありませんのよ、レティ。アレは……ヤツらは『そういうもの』ですの。正直、エルドリッチから見ても株主は得体のしれない存在ですの。時間も空間も超越した、それこそコズミックなナニかとしか」
……意思を持つ空間の裏には、それ以上に謎の存在がいるって? なんとも不気味な話です。
『Kanedaaaaasaaaaa!!』
憂鬱な気分に拍車を掛けるよう、例の悲鳴がタイミングよく響きました。
……はぁ。で、エルドリッチが株主と交わした、その契約って?
「一定期間ごとにゲームをリリース出来れば、運営資金をもらえる契約ですの」
資本主義で一番やっちゃいけない契約じゃないですか、それぇーっ!!
だって市場競争で最も重要視されるのは消費者の評価です! それによって収益が左右されるというのに、そんな契約があったら品質へのインセンティブが二の次になっちゃう!
てか、そんな商売してっからクソゲーばっか排出するんですよ! クオリティよりリリース頻度が大事、って逆だ馬鹿野郎!! それじゃブランドの価値イメージが下がる一方ですし、信頼だって無くします! 長期的な戦略イメージがまるでナシ!! 代表はちゃんと経営学を学んだんですか!?
「さすがはかつて業界最優良店と呼ばれた奴隷商人レティ。実に鋭い切り口ですの」
煽ては結構。で、そのクソみたいな契約の為にクソみたいなゲームを乱発し、これまでに多くの世界が滅ぼされてきたと? あっはっは、マジ死ねよエルドリッチ。
「一概にそうとは……けど、なんだか意外ですの。あなた、義憤とかそういうのとは無縁のイメージでしたのに」
失敬な。確かに私は個人主義ですが、前世含めて血の通った人間です、気持ちの上では。ましてや私を殺した相手、憎悪も憤怒も一入ですとも。
そのうえで今日まで生きたこの世界までもをってなったら、そら穏やかじゃいられません。どっかで両親とか親方とかが元気にやってるかもしれませんし。
「……レティ」
はい、なんでしょう?
「わたくし、やっぱりあなたのこと結構好きですの」
……どうしたんです、いきなり? 唐突過ぎて真顔になっちゃったんですけど。そう言ってもらえるのは素直に嬉しいですけど〜、きゃっ♪
「気が合いそうってことですの。勘違いなさらないで。それと、別にもうプリプリしなくても大丈夫ですのよ? エルドリッチ、近く倒産しますもの」
……………………なんですって?
そう聞き返した私に、セキシスは含み笑いで答えました。またそれっすか、思わせぶりな。