突き出した態勢のお尻に陛下と他一名(多分グリーゼくん)の熱視線を感じながら、数分が経過しました。
セキシスはゆっくりを両手を持ち上げ、私の肩を掴んで優しく引き離してきますの。
「厳しい人ですの。一思いに楽にしてくださればよろしいのに」
「根本的に他人に興味が無いもので、私。憎んだり怒ったりも苦手なんですよ」
「またそうやって。ただ生憎と、パッケージ化させない限りは元の世界に戻れない身の上ですの。なので、この件については終生踏み倒させていただきますの」
ツンと澄ましてニコリともしない、いつものセキシスが戻ってきます。少なくとも表面上は落ち着きを取り戻した様子。
「おい。そろそろ良いか?」
「あぁ、陛下。すみません、お待たせしました」
「え?」
用の済んだ私がその場を退きますと、まだ皇帝モードの陛下が前に出ました。セキシスもビビったのか、澄まし顔がちょっと強張ります。
「エルドリッチ何某については、お主とレティの問題だ。故に、お主らの間で決着したなら口を挟まぬ。だが『百年以内の滅亡』については別。これはもう防ぎようのない確定事項なのか?」
強めに、ですが静かに。虚言を許さない重圧を放つ陛下。こういう時に冗談を言えば、私みたいに幻影剣で斬られます。場合によっては串刺しかも。
セキシスも自然と姿勢を正しました。
「具体的にどう滅ぶのかは存じませんの。でも対策が成されなければ確実に。何しろ、この世界の創造神すらも匙を投げた難題ですから」
「対策、可能なのか?」
「ええ。前例はありますの。神に見捨てられた後、人間が自ら文明を築き、惑星を飛び出すほどの発展を遂げた世界が存在します。その世界は現在も鋭意発展中ですの。ね、レティ?」
そこで何で私に……って、まさか!?
ひょっとしてその世界って!
う、
「ほう。レティ、貴様が前世を生きたという異世界、そんなに良い場所だったのか?」
陛下が好奇心からか目を輝かせます。
いや、期待されても困るんですか!? 差別も戦争も貧困も、何一つ解決されてませんし。楽園みたいなのを想像しないでください。
「せいぜい文明が千数百年ほど進んでるぐらいですってば」
「千っ!? い、いやいや大袈裟じゃろ、それは!」
「まあ一概に比べたりは出来ませんよ。五行術も魔法も存在しませんから、原住民の戦闘力は大きく劣りますもの」
「術も魔法もなくってどーやって発展したん!?」
おう、カルチャーショック。想像だにしなかった世界に、陛下のカリスマがブレイクしてます。
とはいえ、パンデミックとか世界大戦とか、滅亡しそうになった事件にそこそこ心当たりがあるのも確かですが……むしろ多すぎて一つに絞れません。
そしてセキシスからも。
「まあわたくしも、地球人類がどうやって
と笑えないオチを添えたのでした。
「分かってないんかーい!」
陛下のツッコミも、
漫才のような、でも切実な陛下とセキシスのやり取り。でも、この世界にいる限りはセキシスにとっても滅亡の回避は――んっ! えっ!?
「おわっ!?」
「なんじゃ!!」
「じ、地震だぁ〜っ!!」
激しい縦揺れが何の予兆もなく襲ってきました。
私も、陛下とセキシスも、暇だったから床で◯✕ゲームしてた大公とグリーゼくんも、揃って床に伏せて踏ん張ります。
……いや、これ地震じゃありませんね! 巨大な杵で地面を衝く、断続的な衝撃です。しかも震源地は……!
「真上です!!」
私が叫ぶと同時に、遥か上方で無数の雷が同地点に落下したような、悍ましい爆音が轟きました。
「■■■■■■■■■ーーーーーッッッ!!!!!!」
ですが、その爆音もドス黒い憎悪に塗れた咆哮が掻き消して。
次の一瞬には我々のいた地下遺跡が、とてつもない衝撃波に呑み込まれて粉々に吹き飛ばされていました。