VRSAO アインクラッド 100%RTA 実績【誰が為の明日】獲得まで   作:クソ煮込みうどん

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複合フレームtypeーAとスペースドアーマー引けたので初投稿です。

相変わらず文が散らかるしプロットをその日の気分で変えまくったせいで投稿ペースが安定しません。(自戒)


『Welcome to Aincrad.』 3/3

 ログアウト不能となったゲーム。

 どこからともなく鳴り響く鐘の音。

 集められたプレイヤー。

 空を覆う赤い警告文。

 

 これから起こるであろう理解を超えた「何か」に、プレイヤーたちの不安が高まる。

 幾ばくか──鐘の音から数えて5分程度か──の時が経ち、見上げた先、赤い警告文に覆われた空に変化が訪れる。

 

 ドロリ、と。

 何の前触れもなく、空を染め上げていた赤が滴り始めた。

 それは空中の一点で凝縮して球のようにまとまったかと思うと、内側から押し広げるように姿を変える。

 

 現れた()()を、なんと形容するべきだろうか。

 そこに出現したのは真紅のローブを纏っている……ように見えるナニカだった。いや、纏っている、という表現が適切かすら怪しい。なぜならローブの内側、フードの下に覗くはずの顔も、裾から垂れる足すらない。

 赤いローブを着た巨大な幽霊とでも表せばいいのか。それがこちらを見下ろしていた。

 

 

(今度は何だ!急にボス戦でもしろと!?)

 

 

 左腰に差した《アイアンシミター》の柄へ手が伸びる。

 すると、

 

 

 

 

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

 

 

 

 

 男の声だった。聞いたことがあるような、無いような。

 ともかく、件の赤ローブの口から……便宜上、口から。そのような言葉が放たれた。

 

 

『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

 

(茅場…って、開発者の?)

 

 

 つい先ほど別れたキリトの口からも聞いた名前だ。

 

 茅場晶彦。

 稀代の天才、若き発明王。今いる《ソードアート・オンライン》を作り上げた開発ディレクターにして、この世界を実現したナーヴギアの基礎設計者。

 と、少ないながらも確実な情報を思い出し、少しばかりの安心感を抱く。

 

 SAOにもナーヴギアにも精通している人間がわざわざやって来たのだ。きっとこの状況を重く見て対処しに来てくれたのだろう。

 そんな、希望とも呼べる感情が僕の心に芽生え始めた。

 

 

 

 

 

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「……………………は?」

 

 

 脳が理解を拒む。

 どういうことだ?このゲームの外に出られない状況が、本来の仕様?

 ふざけているのか。

 

 言葉を失い立ち尽くすばかりとなったこちらへ向け、茅場晶彦を名乗った赤ローブが、絶望的な情報を叩きつける。

 

 

『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』

 

 

『また、外部の人間による、ナーヴギアの停止あるいは解除も有り得ない。もしそれが試みられた場合』

 

 

『ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』

 

 

 脳を破壊する。生命活動を停止させる。

 簡潔な言葉だが意味するものはあまりにも重い。

 

 

 つまりは、死。

 

 

 ナーヴギアの着脱、または破壊。

 10分間の外部電源切断、または2時間の回線切断。

 

 そして、キャラクターのHP全損。

 

 これらの条件で、ナーヴギアはこちらの脳を焼くと茅場は言った。

 

 351/351というこの数字が、僕の命の残量?

 冗談にしては悪質すぎる。10倍あっても全く足りないだろ。

 

 無意識に左手が心臓の辺りの服を掴む。命の所在を確かめるように、鳴りもしない心臓の鼓動を探して。

 

 

 

 

 

『諸君がこのゲームから解放される条件は、たった一つ』

 

『先に述べた通り、アインクラッド最上部、第100層までたどり着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい』

 

『その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保障しよう』

 

 

「100…!?」

 

 

 この空中違法建築、そんな無駄に階層あるのかよ。

 

 吐き捨てたくなったが堪えた。1層の雑魚敵すら割と怖いのに、上に居るであろう強敵なんて真面目に想像しては心が持たない。

 特に噂では、2ヶ月のβテストでクリアされたのは10層に満たないと聞く。その10倍以上の階層を攻略することを要求されてしまえば嫌にもなる。

 

 β参加者は1000人に対し、本サービスの今は約1万人。人手は単純に10倍程度まで膨れ上がっているが、この状況では皮算用に加えることすら難しい。

 本来何度も敗北を重ねながら攻略法を探り、レベルを上げて装備を整えるのがRPGというジャンルの鉄則。それが今や、リアルの自分が持っている命一つ、残機なしでの攻略を強制されている。

 まず間違いなくこの《はじまりの街》に引きこもって、『誰かがゲームをクリアする』その瞬間まで何もしない人間が出てくるだろう。僕だってそうしてしまいたい。

 

 

『それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え』

 

 

 どうせろくなものではないだろう、と理性が警鐘を鳴らすが、手が止まらなかった。

 日本人の悲しい集団意識のせいか、立て続けに流し込まれた情報で判断力が欠如したのか。ともあれ僕の指が自然とメニューを開く。

 アイテムストレージの最奥、フレンジーボアのドロップアイテムが並ぶ中にポツンと、それは存在していた。

 

 

「……《手鏡》?」

 

 

 なぜこんなものを?まさかこれを攻略に役立てろとでも?

 

 念のため実体化させると、手の中に飾り気のない手鏡が出現した。

 見たところ特に変わった様子もない。覗き込んだ先にあるのは、特に何も考えずにランダムクリエイトしたアバターの顔のみ。

 光の反射の仕方が現実さながらなのに技術力を感じるが、それだけだ。こんなものを渡してきた意図が読めない。

 直後。

 

 

「ッ!?」

 

 

 手鏡が光を放つ。とっさに目をかばい、瞼越しにこちらを焼かんばかりの白い光を耐え凌ぐ。

 数秒とも、数分とも感じられる白光。

 目に感じた不快感が去り、ゆっくりと、瞼を開く。

 

 ……?なんだ?体が軽い、ような…。

 

 疲れが取れたという感覚とも違う、違和感。

 なんというか、単純に体の重量が減ったかのように感じる。

 そんな異様な感覚に包まれつつ、何が起きたか確認しようと周囲を見渡し──言葉を失う。

 

 人だ。

 広場を、ゲームのプレイヤーたちではない。どこにでもいるような、プレイヤーの格好をしているだけの人が埋め尽くしている。

 人工的な美男美女で溢れかえっていたはずの中央広場は、瞬く間に安っぽいコスプレに身を包んだ人々で埋め尽くされていた。

 

 

「な、なんだよコレぇ!?」

「わ……私の顔!?なんで!?これゲームじゃ…」

「お前、男だったのかよ!!」

「そっちこそ、ただのブサメンじゃん!」

「なんだと!!」

 

 

 どういうことだ。

 顔が戻る?現実のものに?一体どうやって。

 

 事態が吞み込めないなりに情報を集めようとして、ふと思ってしまった。

 

 僕はどうなったんだ?と。

 

 恐る恐る、まだ握りしめていた手鏡を覗き込む。

 

 

 

 

 目にかかるような長さの、艶の少ない黒髪。

 治し忘れた寝癖まで読み込まれたのか、無駄にリアリティのあるボサつき方をしていた。

 

 

 線の細い、女子と見紛うような輪郭。

 幼馴染だった少女にすら「かわいい!」と言われた、あまり男らしくない顔つき。

 

 

 不健康そうな白い肌。

 美白、と称されるものとは真逆の、日に当たることが減ったが故の病的な色白。

 

 

 コンプレックスだった、色素の薄いワインレッドの瞳。

 これと障害が相まって妖怪のように扱われたことも少なくない。

 

 

 そして、見えない目で他人を睨み続けた結果であろう……眉間に刻まれた皴。

 

 

 記憶に残るものとはまるで違うが、間違いなく──僕の顔だ。

 ついでに言うなら、少しばかり高くなってひそかに喜んでいた背も、元の体格に戻されている。

 

 何もかもが、逃げ出したくなるほど嫌いな……現実の僕のものだった。

 

 

「……マジでさぁ、なんなんだよ…」

 

 

 様々な感情がないまぜになって、鏡の中の顔が歪んでいく。

 5年ぶりに見た自身の顔の、なんと醜悪なことか。

 顔全体で世界に不満を吐き出しているような不快な目つきだった。

 

 なぜ、こんなことを。

 どうして、僕が。

 

 答えなど返ってこないであろうと諦め気味に浮かんだその問いに、意外というべきか、ここまでが想定通りなのか、空中の茅場を名乗る赤ローブが答える。

 

 

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は──SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?』

 

『これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と』

 

 

 不思議と、彼の言葉には熱があった。

 先ほどのまでの事務的で、冷淡な……この空に浮かぶ鋼鉄の城の主に相応しい、鉄のような男の言葉に、だ。

 あるいは、彼はこの思いこそを伝えたかったのかもしれない。

 

 

 

『私の目的は、そのどちらでもない』

 

 

 理解しようとした。

 しかし無駄だった。

 

 

『それどころか、今の私は、一切の目的も、理由も持たない』

 

 

 納得したかった。

 しかし無理だった。

 

 

『なぜなら……この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ』

 

 

 僕は恐怖した。

 この男を理解できないという、そんな何の役にも立たない事実のみを、理解したが故に。

 

 

『この世界を創り出し、干渉するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』

 

 

 人はいつだって、無理解こそを恐れるのだ。

 だからこそ記号に当て嵌めたがる。

 見えざる手、または奇跡。

 悪魔……あるいは、神。

 

 なるほど確かにあの男は、この世界において間違いなく神なのだろう。

 理解を超えた先から高らかに宣言するコレを、他にどう呼称したものか。

 

 そうして僕たちは──この場に集められた約1万人の、仮想現実の囚人たちは。

 言葉もなく、頭上の狂人の言葉を、粛々と受け入れるほかなかった。

 

 

『……以上で《ソードアート・オンライン》の正式サービスのチュートリアルを終了する』

 

『プレイヤー諸君の──健闘を祈る』

 

 

 いっそ清々しいほどこちらに利のない、チュートリアルという名の死刑宣告だけを残し。

 赤いローブの悪霊は、満足気に宙へと消えていった。

 静寂が場を満たした。

 何事もなかったかのように、何もかもが変わってしまった。

 そんな中、僕の中にはキリトが語った、茅場晶彦のものらしいあるフレーズが思い浮かんだ。

 

 

 

 

これは、ゲームであっても遊びではない

 

 

 

 

 真剣に遊べという、開発者の拘りではなく。

 

 ただただ理不尽なこの世界で生き足掻けという、警句。

 

 そんな事実が、集められたプレイヤーを満たしていき……遂に、零れ出す。

 

 

「嘘だろ……なんだよこれ、嘘だろ!」

「ふざけるなよ!出せ!ここから出せよ!」

「こんなの困る!この後約束があるのよ!」

「嫌あぁぁぁ!帰して!帰してよおおお!」

 

 

 理解しきれず取り乱す者。

 怒りのままに叫び散らす者。

 誰にともなく当たり散らす者。

 ただただ、泣き叫ぶ者。

 

 うわ言、怒声、絶叫、悲鳴。

 無駄によく聞こえる耳から周囲の負の感情が大量に流れ込んでくる。

 ひとりでに拳を握り締め、僅かに震えるその口が、ゆっくりと言葉を吐き出す。

 

 

「ふざけんな……ゲームって遊びだろ。楽しむ物だろ」

 

 

 VRですらなかった、あの液晶越しの冒険を忘れられない。

 一人のゲーマーとしての怒りだった。

 

 

「現実から遠ざかって、自由に生きるためのものだろ……!」

 

 

 蔑みや嘲笑、求めてもいない同情から逃げ続けた日々が足に絡みつく。

 一人の弱い少年の嘆きだった。

 

 

「負けてやるもんか……!!」

 

 

 腹の底から出た本音だった。

 安くて軽い、僕のプライド。それが絞り出す、魂の叫びだった。

 

 駆け出す。

 逃げるためではなく、戦うために。

 この世界に、あの神を気取った狂人に、勝つために。

 

 どうしようもなく弱くて惨めな、僕自身に。負けないために。

 

 どこか強迫観念にも似た感情に突き動かされるまま、僕はその場から走り去った。

 

 

 

 

 

 

「──面白そうな子、みーつけた♪」

 

 

 

 

 

 

 その背を眺める、誰かの視線に気づくことなく。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……クソッ!」

 

 

 《はじまりの街》を走る中、我慢できずにそう零す。

 キリトは言っていた。MMOとはリソースの奪い合いである、と。つまり行動が遅れれば遅れるだけ、この理不尽な世界で生き残るための糧となる物が減る。それは経験値であり、またゲーム内通貨やアイテムの類いだ。

 恐らくβテスターたちも同じ考えだろう。だからこうして広場を離れて行動していればキリト達に合流できるのではないか、と賭けてみたのだが。顔が変わっても行動で判別できるというのは見込みが甘すぎたか、それらしい人物とは出会えなかった。

 

 念のためフレンドメッセージで連絡してみたが、どちらからも反応がない。

 フレンドリスト上ではどちらもログイン状態を示す白字で名前が表記されていたので、ひとまず死んではいないらしい。クラインの撥ねられっぷりが懸念点だったがアイツもなかなか運がいい。

 しかしこうして二人を探している猶予はあまりないのだろうと、多少冷えてきた頭では感じていた。

 

 メニュー画面でまた1分、時間が経っていくのが確認された。

 

 

「……やるしか、ないかぁ」

 

 

 無策もいいところだ。無謀としか言いようがない。

 でもこうしている間にも日が落ちつつある。決断しなければならない。

 焦燥感に追い立てられるように自身に言い聞かせ、再び駆け出す。

 二人との合流は諦める。僕は僕で、この世界に抗う。

 

 βテスターのキリトと違いこちらには情報も経験もないが、最低限のRPGの知識はあった。今は昔やった液晶画面越しの冒険の記憶だけが頼りだ。

 

 

「まずは無駄なアイテム売って金に……あとは、武器の整備!」

 

 

 そうして最低限度の冷静さを取り戻した僕は、先ほど聞いたありがたいアドバイスを思い出すに至った。

 折れるかも、と言っていたことだし、このゲームは武器を喪失するリスクがあるということなのだろう。近くのNPCの鍛冶屋に武器を直させる傍ら、隣のアイテムショップで不用品を売り払う。……何かの役に立つかもしれない、と手鏡を残して。

 

 ある程度まとまった金額を確保できたので、そのまま予備の《アイアンシミター》を一振り購入する。

 回復アイテムらしいポーションも買えはしたが、どうやら飲み切れば回復するのではなく飲んだ後じわじわと時間をかけて回復するタイプらしい。一人で行動する以上、即時回復でもないならそもそも回復が必要になった時点で死ぬしかないだろう。もうここまでくると腹も決まってくるので、次の拠点で何かしらに役立てる、と割り切って購入は控えた。

 

 

「一通りの準備はできた、ハズ。あとは移動……」

 

 

 漠然と行動を決めた僕だったが、ここにきてまた行き詰まった。道が分からないのである。

 迷子とか方向音痴とか、そういうあれではないのだが。なまじゲーム側から「○○に行け」だの「✕✕をしろ」などの指示があるのが当たり前という認識だったこともあり、次の目的地が分からなかった。ゆとり世代の弊害と言う奴なのだろうか。

 

 SAOにそんなものはない。チュートリアルは何も役立つことを教えてくれないし、ゲーム性は初心者殺しの設定まみれ。作り込みこそ最新ゲームに相応しいが、それに反比例するくらいにユーザーに不親切な古き悪しきRPGの特徴を感じる。控えめに言ってクソだ。

 どうしたものかと、また覚悟を不意にするのかと、頭を抱えて空を見上げ……強烈なひらめきを得た。

 具体的には、二層の底部に繋がるあるものを見て。

 

 

「そうだ迷宮!あれの近くなら絶対拠点あるだろ」

 

 

 我ながら冴えている。古き悪しきRPGがどうだのと内心吠えていたが、その古いRPGですら守られてきたお約束のようなものがある。危険なモンスターがいるマップ付近には、必ず冒険の準備をするための街などがある、という奴だ。

 つまりはあの塔のようなものを目指せば、その近くにあるはずの拠点に行きつけるかもしれない。

 希望的観測に過ぎないが、一応街の周りにも倒せなさそうな敵は配置されてなかった。最低限、茅場にもゲームの体裁を守る気はあるはずだ。というか、そうでないと詰む。

 

 こうして目的地も定めた僕はその足で東門へ向かった。

 というのもキリト達とイノシシ狩りに精を出した西門方面なのだが、プレイヤーらしき影がちらほらと向かっているのが見えた。経験値の奪い合いなど諍いのもとにしかならなさそうなので、可能な限り人を避けて進みたい。

 結果、微塵も土地勘が作用しない東方面から新規開拓を余儀なくされていた。

 

 辿り着いた東門から外へ出たところ、視界の先には草原に刻まれた細い遊歩道と、その端が続く巨大な森が立ちはだかっていた。ちょっとしたビル程度の高さのある木が所狭しと生えるそれは、落ち始めた日の光を遮って暗闇を創り出している。

 そして塔を目指すには、この森を超えていく必要があった。

 

 

「…………何も、居ませんように」

 

 

 まず叶わない願いだろうが、そう呟かずにはいられなかった。人並みに暗いところは怖いのである。

 

 

 

 

 

 幸いというべきか森の中も通路は最低限整えられており、道の端を通らなければ木の根に躓くこともなさそうだ。何より、この暗がりに何か居ないとも限らない。端は避けるのが無難だろう。

 頭上から差し込んでいた茜色は薄れ、いよいよ夜の暗がりが近づいてきた。

 夜のとばりに捕まる前に、果たしてここを超えられるだろうか?首を振ってそんな感情から目を逸らし、森の中をひた走る。

 

 

 

 

「ハァ、ハァ……!」

 

 

 

 

 どれだけ走っただろうか。1分?それとも10分か。

 どれだけ進んだだろうか。100m?それとも1kmくらいか。

 延々と続く木々の壁と遠ざかっていく日の光。それが僕の精神を(やすり)にかけるように摩耗させていく。

 

 やはり踏みとどまるべきだったのでは。考えるな。

 キリトとクラインを置いて逃げ出した結果がこれか。うるさい。

 身の程を弁えないから、また痛い目見てるんじゃないのか。黙れ。

 

 僕の浅慮を否定する声が聞こえてくる。他ならぬ、僕の声で。

 あれだけ覚悟を決めたつもりでも、心は偽り切れないものだ。早くも決意が揺らぎそうになる。

 

 しかし、不意に。暗がりばかりが続いていた前方が、僅かに月明かりの白みを帯びているのが見えた。

 

 

「……ッ!光……出口か…!」

 

 

 僅かばかりの希望が見えた。日の光に比べれば弱いが、月明かりでも照らしてくれるならまだ走れる。そんな気さえしてくる。

 

 

「ハァ!ハァ!……あと、少し!」

 

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

 

 

 あそこにたどり着いたら一息入れよう、そう決めて走り……いや何かおかしい。

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

 

 

 僕の息、ここまで荒れていただろうか。

 というか。

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

 

 

 

 

 息の数、多くない?

 

 

 思考が急に冷え切っていくのを感じつつ、光の中に飛び込む。

 そこは森の終わりではなかった。

 少しばかり木々が開け、光が差し込みやすくなっただけの──ただそれだけの場所。

 そして僕がそこに飛び込んだ直後、何かが時を同じくして、木々の暗がりから姿を現す。

 

 

「グルァァァウ!!」

 

「ッ、モンスターか!」

 

 

 空き地に踏み込んだその足でこちらに襲いかかって来たもの。

 とっさにそれを突き飛ばしながら避け、空き地の中央付近に飛び退いて姿を確認する。

 

 その正体は狼だった。

 

 フレンジーボアと同じような青い毛並み。

 血走った赤い目。

 そして口から覗く乱杭歯。

 

 表示されたカーソルの色は赤。間違いなく敵性モンスターだ。

 

 

「《ダイアウルフ》……で、読み方合ってるのかな。コイツの名前」

 

 

「グルルルル……」

 

 

 油断なくこちらを睨みつけてくる青毛の狼。それがざっと5匹。こちらを空き地の中央に追いやって取り囲むように立ち塞がっていた。視界前方に3頭、死角を取るように後方に2頭。

 しかも内一体、体格が大きいのが混ざっていると思って見れば、lv2の個体が混じっていた。こちらよりレベルが高いからか、カーソルの赤みもどこかドス黒い感じの濃さだ。どうやらカーソルの色味で危険度を測れるらしい。思わず舌打ちが出る。

 

 初撃で何となく察したがコイツら、フレンジーボアよりも格段に危険だ。

 イヌ科だけあってか噛み付きが主な攻撃なのだろうが、動きがフレンジーボアよりも軽やかで立体的。加えて群れでの連携を仕掛けようとしてきた。おつむも上等な作りをしていると見える。

 控えめに言って大ピンチである。過去イチ命の危険を感じている。

 

 

「…………逃がしてくれたり、とかは……?」

 

「グルルルル…!」

「ヴォッフ、ヴォウ!」

「ヴォウ!ヴォウ!!」

 

 

 こちらの弱気を見抜いてか、それを合図に視界先の3頭が襲い掛かってくる。

 

 ですよねクソが!!

 

 内心で吐き捨てながら《アイアンシミター》を引き抜いて迎撃の構えを取る。

 HPは351/351の最大状態。つまりどれだけ守りが雑でも、1頭辺り70まではダメージを許容できる。その被害の範囲内で殺しきらねばこちらが死ぬ。……こんなことなら盾でも買って持っておくべきだったか、という後悔が湧いたが、後の祭りだ。

 

 

(ソードスキル使ったら隙を狙われる!地道に殺るしかない)

 

 

 飛び掛かってくるダイアウルフたち。その内1頭に狙いをつけ、相手の突進に合わせて曲刀を突き出す。

 ぞぶり、と肉に刃が沈み込む不快な感触が伝わるが、そのまま切っ先をねじ込んでいく。

 後続の2頭がその光景に僅かに怯むのを感じ、貫いた狼をそのまま地面に押し倒して飛び掛かる。

 

 

「ガッフ、バウ!」

 

「まず、一つ!!」

 

 

 貫かれてなおこちらに噛み付こうとしてくる顎を避けつつ、押し倒して固定した身体から、刀身を力の限り捻って傷口を抉り裂いた。

 血のように赤く彩られた液体状のダメージエフェクトが迸り、ダイアウルフのHPがみるみる減っていく。

 あっけなくゼロになったHPゲージ。直後、跨ったダイアウルフの身体が不自然に硬直し、青白いポリゴン片となって爆ぜる。

 

 

「あと4、うおっ!?」

 

「グルァァァ!!」

「ヴォン!!」

 

 

 1頭始末した余韻に浸る間もなく、死角を狙っていた2頭が左右同時に襲い掛かって来た。今の一瞬で時間差ではなく同時攻撃を選ぶようになった辺り、頭に来るほど賢い。

 右手側の1頭を曲刀で殴りつけて牽制し、対処できない左は……腹をくくるしかなさそうだ。

 防具すらつけていないが、左腕を突き出して盾代わりにする。勢いよく飛び掛かってきたダイアウルフの牙が、服の袖を食い破って突き刺さってくる。

 

 噛まれた、という認識に対して思ったほどの痛みはない。筋肉痛……いや、ちょっとした痺れとか、その程度。たしかナーヴギアの機能で体感するダメージを大幅に軽減しているのだったか、と頭の冷静な部分が判断する。

 

 しかし僕が冷静なのかと言えば、まったくそんなことはない。

 現に僕の感情は、左端に向けて消えていくHPゲージを見て恐怖に振り切れていた。

 

 

「──ッ、離せぇッ!!」

 

 

 疲れ切った身体から出たとは思えない大声。いや、絶叫か。

 僕の右手はその衝動に突き動かされるまま、今なお左腕に食らいついているダイアウルフの腹目掛けて、何度も何度も、それこそ無我夢中で《アイアンシミター》を突き立てていた。しかし焦りからか、切っ先が思うように刺さらない。毛皮を浅く裂くか、見当違いの位置に引っかかるばかりだ。

 視界の端で、先ほど躱した2頭と、曲刀で殴りつけた1頭が立ち上がるのが見えて。いよいよ僕の冷静さは取り繕えない域に達していく。

 左腕に力を込めた。

 

 

「こ、の!!」

 

「キャイン!?」

 

 

 存外しぶとかった1頭を左腕ごと地面に叩きつける。流石に全身に衝撃が通れば驚くようで、たまらずとばかりに口を離して転がった。

 すかさず倒れたダイアウルフの首に斬撃を叩き込み、こちらを散々噛んでくれた頭を切り落としてとどめを刺す。結果として短時間で2頭を始末できたわけだが、失った冷静さがそれに見合ってるようには感じられなかった。

 先ほど嚙まれた左腕が鈍い不快感を発し続けている。それが徐々に、こちらに現実を突きつける。

 

 HP残量、236。1頭辺りで計算すれば上々の結果だが、まともに受けたたった一度の攻撃で1/3近く持っていかれた。

 

 これがSAOの戦闘。

 

 命を懸けた、殺し合い。

 

 

「グルル、ウオオォォォォォンッ!!」

「ガッフ、ワウ!」

「ガウ!!」

 

「……上等だ犬畜生共、人間サマ舐めてんじゃねぇぞ…!」

 

 

 もはや四の五の言ってられない。速攻でケリをつける。特に、lv2の奴は攻撃を食らえない可能性すら出てきた。多少危ない橋を渡っても、ソードスキルで削り切らねば勝ちの目が無い。

 左手にあるものを実体化させながら、駆け出す。狙うはボスであろう大型の1頭。

 相手側もわかっているようで、取り巻き2頭が先行する。

 限界まで引きつけて避ければ、視界の隅で親玉が飛び掛かろうとしてくるのが見える。

 

 そこに合わせ、左手を振りかぶる。

 

 

「ほーら取ってこい犬っころぉ!!」

 

 

 投げた物は、なんとなく残していた手鏡。

 月光を反射させながら投擲されたそれが、今まさに飛び掛からんと力をためていたダイアウルフの鼻先に直撃する。

 

 

「キャン!?」

 

「これで!!」

 

 

 勝った。少なくとも親玉は始末できる。

 そのはずだった。

 

 曲刀を振りかぶり、《リーバー》を放とうとした。

 ドン、と。後ろから何かがぶつかるような感覚がする。

 肩越しに確認すると、先ほど振り切った取り巻きの内の1頭が、僕の背中に身体ごとぶつかってきていた。

 

 そして肝心のソードスキルは、崩れた体勢から放たれ……親玉の右目を浅く切り潰し、地面に向けて勢いよく振り抜かれた。

 

 

「ッ、ヤバ──」

 

 

 目が合った。いや、こちらがたった今切り裂いた結果無くなった、ダイアウルフの右目があった場所が、か。

 ともかくそれが、こちらにまっすぐ向けられている。

 

 

 

 

「グルァァァァァァァッ!!」

 

 

 

 

 ソードスキルの硬直で動けない僕の右腕に、親玉が全身で跳びかかり、噛み付く。

 

 先ほど取り巻きの1頭に噛まれて無事だったはずの僕の腕は。

 

 そのままあっけなく……ブツリ、と鈍い音を立てながら食い千切られた。

 

 

 

 

「────ッ」

 

 

 

 

 こちらも痛みらしい痛みはなかったのだが。自身の身体が明確に欠け落ちる光景と、ゴリっと、今までの比じゃない勢いで減ったHPが僕から体温を奪い去っていった。

 なけなしの戦意が親玉を蹴り飛ばして距離を取らせたが、それにどれだけの意味があることか。

 その上握っていた曲刀も腕もろとも持っていかれて反撃の手段がない。

 

 

「ウオオォォォォォン!」

「ガウ!」

「ヴォッフ!」

 

 

 親玉がとどめを刺せとばかりに遠吠えを上げ、2頭がそれを受けと襲い掛かってくる。

 HP残量、92。どう足掻いても勝てない状況に陥っていた。

 

 

(ここまでか……死ぬときはあっけないんだな)

 

 

 せめて目を逸らさないで終わろう。このクソみたいな現実に、できるだけ抗ってやる。

 

 ただの意地だったが、だからこそ、自分の臆病さにだけは負けずに終わりたい。そんな安い反骨心が決めた行動だった。

 狼たちの吐息が、牙が、爪が。僕を殺すために迫ってくる。

 

 やってみろ。ただで食われてはやらないからな。

 

 眼前まで距離が詰まった狼たちに、こちらも噛み付いてやろうかなどと考えていた、その時。

 

 

 

 

「伏せて!」

 

 

 

 

 誰かの声がした気がした。

 

 反射的に、土下座する勢いで地に這いつくばる。

 直後、頭上を鈍い風切り音を立てて何かが通り抜けていく。

 

 

「ギャウ!?」

「ガウ!?」

 

 

 そこに取り巻きのダイアウルフ2頭がおり、一瞬の間を開け、ポリゴン片となって砕け散る。

 頭上に散った青白い光と破裂音にしばし呆然とする。

 

 

「……一体、なにが」

 

 

「よかったぁ、間に合って。危なかったね♪」

 

 

 間の抜けた問いをしたこちらに、何者かが答える。顔を向けると、先ほど聞こえた声の主がそこに居た。

 

 北欧系なのか、緩くウェーブのかかった白みの強い髪。

 

 月明かりに照らされてなお白い、白磁の肌。

 

 こちらをまっすぐ見つめる、優し気な紅玉色の輝きを放つ瞳。

 

 こちらと同じシャツに身を包んだ細い手足に、簡素な革製のベストを押し上げる豊かな双丘。

 

 

 そしてそんな細い手に握られるにはあまりにミスマッチな……両刃の大剣。刃渡り、推定2m。

 たった今2頭のダイアウルフを屠ったであろうそれが、月光を帯びて存在を主張していた。

 

 

 総じて何と言うべきか……一人だけ絵本の世界から抜け出てきたような、現実離れした美女が居た。

 

 

「あ、あと1頭残ってた。ちょっと待っててね~、すぐに済むから」

 

「え、ちょ、ま」

 

 

 生きてた安堵か、またコミュ障モード入ったのか。急激に低下した語彙力で少女に静止の声をかけようとしたが、それがまともな言語に変換される前に彼女は駆け出している。

 重そうな両手剣を握っているとは思えないほど軽やかな足取りだ。瞬く間に、彼女とダイアウルフの距離が消えていく。

 

 

「せやー!!」

 

 

 走り寄った勢いを乗せて上段切り一閃。明らかに僕の扱う曲刀以上の破壊力であろう斬撃だったが、手負いとなって警戒心が増しているダイアウルフは直前でひらりと躱してしまった。

 そうしてがら空きとなった少女の背目掛け、牙を剥いて飛び出す。

 

 

「♪そうくるよ、ね!」

 

 

 が、始めから織り込み済みだったらしい少女は、振り下ろした剣先を軸に、そのまま身をよじる。瞬時に剣身を隔てるように位置取りを変え、その足で剣身を蹴り上げる。

 ダンス同然の滑らかな動きで身体ごと巨剣が振り抜かれ、想定を誤ったダイアウルフの身体を剣身が跳ね上げる。こちらを押し倒したあのそこそこ大きな体が、ゴムまりのように簡単に宙に浮く光景に言葉を失った。

 

 

「ギャイン!?」

 

「──ごめんね」

 

 

 短く告げた少女の剣が青いライトエフェクトを纏う。それが落ちてきたダイアウルフの身体を二度、寸断し、HPを消し飛ばす。

 一瞬だけ悲し気な声を発していたのが気がかりだったが、敵を掃討して振り向いたとき、こちらを見る少女の顔は先ほど見た柔らかな表情に戻っている。

 

 強い。明らかに僕やクラインのような初心者ではない。キリトと同じβテスターか?

 明確な強者との対峙に背筋がこわばる。いつでも予備のシミターを取り出せるよう警戒だけしつつ相手の出方を伺う。

 

 

「……あんたは、誰だ」

 

 

 命の恩人に向けるにはあまりにも失礼な言葉が出てきて、内心で己を恥じる。今日もコミュ障フィルターは絶好調らしい。早く摘出したい。

 しかし少女はそれを気にした様子もなく、むしろやっとこちらに興味を持った、と言わんばかりに花咲く笑顔を浮かべた。

 

 

「アタシはストレア。よろしくね!」

 

 

 そう言って小首をかしげる仕草は、なんというか、非常に様になっていた。

 自身の容姿に絶対の自信でもあるのか、と皮肉を零しそうになるが、僕基準で見ても間違いなく美人に見えるし、さもありなんと言ったところか。

 

 接点のない異性が親し気に話しかけてくるシチュエーションへの耐性が皆無な僕が、あーでもないこーでもないと精神衛生の為の皮肉と恩人への無礼を咎めようとする二つの声に苦しんでいるとき。

 彼女──ストレアはそれを不思議そうに眺めながら、何やら操作をし出した。

 直後、ポン、と気の抜ける軽い音と共にシステムウィンドウが展開される。

 

 

 

 

《Strea》からパーティー申請がありました →Y/N

 

 

 

 

 ……文字は分かるのだが、何故そうする気になったのかまるで理解できない。何考えてんだこの女。

 

 いよいよ不気味だ。人とは理解できないものが怖いのだ。例えそれが絶世の美女の見た目をしていても。

 

 

「……あの、これは?」

 

「キミ、この森を抜けたいんでしょ?アタシもそのつもりだったから一緒にどうかなーって」

 

「確かにそうだけど」

 

「それに、多分だけど道分かってないでしょ。今日中に抜けるのはキツいけど、アタシならこの森の安全地帯(セーフティーエリア)に案内してあげられるよ。だから一緒に行こ♪」

 

 

 ありがたい申し出ではあるが、長年の人間不信が彼女の言葉の裏を探そうとする。

 善意をちらつかせて陰でこちらを笑うような人間は散々見てきた。慣れてはいるが、かといって気分もよくない。

 

 彼女がメリットの無いように見えるこの提案をしたわけは?

 単純な善意?

 本当にそうか?

 騙して危険地帯に置き去りにされる可能性は?

 そもそも彼女は単独行動しているのか?

 誰かとグルでこちらをハメようとしているんじゃないのか?

 

 だからこそ彼女がそうなのか、そうじゃないのか判断したいのだが……いい加減夜闇が濃くなってきた。背に腹は代えられないか。

 

 妥協と打算たっぷりの検討の結果、ひとまず彼女の提案を受けることにする。最悪、今日を乗り切った後でパーティー登録を解除して逃げてもいいし、選択肢の多い方を選んだ。

 

 

「!これがキミの名前か~。えっと、読み方はホルン?それともホーン?」

 

「……前者の方で」

 

「そっか。よろしくねホルン♪」

 

 

 そう言ってストレアは右手を差し出してきた。

 今僕右手ないんだけど。嫌味かテメェ。

 

 彼女も視線から無言の抗議を感じ取ったらしく、慌てて左手に代えてきた。なんかこっちが悪いような気がしてくる。実際悪いんだろうけど。

 というかこれ、握手して大丈夫なのだろうか。ハラスメント警告がどうこうとかゲーム開始前に出てた気がするが。

 そんな考えから不自然に空中で手が止まったが、何を思ってかストレアの方からこちらの左手を掴みに来た。……手汗大丈夫だっただろうか。少し不安だ。

 なお、ハラスメント警告表示は出なかった。

 

 

「……短い間だろうけど、よろしくストレア」

 

「別に短くなくてもいいよ?」

 

「その辺はおいおい」

 

「……ふーん?ま、いっか。じゃあ行くよホルン。今晩の宿を求めて、しゅっぱ~つ♪」

 

 

 どこまでも楽し気なストレアとは裏腹に、僕はどうしようもなく変わった現実を噛みしめながら、森の奥を目指して彼女と歩き出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 なおその後、曲刀と手鏡の回収を思い出して逆走する羽目になった模様。マジで締まらねぇな僕の仮想現実。




ホルン:やけくそソロ攻略開始。なんか顔のいい変な女に捕まった。助けてキリト()

ストレア:割と楽しんでる。愉快な遠足の始まりだー♪


カヤバーン:チュートリアルをすると言ったな。あれは嘘だ






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