人識side
「そうだ、紹介したい人がいるんだ」
詩織が寝て、リビングで三人でテレビを見ていた時に潤也が言った。
「いきなり何だ?」
「出てきて」
「うわっ!」
潤也が呼ぶと、いきなり俺の前に小学生ぐらいの少女が現れた。
いつからいたんだ?全く気づかなかった。
「おお、可愛い女の子ですね。何だか崩子ちゃんに似てますね」
そう言うと同時に現れた少女に伊織ちゃんが抱きついた。
何でいきなり現れた少女に驚かないで、抱きついてんだよ。何だかこいつが大物に見えてきた。
にしても、伊織ちゃんの言う通り崩子ちゃんに雰囲気が何か似てるな。
「自己紹介してくれるかな」
「分かりました、潤也様。私は潤也様にお仕える闇口氷菓です」
闇口だと?
殺し名序列第二位の暗殺者集団《闇口衆》が何でこんなところにいるんだ?
「え?もしかして潤也さんってロリコンなんですか?私にも氷菓ちゃん、貸してください」
「いきなり何言ってんだよ、伊織ちゃん。頭は大丈夫か?」
「失礼ですね、人識くん。こんな可愛い女の子なんですよ」
こいつは何を言ってるんだ。意味が全く分からない。本当に頭は大丈夫か?
「まぁ、伊織ちゃんは放っておくか。ところで何で闇口がいるんだ?」
「何か良く分からないけど、少し前から俺のことを主人だとか言ってついてくるんだよ」
「良く分からないことはありません。潤也様は私を見付けた人なんですから」
「見付けた?どういう意味だ?」
「貴方は零崎……プロのプレイヤーですよね?だったら闇口濡衣を知っているでしょう?私はあの人に憧れているんです」
闇口濡衣。確か主以外に姿を見せたことがないのが特徴で『隠身の濡衣』の異名を持つプレイヤー。最も闇口らしい闇口。
そういや、十三階段や大厄島の時に縁があったが結局、関わることはなかったな。
「私はあの人みたいになりたくて隠密の練習をして、並のプレイヤーなら集中しても気付けないほどに成長しました」
まぁ、俺も話しかけられるまで気付かなかったからな。ムカつく話ではあるが。
「でも潤也様は一般人でありながら、私の存在に気付いたんです」
「なるほど。それで潤也を主を認めたということか。だが、闇口がいるなら何で俺達を……というか人類最強を雇ったんだ?」
「恥ずかしながら私は戦闘能力がほとんどないのです」
「だから氷菓には情報収集を担当にやってもらっているんだ」
なるほど、そういうことか。
にしても、闇口までいるとはな。今までに聞いた話から考えても大事になりそうだな。下手したら、また戦争かもな。
「後、一つ報告があります」
「何?」
「宿木姉弟のことです」
蝉side
「愚弟が既に名乗っているようだから私も名乗るとしよう。私は宿木水仙。宿木の当主をしている」
厄介だな。弟は俺と同等かそれ以上。そしてこいつはその弟よりもどう見ても強い。どうする?逃げ切れるか。
「ほう。私の登場を見て即座に逃げる決心をするとは。良い状況判断だ。だが、逃げ切れると思うなよ」
「ちっ!」
俺は水仙に向かってナイフを投げる。
「ふん」
水仙が投げたナイフを掴む。
ん?掴んだ手の皮が剥けて金属のようか物が見えた。
「その手、もしかして義手か?」
「その通りだ。これは罪口商会に頼んで作ったもらった自慢の一品だ」
「罪口商会だと?」
聞いたことねぇーな。何だ、それは?
「ん?何だ、もしかして罪口商会を知らないのか?見たところフリーの殺し屋のようだが情報は重要な武器だぞ」
「うるせぇ」
「人が親切で言ってやってるのに失礼なヤツだな。まぁ、今からお前は死ぬからどうでもいいか。やれ、桔梗」
「了解、姉貴」
そう言うと、桔梗が俺に銃剣を向けてきた。
ちっ!万事休すか。
「ヒュルルルドーン!」
「ぐわっ!」
いきなり何かが上から降ってきて桔梗がその下敷きになった。
「よぉ、お兄さん。助けにきたぜ。感動したか?」
落下してきた物体は人間のようだ。
両腕を封印した、丈の短い拘束衣を着た変な女だ。
「誰だ、てめぇ?」
「僕?どっからどう見ても天使じゃん!見えねぇかい、僕の背中に羽とかさあ!ぎゃははははは!殺戮天使みたいな!皆、皆殺しだぜ!ぎゃははははは!」
「……」
「匂宮出夢!皆のアイドル、出夢くんでぇーす!殺戮奇術集団匂宮雑技団の元エース!知らねぇーかい!結構、有名人だと思ってたのに。ショック受けたぜぇ!ぎゃははははは!」
何だ、こいつは?俺はどうしたからいいんだ?
「匂宮出夢!?何でこんなところに本家が来てるんだ!?」
「ん?お姉さん、前に会ったことあるよな!久しぶりだな!僕のこと覚えていたのかい!嬉しいねぇ!後でチューしてやろうか!ぎゃははははは!ただ、一つ訂正しておくと僕はもう匂宮じゃあねーぜ!僕は死んだことになっていて既に隠居の身だからな!ぎゃははははは!」
「……」
本当に何なんだ?こいつの異常なテンションの高さは。
……よし。今のうちに逃げよう。変態に関わりたくない。
「あれぇ?お兄さん、何処に行こうとしているんだぁ!せっかく、可愛い可愛い僕が助けにきてやったのに!」
「……お前は俺の味方なのか?」
「そうだぜぇ!あの比与子とかいうお姉さんに頼まれてお兄さんを助けにきたんだよ!」
あの女、何でこんな扱いづらそうなヤツを雇ってんだよ。手当たり次第か。
「殺戮は一日一時間だから、さっさとあいつらをぶっ殺そうか!さて、僕の復帰記念にここは愛しの人識のセリフを借りてみようか!」
そこで出夢とやらは一息あけて言った。
「殺して解して並べて揃えて、晒してやんよ!」
実は前回、蝉が勝つ予定だったのに、何故かあんなことになってしまって、どうしようか迷って投稿が遅くなりました。
でも、その結果、出夢くんが出てくることになって逆に上手くいった感じになりました。
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