零崎人識の人間解体   作:二重世界

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第4話 呪い名

人識side

 

「宿木姉弟の弟が――」

 

バアッンッ!ガタガタッ!

 

玄関の扉を無理矢理開けた音がしたかと思うと続いて大量の人間が入ってくる足音がした。

 

「いきなり何だ?」

 

「もうあの女だけに任せておくのも限界だ。恨みは自分の手で晴らす」

入ってきた人間の中のリーダーらしき人物が言ってきた。潤也が最初に言っていた潰した組織の残党か?

後には家中を物色するために走り回っている連中がいた。

 

「分かっているが確認しておこうか。君達は何者だ?」

 

「貴様に潰された『令嬢(フロイライン)』の者だ。貴様のせいで我々は宿無しのニートになってしまったんだ!」

だったら仕事探せよ。

 

「だったら真面目にハローワークでも行って仕事を探せばいいじゃないか?」

 

「うるせぇ!裏の仕事をしてたんだぞ!履歴書の職歴に何て書けばいいんだよ!」

そんなの適当に誤魔化せばいいだろ。何でそんなところで真面目なんだよ。

 

「あの人達、何を言ってるんですか?」

 

「知るか。おい、潤也。あいつら、殺していいか?」

 

「部屋が血塗れになると掃除をするのが大変だから素手でやってくれ。あいつらは素人だし問題はないだろ」

この状況で心配するのが掃除のことかよ。こいつは本当に大物だな。

 

「リーダー、見付けました」

奴等の仲間が詩織を縛って引っ張ってきた。

 

「そうか、良くやった。さぁ、どうする?これでも俺達を殺せるか?」

 

「どうするんですか、潤也さん」

 

「言っただろ?別の奴に守らせていると」

どういう意味だ?

 

「何をごちゃごちゃ言ってやがる!お前らが抵抗せずに殺されれば、この女だけは生かしておいてやる」

 

「……いつまで寝ているんだ?」

 

「別に寝てねぇよ。どのタイミングでやれば、こいつらが一番驚くか考えていたんだよ」

いきなり詩織?が起きて縛っていた縄をといて引っ張ってきた奴を投げ飛ばした。

 

「え?詩織さん…… ですか?」

 

「違う違う。俺は詩織ちゃんじゃねぇよ、お姉さん。俺の名前は時宮時局って言うんだ」

詩織の姿がチャラい今時の若者の格好をした男に変わった。

 

「え、あれ……?詩織さんが男の人に……。どういうことですか?」

 

「……操想術」

 

「正解だ。まぁ、俺はあの陰気な連中と一緒にいるのが嫌で時宮病院を辞めているがな」

もう訳が分からん。闇口に続いて時宮だと。

 

「何だ、何がおきているんだ!?」

 

「君達は何も理解しなくていいよ。これから死ぬんだから」

 

「じゃあ、久し振りに殺して解して並べて揃えて、晒してやんよ」

 

「零崎を開始します」

 

 

 

三十分後、敵を全員気絶させて縛って戦闘は終了した。一応、誰一人殺していない。

 

「で、こいつらはどうするんだ?」

 

「そうだね。二、三人だけは残しておこうか。交渉の材料になるかもしれない。他の連中は良い取引先がいるから、そこに全員売ろうか」

自分の命を狙ってきた奴等の事後処理まですでに考えているとは。こいつは明らかに壊れている。いや、終わっていると言った方が正しいな。欠陥製品の奴と良い勝負だ。いや、悪い勝負か。

 

「ところで何で呪い名の奴がいるんだよ?」

 

「友達の頼みだからな」

 

「友達?」

 

「ああ、ゲーセンでたまたま会ってね。それ以来、仲良くしているよ」

ゲーセンって……。俺の中の呪い名のイメージと全然違うんだが。

潤也って欠陥製品並みの変人を呼び寄せる体質なのかもな。

 

「にしても時局さん、強かったですね。呪い名の人って生身の戦闘は弱いんだと思ってました」

そういや、こいつも大立ち回りをしていたな。何か格闘技をしているような動きだったな。

 

「ああ、俺は柔道と空手をやっている。一般人より少し強いぐらいでプロと戦えるレベルじゃないがな」

戦える呪い名とか反則だろ。

 

「……潤也。もしかして他にもいるのか?」

 

「金で雇っているプロはいるが仲間と呼べるのは、ここにいるメンバーだけだ」

 

 

 

蝉side

 

「ちっ!逃げられたか」

気絶している弟を見捨てて即逃げるとはな。それだけ、この匂宮出夢が厄介だということか。

ちなみに弟は姉が逃げた瞬間に出夢が殺している。

 

「で、お兄さんはこれからどうするんだ?」

 

「依頼通りにターゲットを殺しにいくに決まってんだろ。何を当たり前のことを言ってんだ?」

 

「ぎゃははははは!無理に決まってるだろ。お兄さんの実力じゃあ、何も出来ずに死ぬだけだ」

 

「あぁん、どういう意味だ?」

まぁ、こいつの言うことも分かる。さっきの桔梗って野郎にすら手こずっていたんだ。ターゲットがさらに強い奴等を雇っていたら俺に勝ち目はねぇ。

 

「自分でも分かってるだろ?ただ何も出来ずに死ぬだけだって」

いや、さすがにそこまでは思ってねぇよ。

 

「お兄さんが見てきた世界は裏の中でも表よりの緩い世界だ。本当の裏の世界に関わろう、ってなら人間を捨てる覚悟がいるぜ。お兄さんにはそれがあるのかい?」

 

「何を言ってんのか分かんねぇが俺は仕事を確実にする。それだけだ」

 

「良いねぇ。お兄さんのことが気に入ったから特別に僕が鍛えてやってもいいぜ」

いきなり何を言ってんだ、こいつは。




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