真・女神転生 オタクくんサマナー異伝:奇妙な旅に終わりはなく 作:黒橋
それと途中一人称視点が混ざります
「なるほど、やられたな」
状況は変移する。
しかし、しかしである。
隠語により意思疎通での不意打ち、崩れかかった生徒陣営のHP回復とバフの張り直し、トドメにムダ話でのDB
「そうか……ガキを倒したタイミングでないと『ガキの役割』の話を私に振ったとしてものらない可能性を視野にいれて即座にネタばらし……」
これにより生徒陣営に状況が傾きつつあり、故にこそ心に余裕やゆとりが生まれる、
「これが『マホウトコロ』を生きる生徒達の力か」
自身より遥か格下の、それも
「なんで動じないのよ……」
「ん? ああ、別によくあることだからな」
呻くように白川が漏らした言葉を拾って応答するモニカ。
「……よくあること?」
「強者が弱者に打ち倒される、いわゆる
「いや、それでも多少は動じておいてよ! 強者なんだからさ!」
「それはできない相談だな」
「なんでよ!」
「貴公らからすれば私は強者なんだろうが……もっと強い人を何人も知っているからだよ」
慢心なんてする暇はないさ、そう嘯いた。
「開始前は手心は必要だと思っていたが……それは貴公らを侮蔑する行為になるとみた」
「
(どうしたもんかな)
皐月駆は思考する。
なればとるべき行動は2つ。
踏み込むか、守るか。
守るのであれば耐性ノックとさらに自分たちの盤面補強、さらに戦況を優位にできるかもしれない。
踏み込むのであれば相手の崩れた盤面への追撃、うまく行けばこのまま勝つことができるかもしれない。
(問題は耐性がほとんど割れていないことだ)
手元のCOMPには餓鬼と違って残りの悪魔の耐性は表示されていない、故にデータとしては記録されていない
(それでも悪魔としての耐性は割と似通ったものは存在している)
(例えばローレライ、知っている耐性としては確か衝撃に耐性があるけど火炎か電撃が弱点だったはず*1)
なのでそのどっちかを攻めるのはありと言えばありだろう。
(たださっき倒した
(そうなるとドッペルゲンガーかモニカさんになる……んだけどなぁ……)
最前線にいるサマナーが弱点持ちの装備を身に着けてそのままにしているとは考え辛い。ならドッペルゲンガーの弱点を突けばいい、となるのだが……
(俺が知ってるドッペルゲンガー、記憶違いでなければ【外道】だと【魔法全般に弱い】*3で【怪異】なら【銃撃に弱い】*4になるからあの
情報が足りな過ぎるのに
ならば自分たちの選択肢は、
(このターンは情報収集と守りを固めよう、攻め込むには危険すぎる)
守ることを選んだ。
「防御とノックを重ねるぞ! 和久はドッペルゲンガーに頼む!」 【デカジャの石】
「任せな!」
モニカ達の
「そらよっと!」【火龍拳】
炎を纏った拳が突き刺さる、果たしてその結果は
「い、たぃ……」【HIT!】
「駆ゥ! 普通に通るぞ!?」
「くっそ最悪のパターンか! やっぱり楽させてくれないよなぁ!」
思わず頭を押さえたくなる衝動を覚える駆、これが何かしらの耐性ありならそこを埋めているという推察もできたものの【耐性無し】であれば自主的に付与する手段は存在しない*5のであのドッペルゲンガーは自身が知らない存在であることが確定した。
「仕方ない切り替えよう! ミリト! バフとデバフを頼む!」
「わかった! 二人ともお願い!」
| 【スク・カジャ珠】*6 | 3行動の間、味方全体の命中・回避率を上昇させる |
『老骨には堪えるのぉ……』
『引退はまだ先ですよ』
ミリトとその仲魔達はさらに盤面を固める。
「ねぇ駆、私さっきからこれしかやってないけど良いの?」【PASS】
「むしろいなかったら全滅してるからめっちゃ仕事してるよ!」
白川のボヤキを
| 【フォトンエッジ】*7 | 敵1体に万能属性の大ダメージ 光の如き一閃、万物を斬り伏せる |
万能属性の斬撃、本来なら相手を大きく削り飛ばす一閃。
「万能属性の剣技か、良い
「やはりカラミティスーツか!」
「ご明察、良い防具だよコレは」
しかし渾身の一閃はあまり効いた様子がなくそれを見た駆は、
(最前線にいるサマナーだし着ててもおかしくはない……それにカラミティスーツなら
想定内で尚且つ自分の考えた中で最良の情報を手にした。
こうして生徒達の整えた盤面に、
「では、こちらの番だ」
(しかし、だ)
(さっきの【ムダ話】によって
相手を注視しつつも駆は思考を止めない。
(それにある程度の役割はもう割れている)
(倒したガキはデバフ&デコイ、ドッペルゲンガーはサポート、ローレライは魔法アタッカー)
(モニカさんは物理アタッカー……というより動き的に銃も使えるサマナー、ってところか?)
(そして行動順から考えて仲魔を召喚しようと思ったら攻撃かサポート、どっちかを捨てなきゃいけない)
いくらレベルで負けていようとも数的有利が
(何をしてくるのかはわからないけどここさえ乗り切れば―――)
「ドッペル、【呼び戻せ】」
「はぁい……♪」
駆の内心なぞ知らんとばかりにモニカの呼びかけに動き出すドッペルゲンガー。
―――それは舞であった。
ステップを踏み、手を大きく広げ、聞きなれない唄を口ずさむ、誰かに捧げる舞。
「【セクシーダンス】*8か? いやでもこれは……」
生徒達の困惑なぞ気にかけた様子もなく何処か楽しそうに踊りを続けるドッペルゲンガー。
唐突に始まった唄と踊りがこれまた唐突に終わろうとしたその時、
「来てぇ……!」
その悪魔は召喚された。
血色の悪い身体は全体的に針のように細く、腹だけが妙に膨らんでおり、出来の悪いキュウリのような細長い顔。
そしてその悪魔を生徒達は知っている。
「2体目の餓鬼だと!?」
「
和久と白川の叫びが響く。
「違う」
「嘘……」
呻くような呟きが駆とミリトの口から漏れる。
「【招来の舞踏】だと……!?」
「アレってレベル70以上の女神か地母神のスキルだよね!?」
| 【招来の舞踏】*10 | 味方単体を死亡から復活させつつ召喚する 死は労働を辞める理由にならず、疾く起きよ サマナーのために働け |
「いや? デビルソースも込みで考えるとレベル40台の悪魔*11でも持ってるスキルだよ」
「そうなんだ!?」
(そんなのどっちでも良いわ! 不味い、
補足するモニカとそれに驚くミリトを尻目に駆は新しく増えた情報に頭を抱えたくなった。
【ムダ話】で行動を削ったことによりモニカの行動まで行動を回さざるを得ない状況に持っていき、攻撃もしくはサポートの手を鈍らせて盤面強度の補強を阻害、もしくはこちらの盤面強度を維持させるのが目的であった。
だが【招来の舞踏】という『死した仲魔を蘇生して呼び出す』という学校内部どころか最前線でも持ってる悪魔を見かけるかどうか怪しいスキルの存在がその前提を破壊した。
(【サバトマ】くらいなら持っててもおかしくないと思ったけど【招来の舞踏】は想定外すぎる! 最初に倒すべきはガキじゃなくてドッペルゲンガーの方かよ!)
感情に振り回されそうになる衝動を抑えるように呼吸を整える。
(落ち着け、落ち着け皐月駆)
(こう考えよう、『一手を中身が分かってる悪魔の召喚に使った』と考えよう)
(次のローレライかモニカさんの動きを抑えれれば盤面有利は維持できるし押し切れる)
そう決意を露わにして次の行動に注視した。
何があっても目を逸らさず対処して見せる、そんな思惑の中モニカ達の行動は、
「ローレライ、【乱せ】」
「あー…………うん、わかったわ」
モニカの指示に何処か曖昧そうな表情になるローレライ、そして自身の服に手をかけると、
「えっ?」
思わずといったふうに生徒達の誰かの口から息が漏れた。
ひらひらと宙に浮かぶ布の向こう、その先にあるものが目に入って、
「ッ!? 皆! 眼を―――」
「戦場で眼を逸らす余裕があるとでも?」
気づいた誰かの叫びをモニカの呟きが冷たく打ち消すのと布の向こうにあったソレが蠢いて、
| 【ファイナルヌード】*12 | 敵全体に確率で魅了状態にする 付着率70% 男も女も虜にする魔性の裸体 |
生徒達に暴力的な
side 藤田ミリト
『本日は前に質問があった内容、【状態異常、特に精神系は完全に防ぐべきなのか?】について解説してこうと思う』
思い出したのはバルツァー先生の授業。
あの頃は状態異常に関する授業内容がかなりたくさんあったので覚えるのに必死で授業ノートを取ってたような気がする。
読み返したか、と聞かれるとちょっと困ってしまうのだけれども。
『しかし【精神系の状態異常】と一口で言ったところで数が非常に多いので一つ一つ解説すると時間がいくらあっても足りん』
『故に今回は【魅了】の状態異常を軸に語っていくこととする』
そう言ってバルツァー先生の授業は始まった、魅了を使う悪魔の傾向とレベル帯、魅了が付与されるスキルのアレコレ、魅了がトリガーとなるスキル等……
進んでいく授業の中で誰かが手を挙げた。
『む、どうした梅野』
『先生、結局なんで魅了って掛かると拙いんですか? 行動ができなくなるだけで【混乱】と大差ない状態異常ですよね?』
『―――ほう、「【混乱】と大差が無い」ときたか』
『違うんですか?』
『違うとも。そうだな、俺だけがしゃべっていても退屈だろう貴様らに問題だ』
『【魅了】の状態異常、これを
静かな教室がひそひそと声が響く、どうやら周囲で相談と情報交換をしていたと思う。
確か僕は手元のノートを捲りなおしていたような気がする。
『分かったものは手を挙げるように……お、速いな。山下』
『アムリタシャワー*13です』
『正解だ、他いるか?』
手を挙げる者はいない。
恥ずかしがったとか遠慮していたとかそういう訳ではなかったと思う。
ただ単純に、わからなかったんだと思う。
『誰かいないか? ……一度挙げた手を降ろそうとするな藤田』
『すみませんバルツァー先生、ちょっと自信がなかったので……』
『構わん、内容の正誤はさておき発言しようとする意思は大事だ。それで貴様の回答は?』
『では……【メ・パトラ珠】はどうでしょうか?』
そうそう、確かノートの書き込みに「【メ・パトラ珠】、味方全体の精神状態異常の回復」という走り書きがあったのを見つけて手を挙げたのだが不安になって降ろしかけたところをバルツァー先生に止められたのだった。
僕の発言に何人かが『あー……』とか『そういやあったなそんなアイテム』とか呟いてるのが聴こえた。
『残念だが不正解だ』
もっとも悲しいことに違ったのだが。
『違うんですか?』
『ああ、確かに前授業で「【メ・パトラ珠】は味方全体の精神状態異常の回復」というのは話したが……その中に【魅了】は含まれていない』
『ほな【メパトラストーン】も違うのかぁ……』
『手を挙げて発言しろ平田、それとそっちはあってるぞ』
『えええ……どう違うんですか……?』
『名前と効能だ』
そう言いながら先生は黒板にチョークを走らせる。
| 【メ・パトラ珠】*14 | 味方全体の睡眠・封印・放心・目標を治療する |
| 【メパトラストーン】 | 味方全体の状態異常「睡眠・混乱・緊縛・魅了・魔封・めまい」を回復 |
『他に意見がある者はいないか?』
『せんせー、後何個くらいあるかだけでも教えてもらえませんかー? それとももうない感じです?』
『いいや? 俺の知り得る限りだと後3つは存在しているぞ』
『3つ!?』『嘘だろ全然思いつかないんだけど!?』『なんだ!? 前に授業で出たか!?』
ざわざわとしたことが大きくなるのを見計らってバルツァー先生が両手を打ち慣らして場を鎮めた。
『静粛に! と言っても内2つは知らなければまず出てこないので答え合わせといこうか』
そう言って背後の黒板にチョークを滑らせつつ文字を書き込んでいった。
| 【エンゼルヘアー】*16 | LAW属性の味方全員の状態異常・HPを回復する 他属性の味方にはダメージを与える |
| 【阿修羅の掌】*17 | CHAOS属性の味方全員の状態異常・HPを回復する 他属性の味方にはダメージを与える |
書かれた内容に僕含めみんな押し黙った。
『あの先生』
『どうした?』
『名前から察するにこれらのアイテムが入手できるところってもしかして』
『【メシア教】ないし【ガイア教】の息がかかったところで買えるアイテムだ』
なので知らなくても無理はない、とフォローするように呟いた。
『それと最後の1つは【ディスチャーム】*18だ』
『え? 【ディスチャーム】*19って単体の魅了を治療するアイテムだったような』
『それもあっている、だが全体の魅了を治癒するタイプの【ディスチャーム】も存在する』
『そんなもの見たことも聴いたこともないんですけど……?』
『奇遇だな、【エンゼルヘアー】【阿修羅の掌】と違って俺も存在は知っているだけで実物は拝んだことがない』
軽く咳払いをしてさらに続けるバルツァー先生。
『それと先程「混乱と大差ない」という発言があったが【混乱】には全体治癒が可能な【イワクラの水】*20が存在している』
『売店で見たことあるアイテムだ』
『授業が終わった後にでも見に行くと良い、ともかくこれでわかったと思うが』
『【魅了】の治癒、それも単体ではなく複数同時に治癒するアイテムは種類が少ない上に入手が難しい』
「【Aマックスシリーズ】【カラミティスーツ】、どちらも非常に強力な装備であるが欠点は存在する」
酷く平坦な声が響き渡る。
「【凡そ全てに強く破魔吸収】する耐性……確か【全対応】というカテゴリの防具だったかな」
何も知らなければ授業で教鞭を取っている教師と勘違いしてもおかしくない声色。
「【凡そ全てに強い】耐性……これは強みであり弱みである、なんせ―――」
「完全に防ぐことができるものじゃない……
そう言って6体中4体が【魅了】された
ガキが、
ドッペルゲンガーが、
ローレライ*21が、
見つめる。
「さぁ、どうする?」
| 駆陣営 | 全員:防御アップ2T、命中回避アップ3T(どちらも重ね掛け不可 駆、白川、フォルネウス、ディース:【魅了】状態 |
| モニカ陣営 | 全員:攻撃力2段階ダウン モニカ、ドッペルゲンガー:ダメージ有り |
「そんな……」
たった1Tで盤面が崩れた。
誰1人落ちていないとはいえ6名中4名が【魅了】状態、しかも自身の手持ちに魅了の治療アイテムは単体治癒ができる【ディスチャーム】だけ。こんなことなら無理にでも学園では品薄だった【メパトラストーン】を学園の外に買いに行くか【アムリタシャワー】を入手しておけばと考えるも前者は準備に遅れたせいで外に出る許可が下りなかったのと後者は高すぎて断念したことを思い出した。*22
(誰を治療すればいいんだ)
皐月先輩か、白川先輩か、仲魔か、優先すべきは誰か。
(そうだ、新町先輩に聞こ)
「おうミリト、どうするよこれ」
「新町先輩!?」
判断を仰ごうとした相手から判断を投げ込まれた。
「おん? どしたよミリト、そんな切羽詰まったツラしてっけど」
「新町先輩、状況分かってます……?」
「状況だぁ? んなもんピンチ以外の何があるんだ?」
「本当にわかってます!? 追い込まれてるんですよ僕ら!」
「そうだな、最高じゃねぇの」
「どこが!?」
この状況を見て何が最高だというのか。
「どこがってそりゃあ、
何でもないように先輩は言い切った。
「体感……」
「開会式でカイチョーも言ってただろ? 『学生諸君は全員油断なく、彼らの装備、戦い方、行動を教訓として観察するように』*23……だったらピンチもチャンスも全部糧にしようぜ」
そこに悲観も動揺もなく、ただただ今ある状況を貪欲に自身の経験として吸収しようと相手を見据える姿だ。
「それに合流した時に俺は言ったぞ、『しっかり学びな後輩』ってな」
「先輩……」
「んでもう一度聞くけどどうするよ?」
そこまで言われてようやく気付いた。
『今回の模擬戦で指揮の技術を磨きたい』、そういった僕自身の発言を汲んでくれるからこそそう言ってくれたのだと。皐月先輩が動けない以上、僕が指示を出せるようにと。
『だが恐れることはない、貴様らは一人で戦っているわけではないのだ』
あの授業でバルツァー先生の言った言葉が頭によぎる。
「新町先輩、またガキを狙ってください」
「おう、だけど今度は狙って
「構いません」
「そっか、んじゃまぁ……」
「やるかぁ!」
最初に動き出すのは前のターンまで指揮を執っていた皐月先輩。
「う……あ……」
だが今の先輩はまともな状態ではない。
「う……うおおおお……!」
「イッテェ! ああくそ、面倒なことになってんな駆!」【PROTECTION】
本来であれば敵に向いているはずの切っ先は【魅了】されたことにより味方を裏切る刃と化しており、斬りかかられた新町先輩は防具でいなしつつ僕の指揮を全うすべくガキへと迫る。
「もっかい焼け死にな!」【火龍拳】
『ガハッ!』【WEEK!】
「やっぱ弱点突こうが
「そこは仕方ないですよ!」
そう返しつつ僕はバックから【ディスチャーム】を取り出す。
(確かにこの状況はよくない、だからこそ落ち着かなきゃいけない)
『指揮官がピンチで熱くなるのは心だけで良い、頭は常に状況を見据えるために冷静であれ』
バルツァー先生もよく言っていたことだ、だからこそこの場で取るべき行動、それは、
「目を覚まして! ディース!」【ディスチャーム】
『……どうやら醜態を晒していたようですね』
【魅了】が解けたディースは少し頭を振ってこちらを見た。
『私を優先したということは「そういうこと」ですね?』
「お願い!」
『おおお……』
だけどその前にフォルネウスが動き出す。
(変な動きしないでフォルネウス!)
『婆さんや……飯はまだかいのう……?』
祈りが通じたのかどうかはわからないけどフォルネウスはぼんやりして動かない。
『何度言えばわかるんですか貴方は』
『私はお婆さんではありません! シャキッとしなさい!』
| 【メパトラ+2】*24 | 味方全体の状態異常を回復する |
ディースの
「白川先輩! 新町先輩の治療を!」
「……えっ、あ……わ、わかったわ!」
| 【生薬軟膏】*25 | 味方単体のHPを200回復する とても沁みるが効能は確かな代物、痛くなければ覚えませぬ |
復帰した白川先輩に指示を飛ばして治療へ動いてもらう。
これで後は―――
「―――ミリト」
「皐月先輩! ドッペルゲンガーを!」
「任された!」
新町先輩にガキを殴ってもらったのはダメージを与えるよりも
そうすれば皐月先輩が動く
「これ以上カッコ悪いところは見せれない!」
そう叫びつつ剣を振り上げて、
振り降ろした光速の一閃は確かにドッペルゲンガーを直撃した。
「い……たぃ……♪」【HIT!】
さっき新町先輩が火炎の拳を叩き込んだ傷だって癒えてない。
その上で光速の一閃が入った、間違いなく瀕死寸前のはず。
それなのに哂っていた。
「殺しきれず残念でした」、そう言わんばかりに嗤っている。
その笑顔は酷く邪悪で、
「よく耐えたドッペル、では反撃と行こうか」
「はぁい♪」
(でも簡単に崩せないはず)
あちらは【雄叫び】による攻撃2段階デバフと全体的にHPが削れた面々、こっちは防御と回避バフにHPはほぼ全快。
(ここさえ凌げば―――)
「ガキ、【フォッグブレス】」
『グオオオオ!!!』
「ドッペルは回復だ」
「きゃあふふふ……♪」
| 【メシアライザー】*26 | 味方全体のHPと状態異常を全回復(死亡は除く) 救世主の御業とも称される奇跡、だが悪魔とってどうでもいい話だ |
僕達が頑張って与えたダメージが見る見るうちに全快に引き上げられた。
「【メシアライザー】……!?」
「そんなものまで覚えてるのか!?」
「うむ、便利だぞ」
僕らの驚嘆にこと投げなくマシンガンを弄りながら応じる
(このままだとまた【デスペラード】が……!)
「予想通りとはいえディースが【メパトラ】を使うとは……おかげで手間が省けた」
「……手間?」
どういう意味だろうか。
「おかげでようやく本領発揮と行ける、ローレライ!」
「わかってるわよ」
そう言うのが速いかローレライの手に電撃が集まって、
「まさか!? みんな逃げ」
「まさかはこっちのセリフだよ」
電撃が僕らを覆い流れ、
僕の意識は消えた。
□◆□◆
「初手からずっと【電撃ブロック】なぞ使ってきたからてっきりこちらの手がバレているのかと思ったぞ」
電撃が収まると、そこは砕けかけた盤面が広がっていた。
「う……あ……」【PROTECTION & charm】
「ああ…………」【PROTECTION & charm】
『ぎ……あ……』【RESIST & charm】
ダメージを食らいながらも和久、ミリト、ディースの3人が【魅了】状態が付着。
しかも被害はそればかりではない。
「くそっ、魅了状態追加の電撃スキルだと!」【PROTECTION】
「ちょ、ちょっと大丈夫なのフォルネウス!」【PROTECTION】
『老体にはキツイ所業じゃよ……』【WEEK!】
防具のおかげで何とかなった人間と違い、デバフがあったとはいえ弱点に直撃したフォルネウスの傷は深い。
「まぁ【魅了の雷撃】はマイナーなスキルだから知らなくとも無理はない」
| 【魅了の雷撃】*27 | 敵全体に電撃属性の大ダメージ、魅了付着率25% 魅力的な存在に目にした時、頭上に雷が落ちるものだ |
そう言いながらマガジンを入れ替えつつ構えて、
「ではお代わりといこうか」
| 【豪雷乱撃】*28 | 敵全体に電撃属性の大ダメージ 嵐に雷は付き物である |
更なる雷撃が生徒達に襲い掛かる。
【PROTECTION】
【PROTECTION】
【PROTECTION】
【COVER!】【PROTECTION】
【RESIST!】
「ふむ、二人はもっていけると思ったんだが」
空になった弾倉を外し、別の弾倉に切り替えつつモニカは独り言ちる。
「1人しか落とせないとは」
その声が聞こえたのか、爆風の向こうで「誰か」が体勢を崩した。
| 【カバー】*29 | 味方ひとりに対する攻撃のダメージと追加効果を自分に移し替える 戦う術がない私にできること、それは誰かを庇うことだけだった |
「白川!?」
『すまん、嬢ちゃん……』
駆の叫びが響いた時にはその人物、白川依織はフォルネウスを庇うように倒れていた。
「ガキ、デカジャ」
『ヒャハハハハ!!』
駄目押しと言わんばかりに駆達の
「さて」
「続きと行こうか」
| 駆陣営 | 全員:命中回避1段階ダウン、ダメージあり 和久、ミリト、ディース:【魅了】状態 白川依織: |
| モニカ陣営 | 全員:攻撃力2段階ダウン |
及びWEAKとCRITICALは発生しない
ペルソナシリーズなどに【属性ガードキル】が存在している
もっとも特殊な悪魔判定なので別の意味でハードルが高い
また単体治癒の【アムリタソーダ】は10万マッカ
比較対象として単体で一部状態異常を治せる【パトラストーン】は100マッカ
全体で一部状態異常を治せる【メパトラストーン】は300マッカ
ごめんなさい最後まで行けませんでした
次回で決着、つまり例のシーンとモニカ達のデータが出せると思います