真・女神転生 オタクくんサマナー異伝:奇妙な旅に終わりはなく   作:黒橋

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 お待たせしました、ついに決着です


生徒達の意地、真正面の不意打ち

 白川依織の脱落(リタイア)、これは生徒達にとってこの戦いの流れを決定づけるものであった。

 

 と言っても「低レベルで尚且つサポートしかできない生徒の脱落」と文字にすればそこまで致命的には見えない出来事ではある。

 だが、生徒達にとって外の環境を知る相手に挑むには欠かせない役割、即ち「数」が欠けたことは非常に重くのしかかってくた。

 

 

【 ターン が 回る 】

 

 

 先ず生徒達の取った行動は崩壊しかかっていた自分たちの盤面を補強することであった。

 

 

【メパトラストーン】

【ハーブ酒】

【ハーブ酒】

【雄叫び】

【電撃ブロック】

 

 

 運良く少し前まで外に出ていた駆が【メパトラストーン】を持っていたことにより何とか掛かっていた【魅了】の解除に成功、その後和久・ミリト両名による【ハーブ酒】の連続使用によってHPはほぼ回復、そしてフォルネウスの【雄叫び】で相手(モニカ達)の攻撃力が最低レベル(4段階)にまで下がったのとディースの【電撃ブロック】により弱点は覆い隠され、盤面は修復された。

 

 

 そう、ほ(・)ぼ(・)自(・)分(・)た(・)ち(・)の(・)盤(・)面(・)の(・)修(・)復(・)し(・)か(・)出(・)来(・)な(・)か(・)っ(・)た(・)。

 

 

 フォルネウスの【雄叫び】こそあれど、相手に与えた影響は攻撃力が下がっただけと全くと言っていいほど圧を掛けることができなかった。

 本来ならここで白川依織のアイテム使用による回復・バフ、もしくは【PASS】を割り振れたので【メパトラストーン】を使った駆以外のメンバーはもう少し攻撃的な動きをすることだってできたはずである。

 

 

「わかってたけどきっついなぁ!」

「それもまた経験だ」

『ハアアアア!!!』

 

 

【フォッグブレス】

 

 

 駆の叫びに応答しつつモニカ達も餓鬼による回避デバフ(3段階目)の付与という最早見慣れた動きからスタートしたが、その後の動きは全く見慣れないものであった。

 

 

「えいっ」【通常攻撃】

「こういうのは不得手なんですが」【通常攻撃】

 

 

 まさかのドッペルゲンガー・ローレライによる通常攻撃2連打、対象はディースであった。

 

 

『くっ……!』 【WEEK!】 【WEEK!】

「嘘だろそんなのありかよ!?」

 

 

 攻撃力が下がっているが故に撃破には至らない、しかし下がった攻撃力によって多く弱点を突くことになりプレス回数は増加した。

 

 

「弱点(WEEK)を突くのは基本だろう? ―――ガキ!」【デクンダの石】

 

 

 そんなことを言いつつ自身(モニカ)は攻撃に参加せずデバフ(攻撃力ダウン)を解除させつつ更なる追撃を指示。

 

 

『ヒャハハハハ!!!』【通常攻撃】

『っが……サマナー気を付けてこの餓鬼―――』【WEEK!】【DEAD】

 

 

 デバフが入っていたとはいえ格上悪魔2体から弱点攻撃を受けていたためなのか妙に素早い動きをするガキの攻撃にあっさりと崩れ落ちるディース。

 

 

「ディース!?」

「まだ終わりじゃないぞ、ドッペル! エナジードレイン!」

「はぁい♪」【エナジードレイン】

 

 

 ミリトの叫びも虚しく更に追い打ちは続く。

 

 

『ぬおおおお!?』

 

 

【HIT!】

【 ドッペルゲンガー の HP・MP が 回復した ! 】

 

 

 対象となったのはフォルネウス。

 

 

「フォルネウス! 大丈夫!?」

『大丈夫……とは言えんのぉ……』

「おいおい、さっき回復したんだから【エナジードレイン】食らった程度で死ぬような体力でもねぇだろ?」

 

 

 心配するミリトに対して弱気を漏らすフォルネウスに疑問を投げかける和久。

 

 

『それが……今ので魔力(MP)が底を付きおったわ』

「――――少し前のターンからフォルネウスに【エナジードレイン】仕掛けたのはこのためか!」

 

 

 【雄叫び】の消費MPはそれ相応に重く*1、本来であるなら連発するようなスキルではない。しかし今回は万全を期すために最低でも2段階維持のため何度も何度も掛け直し続ける必要があった。

 そこに【エナジードレイン】が2回も使われたのならば結果はこの通り。

 

 

「相手がやられたら嫌なことはできるならやっておくに限るからな。ローレライ、守りを固めろ」

「りょうかーい」【GUARD】

 

 

 そして増やした行動(プレス)回数で無理に追撃はせずに守りを着実に固める。

 

 

 強固な盤面に数の暴力、生徒達が持っていたはずの有利はいつの間にか全て砕け散っていた。

 

 

駆陣営全員:命中回避3段階ダウン

フォルネウス:残りMP0

白川依織:DEAD(リタイア)

ディース:DEAD

モニカ陣営全員:特になし

ローレライ:【GUARD】

 

 

 

【 ターン が 回る 】

 

 

 

(どうしてこうなった!? これなら前に『私だと思って身に着けて……?』って言われながら貰った魅了無効のアクセサリーでも付けてくればよかったか!) 

 

 

 ここまでくると最早撤退を視野に入れたが良いのではないか、そう思わざるを得ないくらい砕けた盤面を見渡しながらも駆は諦めずに頭を回す。

 ちなみにであるが「状態異常を使う人がいるかどうかわからないからメタ装備よりも一定の効果が常にある奴が良いな」と思ったので今回駆がチョイスしたアクセサリーは赤色のピアス*2だったりする。

 

 

「だけどこの状況じゃくらましの玉*3を使っても逃げ切れるかどうか怪しい……! 皆、悪いけどもうちょっと付き合ってくれ!」【デクンダの石】

「任せな! またぶん殴って呼吸(プレス)を稼いでやるよ!」

 

 

 言うが速いかデバフが消えた時にはもう餓鬼に殴りかかる姿勢になっている和久。

 

 

「焼け死にな!」【火龍拳】

 

 

 そしてまた弱点を突くべく拳を振りかぶって―――

 

 

 

 

 

 

 

 

『ッハ!』【MISS】

 

 

 その拳は空を切った。

 

 

「んな!?」

『ギャハハハハハハハ!!!』

 

 

 回避した餓鬼の嘲笑が響き渡り、呼吸は乱される(プレスは消え去った)。

 アドバンテージを得るどころか逆に消費される最悪の事態。

 

 

「~ッ!」【ラク・カジャ珠】

 

 

 それを見たミリトは持っていた魔法瓶*4を仕舞い、全体防御強化のアイテムに切り替える。

 

 

『すまんのぉ、儂はここまでじゃ』

「わ、悪ぃ」

「そんなこと言ってる場合か! ―――来るぞ!」

 

 

 乱れた呼吸によってフォルネウスは動くことができず、快活な和久の気力に陰りが見えるもそれらを打ち消すように大声を張り上げて警戒を促す駆。

 

 

「その通り、警戒を促すの良いことだ」

 

 

 そして、

 

 

「まぁ防げるかどうかは別だがね」 

 

 

 無慈悲な殺意が襲い掛かる。

 

 

 

【フォッグブレス】

【ラスタキャンディ】

【魅惑の雷撃】

【豪雷乱撃】

 

 

 

 相手の回避を下げて、自分達を強化して、弱点を突き崩す。

 

 

 

「「「『ぐあああああああ!!!!!』」」」

 

 

 

【PROTECTION】【PROTECTION】

【PROTECTION】【PROTECTION】

【PROTECTION】【PROTECTION】

【WEEK!】【WEEK!】【DEAD】

 

 

 生徒達の悲鳴が響き渡り、それに紛れるように悪魔(フォルネウス)の断末魔と姿がそのまま消え去った。

 それでも耐えれるのは身に着けた防具の賜物か、生徒達に膝をついている者はいない。

 

 

「さぁ詰めようか」

 

 

【デカジャ】

【エナジードレイン】

 

 

 最早死に体であろう生徒達に死体蹴りとしか言えない追撃が襲い掛かる。

 ささやかな防壁(ラク・カジャ珠)は消し飛び、対象となった和久の体力(HP)・気力(MP)は奪い取られる。

 崩壊は、目前に迫っていた。

 

 

 

駆陣営全員:命中回避2段階ダウン

白川依織:DEAD(リタイア)

ディース・フォルネウス:DEAD

モニカ陣営全員:全能力1段階アップ

 

 

 

 

 修復できる段階も、復帰できる段階も、当の昔に手遅れになっていた。

 

 

(何処で間違えた?)

 

 

 自分の中からその問いが浮かぶ。

 

 

(白川が落ちた(リタイアした)時点で撤退すべきだった?)

(それともある程度相手(モニカさん)の情報を抜いた時点で引くべきだった?)

(いや、もしかするとそもそも戦いを挑んだこ「おう駆、どっすかなぁこれ」

 

 

 思考を遮るように声が響く。

 

 

「和久、すまん俺の判断」

「あ? なんだお前俺の失敗は許すのに自分の失敗は許さないとかちょっとズルくねぇか?」

「皐月先輩、そういうのは無しだよ」

「二人とも……」

「んで提案なんだけどよ」

 

 

 そう言って和久は語り出す。

 

 

「今俺達に取れる道は二つあると思うんだよなぁ」

「2つ?」

「おう、ケツまくって逃げるか嫌がらせをするかのどっちかだ」

「嫌がらせって新町先輩」

「ああ、だってよぉ悔しいだろやられっぱなしってさ。 それによぉ」

 

 

 駆を見ながらニヤリと笑った。

 

 

「何に気づいたかは知らねぇけど駆お前……な(・)ん(・)か(・)カ(・)マ(・)せ(・)る(・)手(・)が(・)あ(・)ん(・)だ(・)ろ(・)?」

「それは……」

 

 

 今まで得た情報を精査すると一つだけ何とか出来る手段があった。

 

 

「でもあの方法は……今の状況じゃどれだけうまく行っても俺(・)以(・)外(・)全(・)滅(・)す(・)る(・)ぞ?」

「良いじゃねぇの、勝てんだろ?」

「そもそも皐月先輩が初手のメギドラオンを防いでくれなかったら壊滅してましたよ」

 

 

 覚悟の決まった眼をする和久とミリト。

 

 

「……わかった」

 

 

「やろう!」

「おう!」

「はい!」

 

 

【 生徒達 は 反撃の意思 を 固めた ! 】

 

【 ターン が 回る 】

 

 

 

「何をするつもりかは知らないが……来い!」

 

 

 相対するは盤石に立ちふさがる敵。

 

 

「行くぞ!」

 

 

【ヒートライザ】*53ターンの間、味方1人の全能力が上昇する

 

 

「ここにきて全強化バフのヒートライザ……?」

「おらよ駆! 持ってきな俺のとっておきだ!」

「皐月先輩! 受け取って!」

 

 

【宝玉】味方1人のHPを全回復する

回復だけでなく悪魔交渉でも要求される幅広い一品

【スク・カジャ団子】*6味方単体のHPを小回復し命中・回避率を上昇させる

 

 

 駆に使った【ヒートライザ】に首を傾げるモニカ、そして追従するように駆へ回復とバフを集中させる。

 これにより駆からデバフと傷は取り除かれ、完全な状態へと復帰した。

 無論、和久とミリトは死に体のままだ。

 

 

「……なるほど、そういうことか。 ガキ、準備」

 

 

 意図を察したのかモニカ達もまた動き出す。

 

 

 

【気合い】

 

 

(? ガキは今何を)

「ドッペル、エナジードレイン」

「きゃあふふふ……♪」

 

 

【エナジードレイン】

 

 

 今までなら飛んでくるであろうガキの【フォッグブレス】が来ないことに違和感を覚え、何をしたかちゃんと確認しようとした駆に【エナジードレイン】が飛んでくる。

 

 

「させねぇよ!」【カバー】

「きゃっ!」

 

 

 しかし寸でのところで和久の【カバー】によって駆には届かない。

 

 

【COVER!】【PROTECTION】

 

【 ドッペルゲンガー の HP・MP が 回復した ! 】

 

 

「ミリト、後任せた」【DEAD(リタイア)】

「はいっ!」

 

 

 しかしそこで限界だったのか崩れ落ちる和久。

 代わりに前に出るのがミリトその人。

 

 

「やはりそう来るか! ローレライ!」

「たぶん届かないわよ?」

 

 

 モニカの叫びに一応苦言を呈しつつもその通りに動くローレライ。

 

 

【魅惑の雷撃】

【COVER!】【PROTECTION】【DEAD(リタイア)】

 

 

 雷が晴れた先、そこにはまた一人生徒(ミリト)が崩れ落ちるも無傷のままの駆の姿。

 

 

「厄介な……!」

 

 

 そう呟きつつも自身も剣を抜いて斬りかかるモニカ。

 

 

【通常攻撃】

 

 

「その程度じゃ俺は倒れない!」【PROTECTION】

 

 

 しかし強化され体力も満タンな駆にはあまりダメージが入った感じはない。

 

 

「むう……手応えから軽減アリ……やはり身体防具はAマックススーツで確定か」

 

 

 小さく呟かれた言葉は、駆の耳には入らなかった。

 

 

 

駆陣営駆:攻撃・防御アップ 3T

白川依織・新町和久・藤田ミリト:DEAD(リタイア)

ディース・フォルネウス:DEAD

モニカ陣営全員:全能力1段階アップ

 

 

 

【 ターン が 回る 】

 

 

 

(唯一の勝ち筋、それは「【剣技】による一撃を叩き込む」ことだ)

 

 

 駆の知り得る上で相手(モニカ)の耐性はほとんど割れていない。

 唯一わかるのは「カラミティスーツを身に着けている」ことくらいだろう。

 

 

(カラミティシリーズは耐性がAマックスシリーズと似通っている……って言われているけど厳密には違う)

(それは、Aマックスシリーズと違ってカラミティシリーズは【(・)ア(・)ー(・)ム(・)】(・)と(・)【(・)ブ(・)ー(・)ツ(・)】(・)の(・)耐(・)性(・)が(・)【(・)全(・)対(・)応(・)】(・)じゃないことだ)

 

 

 カラミティシリーズにおいて腕部(アーム)は【吸電】耐性*7、脚部(ブーツ)に至っては【ノーマル】耐性である。

 

 

(そして刃物、もとい【剣技】に強く出れる装備は確か身体防具にかなり偏っているはず)

(何よりカラミティスーツ、いや【全対応】防具には対応しきれていない部分がある)

 

 

【全対応】デビルサマナーにおける防具相性

ほぼ全ての耐性を持つ代わりに【(・)悪(・)魔(・)攻(・)撃(・)】(・)と(・)【(・)剣(・)技(・)】(・)に(・)は(・)耐(・)性(・)が(・)な(・)い(・)

 

 

(他の部位で耐性を埋めている可能性は大いにある)

(でも、どれだけ見積もろうとも身体防具が埋まっている(カラミティスーツ)なら精々【剣技に強い】程度しかない)

 

 

「ふー……!」

 

 

【気合い】*8次のターン、自分の攻撃力が2倍以上に強化

大技が飛んでくる直前、嵐の前触れであり静けさである

 

 

(これで準備は整った)

(後は【デスバウンド】*9か【朧一閃】*10をモニカさんに叩き込むだけ)

 

 

「なるほど、貴公はそうするのだな」

 

 

 駆の行動を見つつモニカは呟いた。

 

 

「これが最適解ですので」

「だがそれは貴公に次の番(ターン)が回ってきたらの話だと思うのだが?」

「回ってきますよ」

「……断言か、ちなみに根拠は?」

 

 

「先程の剣撃を受けて確信しましたよ、今(・)の(・)モ(・)ニ(・)カ(・)さ(・)ん(・)達(・)に(・)俺(・)を(・)倒(・)し(・)き(・)る(・)術(・)が(・)な(・)い(・)ってことに」

(ガキは素早く動いてデバフをばら撒くお邪魔枠、ローレライは全体状態異常と全体魔法攻撃、ドッペルゲンガーは回復とバフのサポーター)

(懸念点だった実はモニカさんが薬師丸先生のような剣豪じみた使い手、という可能性はもうない)

 

 

 駆から見て情報は既に出揃っている。

 

 

(後怖いのは【ファイナルヌード】なんだけど……気合で耐えるしかない!)

 

 

 そう意気込む駆の耳に、

 

 

「なるほど……だが」

 

 

 

「一(・)手(・)遅(・)か(・)っ(・)た(・)な(・)」

 

 

 

 意味深な言葉が聴こえた。

 

 

 

「どういう意味―――」

「すぐわかるとも、ガキ」

 

 

 モニカの呟きに呼応するように今までのような唸り声も上げずに駆へと素早い動きで近づいてくるガキ。

 

 

(なんだ)

(俺は……何か見落としているのか?)

 

 

 何かしようにも既に行動を終えている駆に出来ることは精々攻撃を避けることくらい。

 そして素早い動きで近づいてくるガキを避けることはできなかった。

 

 

(餓鬼が近づいてきたってことはちょっとでもダメージを重ねるための【通常攻撃】か?)

(でもその程度なら)

 

 

 ガキが拳をギュッと握り締め、骨が鳴る音が響く。

 そして手を広げて振りかぶって、

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

 駆に身体を両断されたかのような痛みが全身を走り抜けた。

 

 

(何が、何をされた)

 

 

 激痛で崩れ落ちるも、何とか頭を回そうとする駆。

 

 

(今のは、なんだ?)

 

 

 覚えているのは振りかぶったガキの手。

 否、直前で光に反射する鋭い爪が見えた。

 

 

(爪……1回……【アイアンクロウ】か……!?)

 

 

 

【アイアンクロウ】*11敵単体に物理属性大ダメージ

 

 

 

 【アイアンクロウ】、かつては最強の爪技とも評された技(スキル)。

 しかし時代と検証が進み、命中精度の低さや攻撃回数の少なさに加え、【虚空爪激】*12や【 狂乱の剛爪】*13のような上位互換とも言える爪スキルの台頭、何より覚えることができる悪魔の有無が限られることによって環境から姿を消し、忘れ去られた過去の産物。

 

 

(なんで……ガキが……)

(いや……そもそも……なんだこの威力……!?)

 

 

 駆とてレベル63の最前線に出れるほどのサマナーであるがそれ以上に剣士である。

 少なくとも、たたのデバッファーな格下悪魔に後れを取る、それも一撃で沈むのはあり得ない。

 

 

 

 それこそまるで、火(・)力(・)に(・)極(・)振(・)り(・)で(・)も(・)し(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)あ(・)り(・)得(・)な(・)い(・)よ(・)う(・)な(・)一(・)撃(・)で―――

 

 

 

 

「ああそうだ、1つだけ訂正しておくことがあった」

 

 

 必死に頭を回して何とか意識を保とうとする駆の耳に声が聞こえた。

 

 

「先程のガキの運用について、確かに私は『素晴らしい』とは言ったが……」

 

 

 

 

 

 

「別に『正解』とも『あっている』とも言ってないぞ」

 

 

 

(――――――――わ)

 

 

 その言葉に頭が真っ白に成りながらも言葉と紡ごうとして、

 

 

 

 

 皐月駆の意識は消失した。

 

 

 

 

 

「これで良し、っと」

 

 

 戦闘終了後、モニカはリタイアした生徒達に最低限の治療を施した後、「脱落済み」と書かれた紙を張り付けて戦闘に巻き込まれないよう使われていない空き部屋に転がしておく。後は救護部隊が勝手に回収するだろう。

 それが終わると各員に【チャクラドロップ】*14を渡して束の間の休憩へと移行した。

 

 

「思った以上にレベルもそうだが士気が高くないかこの学園の生徒、法山も太鼓判を押すわけだ」

「そうね、私も思った以上に大盤振る舞いして疲れたわ……」

 

 

 普通あそこまで崩れたら撤退するか戦意喪失するかのどっちかだと思ったら最後まで自身の首を狙いに来たことに驚きを隠せないモニカと大技を連発して疲れを隠せないローレライ。

 結果、これ以降生徒に対する情けや手加減は消え去ったといっても過言ではない。

 

 

「次は私引っ込んでいてもいい?」

「うむ、なら他の仲魔を呼ぶか……んー……そうなると手数が欲しいな……やはりどうにかしてガキに【道具の知恵・癒】*15でも持たせたいな」

『マタ俺ノ仕事増ヤス気カ?』

 

 

 モニカの独り言に心底嫌そうな口調で反応したのが話題に上がっていたその人もとい仲魔のガキである。

 

 

「良いじゃないか、もし道具が使えるようになればどれだけ戦術が増えるかワクワクしないか?」

『俺ヲ何ダト思ッテヤガルンダサマナー……』

「んー……『遊撃兵』?」

『便利ダナソノ圧縮言語……便利過ギテ泣キソウダ』

 

 

 愚痴りながら口に放り込んだ【チャクラドロップ】を噛み砕くガキ。

 その後、手に持っていた長方形の缶――魔術の品などではなく普通の店で売っているただの飴が複数種類詰まったもの――からまた飴を取り出すと今度は嚙み砕かずに舌の上で転がし始めた。

 

 

「何味だった?」

『ンー……悪クネェ、【ハッカ】ダ』

「私にもくれ」

『オラヨ』

 

 

 缶を放り投げるガキとそれをキャッチするモニカ。

 缶を振って中から赤い飴を取り出したところで背中を突かれた。

 

 

「ん?」

「あー……♪」 

 

 

 振り返るとそこには口を開けたまま笑顔を浮かべるドッペルゲンガーの姿。

 何となく意図を察してそのまま口に持っていた飴を入れるモニカ。

 

 

「美味しい?」

「おいしぃ……♪」

「そうか」

 

 

 無線では移り変わり続ける戦況を伝える声が響き渡り、遠くからは爆発音や悲鳴、それに何かが燃えたような匂いが立ち込めいる。

 

 

 

 

 しかし今この瞬間だけ、ここには長閑な空気が漂っていた。

 

 

 

 


 

・登場人物・悪魔紹介

 

 モニカ・ヴァイスヴィント

 

 法山の手引きによりイギリスからやってきた人

 これ以降やってくる生徒の質を先程戦ったレベルと想定した結果、大量の脱落者を生み出し続ける。

 そして餓鬼を連れた生徒もやってくるのだが……それはまた別の話。

 

 

 外道 ドッペルゲンガー

 

 モニカの仲魔、サポーター要員。

「見なよ、私のサマナーを……」と言わんばかりにニコニコしながらモニカと一緒に生徒達を苦しめ続けた。

 とても良い笑顔であったという。

 

 

 幽鬼 ガキ

 

 モニカの仲魔、(いろんな意味で)事故要員。

 初見で見抜くには役割が複雑すぎる悪魔、気にし過ぎると他の悪魔に押し潰されて負けだかが気に掛けなさ過ぎると唐突に殺しにかかってくる。

 ある意味一番生徒達の犠牲者の山を築いたであろう存在。

 

 

 妖精 ローレライ

 

 モニカの仲魔、今回のMVP。

 非情に付着率の高い状態異常と高火力魔法を駆使して生徒達をボコった。

 疲れたのかこの後はのんびりしたようだ。

 

 

 皐月駆

 

 『やはり俺の悪魔業務は間違っている』からのゲストで今回の話最大の被害者。

 この後救護所に運ばれた後にしっかりとした治療を経て起床と同時に「わかるかそんなもん!」と叫ぶ。即座に救護所のスタッフから【パトラ水】を処方された。

 

 

 新町和久

 

 学園の生徒で火炎アタッカー。

 駆と同様に救護所で目を覚ます。しばらく黙っていたが近くにいたスタッフに自分達の戦いが映っていたであろう部分の映像データをもらえないか聞いていた。

 

 

 藤田ミリト

 

 学園の生徒でサマナー。

 今回の戦闘で一番多くを学んだ人、元々はサマナー一本で戦術面を伸ばすことに注力していたが学園闘争後は剣や銃などにも学びの幅を広げるようになった。取り分け誰か目標ができたらしくとても熱心に剣術の授業や特訓の方にも顔を出すようになった。

 

 

 白川依織

 

 学園の生徒でハッカー。

 目が覚めた後に救護所の様子を見て大体の状況は察した。

 とりあえず今回の一件で彼氏(和久)が燻るどころかやる気満々のようなので今回の戦闘映像を加工して見やすくするくらいはしておこうかなと思っている。

 

 

 


 

 おまけ モニカ達のデータ

 

※悪魔データにステータスも載っていますが飽くまでも戦闘スタイルの傾向データとしてお楽しみください。それとレベルの横にある()の中身は元のレベルです。

 

超人モニカ・ヴァイスヴィントLV74(??)アライメント:N-N

耐性全てに強い、火炎・氷結反射、電撃・破魔吸収、呪殺反射

武器剣【ナズ】*16攻撃回数1~2回 + 麻痺

武器銃【古式呪唱銃】敵全体に銃撃ダメージ1回

豪雷乱撃、デスペラードが使用可能

防具一覧頭部:そうきかん

胴部:カラミティスーツ

腕部:カラミティグロウ

脚部:ミラージュブーツ

アクセサリーラプラスリング

COMP同調時、スキル【ラプラスの魔】を発動する

保有スキル◎ジャイヴトーク*17

 以下詳細不明……

 

 

 

 

外道ドッペルゲンガーLV69(25)アライメント:D-C

出典ストレンジジャーニー

ステータス*18力:56 魔:43 体:53 速:52 運:42

耐性物理・銃撃反射、破魔・呪殺無効

保有スキル◎エナジードレイン ◎メシアライザー ◎招来の舞踏

◎ラスタキャンディ ◎破魔無効 ◎呪殺無効

 

 コンセプト:

 物理受けのいい耐性と即死の可能性を埋めたヒーラー兼サポーター。

 基本的に【ラスタキャンディ】を使って盤面を押し上げつつ状況を見ながら回復や蘇生を行うか【エナジードレイン】でダメージとHP・MP回復をしながら場持ちを良く立ち回れる。

 欠点は攻撃面が貧弱なので長期戦以外ではエナドレか通常攻撃しかやることがない。     

 

 

妖精ローレライLV56(31)アライメント:N-N

出典ストレンジジャーニー

ステータス力:43 魔:53 体:34 速:44 運:45

耐性火炎反射、氷結・破魔・呪殺耐性、精神・緊縛・神経耐性

保有スキル◎魅惑の雷撃 ◎ファイナルヌード ◎メシアライザー

◎メギドラオン ◎火炎反射 ◎三分の魔脈

 

 コンセプト:

 回復と攻撃、状態異常と手の広いお姉さん。

 万能属性の【メギドラオン】、電撃属性の【魅惑の雷撃】、状態異常の【ファイナルヌード】、回復の【メシアライザー】と状況に応じてやれることが多い上に耐性も中々に優秀。

 欠点は【ファイナルヌード】以外のスキルはどれも消費MPが重いため【三分の魔脈】で底上げしてもなお息切れしやすい。

 作中でガードをしてることが多かったのは駆の一撃を警戒、何よりMP切れ(それ)を駆達に悟らせないためであった。

 

 

幽鬼ガキLV49(4)アライメント:D-C

出典真・女神転生3

ステータス*19力:40 魔:20 体:11 速:36 運:6

耐性魔法全般・破魔に弱い、呪殺無効

保有スキル◎スクカジャ ◎アイアンクロウ ◎デカジャ ◎召し寄せ

◎デスタッチ ◎フォッグブレス ◎気合い ◎貫通

 

 コンセプト:

 遊撃兵。

【スクカジャ】【フォッグブレス】等の命中バフデバフに相手の盤面を崩す【デカジャ】、脆い自身の耐久のためのHP回復【デスタッチ】で盤面を荒らしながらしぶとく立ち回る……が自身への警戒感が消えた時を見計らって高ステータスの【力】と【速】を活用した【貫通】込みの【アイアンクロウ】を叩き込む破壊槌であり、余裕があるなら【気合い】を入れると確実に削り飛ばしやすくなる。

 欠点は耐性が貧弱なのと体(HP)が非常に脆いのでちゃんと考えて動かさないとあっさり即死する。

 

 

*1:
フォルネウスの持つ真3の雄叫びの消費MPは40

*2:
最大HPを上昇する(一分の活泉相当)、真4F

*3:
使用するとバトルから必ず逃走できる、真5

*4:
味方全体のMPを80回復する、SH2

*5:
P4G

*6:
※SH2

*7:
電撃吸収、衝撃弱点、破魔に強い

*8:
※真3

*9:
敵単体に2-7回物理相性ダメージを与える、デビルサマナー

*10:
敵単体に特大威力の物理属性攻撃

命中率が低いが必ずクリティカルする、真5

*11:
真3

*12:
敵単体に2〜3回大威力の物理属性攻撃、真5

*13:
敵全体ランダムに2〜4回大威力の物理属性攻撃、真5

*14:
味方単体のMPを最大値の25%回復、真3

*15:
戦闘中に回復・補助アイテムが使用可能になる、真4シリーズ

*16:
※DSJ

*17:
ダーク属性の悪魔と交渉が可能になる、真3

*18:
SJのステータス最大値は99

*19:
真3のステータス最大値は40




 学園闘争編、これにて終わり!
 それと現段階の仲魔達のデータに関して実機で実際に組んだことのある悪魔データをそのまま流用しています。
 次は幕間か掲示板の話になるかと思います。
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