真・女神転生 オタクくんサマナー異伝:奇妙な旅に終わりはなく   作:黒橋

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 新年あけましておめでとうございますというのには時間が掛かり過ぎていますがそれでもおめでとうございますと言いたい

 それはそれとして続きとなります


聞き込みと願い、やってくるのは指名依頼

 学園での定期戦を終えたモニカは早速行動に移った。

 

 今回はこれまでの情報収集結果から実際に漂流者(ドリフター)と会って話を聞いてみることにした。

 無論キリギリス掲示板を使ってのアプローチも選択肢の一つではあったものの、質問を重ねた数々のスレッドに漂流者が誰一人居なかったとは考えにくい。

 なのに情報が出なかった辺り恐らく話のネタとしては微妙、もしくは個人的な内容なので表に出せないかのどちらかなのだろう。

 一応【龍殺し】自体に何らかの理由で情報統制を敷かれている可能性もあるがそれはないことを祈るだけだ。

 そんな一末程度ではない不安こそあったものの、日本に来てから幾つかの依頼をこなし顔を覚えてもらった影響もあってか思った以上に漂流者達の噂集めはスムーズに進んだ。

 

 

 もっとも大半が噂どころか妄想の域を出ないか全く関係ない内容であった。

 

 

『【龍殺し】? 知ってる知ってる、確かドラゴンな悪魔なら何でも一撃でぶっ殺せる剣でしょ? ほんとにあるのかなそんなやばい剣』

 

『あれでしょアレ、大きく分厚く重い鉄塊*1……漫画やアニメの話じゃない? なら知らないなぁ』

 

『知ってるかい、【龍殺し】ってのは龍を殺すためにあるのさ……知ってる? なら俺から言えることは何もねぇな』

 

『お嬢さんまた来たねぇ、今度は何を聞きたいんじゃ? ほえ? ワシとは今日初めて会った? はて、そうじゃったかのぉ……?』

 

『【龍殺し】をお探しかい? 実は俺持ってるんだよね、欲しい? けど流石に子供には売れない……何の話? 銘酒【龍殺し】のことだよ? 剣じゃない? 酒だから当たり前じゃないか』

 

『龍とは何か! それは偉大なる存在! 時には自然災害すら龍の仕業であるとされてきた! なれば【龍殺し】とは自然に干渉しうる装置の隠語であると推測できる! 悪魔の襲来は近い! 今こそ我ら【開墾者】作成の【ハーブ酒】出番! 価格は1つ5万円! 如何か!』*2

 

『あんまりアイツらを悪く思わないでちょうだい。元居た世界でアンタみたいな若い子を目の前で悪魔に惨殺されちまったのさ。そのせいでどうも過剰になっている……は? 子供じゃない? お酒はとっくに飲める歳? その外見で? どうやったの? 魔術? 薬? 悪魔合体? 人体改造? どれも違う? 元から? 多分体質だぁ!? ふっざっけんな! どうしたらそんなプニプニモチモチな赤ちゃん肌が保てるのよ! スキンケアに何を使っているか教えなさい! メモ取るから!!』

 

 

 最後に至ってはただのスキンケア談義である。

 ちなみにだが若いのが良いとは言うが限度があると日々思っている、なんせ買い物で料理や紅茶に垂らす用の酒を買うために店の酒を眺めているだけで警察を呼ばれたことは何度もあるしその都度その都度身分証を見せるのも面倒なのである。

 

 

 閑話休題(話が逸れた)

 

 

 しかし有益な情報が一切なかったわけではなく、気になる話を聞くことできた。

 それはとある漂流者を保護していた女性の話である。

 

 

 

 

 上野レルムに存在するとある喫茶店、そこでモニカは外の風景を眺めていた。

 かつてここで巨大悪魔の討伐、所謂『レイド戦』の発生地であるものの、その際悪魔によってもたらされた傷跡は残っておらず、町には活気が溢れ、人が、仲魔と思しき悪魔が行きかっている。

 そんな風景を注文したミルクティーの香りと味を楽しみつつ向かいに座る人物に目をやる。

 

 

\カカカッ/

人間橋本明日未(はしもとあすみ)LV35備考:噂の情報収集で知り合った女性

 

 

「それでこの漂流者(ドリフ)、もとい彼が『龍殺し』について何か知っているかもしれない、と?」

「はい」 

 

 

 返事が聞きつつテーブルの上に置いてある一枚の写真を眺める。

 そこには一人の男が刀の研ぎをしているところが映っている。

 見たところ少年というには少し大人びている、かといって大人というには幼さの残る風貌で二十になるかどうかという年齢層だろうか?

 

 

「橋本トウヤ、それがこの子、彼の名前です」

「橋本? もしや御親族なのですか?」

「いえ、彼自身が『苗字がない』と言っていたので保護する際の書類で私の苗字を貸したんです」

「そうでした、保護したのはいつ頃のことで?」

「9か月前です」

「トウヤ氏を漂流者と断定した理由は? 本人から聞いた、のでしょうか?」

 

 

 今までの噂調査が玉石混交だったため念入りに確認する。

 流れ着いた時期に関しては気にしない、というよりも既に4桁は世界が滅んでいることを知っているので時期のズレは出るだろうし本題ではないからだ。

 

 

「保護した際に調べてました。ですがどこにも届けらしい届けが出ていないことと友人どころか顔を知ってる人が誰もいなかったこと、何より出会った場所が場所でしたので」

「その場所は?」

「近所の異界です、仕事柄異界へ潜るんですが特にそこは普段から潜っているので地形を把握しているはずでした。なのに全く見覚えのない横道を見つけて中を調査している時に出会いました」

「お仕事というのは」

「異界をいくつか管理してましたね、それと異界で拾える物資なんかを武具や道具の素材として持って帰り知り合いの店で売買なんかも」

「なるほ……失礼、『管理してました』というのは?」

「その、少し前なら今の私や仲魔達の強さでも問題なく管理出来る悪魔しか出なかったんですがここ最近はGP(ゲートパワー)の上昇もあって出現する悪魔の危険度が跳ね上がって一人で管理するのが難しくなったのでヤタガラスやその関係筋と連携して管理するようになったんです」

 

 

 『今では名ばかり管理者と言ったところでしょうか』、明日未はそう答えた。

 その様子から噓八百などではなく事実を話しているのだと受け取ったモニカは本題を切り出すことにした。

 

 

「それでそのトウヤ氏は何処に?」

 

 

 先程まで自身の職業や裏事情ですら澱みなく喋っていた口が止まった。

 

 

「……7か月ほど前に行方不明になりました。警察には捜索届を、裏の方には依頼という形で出してはいるのですが進展はありません」

(案の定か)

 

 

 今回の調査は協力のお礼として多少の金銭は支払ってはいるものの、ちょっと調べれば「最近急に名が知れ始めた外国人が漂流者を中心に声を掛けている」というモニカのことを知らなければ大分怪しいものである。

 なので集まるのは嘘は言ってないがあんまり関係ない内容か金銭目的の中身のない話、

 

 

 そしてそんな怪しい人物にすら縋らざるを得ない人間くらいだろう。

 

 

「何故失踪したのか心当たりは?」

「その……写真見たらわかると思うんですがトウヤは元居た世界だと鍛冶師見習いだったそうでして」

「鍛冶師、ですか」

「はい、学校にも行きたがらなかったんですが流石にずっと家に置くのもどうかと思って時折素材を持ち込んでいたお店の店主である鍛冶師のお爺さんに預けてたんです」

「この写真もその時に?」

「はい、ですけどある時モメたようで」

「モメた、というのは」

 

 

 返答は『無言で頭を下げる』。

 その姿は話したくないというよりは話せないといった感じだろうか。

 

 

「わかりました、続きをお願いします」

「はい、それで家に帰ってきた時話を聞いてみようにも何処か様子がおかしくて」

 

 

 一度言葉を区切って口籠り、それから少しして口を開いた。

 

 

『龍殺しを……龍殺しを……俺が……作らないと……』ってブツブツ呟いてました」

「トウヤ氏なら【龍殺し】について何か知ってる、というのはそういうことでしたか」

 

 

 想像を超えるド直球なワードに一周回って怪しさしかない。

 

 

「ええ、ただ当時の私には言い訳じみた妄言にしか思えなくて反省するよう注意したんですがそのまま喧嘩になりまして……」

「それが七か月前にトウヤ氏が行方不明になった経緯、と」

 

 

 状況は理解した、そうなるとこの後言われることも自ずと想像がつく。

 

 

「それでその……大した情報を出せなかった身でいうのも烏滸がましいんですが一つお願いがあります」 

「(やはり来るか)なんでしょうか」

「あの子が、トウヤが家出した後の足取りを調べていただけないかと」

「足取り? トウヤ氏本人の捜索ではなく?」

 

 

 想像したのとは違ったセリフが出てきて思わず首を傾げそうになる。

 

 

「トウヤが行方不明になってからもう7か月も経ちます」

 

 

 そう言って彼女は笑った。

 

 

「今の私よりも弱い彼が、漂流者で頼る当てだってあるかどうかすらわからないあの子が」

「今の狂った世界(インフレ環境)でまだ生きているだなんて、楽観的なことは言えません」

 

 

 

 酷く乾いた、疲れ切った笑い方だった。

 

 

 

 

◆ □ ▼ ○ ◆

 

 

 借りているマンションへ帰宅すると即座にPCを立ち上げていくつかのサイトへアクセスを開始。

 キリギリスの運営しているサイトだけでなくDDSNETの掲示板やレムルでのお得な情報をまとめたというややどころか胡散臭さしかないサイトにもアクセスを広げながら情報収集を行う。

 

 「龍殺しの情報を持つトウヤ氏とその雇い主である鍛冶師と何かがあった」のは間違いなく、それを調べることが【龍殺し】へ繋がる近道であるのは間違いない。

 しかし、肝心要の「何があったのか」自体は教えてもらうことが出来なかった。

 橋本明日未(いらいしゃ)にも自身の生活や仕事がある、故に自分の管轄でない情報をペラペラ喋ることはできない。

 だからこその無言であったし、頭を下げたのだろう。

 

 それに何も教えてもらえなかったわけではない。

 トウヤ氏を彼女が保護したのは「9か月前」、鍛冶師とモメた時期は不明、そして行方不明になったのは「7か月前」、ざっくり考えるなら7.8か月前ということになる。

 と言ってもその時期に姿を晦ました漂流者の足取り、と言われて精度の高い情報が出てくるのかもわからないし何より情報が集まるとも思えない。

 

 逆に言えば相手方、つまり「7.8か月前、何らかの事件事故に巻き込まれた現地在住の鍛冶師」であるならば何かしら情報なり話題なりに上がっている可能性は非常に高い。

 最初に調べる情報としてはピンポイントすぎるがその時は条件を範囲を広げればいい。

 そう考えて複数のサイトから情報収集を行い、

 

 

 

 一つ、それらしい情報が乗っているスレッドに辿り着いた。

 

 

 


 

 

【最近どう?】雑談したい人集まろーぜ part7【合体沼、つらくない?】

 

 

359:【名無しさん@LV上げ中】

 そういや竹芝のジーサンなんかあったの?

 今日整備してた武器取りに行ったらバチクソ機嫌悪かったんだけど

 

361:【名無しさん@LV上げ中】

 竹芝? 誰?

 

364:【名無しさん@LV上げ中】

 >>359

 上野レルムにある【竹芝工房】の主、竹芝樹(たけしばいつき)ことであってる?

 

365:【名無しさん@LV上げ中】

 そそ、なんかいつもに比べて愛想が死んでたんだよな

 

367:【名無しさん@LV上げ中】

 あのジジイ、愛想が良いことあったっけ?

 

368:【名無しさん@LV上げ中】

 あの店行ったことあるけど「おう」「そら、もってけ」「テメェにゃまだはええよ」以外喋ってるところ見たことないぞあの爺さん

 

370:【名無しさん@LV上げ中】

 >>367

 >>368

 今日行ったら無言で整備した武器の場所指差して返事の一つもなかったぞ

 

371:【名無しさん@LV上げ中】

 返事なし? 朝店の前通ったら馬鹿でけぇ声で挨拶してくるあの店主が?

 

373:【名無しさん@LV上げ中】

 あ、それなら知ってるかもしれん

 確か強盗が入ったらしいぞあの店

 

374:【名無しさん@LV上げ中】

 強盗?

 

376:【名無しさん@LV上げ中】

 ああ、武器数本盗まれたらしい

 

377:【名無しさん@LV上げ中】

 マジで? あの店1本100万マッカ*3するような武器も置いてなかったっけ?

 

380:【名無しさん@LV上げ中】

 100万マッカ……100万マッカ!? 何使ったらそんな値段になるんだよ!?

 

381:【名無しさん@LV上げ中】

 そういえば飾ってあった武器が何本かなかった気がするけど……そりゃあ落ち込むわ

 

383:【名無しさん@LV上げ中】

 >>380

 嘘かほんとか知らねーけどヒヒイロカネ? だとか貴重な隕鉄とか海外から仕入れた物資だとかふんだんに使ってるから値段がアホみたいに吊り上がるらしいぞ

 

386:【名無しさん@LV上げ中】

 まぁ強盗は捕まったはず、ただ問題はその後や

 

388:【名無しさん@LV上げ中】

 何? まだなんか問題あるの?

 

390:【名無しさん@LV上げ中】

 盗まれた武器、何がどうなったのかは知らんがほぼほぼゴミ同然のお釈迦にされたらしい

 

393:【名無しさん@LV上げ中】

 う、うわああああああああああああ!!!!

 

394:【名無しさん@LV上げ中】

 100万マッカのシロモノがお釈迦!?

 

396:【名無しさん@LV上げ中】

 しかも複数本だろ? 被害額どうなってんだよ……

 

397:【名無しさん@LV上げ中】

 聞きたいか? 俺は知りたくない

 

398:【名無しさん@LV上げ中】

 (喋らんで)いいです

 

401:【名無しさん@LV上げ中】

 てか強盗が入ったって本当なのか? たまたま店の掃除かなんかで除けてるんじゃ

 

404:【名無しさん@LV上げ中】

 >>401

 そういや少し前、夜頃にあの店付近でなんか人が集まってギャーギャー騒いでたけどもしかしてアレ強盗関係だったのか?

 

407:【名無しさん@LV上げ中】

 わからん、ただなんかあったのは間違いなさそうだな

 

410:【名無しさん@LV上げ中】

 お弟子さんともなんかあったみたいだし不幸が重なるな竹芝工房

 

413:【名無しさん@LV上げ中】

 弟子? 何ぞそれ?

 

415:【名無しさん@LV上げ中】

 ああ、多分だけど弟子と喧嘩したって奴だろ?

 

416:【名無しさん@LV上げ中】

 え、あのジジイ弟子取ってたの? マジで?

 

417:【名無しさん@LV上げ中】

 >>416

 マジもマジ大マジだよ、店行ったらジジイ以上に元気な挨拶してくれる清涼剤だぞ彼

 

420:【名無しさん@LV上げ中】

 鼓膜亡くなりそう>ジジイ以上に元気な挨拶

 

421:【名無しさん@LV上げ中】

 ディアでも唱えとけ、もしくは魔石でもいいぞ

 

422:【名無しさん@LV上げ中】

 んで? 弟子と喧嘩したって言ったけど理由は?

 

424:【名無しさん@LV上げ中】

 知らん、店にいないから勝手に喧嘩したんだと思ってた

 

427:【名無しさん@LV上げ中】

 ソースは俺とな

 

428:【名無しさん@LV上げ中】

 不確定な情報を嬉々として話さないでくれませんかねぇ?

 

430:【名無しさん@LV上げ中】

 ……なぁ、嫌な発想が頭に浮かんだんだけど

 

431:【名無しさん@LV上げ中】

 >>430

 おう言ってみろや、聞き流してやるよ

 

434:【名無しさん@LV上げ中】

 そこはちゃんと聞いてやれよ

 

435:【名無しさん@LV上げ中】

 いやその……師弟喧嘩と強盗、これ同じ時期に起こってね?

 

436:【名無しさん@LV上げ中】

 何ですか、喧嘩の原因が店番してた弟子が見す見す強盗に武器盗まれたことだというんですか?

 

437:【名無しさん@LV上げ中】

 あり得そう……

 

439:【名無しさん@LV上げ中】

 店番任したらたけぇ武器盗まれたはそりゃあ喧嘩、いや叱責になるか

 

440:【名無しさん@LV上げ中】

 ついてねぇなあのジジイ

 

441:【名無しさん@LV上げ中】

 確か弟子は流れ者だっけ? 自分の命優先しちゃったかー

 

444:【名無しさん@LV上げ中】

 それマ? これだからどこの馬の骨ともわからん奴に重要なこと任せれねぇんだよ

 

445:【名無しさん@LV上げ中】

 いーや、お前らはあの竹芝ジジイのことを勘違いしてる

 

446:【名無しさん@LV上げ中】

 勘違い?

 

448:【名無しさん@LV上げ中】

 なんだ、なんか文句あんのか?

 

450:【名無しさん@LV上げ中】

 文句じゃねぇ、ただあのジジイが弟子をそんなことで叱責するとは到底思えんからだよ

 

451:【名無しさん@LV上げ中】

 そんなこと(数百万マッカの損害)

 

454:【名無しさん@LV上げ中】

 そんなことで流して良いのかなぁそれ!?

 

457:【名無しさん@LV上げ中】

 >>451

 まだ確定じゃないから>被害額

 それはそうとそこまで言うならなんか確証でもあんの?

 

458:【名無しさん@LV上げ中】

 あるぞ、あの爺さんは身内にはバチクソあめぇんだよ

 弟子の安全と数百万のマッカなら間違いなく前者を取るぞ

 

461:【名無しさん@LV上げ中】

 そうなん? あの店行ったことないから知らんのだけど教えて他人

 

464:【名無しさん@LV上げ中】

 他人!?

 

466:【名無しさん@LV上げ中】

 >>464

 ごめん変換間違えた、他の人だ他の人

 

469:【名無しさん@LV上げ中】

 確かにそこそこ通ってるといくらか割り引いてくれたりツケで待ってくれたりするなあの店

 

471:【名無しさん@LV上げ中】

 >>469

 うっそだろ!? この業界でツケを待ってくれる武器職人存在してたのか!?

 

474:【名無しさん@LV上げ中】

 >>471

 言うて数日内に返せる目途はあるけど現物がないとかそういう時限定だけどな

 

477:【名無しさん@LV上げ中】

 いやそれでも待ってくれるのは凄いな、今度行ってみるか竹芝工房

 

478:【名無しさん@LV上げ中】

 じゃあなんでお弟子さんと喧嘩したんだよ

 店にいないってことはなんかあったってことだろ?

 

479:【名無しさん@LV上げ中】

 んなもんもっと下らねー理由だろ、目玉焼きに何掛けるかでモメたとかそんな感じ

 ちなみに竹芝のジジイはケチャップ派だ

 

482:【名無しさん@LV上げ中】

 塩とか醬油とかじゃないんだ

 

485:【名無しさん@LV上げ中】

 ケチャップかぁ……なんか意外だわ

 

487:【名無しさん@LV上げ中】

 覚えておくと良い

 武器作る時に甘味持っていくとちょっと割り引いてくれるし飯に関しては隙塗れだぞ竹芝ジジイ

 

490:【名無しさん@LV上げ中】

 知らぬところで弱みを暴露される竹芝爺さんの悲しき今

 

491:【名無しさん@LV上げ中】

 ケチャップとは軟弱な、男は黙って目玉焼きには山盛りジョロキアソースだろう!

 なぁ皆!

 

494:【名無しさん@LV上げ中】

 >>491

 ちょっとなにいってるかよくわかんないですね

 

496:【名無しさん@LV上げ中】

 >>491

 ちょっとなにいってるかよくわかんないですね

 

498:【名無しさん@LV上げ中】

 >>491

 ちょっとなにいってるかよくわかんないですね

 

499:【名無しさん@LV上げ中】

 >>491

 痛覚を鍛える特訓をしてらっしゃりますこと?

 

501:【名無しさん@LV上げ中】

 >>494 >>496 >>498 >>499

 この目玉焼きにジョロキアソースの良さが分からない異端者共がァ!

 

502:【名無しさん@LV上げ中】

 異端者はどう考えてもテメェだよ、目玉焼きにはつぶあんだろJK

 

503:【名無しさん@LV上げ中】

 えっ今日は目玉焼きにスイカ汁かけていいのか!?

 

 


 

 

 暫くその先のスレッド内容に目を通していたが話題が完全に食べ物談義に移行したのを確認した後該当箇所のやり取り及び念のためログのURLも一緒に保存、別ページで『竹芝工房』について何か語っているものが無いか調査を始める。

 

 

「過去ログの日付は今から約7ヶ月前……しかしまさか竹芝工房とは……」

 

 

 本来であれば店から調べる必要があるのだが名は聞き覚えがあった。

 ダンブルドアが寄越した無数にある小仕事の『鉱石配達』、生憎鉱石知識がないモニカにはただの鉄分を含んだ石ころにしか見えなかったがその店、つまり竹芝工房は態々イギリスから日本へ取り寄せることを選んだ。

 そして何より重要度がどれくらいの物なのかはわからないがダンブルドアの命により発注された小仕事の一つ、ならば連絡先くらいお互いに知っている可能性はある。

 

 そんなことを考えつつキーボードに指を走らせ、ネット上での竹芝工房に関する呟きや噂を集めていく。

 

 

『あのジーサン大丈夫か? 腕は鈍ってねぇけどなんつーか会話に張り合いがねぇんだわ』

 

『この間行ったけど随分大人しくなってて別人かと思った』

 

『弟子と喧嘩したと聞いたけどまだ和解できてないのか?』

 

『そもそも弟子何処だよ、見たことねぇぞそんな奴』

 

『つーことはマジで失踪したのか?』

 

 

(やはりトウヤ氏は竹芝工房のところで働いていたと見ていいな)

 

 

 ネット上に弟子の名前や顔写真等は見つかっていない、依頼を出したと明日未は言っていたが流石に顔写真をネットの海に公開していないようだ。

 それに先のスレッド投稿にあった【泥棒が入って武器が数本駄目になった】というのもその時あった出来事を隠すためにカバーストーリーだろうとモニカは睨んでいる。

 作られた武器はそう簡単に壊れるものではない、壊れるとすれば強敵との戦いで酷使したか

手入れも碌にせず悪い状態で使ったか、

 

 もしくは鍛冶師であるならばそれを鋳潰そうとした時くらいだろう。

 

 

(鋳潰す必要のある武器だった? それとも鋳潰すというよりもそれらの刀剣を使って何かを作ろうとした? だがそれに失敗して喧嘩になった?)

「……ふぅ」

 

 

 思考が煮詰まりそうな気配を感じて短く息を吐く、情報はこれ以上集まりそうになく後は直接竹芝翁本人に聞くしかないだろう。

 

 

 コトッ

 

 

「ん?」

「どうぞぉ……♪」

 

 

 何かと思い音の方向へ顔を向けるとそこにはサイドテーブルにビスケットの載った皿とマグカップを並べはにかむドッペルゲンガーの姿があった。

 

 

「ありがとう」

「どういたし……ましてぇ……♪」

 

 

 マグカップを手に取るとコーヒーとミルク、そしてうっすらココアの香りが立ち込めるモニカ自身が時折入れるミルヒカフェであることに気づく。

 口を付けると疲れた頭に砂糖の優しいというにはややくどいほどの甘味が口いっぱいに広がる。

 

 

「美味しい」

「よかったぁ……♪」

 

 

 穏やかな空気が広がろうかとしたその時、PCから音が響く。

 持っていたマグカップをサイドテーブルに置くと手早く内容をチェックする。

 

 

「メールか、内容は―――」

 

 

 

 

 

 

 

「――――――指名依頼のお知らせ?」

 

 

 

 

 


 

・スレッドの食べ物談義『目玉焼きに何を掛けるか』

 この後も何人かが調味料を上げ混戦としてきたところに『ザ・ヒーロー 何もかけない』が降臨、執り成しもあって食べ物談義は収束した……と思われたが直後に「小麦粉からなる生地にあんこを入れて円筒形ないし分厚い円盤状に焼成したあの和菓子」の名称を問いかける人物が登場し、また混戦模様に戻ってしまった。

 

 過ちは繰り返す。

 

 

・ミルヒカフェ(カフェオレ)

 ドッペルゲンガーの入れた飲み物、深煎りのドリップコーヒーと温かいミルクを1:1で割り、さらにそこへ角砂糖を3つ、隠し味にココアパウダーを少量入れてあるので非常に甘い。

 かつてモニカが学生の頃に当時の先輩から教わった飲み物。

 

『いいかい、ミルヒカフェにはね、角砂糖を最低4つ入れるんだ』

『入れれば入れるほど幸せになれる味なるし、眼もさえて勉強も捗るんだ』

『これがあればエナジードリンクなんて必要ないねェ!』*4

 

 その先輩を懐かしむ意味合いも込めて3個入れて作るのがモニカ流であり、またこのミルヒカフェの作り方を誰かに伝授したことも話したことも無い。

 

*1
※漫画ベルセルクに登城する「ドラゴンころし」

*2
※相場よりかなり安く品質も

 安定していたので5本程購入した

*3
今ほどインフレしてない頃の値段

*4
カフェインと砂糖マシマシな点はどっちも同じ

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