真・女神転生 オタクくんサマナー異伝:奇妙な旅に終わりはなく   作:黒橋

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お話を書くのってむつかしい


ミッションと暇つぶし、それと謎かけ


 

 ………………暇だ

 思った以上に、暇だ

 約束、いや契約とはいえ…………

 ああ……ん?

 いや

 来た、か

 


 

 

「はぁ……」

 

 とある悪魔曰く【買いあさる国】と評されたセクターC【カリーナ】フロア1F、天井近くまでぎっしりと色とりどりの品物のような何かが詰め込まれた棚で構成された通路の1つ。

 そこをデモニカを着込んだ女性、モニカ・ヴァイスヴィントが溜息を付きながら歩いていた。

 

「こういう時、『ため息をつくと幸せが逃げる』とでも言えばいいのだったかしら?」

 

 

\カカカッ/

妖精ハイピクシーLV22耐性:火炎・氷結・電撃耐性

 

 

 そんな様子に対して口を挟んだのは小人サイズの悪魔、妖精ハイピクシーである。

 先の魔人との戦いで奮戦した仲魔の1人であり、彼女の魔法がなければモニカ達はレッドスプライト号に戻ることはなかっただろう。

 

「ま、私達が倒れた後はどうなるのか不安だったけど命が拾えたようで何よりじゃない」

「うむ、運が味方してくれたのが大きいな」

「それはよかったわ。 ところでサマナー、1つ良いかしら?」

「なんだろうか」

 

 

「何か隠してない?」

 

 

 小さな身体ではあったが、そんなことは関係ないとばかりの圧。

 

「……何のことかな?」

「とぼけないで頂戴。 探索と採取の仕事なら後1体は仲魔を呼ぶはずなのに私しか呼んでない時点で怪しさ満点よ」

「ははは……貴公に隠し事は出来ないな」

 

 モニカはヘルメット越しに頭をかきつつ観念する。

 ある意味丁度いいタイミングだったかもしれない。

 なんせ、約束した場所はこの辺りなのだから。

 

「隠し事に関してはもうすぐわかるのと……ハイピクシー、貴公だけを呼んだのは【アレ】と1対1で会いたくなかったからだ」

 

何処か遠い目を浮かべつつ独り言ちるモニカ。

 

「【アレ】? というか何よそれ、何で私だけ呼んだの?」

「他の仲魔では最悪戦闘になりかねないから、かな……」

「ちょっと、一体何の話」

 

 

 

 

 

 

 

『ああ、よかった。 待ちくたびれて会いに行くべきかと思ってたところだ』

 

 

 

 

 

 

 

 ハイピクシーの言葉が頭上からの声に遮られるのと、近くの商品棚の天辺にいた【何か】が降ってくるのはほぼ同時のことであった。

 思わず身構えるハイピクシーであったが、無言のモニカが手で制してきたのを見て訝し気になりつつ降ってきた【ソレ】を見て固まる。

 

 

『やぁやぁ19時間と37分とんで48秒ぶりだな貴公、そして初めまして見知らぬお嬢さん』

 

 

 胸元に手を当てつつ朗らかに一礼をするのは少女のような姿をした悪魔である。

 豊かな金色の長髪を二つ結びにしており、瞳はくすんだ金色。

 服装はモニカが着ているデモニカスーツと非常によく似たものであり、腰にマシンガンを下げている。

 

 

「な、何コイツ……ってサマナーそっくり!?」

「まさか時間を数えて待っていたのか、ドッペルゲンガー」

 

 

\カカカッ/

外道ドッペルゲンガーLV25

 

 

 名を呼ばれた悪魔は表情に笑みを張り付けたまま語り出す。

 

『無論……冗談だとも、こういう時に必要なのはウィットを含んだジョークなのだろう? あげた時間は適当さ』

「そうか」

 

 言葉を返すモニカであったが、

 

(確かレッドスプライト号に帰還した時間帯と今の時間帯を換算すると大体19時間くらいなのは間違ってなかったような……まぁ偶々だろう……偶々だな、うん!)

 

 それ以上考えるのは怖かったので深く考えないことにしつつ見つめ返したところ、

 

『うん? 何かな貴公、ここは感動の再会を称してハグの一つでも?』

 

 両手を広げながらそんなことを宣う悪魔。

 

「仲魔ならともかく契約もしてない悪魔にそんなことをしたら首をへし折られると思うのだが?」

『わかってるじゃないか、安心したよ』

 

 害意の有無を言及すれば悪びれるどころか肩をすくめつつの肯定。

 相変わらず表情こそ笑顔を浮かべているものの、その眼の奥は笑っておらず殺意を放っている。

 ただ、最初にあった時のような純粋な殺意ではなく、代わりに何か別の感情を混ざっているようにも感じる。

 

 

「……ねぇサマナー、これはどういうことなの?」

 

 

 もっとも蚊帳の外なハイピクシーとしては色々と聞かずにはいれない。

 軽く息を吐くと意を決したように口を開くモニカ。

 

 

 

「あの魔人との戦闘の後に絡まれたんだ」

 

 

 

 だが言うべき内容を限界まで圧縮した結果、物凄く雑な説明になってしまった。

 

「……ふざけてるの?」

「私は大真面目だ! むしろ何でここまで絡まれてるか私が知りたいくらいだ……」

 

 またため息が零れそうになるのをぐっと堪えつつ半眼のハイピクシーに応じる。

 

『おっと、修羅場という奴かな?』

「ドッペルゲンガー、大体貴公のせいなのだが……?」

 

 口を挟んできたことにこれ幸いとドッペルゲンガーに向き直り、

 

「それとその呼び方はやめてほしい」

『……? 貴公を貴公と呼んで何が悪い?』

「私と同じだと紛らわしいし分かりにくい! 私の名前はモニカだ、呼ぶならそっちで呼んでくれ」

 

 姿を真似る悪魔に向かってそんなことを言い放つモニカ。

 

「ちょ! サマナー!?」

 

 慌ててハイピクシーがモニカが口をふさごうとする――もっともデモニカヘルメット越しなのでどうやっても無理だが――も時既に遅く、せめてモニカと相対する悪魔の間に割って入ろうとして、

 

 

『……』

 

 

 そんなハイピクシーの行動なぞ見てないかのように無言で笑みをさらに深くしそのまま少し考え込むように腕を組み始めたドッペルゲンガー。

 何か皮肉でもこぼすかと思ってたモニカにとっては予想外な反応に首を傾げるとハイピクシーの平手がヘルメット越しに頭へ衝撃を伝える。

 

「ん? ハイピクシー、そんなことをしてもデモニカ越しでは何の痛みもないぞ?」

「このお馬鹿! 仲魔でも何でもない悪魔相手に自分の名を軽々しく告げるんじゃないわよ!」

「……不味かったのか?」

「悪魔嫌いのゼレーニンの目の前で仲魔大量召喚してパーティを開く方が遥かにマシ!」

「なんだそれは、どこの命知らずだ?」

「アンタの話だけど!?」

 

 と、2人で言い争っていると

 

『フフフ、安心してほしいお嬢さん』

 

 考えがまとまったらしいドッペルゲンガーが語りかけてきた。

 

『少なくとも今この場でモニカをどうにかするつもりは一切ないさ』

「ほら、こう言ってるぞハイピクシー」

「アンタねぇ、いくらなんでも悪魔の言うことを簡単に信じすぎよ」

「そう言われてもな……」

 

 

「そういった言葉すら疑い出すのであれば最初ピクシーにあった時、私に仲魔はできなかったよ」

 

 

 セクターA、【アントリア】。

 当時の機動班は今のようなチーム分けができるような状況でもなく、襲い掛かってくる謎の存在に怯えながら未知の世界に足を踏み出して必死に今の状況を生き抜くべく行動していた。

 そんな中、無邪気に語りかけてきたのは小さな妖精たち。

 ハイピクシーはその光景を知らない、しかし悪魔合体により受け継がれた『何か』が言葉を詰まらせた。

 

 

「……それを引き合いだすのはずるいわよ」

「そうかもしれないな、だが今回もまたそういう事だと思うんだ」

 

 

『……話は終わったかな?』

 

 話の一段落を悟ってか、ドッペルゲンガーが口を挟んできた。

 

「おっとすまないなドッペルゲンガー」

『なぁに、前回たっぷり笑わせてもらったから多少のことは大目に見よう』

「一体何を言ったのよサマナー」

「ただ会話の途中で席を外すのはマナー違反と言っただけだ」

「あーはいはい、大体わかったわ」

 

 事情を察したのか、ハイピクシーが半眼になった。

 モニカは気まずさからか、ハイピクシーの目線から逃げるようにドッペルゲンガーに向き直る。

 

「それでここに来いと言われてきたが貴公の目的はなんだ?」

『ああ、そうだな……』

 

 呼び出しておきながらどこか曖昧な態度のドッペルゲンガー。

 

 

 

『よし、私の暇つぶしに付き合ってもらおうか』

 

 

 

「ねぇサマナー、もしかしてこの悪魔何も考えてなかったんじゃない?」

「奇遇だな、私もちょっとばかり不安になってきた」

『早計だな、話は最後まで聞いて欲しいものだ』

 

 と前置きをしつつ喋り出した。

 

『他の悪魔達も噂しているぞ、【人間達がブタを殺すために詐欺師の手を取った】と』

「すまない、そもそも『ブタ』とは誰のことだ?」

『そうか、モニカはアレを直接見たことがないのか……この世界のボス、そういえばわかるか?』

「ボス悪魔のことか! では詐欺師というのはもしや」

 

 モニカがある悪魔の名をあげようとしたところでドッペルゲンガーが口元に指を一つ立てたことに気づき押し黙る。

 

『わかったのなら口に出さない方がいい、アレは耳が良いからな』

「ということはもしやボス悪魔の討伐に協力してくれるのか!?」

 

 現地悪魔が手を貸してくれることは度々あったと情報共有時に聞いたことがあったがまさかこんな形で協力が得られるとは!

 そう思うモニカであったが、

 

『いや違うが?』

 

 やんわりと否定するドッペルゲンガー。

 

「えっ」

『大体よく考えてほしいのだが、私はただのドッペルゲンガーに過ぎないのだぞ? 精々知ってるのはアレが何ができるのかくらいだ』

「十分すぎるぞ! それにもしやあのボス悪魔が何か特殊なことをするのであればその情報は千金に値する!」

『あのブタがそんな器用なことをするものか、アレは食って暴れるしか能のない阿呆だぞ。 ……まぁ私は勝てんが』

 

 その事実を口にするのが嫌なのか顔をしかめる。

 

「ねぇちょっとおかしくない? 確かドッペルゲンガーって物理攻撃が一切効かないんでしょ? なら暴れるしかない相手と相性はいいと思うのだけど」

『ふん、確かに私一人でもブタは殺せるさ。 だが私では()()()()()

 

 ハイピクシーの質問に対して何処か意味深なことを言い出すドッペルゲンガー。

 それを聞いたモニカが何か理解したのか顔を歪めつつ口を開く。

 

「つまり……それが知りたいなら自身の暇つぶしに付き合え、と?」

『話が速くて助かるよ』

「気を付けてサマナー、コイツが嘘を付いたら大惨事待ったなしよ」

 

 注意を促すハイピクシーであったが、

 

『良いことを教えてあげようお嬢さん、あのブタはこの世界のトップであるが敬ってる悪魔は少数だぞ』

「……この世界の管理者なのに?」

『質問に質問で返すようで悪いがそうだな……仮に妖精をバリボリ食うのが趣味の悪魔が居たらお近づきになりたいかい?』

「絶対嫌!」

 

 ついでとばかりに教えられた情報にあっさりと言葉を返した。

 

『そういうことだ、アレは力と食欲があるだけの阿呆な輩なのでね。 ちなみに私は目に入れたくない程度には嫌いだ』

 

 

『だからこそどこかで始末したいとは思っていた……そこでやってきたのが貴公らだ』

 

 

 そう語る悪魔の表情は笑顔だけでなく怒りと憎悪が混ざっている、もしかしたら過去何かちょっかいの1つでもかけられたのだろうか。

 眼前の感情を爆発させた悪魔の様子に表情が引き攣るモニカとハイピクシー。

 

 

「ダーク・カオスの悪魔の話とは言え、どんだけ嫌われてるのよここのボス悪魔」

『……と言っても私と交渉するような物好きはいなくてね、ならばと暇つぶしに見かけた人間と鬼ごっこをしていたところに出会ったがモニカだ』

「あんな出会いからこんな話に発展するのは私も想定外なんだが」

『これが私の事情だ、納得していただけたかな?』

「納得はできたが理解したくなかったのが本音かな……」

 

 

 

 

 ―――唐突だがレッドスプライト号には各国から集められた人材にはモニカのような軍人・傭兵の荒事担当なだけでなくあらゆる分野の専門家も搭乗している。

 その中にオカルトに精通した人物もおり、今回の旅路に一役どころかとても心強い存在である。

 

 

「悪魔というのは人間離れした存在ではあるがある意味人間味の強い存在もいる」

「例えるなら諸君は既に出会った妖精のような比較的人間と接する機会が存在する悪魔、もしくは極まったものになるとただただ気に食わないだけで世界すら滅ぼしかねないような悪魔とかね」

「そしてこれからの調査、そういった危険な悪魔との出会いは避けれないと考えたほうが良いだろう」

「もしそういう悪魔に出くわしたのなら対処法は一つ」

 

「『なるべく刺激を与えないように穏当に立ち去ってもらう』だ」

 

「ん、何かなヒメネス。 『うまく利用するのは駄目なのか?』……なるほど」

「良い意見だ、確かにうまい事渡りを付け契約を結べればきっと我々にとって良い方向に転がってくれるだろう」

「それに悪魔にとって契約はとても大切なものだ。 事を終えるまでは我々と同じ道を歩んでくれることは保証される」

「……契約を果たした後そのまま何事もなく立ち去ってくれるかかどうか、という問題はあるけどね」

「故にこそ『なるべく刺激を与えないように穏当に立ち去ってもらう』、これが重要になるのさ」

 

 

 これはシュバルツバースへ降り立って少しした後にあったミーティングの内容である。

【悪魔との接し方はどうすればいいのか?】という質問に対しての回答であり、端的に言えば「セクター攻略に関係のなさそうな危険な悪魔はなるべく関わらないようにしよう!」となったわけである。

 

 

 

 なおモニカは絶賛ヤベェ悪魔に絡まれてしまったわけなのだが。

 

「……で、その暇つぶしというのは何をすればいいんだドッペルゲンガー」

 

 ここで断って帰るのは絶対碌なことにならないと判断して話に入るモニカ。

『わかってるじゃないか』と笑みをさらに深くしつつ喋り出すドッペルゲンガー。

 

『そうだな……よし、ここは謎解きと行こうじゃないか』

「「謎解き?」」

『そちらにとっても悪い話じゃないさ』

 

 にこやかな笑みを張り付けたまま、悪魔は囁く。

 

 

 

『【豚のような蛇】【飢えたる王】、この2体を探し出してもらおう』

 

 

 

 聞きなれない単語を2つほど口にした。

 

「質問がある」

『構わないよ、まぁ全ては答えられないが』

 

 同じ顔をした二人が見つめ合う。

 

「その2体が悪魔であると仮定して話すが……具体的に探し出すというのは?」

『ふむ、なら悪魔交渉をしてもらおうかな。 その2体のどちらかだと確信を持った上で、ね』

 

 鏡向こうへ語り掛けるように情報を聞き出す。

 

「悪魔交渉の内容は? 仲魔にして連れてくればいいのか?」

『どういう交渉をするかはそちらに任せる、極論世間話でもいいさ』

「む、それでは交渉したかどうかわからなくないか?」

『安心すると良い、こちらも遠くから観察しておこう。 2体と交渉が終わったらまたここに来てくれ』

 

 ひどく真面目な顔と愉快そうに笑みを浮かべた顔、2つが並び立つ。

 

「他の人間から助力を得るのは?」

『それはやめてほしい、どうしてもわからなければここに戻ってくれ。 私からヒントの1つくらいは出そう』

「そうか」

 

 視線を外し、手元の武器の確認してから背を向ける。

 

『他に何か聞きたいことは?』

「いや、大丈夫だ」

『ま、気楽にやろうじゃないか。 これは暇つぶしなのでね』

 

 いい加減な言葉を喋るドッペルゲンガーをその場に残し、モニカ達(ドッペルゲンガー)ミッション(暇つぶし)が始まった。

 

 

 

 


 

【EXミッション:鏡向こうの謎掛け】が発令されました。

 


 

 

 

 ・登場人物紹介と伝達網

 

 

 

 モニカ・ヴァイスヴィント:

 

 何も考えてないかと思ったら急に謎掛けとかアイツは何なんだ……? となってる人。

 とりあえず心当たりのある悪魔は一体は知ってるのでそいつを探しに行くことに。

 

 

 ドッペルゲンガー:

 

 【豚のような蛇】【飢えたる王】……

 まぁどっちもわかりやすいし問題ないだろう、と思ってる悪魔。

 こんなことで暇は潰せるのか、それはこの悪魔にしかわからない。

 

 

 レッドスプライト号の連絡伝達網より:

 

 ・技術班より伝達、フォルマサーチ及び解析の改良に成功、

 これ以降はフォルマだけを見つけ出す「フォルマサーチ」と悪魔だけを見つけ出す「エネミーサーチ」、この二つを使い分けるようにすること*1

 

 

 

*1
この世界の技術班は知識及び技術力不足でそれ以前はフォルマとエネミ―サーチがごっちゃになってた、という話で進めていきます




目次の文面、簡素なのでどっかで書き直すか悩み中。

追記:ちょっと書き足してみた。
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