真・女神転生 オタクくんサマナー異伝:奇妙な旅に終わりはなく   作:黒橋

5 / 15
実は4と5の話は1つの話にする予定でしたが思いの他長くなかったので分けました

遅くなって申し訳ない


未知の共闘、そして対抗策

\カカカッ/

妖虫ミルメコレオLV22耐性:??? 

 

 

 

「……」

『ほう? このような場所にニンゲンが来るとはな……』

「…………むう」

『どうした? 貴様らにとって我らは殺すべき敵、疾く武器を構えるがいい』

 

 煽るような発言をするミルメコレオ、それに対して

 

「二人はどう思う?」

「どうって……ねぇ?」

「当たりじゃろコレは」

「やっぱり?」

 

 異形の悪魔からは聞こえない程度の声量でやり取り。

 

「ニンゲンの世界だと王なんでしょ獅子って」

「それにあの姿、まともに食事ができるとは思えん」

「よし、頑張って世間話だ!」

「頑張ってねサマナー」

「わしゃぁ応援しとくぞい」

「……フォローくらいは頼む」

 

 こそこそと会話を終えつつ【飢えたる王】、もといミルメコレオに向き直るモニカ達。

 

「待たせたなミルメコレオ」

『何故我の名を知って……まぁいい、何の作戦会議かは知らんがいいだろう。 かかって』

「その前にちょっと話さないか?」

『……何?』

「おじいちゃん、私不安になってきたんだけど」

「わかるぞい、この流れでそれはアカンわい」

 

 明らかに機嫌が悪くなった様子であるものの、気にせず続ける。

 幸先不透明な光景に思わず呻く2体。

 

『どういう意図だニンゲン、我らは貴様らの敵ぞ?』

「そうとも限らないさ、敵であろうとも会話は出来るし味方だろうとも背後から襲われることだってある」

『貴様の事情なぞ知らん』

「まぁ今回のはサマナーが空気読まなかったのが悪いけどね」

「偶に嬢ちゃんが何を考えているのかよくわかんわい」

 

 容赦なくフォローでなく追撃を叩きこむ仲魔達(ドワーフとハイピクシー)

 

「こんな風にな」

『良い感じに言っても我は騙されないぞ』

 

 モニカの誤魔化しに掛かった姿を見て、闘争の空気でないことを理解したらしく深くため息をつきながらも戦闘の構えを解いた。

 

『そうなると目的は交渉か』

「勿論だ、何を欲しい? なるべくは応じる準備はあるぞ」

『ほう?』

(ここまでの探索でマッカや魔石も増えた。 貴重品の宝玉もあるしこれなら何とか)

『そうか、ならば』

 

 

『我の空腹を紛らわせてみせよ』

 

 

 どこかで聞いたような要求を突き付けてきた。

 

「今悪魔の間では食料ブームでも来てるのか?」

「さっき見たわねこの流れ」

「むぅ……」

 

 先程世間話をした【豚のような蛇(チョトンダ)】の姿が頭に浮かぶ。

 

『どうした、「なるべく応じる」のであろう? それとも先程の言葉は虚言か?』

「……いいや、無論応じるとも」

 

 静かに悪魔と向き合いつつ応じるモニカ。

 

「ううむ……」

「ちょっとおじいちゃんさっきから唸ってばかりだけどどうしたの? お腹痛いの?」

「ん、いやなんというかこう……『らしくないのぉ』と思っての」

「『らしくない』?」

「うむ」

 

 心配そうにサマナー(モニカ)の小さな背中を見つめてそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 唐突ではあるがモニカ・ヴァイスヴィントの話をしよう。

 

 彼女は優秀な軍人である。しかもただ優秀なだけでなく軍人になるために必要な身長*1未満の140㎝という小柄な体格でありながらも入団テストで優秀な成績を残したが故の特例処置による入団、そこから破竹の勢いでの昇進。

 同期は羨むどころか「アレは別の存在だから」だと認識するのも諦めたし、上官は「自分の地位が脅かされるのでは?」と戦々恐々、上層部は「このままいけば将校、もし駄目だったとしても広告塔には使えるな」とご満悦であった。

 無論彼女自身の頑張りもあっての昇進、エリート街道を爆走するその様は多くの嫉妬や羨望を受けてもなお止まることはなく歩み続けた。

 そしてその優秀さ故か、はたまた軍内部の政治的思惑があったのかはわからないが、モニカの元に【特殊任務】が通達された。

 事前の説明は一切なく、ただ上から「受けるか否か」だけを問われたものであったものの、その誓約書に迷いなくサインをしたのも彼女の選択であり、

 

 

 結果モニカは軍人としては初めて挫折することになった。

 

 

 その特殊任務の内容は【シュバルツバース調査隊への参加】。

 モニカ以外にもドイツから参加した人員は数多くいた。

 

 上官で指揮の高さを買われた穏やかな女性が居た。

 部下であり優秀な工兵でお調子者な男が居た。

 集中すると周りが見えなくなる悪癖があったが探査艦にも使われているプラズマ技術を扱う技術者が居た。

 

 

 非常に優秀で技術や実力を持つ人達であった。

 シュバルツバース突入後、全員死んだ。

 

 

 上官は正体不明の何か(解析前の悪魔)に群がられて全身が溶けた。

 部下は浚われた仲間を助けようと単独行動をして背後から襲われたのか頭がなくなった。

 技術者は探査艦から連れ去られて行方不明のままだ。

 

 そんな地獄(シュバルツバース)ただ優秀なだけの軍人(モニカ・ヴァイスヴィント)は生き残った。

 生き残ることに必死でそれ以上のことはできなかった。

 そしてそんな地獄で奮戦する仲間達が居た。

 

 ある者は備え付けられていたナイフで多くの悪魔を切り伏せた。

 ある者はシュバルツバースで届いた謎のプログラム、【悪魔召喚プログラム】を誰よりも早く使いこなしてみせた。

 ある者はそのプログラムを解析、そこからデモニカのサブアプリをいくつか作り出した。

 

 怯まず、ただひたすら地獄で適応する姿を見て理解してしまった。

 

 

「ああ、自分はただ優秀なだけの軍人に過ぎないのだ」と。

 

 

 そのまま心折れて後方に下がることもできなくはなかった。

 現に何人かは本来の業務から外れ探査艦から降りずに減った人員の補助として働いている。

 選択肢は、確かに存在していた。

 

 故にこそただ優秀なだけの軍人(モニカ・ヴァイスヴィント)シュバルツバースへと降り立つ(前に出る)選択した。

 

 悪魔への恐怖を乗り越えたわけでもなく、死んでいった仲間への思いが消えたこともなく、誰かに後ろ指を刺されることに怯えたわけでもない。

 ただ、何もできないのは嫌なのであった。

 軍人が持ち場を放棄したのであればそれはもう軍人ではなくただの人に過ぎない。

 そして何よりやるべきことをしている仲間を負担を減らすためにも動けるのであれば前に出るべきだと感じたのだ。

 

 だが軍の知識や技術だけでこの地獄(シュバルツバース)を渡り歩くのは難しい。

 そこで目を付けたのが襲い掛かってくる存在、悪魔についてである。

 と言ってもやれることはレッドスプライト号のライブラリに保存してあった神話や悪魔に関する書籍を読んで知識を詰め込むことと()()乗っていた悪魔や神話に詳しい『専門家』に教えを乞うくらいのことしかなかった。

 もっともその甲斐あって先のチョトンダとの交渉も想定外はあっても円滑に事を運ぶことができた。

 

 

 

 そして現在、

 

 

(ミルメコレオ……レオはラテン語のライオンなのは間違いない。 じゃあ「ミルメコ」はなんだ? 流石に蟻のラテン語は知らないし仮にその意味なら前見たラテン語関連の神話・悪魔資料で見かけているはず……)

 

 モニカは未知の存在ともいえる悪魔と向き合っていた。

 

(……駄目だ、事前に読み込んだレッドスプライト号の悪魔ないし神の伝承に関するライブラリにそんな悪魔いなかった!)

 

 モニカは知らない、目の前の悪魔はその特殊な出生故に分類が特殊な項目に隔離されていたため情報を知る機会がなかったことを。

 結果どのような存在なのかわからず、逸話も知らず、何を是とし何を否とするのかすら不明。

 故にモニカが取れる手は一つだけ。

 

「いくつか質問良いか?」

 

 目の前にいる存在から聞く、それしか方法がなかった。

 

『構わんよ、まぁ無駄だろうがな』

 

 皮肉気に笑うミルメコレオ、どうやらよほどの自信があるようだ。

 自身の空腹が紛らわせることができないという悲しいものではあるが。

 

「(先ずは情報を集めるしかない!) そもそも貴公は食べれるものはあるのか?」

『食えることは食える……まぁその先はないがな』

「原因はその姿か?」

『そうだ、この呪われし姿こそが我を飢餓へと追い込むのだ』

「……そうか」

『ふん、もし憐れもうものならその喉笛を食いちぎってやったものを』

 

 軽く鼻を鳴らし、『あ、いや』と何かを思い出したのかさらに続ける。

 

『そういえば最近1つだけ食べても死ななかったものがあったな』

「ほう、食事ができない貴公が食べれるものとは興味深い。 それは?」

『詳しくは知らん、上の階層を散歩している時に見かけた袋に入ったモノだ』

「……うん?」

 

 頭によぎるのは先の交渉で使われた貢物(スナック菓子?)

 

『妙に気になる香りだったが故に口へ運んでみたが……中々に美味であった。 あの時は腹も膨れた上に他の同胞と違って死にもしなかった』

「なるほど」

『まぁ仮にそれに該当するものがあるならそれで満足してやってもいいぞ?』

「生憎そのようなものは(今)持ってない。 別のものにしてくれ」

『……そうか、まぁいい。 あの後探したが見つからなかった故に貴重なものなのだろう』

 

 勝手に納得するミルメコレオと情報こそ増えたが別の謎(スナック菓子?)がさらに深まった。

 断定はできないもののあのよくわからないスナック菓子っぽい何かしか食べれてない、ということは凡その食べ物の摂取は不可能と考えていいだろう。

 手元の荷物を漁りつつ、中身を確認するモニカ。

 

「サマナー、何かないの?」

「う、うーん……いざとなれば先程集めた宝玉*2の10個セットで何とかするしか……」

「大盤振る舞いじゃのぉ……確かに誠意を見せればいけるかもしれんが受け取ってくれるかの?」

「それがなぁ……あっ」

 

 ズダ袋を漁って宝玉を取り出そうとするといくつかのフォルマや作成アイテムが零れ落ち、いくつかのアイテムが転がっていった。

 

『ん? これはなんだ?』

 

 そのうちの1つがミルメコレオの元に転がり、不審そうな顔でそれを指先でつつくのと、

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「ミルメコレオ! 今すぐそこから離れろ!」

『何?』

 

 しかし時既に遅し、ピンが外れたソレから黄色い煙が噴き出し悪魔を覆い隠した。

 

『……なんだ、煙幕か。 この程度のもの、わ』

 

 煙の向こうから声が聞こえなくなるのと同時に何か大きなものが倒れたような音が響く。

 暫くすると煙が消え、その中から倒れ伏した悪魔の姿が見える。

 死んではいない、但し陸に上がった魚のように細かく痙攣してた。

 

『ははははははかかかっかかたったたたたったたななななななんあ!!!???』*3PALYZE

「ちょっとサマナー! 何落っことしたの!?」

「うわぁちょっと気持ち悪いくらいビクビクしとるんじゃが」

「対悪魔兵装のデビルパライズ*4だ!」

 

 そう言いつつ荷物からディスパライズ*5を取り出しミルメコレオに吹きかける。

 暫くすると痺れが取れたのか様子が元に戻った。

 

『はー……はー……な、なんだ今のは……?』

「すまないミルメコレオ、ちょっと手が滑ってデビルシリーズのパライズが零れ落ちて……」

『デビルシリーズ? 他にも似たようなものがあるのか?』

「まぁうん……毒と眠りを引き起こすものがある」

 

 自身の不手際だったので正直に話す。

 それを聞き何か考え込む悪魔。

 何とも言えない微妙な沈黙が続き、口の先に開いたのは【飢えたる王】。

 

『ところでニンゲン、先の行動は貴様に非があると思っていいか?』

「そうだな、もう少し慎重にすればアレが転がらずに済んだはずだ」

『ならば我の要求を聞いてもらおうか』

「よほどのことでなければ聞くがなんだろうか」

『他のデビルシリーズとやらを我に使え』

「えっ」

『聞こえなかったのか? 先ずは毒状態になるというデビルシリーズとやらを使え』

「すまない、それは我々が毒状態になれということであってるだろうか?」

『全然違う、我に使え』

「正気か貴公!?」

『正気だとも、早くしろ』

 

 錯乱したかのような要求に困惑するモニカ達。

 

「いいのか! 一応実験で試したがかなりきついんだぞあの毒状態!」

「サマナー、マジで何やってるの?」

「何って、疑似的とは言え悪魔の毒が再現できたのだぞ? 戦闘中不意にかかるよりも事前に体験した方が心構えも身につくと思わないか?」

「嬢ちゃん、流石に引くんじゃが」

「なんでだ!?」

『早くしろ、こう見えて我は気が短い』

「ええい! 後で文句を言うんじゃないぞ!」

 

 仲魔からの視線が氷点下以下に落ち込んでいることから目を背けつつにデビルポイズン*6を悪魔の足元に投擲した。

 今度は紫色の煙が噴き出して悪魔を覆い隠し、

 

『ふん、この程度の毒に我が屈するとでもガフッ』【POISON

 

 煙が晴れた先にはしっかり毒状態になった悪魔の姿。

 

「ホラ言わんこっちゃない!」

 

 ディスポイズン*7を取り出そうとするモニカの耳にデモニカアプリの一つ、【エネミーサーチ】の通達。

 

【注意! 注意! 悪魔接近! 悪魔接近! 対処ヲ! 対象複数! 該当悪魔アリ! 該当悪魔アリ! 該当悪魔【モウリョウ】! 該当悪魔【モウリョウ】! 対処ヲ!】

 

「チィ! このタイミングでモウリョウの襲撃だと!」

「嘘でしょこんなややこしい事態になってるのに!?」

「相手が分かっているだけマシだ! とりあえず私がマシンガンで牽制するからドワーフの合間合間に突っ込んで確実に数を減らしてくれ!」

「おう!」

「サマナー、私は?」

 

 ハイピクシーの言葉にアナライズ情報を流し見る。

 

「モウリョウは……氷結耐性持ち! 前に出るとマシンガンで巻き込みかねないから回復で前線維持! 一応ミルメコレオも回復に巻き込んで!」

「えっこいつも回復しなきゃダメ?」

「こんなところで毒死されたら後が面倒だ! わかったら行動!」

『我の切なさ乱れ撃ちが火を噴こうではないかゴホッ』

「すっこんでろミルメコレオ!」

 

 そうこうしている内に悪魔の群れは現れる。

 

 

\カカカッ/

幽鬼モウリョウLV17耐性:火炎・氷結・呪殺耐性、電撃・疾風・破魔弱点

 

 

 幽鬼の群れが、生者たるモニカ達に襲い掛かる。

 

 


 

 

『……何をやってるんだモニカは』

 

 呆れたように声を漏らすのはデモニカのようなものを着込んだ人物。

 暗闇に溶け込むように佇んではいるものの、他悪魔が気づいて近づこうとしてその正体に気づくと興味を失ったように去っていく。

 その人物もとい悪魔、外道ドッペルゲンガーはモニカの戦闘の様子を気だるそうに眺めていた。

 戦いが始まる前は何処かワクワクとした表情を浮かべていたものの今その表情は退屈そうなものに変わっている。

 何故かと言えばそれは、

 

『しかしまぁなんだ……地味だな』

 

 その戦いを悪魔はそう評した。

 人間(モニカ)のマシンガンによる面の攻撃で相手の出鼻をくじき、その攻撃の合間を縫うように地霊(ドワーフ)の一撃が確実に悪魔を落としていく。

 時折、妖精(ハイピクシー)の魔法が飛び傷ついた人間と地霊を癒しているのも見える。

 堅実に相手を倒す教科書めいた動き。

 

『ただこれじゃ数に押し切られる』

 

 なるべく近づけないように立ち回っているのも悪魔(モウリョウ)の持つスキル【特攻】*8を警戒してのことだろう。

 だが相手にしている悪魔はモウリョウ、出てくる数が只管多い悪魔である。

 面による抑え込みが効いてないのか徐々に押し込まれているのが見えた。

 

『……の、はずなんだが』

 

 連れている仲魔2体だけであるならそうなってもおかしくはない、しかし

 

『フハハハハハ! 我が弾幕の錆びと成れィ!』

 

 

切なさ乱れ撃ち攻撃スキル敵複数体に銃属性の小ダメージ、追加効果「消沈」*9

 

 

「ちょっとサマナー! なんでコイツもこっち側で戦ってるのよ!」

「知らん! だがこのままだと押し込まれかねん! ミルメコレオ! もっと弾幕を貼ってくれ!」

『いいだろうフハハハハハ!!!』

 

『いや本当にどういうことだ?』

 

 どういうわけなのか先程まで交渉していた悪魔と共に戦っているのが見えた。

 その甲斐あってかモウリョウの数が徐々に減っていくのがわかる。

 

『……やれやれ』

 

 もっともドッペルゲンガーからすればそれは悪手にしか見えなかった。

 何故ならばやかましく騒いでいる大声もまた悪魔を引き寄せている原因になっているからだ。

 追加で何体かの悪魔が向かっているのを横目に、

 

『本当に楽しそうだな、モニカ』

 

 皮肉げに、口元を歪めつつ呟く。

 その言葉は誰にも聞かれることなく暗闇に溶けた。 

 

 


 

 

 

「……点呼、1」

「2」

「3じゃ」

『4……まぁ他愛もなかったな』

「「「ぶっ飛ばすぞ貴公(わよ)(お主)」」」

 

 1人と2体は肩で息をしつつ点呼をしていた

 モウリョウの掃討自体は途中からミルメコレオの弾幕もあって何とか完了した。

 もっともその後も悪魔が群れを成すようにやってきたため掃討作戦は続き、途中現れた野良ドワーフにドワーフが語り掛けて何とかお帰りを願うことに成功。

 ついでに毒状態は解除したものの何処か艶々した雰囲気のミルメコレオでドヤ顔で点呼に乗ってきた。

 

『しかしなかなかどうしてやるではないかニンゲン。 それはさておき最後のデビルシリーズとやらを使え』

「どうするのサマナー、私そろそろ嫌になってきたんだけど」

「嬢ちゃん我慢強いのう、わしゃあ金づち叩きつけたいんじゃが」

「ここまで来たなら最後まで付き合わないと割に合わん……」

 

 そう言ってモニカはデビルスリープ*10を足元へ向かって投げた。

 

『zzzzzzzz……』【SLEEP

 

 煙で姿が見えなくなると煙の中から寝息が聞こえてきた。

 

「滅茶苦茶あっさり寝落ちしたわね」

「案外先の戦闘と毒で疲れていたのかもしれんの」

「んー……」

 

 その姿を見ていたモニカは徐に散らばっていた荷物を片付け始めた。

 

「ハイピクシー、ちょっとこの悪魔の監視と留守番を頼む」

「どういうこと?」

「ダークゾーンのマップがまだ埋まり切ってないから今のうちに埋めておこうかと」

「そういえばあったのそんなこと」

「でもおじいちゃん一人で大丈夫?」

「残ってるのは大した広さでもないし、何よりここはドワーフが多くいるからな。 ドワーフを連れておけば問題ない」

「それにここでこやつの寝顔見てるのも時間がもったいないしの」

「そうねぇ……気を付けてね?」

 

 そう言ってハイピクシーと眠りこけている悪魔を残し、ドワーフと共にダークゾーンの埋まってない個所をマッピングしに行くのであった。

 

 

 

 

「……で、これはどういう状況?」

「私だってわかんないわよ!?」

『う、うおおおおおお…………』

 

 

 一旦ハイピクシーと別れ、ダークゾーンの埋まってない箇所のマッピング及び出くわした悪魔との交渉、やむを得ない場合は戦闘。

 フォルマだけではなく悪魔交渉でも戦闘でも使う魔石や貴重品である宝玉、果てには交渉で妖鬼ヤマワロも仲魔になる大収穫。

 懐も仲魔の数も温まって戻ったモニカを待ち受けていたもの。

 それはなぜか泣き崩れているミルメコレオと周囲でおろおろしてるハイピクシーの姿であった。

 

「ハイピクシー、いくらイライラしてたとはいえ寝ている相手に闇討ち仕掛けるのは如何かと儂は思うんじゃが……」

「酷いわおじいちゃん! コイツが目覚めたら急に泣き出しただけよ! 私無実!」

「状況がもっとよくわからなくなったんだが?」

うおおおおおお……ん? おお、戻ったかニンゲン』

 

 モニカがいることに気づいたのか泣くのを止める悪魔、心持ち鬣が艶々しているような気がする。

 

『我の負けだ、さぁ願いを言うと良い』

「なぁ嬢ちゃん、これ勝ち負けの話じゃっけ」

「すまないミルメコレオ、出来ればもう少し情報を載せてもらえると助かる」

『【我の空腹を紛らわせて見せよ】のことだニンゲン』

(……そういえばそんな話だったな?)

 

 状態異常になりたがる悪魔とモウリョウの群れにお代わりと元々何の話だったのか記憶が飛んでしまっていた。

 そんな何とも言えない顔をしたモニカ達を尻目に語り出すミルメコレオ。

 

『我は日々己の空腹を意識する日々であった……が、先ほどは違う』

「先ほどというとまさか」

『うむ、全身に痺れが走ったり毒に自身を侵された時だな』

「いや2つ目からは自分から願った奴じゃない」

「気持ちはわかるが抑えるんじゃハイピクシー」

『そして短くも深い眠り……ここまで気持ちの良い目覚めは久方ぶりだ』

 

 

『本当に有難う』

 

 

 そう言って深々と頭を下げる悪魔。

 どうやら空腹はまともな眠りすら阻害していたらしい。

 

「そうか、なら私の質問に答えてほしい」

『我が答えれることであるなら』

「ここのボス悪魔について知ってることがあれば教えてほしい」

『…………あのブタのことか』

「滅茶苦茶嫌そうな顔になった」

「嫌われ過ぎじゃろここのボス悪魔」

 

 案の定というべきか好かれてはいないらしいボス悪魔。

 

「何か知ってるか?」

『そうさな、食い意地の張った阿呆で悪魔を呼び出して食らい、自身の高めていることか』

「(ここでも贄の情報か)なるほど、他は?」

『他……ああ、そういえば妙なことがあったな』

「妙なこと?」

『これは奴が悪魔を呼び出し喰らおうとしてた時のことなのだが当時の我は腹が減り過ぎてイライラしていてな』

『そんな状態な我の目の前で食事をしようとしていたあのブタにあまりにもイライラしてたのでブタが呼び出した悪魔どもに切なさ乱れ撃ちを叩き込んだのだ』

「何やってるんだ貴公!?」

 

 只の八つ当たりだった。

 というか妙なことをしたのはミルメコレオの方だった。

 

『まぁ待て、妙なことになったのはその後だ』

「既に妙なことになってる気がするんだが」

『我の攻撃を受けて何体かの悪魔は消沈状態*11になった』

「切なさ乱れうちは状態異常を引き起こす技だったか」

『うむ、まぁそれは良いのだがあのブタ。 そんなことにも気づかずその悪魔を喰らったのだがその後がおかしくてな』

 

 

『ブォーノ……何故、何故我はこのようなことを……?』DOWN

 

 

『その後しばらくして何事もなかったように食事を再開していたのだが』

『まるで食べた悪魔の状態異常を引き継いでいたかのようだったな』

「なんと……」

『参考になったか?』

「ああ、ああ! これなら……!」

『そうか、それは良かった』

 

 

 そう言ってミルメコレオは名残惜しそうに立ち去った。

 

 

 

 

 

 ひどく、ひどく、名残惜しそうに、こちらを何度も振り返りながら立ち去ろうとした。

 

 

 

 

「あー……貴公、もしよかったらだが私の仲魔に」

『ほう、仕方ない! そこまで請われるのであれば仲魔になってやろうではないか!』

「止めないでおじいちゃん、ちょっとこのアホ一回〆なきゃダメよ!」

「死なない程度にやるんじゃよ」

 

 


 

 

【EXミッション:鏡向こうの謎掛け】

【飢えたる王】クリア。

 

 クエスト主への報告が可能になりました。

 

 


 

 

 登場人物及び悪魔紹介と伝達網

 

・モニカ・ヴァイスヴィント

 

 悪魔ってこんなのしかいないのかなぁと振り返りつつ手に入った情報を情報伝達網へ上げた。

 アイテムはたくさん手に入ったし戦力も強化で来たのでそこまで不満はない。

 次は報告だな。

 

 

・ドッペルゲンガー

 

 モニカって変な悪魔に好かれやすいのか?

 しかしそうか、もう終わりか。

 

 そうか

 

 

レッドスプライト号の連絡伝達網より:

 

・セクター攻略部隊より伝達、ボス悪魔からエルブス号の引きはがしに成功。 決戦は近い。

・フォルマ回収部隊より伝達、ボス悪魔に関連する情報の入手に成功。

 データとしてアップロードしたので参考にされたし。

・技術班より伝達、ダークゾーンでの探索に有効なアプリ【ダークスキャナー】の開発に成功、

 順次配布する。

・地下1階にて異変アリ、ダークゾーンにて既に状態異常になっているミルメコレオを多数確認、 

 接触は十分に気を付けよ。

 

*1

国によって異なるものの例を挙げると、

アメリカ軍であるならば150㎝以上、

自衛隊であるなら男女ともに158cm以上、

ドイツ軍の場合160cm弱程度が最低基準らしいものの詳細は不明

*2

味方単体のHPを全回復する、

女神転生だけでなくペルソナシリーズでも登場する

*3

『謀ったな!?』と言いたいらしい

*4
敵単体に麻痺付着

SJシリーズにのみ登場するアイテム

*5
味方単体の麻痺を回復する

*6
敵単体に毒付着

SJシリーズにのみ登場するアイテム

*7
味方単体の毒を回復する

*8
敵1体に万能属性の大ダメージ

術者は死亡する

*9
出展:ストレンジジャーニー

*10
敵単体に睡眠付着

SJシリーズにのみ登場するアイテム

*11
戦闘の行動終了時、ダメージをMPに受ける。

移動時は、1歩ごとに最大MPの2%分ダメージを受ける。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。