真・女神転生 オタクくんサマナー異伝:奇妙な旅に終わりはなく 作:黒橋
また今回の話の中では「物理耐性」の判定に「物理・銃撃関連のスキル」の内包、及び装備について独自考察というか設定を入れています。
それと女神転生っぽい戦闘シーンを始めて書きました、お楽しみいただければ幸いです。
実のところ、皐月駆は今回の
というのも少し前に学園内の依頼で学外へ依頼をこなしに行った時、とんでもない出来事に巻き込まれ*1、どうにかこうにかして解決して学園に戻ってはこれた。しかし、その戻ってくるための代償は甚大なものであった。
装備の大半はボロボロになったので修繕よりも買い替えを勧められ、仲魔こそ無事だったもののCOMPを修理に出したので仲魔は出せず、一応予備のCOMPこそ持ってはいるが中身は普段使わないちょっとしたCOMPインストールソフトが入れてあるだけで予備仲魔の類は一切なし。
さらに一緒に学外での出来事を解決したある生徒は別用があるとのことで参加を見送っていたので自身も参加は取りやめようかと思っていた。
そんな時ふと思った。
「気楽に腕を確かめる良い機会なのでは?」と。
模擬戦、そう模擬戦だ。
極限まで頭を捻る必要もなく、全力で身体を張る理由もなく、自身の立ち位置を確かめるくらいのノリな
学外で調査をすることはあっても外の世界で活躍する人達との手合わせなんてまずないし何より失うものもない絶好の機会。
善は急げ、そう考え装備のレンタルと参加希望の用紙を書き込んでいるとマッカン*2片手にこちらを見ていた男がボソッと呟いた。
「……俺、端からだとああ見えるのか?」
この時、そう呟きながら陰鬱そうにマッカンを傾ける男の真意は分からなかった。
◆〇◆〇◆〇◆〇
そして現在。
「実りある戦いをしようか!」
(ふざけんなよこの俺のクソボケがァ!!)
皐月駆は激怒した。
スタート段階は酷かった。『ごめん駆、お前を二人組に分けると強くない人で余りが出ちゃうからソロで潜ってくれ……!』とソロを強要された時は軽く絶望しかけたが入って早々に新町和久・白川依織のペアと合流できた上に仲魔3体を連れた藤田ミリトとも出会えた上に編成を組み直して中々の面々が揃ったのでは? と思った。
「皐月先輩、それに新町先輩。今回の模擬戦で指揮の技術を磨きたいので是非ともリーダーをやらせてほしいのですが……」
「良いよ、フォローは任せてくれ」
「おう! しっかり学びな後輩!」
「なんでアンタがドヤるのよ新町……」
しかも全員協力的で今回の模擬戦でステップアップしたいとやる気も装備も十分。
和久は火炎属性を得意とする異能者、白川はハッカーとして情報を集める一方戦闘技能こそほぼ持ってないがアイテムを使いこなせるのでサポート役ができる。
何より藤田ミリトは最近頭角を現しつつあるサマナーでレベル35と一線でも活躍できる期待の
ならば自分ができるのは先輩サマナーとして
(そうだなぁ! このイカレた環境で
開幕悪魔だけとはいえアクセサリースキル【ラプラスの魔】*3、
幽鬼による【フォッグブレス】*4、
その上で自分たちは【ラスタキャンディ】*5を掛けた上での、【メギドラオン】*6
「対処できない? ならここで倒れておけ」、そう言わんばかりの殺意の籠った1撃。
(だからといって戦闘開始早々に
| ファイナルガード*7 | 戦闘中1度のみ発動、自分以外のメンバーが戦闘不能になるダメージを受ける際、攻撃を無効化する これはプレス無効判定とする*8 その剣は味方に降り注ぐ災厄をも斬り払う |
駆の持つ伏せ札であり最終防衛ライン、ファイナルガード。
これで多くの苦難を切り抜けることができた実績のある強力な防御札。
それが開幕で切らされたのは非常に痛い。
ならばまずやるべきことはただ1つ、
「ミリト! 悪いが指揮権をくれ!」
駆からすればミリト自身の指揮が悪いというつもりは一切なく、むしろレベル的に見ても今後が楽しみとちょっと年老いた人のような感想すら持っている。
ただいくら何でもレベル70オーバーのサマナーに採用理由が良くわからないのも混ざった高レベル悪魔3体、尚且つこちらが持ってたはずの先手を奪い取ってきた手腕、どう控えめに考えてもミリトでは荷が重いどころかそのまま潰されかねない……否、確実にその才の芽ごと潰される。
だがこれは賭けに近い選択だ。
なんせこれは暗に「お前じゃ力不足だから引っ込め!」と言っているようなもの、余程見切りか聞き訳が良くなければこのままPT自体が空中分解してもおかしくない発言。
「わかった! 良いよね二人とも!」
『サマナーが納得したならワシは文句ないぞォ!』
『よろしくお願いします駆様』
「感謝する!」
思わず目頭が熱くなる、反発の一つや二つしてもおかしくないような年頃*9であるにも関わらずこの大人の対応である。
「つってもどうするよ駆! 俺がマハラギ*10使って耐性ノックでもするか!?」
「ストップだ和久! 相手の耐性も能力も分からない以上俺達ができる事なんて一つしかない!」
「おう、それはなんだ!」
「この盤面をマイナスからゼロ……いやプラスにすることだ!」
\カカカッ/
| 駆陣営 | 人間4人:命中・回避2段階ダウン 悪魔2体:攻撃・防御1段階、命中・回避3段階ダウン |
| 行動順 | 駆➝新町➝藤田➝フォルネウス➝ディース➝白川 |
| モニカ陣営 | 全員:全能力1段階アップ |
| 行動順 | ガキ➝ドッペルゲンガー➝ローレライ➝モニカ |
「とりあえず俺の指示通りに動いてくれ! ここを切り抜けるぞ!」
「おう!」「任せて!」「やってやるわよ!」『爺じゃが頑張るぞい!』『お任せを!』
(1つ救いがあるとすれば
駆がこう思うのには訳がある。
(もし本気でこっちを潰しに掛かろうとしているならミリトから戦場の流れを奪い取った時、
(多分だけどこの人にとってこれは演習、つまりまだ本腰の動きじゃない)
先程の「一当て」の発言もあるので凡そ合っているだろう……
「先ずは盤面をリセットする!」【デクンダの石】*11
「応よ、任せな!」【デカジャの石】*12
駆に呼応するように新町も続く、これにより盤面は振出しに戻った。
「ここからはプラスの時間だ!」
『だがそれはワシらだけの話じゃ!』
『あなた方にはマイナスを差し上げます』
| 【ラク・カジャ珠】*13 | 3行動の間、味方全体の防御力を上昇させる |
| 【雄叫び】*14 | 敵全体の物理攻撃&魔法威力を大幅(2段階)に下げる |
| 【電撃ブロック+2】 | 1ターンの間、 味方全員に電撃属性攻撃を1度だけ無効化する効果を付与する |
ミリトとその仲魔によるバフとデバフにより盤面はゼロからプラスへと変移する。
「み、皆がんばれー!」【GUARD】*16
レベルや体力の低い白川は防御に回し相手の出方を伺う。
駆なりの迎撃の態勢が拙いながらも整った。
それを見たモニカはボソッと一言、
「
仲魔達は忠実に前ターンと同じ動きをした。
「む、避けられたか……しかしこれは」
回避されたことにより
ただ彼女としては2連続動けなかったよりにその手応えに眉をひそめた。
そして爆風が晴れた先、そこには駆以外死に体になりながらも誰一人落ちていない生徒達の姿。
「なるほど、【Aマックスシリーズ】に【カラミティスーツ】か。 まさか学生までもが身につけているとは凄まじいな
「なんでわかるの!?」
誰かに聞かせるつもりがあったわけでもない独り言を丁寧に拾う白川。
男性専用装備の【Aマックスシリーズ】に女性専用装備の【カラミティシリーズ】*17
この二つは現環境において非常に重要な存在になっている防具で耐性はどちらも【全対応】というとりあえず装備しておけばどこに行っても通用する*18汎用性極まりない防具であり、「何着るか迷ったらとりあえずこのシリーズ」と評される一品。
そんな需要の高い代物であるため基本的に学生の元にまで品が行き渡るのはあり得ない……となるところだが実は訳がある。
それは【Aマックスシリーズ】の耐性にある。
そもそも防具というのは【頭】【身体】【腕】【足】の基本4種とプラス【アクセサリー】の分類がある。
件の【Aマックスシリーズ】は【頭】【身体】【腕】【足】、どの部位の防具も耐性が【全対応】となっており耐性の恩恵をあずかることだけが目的であるなら全シリーズを身に着けるなくとも【どれか一つだけ】装備すれば良いのだ。
よって頭防具であれば精神関連をシャットアウトする【ドルフィンヘルム】*19や破魔・精神・神経が弱くなるも他の耐性が凄まじい【そうきかん】*20、身体防具であれば
無論一式買う業界関係者もいる一方、節約のためどれか1つだけあれば当面は問題ないと考える人間も少なくなく、結果値段が比較的安い【頭】【腕】【足】だけが妙に売れてしまい他3つに比べると少し高い上に競合相手の多い【身体】部位の【Aマックススーツ】の在庫がダブついてしまったのだ。
この状況に頭を抱えるほどではないが無駄に積み重なる在庫にどうしたものか……と考えていたところ、声をかけたのが何処からか情報を得た聖華学園と提携している業者である。
「近い時期に防具が大量に必要となったのでお願いしたい……それも多少値段を勉強してくれるならダブ付いた在庫も含めた上で、だ」と持ち掛けたのだ。
これにより業者は強力ながらもなかなか手が届かない装備一式を入手、企業はやや安くはなってしまったもののダブついた在庫や強いのだが現環境とやや合っていない、もしくは売れ筋ではない装備一式をはかせることに成功、win-winの取引であった。
そしてその仕入れられた品物の中に【Aマックススーツ】や【カラミティスーツ】がいくつかあり、駆達のような目ざとい生徒の手に収まったという訳である。
「そのレベルからは想像できないほどに装備やスキルも整っているとは……なら動きをもうひと段階上げても問題なさそうだ」
『えっ』
| 駆陣営 | 全員:命中・回避2段階ダウン、防御アップ3T(重ね掛け不可 |
| モニカ陣営 | 全員:攻撃1段階ダウン、防御・命中・回避1段階アップ |
「おいおいおい! どうなってんだ駆なんかめっちゃやる気出してないかあの人!」
「俺もわからない! 何かが感性に触れたんだ! とにかく立て直すぞ!」
またしても駆と和久はマイナスの盤面をゼロに整え直す。
「回復しなきゃ不味い! 二人はさっきの流れをお願い!」
| 【ハーブ酒】 | 味方全体のHPを200回復する 生徒向けなのでノンアルコール仕様(りんご味)、お酒は20歳になってから! |
『老体を労わってほしいのぉ……そう思わんか婆さんや?』
『あなたと一緒にしないでくださいませんか? 私はまだピチピチです』
「ああもう! アイテムだってタダじゃないんだけどなぁ!」
| 【携帯救急箱】 | 味方全体のHPを100回復する 生傷が絶えない生徒達の必需品、 怪我と無縁な白川が持っているのはすぐ近くにそんな |
怪我を治すも全快には至らない。
「ここで破れかぶれにならないか……法山の言う通り良い生徒達じゃないか」
「嘘だろ、まさか法山先生推薦の人って?!」
「今は問答する時間か? ガキ! ドッペル!
モニカの指示に素早く動き出す2体の悪魔。
「畜生、またメギドラオンが―――」
「ローレライ、【回せ】」
「はいはい」
| 【PASS】*25 | 次の行動者に順番を回す この時プレスはクリティカルを突いた(点滅状態で残る)のと同じ判定になる |
しかし和久の予想に反してモニカの選択はローレライに魔法を撃たせずに
「は? なんでこのタイミングで」
「不味い! 皆避け」
「遅い!」
| 【デスペラード】*26 | 敵全体に銃属性の大ダメージ それは絶望を冠する弾丸の嵐 |
真意に気づいた駆が叫ぶよりも速く銃撃が襲い掛かる。
『これは……効きますね……』
「ディース!?」
「案の定弱点は埋めてないな、他属性と違って物理耐性は貴重*27だから無理もないがそこを突かせてもらおう」
崩れ落ちかけるも膝をつかぬよう懸命にこらえるディースと自身もけがを負いながらも心配そうに叫ぶミリトを尻目にモニカは
「ガキ、【崩せ】」
『ギャハハハハハハ!!!』
| 【デカジャ】*28 | 敵の能力上昇効果を消す |
餓鬼の嘲笑に呼応するかのように駆達を守っていた
「嘘でしょ!? その餓鬼【デカジャ】まで覚えてるの!?」
「私のガキは多芸が売りなのでね! ドッペル! フォルネウスだ!」
「はぁい……♪」
『ぬおっ!?』
| 【エナジードレイン】*29 | 敵単体のHPとMPを吸収する万能属性スキル |
白川の叫びにちゃんと応じつつもドッペルゲンガ-に追撃を入れさせフォルネウスもまた膝をつきかける。
「おいおいおい……【雄叫び】入れてなきゃ全滅してただろコレ……」
ボロボロになった自分達を見渡して呻くように和久が呟いた。
| 駆陣営 | 全員:命中・回避2段階ダウン ディース・フォルネウス、両名HPレッドゾーン |
| モニカ陣営 | 全員:攻撃2段階ダウン、防御・命中・回避1段階アップ |
駆達の奮戦も虚しく、徐々に相手の方へ均衡が崩れつつあった。
(不味い不味い不味い! 完全に流れが向こうに行ってる! てか【PASS】ってちょっとしたバフ盛ったりするときに使うものじゃないのか! あんな攻撃的運用までするのかよ外のDB!)
ターンが回る直前、駆は必死に頭を回していた。
(考えろ! 何かあるはずだ! 何か弱点が!
情報が足りない、自力も足りない、復帰力も足りない、足りているのは手数だけ。
ノックは碌に出来ていないし、採用理由もわからない悪魔が混ざってるせいで思考がうまく回せない。
『どうしたらいい』『どうすればいいんだ』自身の思考の渦に囚われかけた時、
「おいおいおいおいおい! どうするよ駆! やっぱり俺のマハラギでいい感じに
和久のやや空気の読めてない発言が耳を響いた。
「和久、さっきも言ったけど耐性が分からない上にここまで盤面ボロボロな状態でそんなリスキーな真似はちょっと……」
「でもよォ! 確かガキは火炎に弱いだろ! やる価値はあるんじゃねぇか!」
「あのな! そんなわかりやすい弱点、スキルで潰してあるに決まって――――」
そこでふと、駆は手元のCOMPに目をやった。
仲魔は入ってないしインストールソフトだって普段使わないようなものしか入ってない、故にこそ意識の外から外していたシロモノ。
しかしこれはCOMPであり、普段使わないとはいえ中の情報は普段使いのCOMPと同じになるようにデータリンクはしていて、
「いやまさかそんな」
「駆?」
和久の言葉に返答せずCOMPのあるシステムにアクセスして【ソレ】を見た。
「―――――」
「どうした? 降参なら受け付けるぞ?」
「ああ! 駆も俺達もまだ諦めてねぇよ!」
「それは結構」
二人の会話が遠くに聞こえる、そんな中駆の頭では今までの会話が蘇る。
『初めまして、というべきだろうか』
『駆、どういう意図の編成かわかった?』
『まさか誰も落とせないとは、な』
『俺がマハラギ使って耐性ノックでもするか!?』
『なら動きをもうひと段階上げても問題なさそうだ』
『法山の言う通り良い生徒達じゃないか』
『今は問答する時間か?』
『その餓鬼【デカジャ】まで覚えてるの!?』
『私のガキは
「『木を隠すなら森の中』、か」
「駆?」
勝てるかどうかはわからない、でも
その為には気づかれてはいけない、理解されてはいけない。
その上で仲間にだけ伝わる言葉を――――!
「和久ァ!」
「応よ!」
「今からお前にやってほしいこととその相手を伝える!」
事前に決めておいた簡単な指示ならともかく細かい指示になると相手に聞かれないようにするのは無理だ。
なら大声で言った上で相手にわからなければいい。
「【
「皐月先輩……?」
「急にどうしたの……?」
「……エース?」
敵味方人間悪魔関係なく酷く困惑した気配が漂う。
「エースだぁ? あー…………ああ!」
ただ一人、意味を理解した者を除いて。
「駆ゥ!」
「なんだ」
「なんとなく分かった! もし間違ってたらゴメンな!」
「それは俺の指示の出し方が悪かっただけだ! 気にすんな!」
「勝つぞ!」
「サポートはこっちでやるから突っ込め和久!」
駆の使ったデクンダの石が効果を発揮するのと同時に和久は駆け出した。
その先にいるのはモニカと近くにガキだ。
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
「何を狙っているのかはわからないが……良いだろう、来い!」
「とォ然んんん!」
和久が拳を振り上げると拳が炎を纏い始める。
「食らいィ!」
モニカに向けて足を踏み込んで、
「やがれこの餓鬼んちょがァ!」
| 【火龍撃】*30 | 敵単体に力依存による中威力の火炎属性攻撃 炎を拳に纏って思いっきりぶん殴る、はいそこ敗北者とか言わない |
その寸前で急転回をして近くのガキを炎の拳で殴り飛ばした。
『ギャッバァ!?』【DEAD】
自身が狙われていると思っていなかったのかその攻撃は
「ガキ!?」
まさか一撃で消し飛ばされるとは思っていなかったのか動揺は隠せない、しかも学生達の行動はまだ終わっていない。
「今のうちに回復回復!」
『婆さんや、ワシゃあ喉が疲れたんじゃが……』
『戦闘終わったらのど飴でも舐めててください、後婆さんじゃありません』
「貼り直しィ!」
見る見るうちに崩れかかった盤面が修復されていく。
「念には念だ」
最後に駆は増えた
「わぁ……あ……」
「えっとサマナー、私本当にこれで良いの?」
「うむ……やってくれるじゃないか」
| 駆陣営 | 全員:防御アップ3T(重ね掛け不可 |
| モニカ陣営 | 生存者全員:防御・命中・回避2段階アップ ローレライ:【GUARD】 幽鬼ガキ:【DEAD】 |
「でもよぉ駆」
「どうした?」
「【エース】で『火龍拳』はまぁわかんなくもないけどこれ言ったのが【子供】だから『餓鬼』はちょっと安直過ぎねぇか?」
「伝わったなら良いじゃないか」
「そうだな!」
無理くり捻り出した隠語がどうにか伝わっていて少し安堵する駆。
もっとも、
「なるほど、貴公らにしか意味が伝わらない言葉で指示か。 良い方法だ」
「そっちの方が遥かに可笑しいけどな」
「ほう、その心は?」
「だってそうだろ」
「【
駆の後ろで息を呑む音が聴こえるがあえて無視。
「おや、知っているとは驚きだ」
「友人の仲魔にいるからな、COMPにデータがあるだけだよ」
そう言いつつ、手元のCOMP画面に見せつけた。
\カカカッ/
| 幽鬼 | ガキ | LV49 | 耐性:魔法・破魔に弱い、呪殺無効*31 |
【魔法に弱い】、それは数多くある耐性の中でも最弱の耐性。
実際は【魔法】というよりも【属性】に弱いものであり、それはメジャー属性たる【火炎・氷結・電撃・衝撃】のみならずマイナー属性も全て該当する幅広い弱点を網羅した欠点。
「ちょ、ちょっと待ってください皐月先輩!」
「ミリト」
「すっごい軽く言ってますけどじゃあ何ですか、
「そうなるな」
最弱ガキとは一種の蔑称だ、なんせ魔法でも道具でも属性関連の方法があれば簡単に処理できる上に耐性となる呪殺も態々幽鬼に向けて使うものなどいない。
故に数で競り負ける以外は
「なんで!?」
ミリトの疑問はもっともだ、普通に考えてまず餓鬼を採用する理由が分からないのにその上で耐性が最弱なのだ、もっと意味が分からない。
「だが貴公は分かっているんだろう?」
「俺なりの考えだけどな、聞くかい?」
「聞こう」
相手は動じない、先程餓鬼が落ちた時の方がよっぽど動揺してたようにすら見える。
「さっきも言ったけど【魔法に弱い】ことが採用理由、違うか?」
「それだけじゃ弱いと思わないか?」
「なら1つ理由が思いつく」
「ほう?」
端から見れば戦いは中断しているように映るかもしれない、しかし実際のところは悪魔会話と何ら変わりはない。しくじれば不意を打たれるだろうし、せっかく立て直した盤面が崩されるかもしれない、気を抜くことすら許されない綱渡り。
「それはさっき貴方自身が言ってた『私のガキは多芸が売りなのでね!』が理由だ、態々フォッグブレスやらデカジャやら随分といろいろできるように積んでいる辺りまだ引き出しがあるんだろう?」
「なるほど、だがフォッグブレスはガキを鍛えれば覚えるスキル*32だよ」
「すまない、まずガキは育成したことがないから知らなかった*33」
「そっかぁ……」
どことなく残念そうな表情になるモニカ。
ぶっちゃけツッコミの一つや二つ入れたくなるような発言であったがあえてのスルー。
少し前にあったヤマトォダンシィを自称する胡散臭い中国人(推定)で学んだことだ、下手にツッコむと場の空気を持っていかれそのまま有耶無耶にされる。
現に後ろの方でミリト達が「し、知らなかった……」「……そうなのか白川?」「なんで私が知ってると思ってるのよアンタ!?」と場の空気に飲まれかかっている。
「だがそれだけじゃ何故餓鬼を使うのか弱くないか?」
「ああ、この理由だけじゃ弱い。だがここに【魔法に弱い】が加われば話は別だ」
「ほう?」
「『現環境において弱点をスキルで埋めて何かしらの耐性を持たせるのは当たり前』、これを逆手に取ったんだ」
普通、そう『普通』に考えれば弱点そのまま放置するなんて
故にあえて弱点を潰さずに本来なら耐性で潰れるはずの枠を使ってスキルの幅を広げることで選んだのだ。
「いやいやいや! 駆、じゃあなんでわざわざ【魔法に弱い】なんて最弱耐性の餓鬼を」
「白川、お前ならどうする?」
「へ?」
「もし相手に【魔法に弱い】なんて悪魔が混ざってたらお前ならどう動く?」
「え、そ、それなら魔法中心に使って」
「それが
そう言いながらモニカに向き直る、どことなく楽しそうにこちらを見ている。
「確かにガキの耐性自体は【魔法に弱い】で間違いないだろう、だが周囲は?」
「しゅ、周囲って」
「細かい耐性は分からないけど【物理反射】のドッペルゲンガーがいるのに範囲物理技を使う奴はあまりいない」
「だったら魔法で」
「だな、だからこそ
先程の和久のセリフを思い出す。
『俺がマハラギ使って耐性ノックでもするか?』
一見すればおかしくない発言、あえて付け加えるなら『ガキがいるからプレスも稼げる』等のセリフが入りそうなくらいか。
「他の餓鬼ならともかく『最弱ガキならとりあえず魔法を撃てばいい』と考えるだろうからな」
「……」
モニカは何も言わない。
「わかりやすい
「で、でも皐月先輩。それって耐性がバレた場合ですよね? バレなかったら意味ないんじゃ」
「その場合俺たちの中に『
そう考えると
理由は
「これで無効なり反射なり吸収なりを踏み抜けば盤面を整えることすらできずに一気に削り飛ばせる。
「―――素晴らしい、状況が状況でなければ拍手と採点を送っているところだ」
嬉しそうに、楽しそうに、戦場に似つかわしくない笑みを浮かべる
「だからこそわからないな」
「何が?」
「『何故ネタをばらしたのか』、だ」
笑みを消してこちらを見据える。
警戒したのだろうか、
「モニカさん」
「ん?」
「貴方は誠実な人だと俺は勝手に思っている」
「う、うむ?」
「少なくとも戦闘に入る前、態々挨拶したりこちらに観察する機会をくれたりしましたね」
「……それと今の話に何の関係が?」
意図が分からないのか眉をひそめている。
「だからこそタイミングと興味を引くものであれば俺の【ムダ話】にのってくれると信じていた」
| 【ムダ話】*34 | バトルで悪魔の |
「――――」
前に外に出た際、COMPを扱う店で見つけたはいいものの容量が重くなるからと予備のCOMPに差し込んだままのインストールソフト、【ムダ話】。
知られているならともかく知らないのであれば刺さるであろうスキル。
これで次ターンのモニカ達の
「こう見えても悪魔召喚士の端くれ、だったら
決着は、近い。
今回の裁定は真5仕様で行う
モニカとその仲魔達の詳しいステータスは後日載せます