第31話
:視点:風見裕也:
大江山の森の中に出来た抉れた通り道を、天之麻迦古弓を手に持ったまま進んで行く菅原傑の後を賀茂憲成と土御門天子と俺は付いていく、補佐役は全員あの場に置いてきたが、本当に良かったのかと心配しながら、鈍い鈴の音が聞こえた場所に到着するとそこにはどんよりとした強力な妖気の気配を漂わせた、我々が探していた標的である、片腕の鬼女こと茨木童子がそこに居た。
茨木童子の容姿は、鋭く鋭利に尖った牙が生えた口に、頭部には細めの二本の角が生えており、土汚れで暗い色合いした桃色の短い髪に、桃色の瞳をした綺麗な美顔だが野生の狂暴性も感じる面立ちをしており、体格は凡そ180㎝以上の背丈に、胸は凡そEカップ以上はあり、服装は古びて汚れ切った黒色と灰色の肩出し着物を着こんでおり、そして左手の手首に錆びた手錠鎖がつけており、右肩の付け根辺りから禍々しい妖気の炎が、鬼の手らしき形を取ったり崩れたりを繰り返し、足には黒色の高下駄を履いていると言う、山の中で動くには邪魔で動きずらい服装と言えるだろう。
「・・・おいおい人間の術師よぉ、派手にやってくれたな!何か最近大江山でうろうろしている人間が増えて来て、妙な悪寒がして姿を消して様子見していたら、まさかあんな神具を用いて仕掛けて来るとは、この茨木童子の肝も冷えてしまったぞ」
と茨木童子は不機嫌そうな表情を浮かべながらも、口元は鋭利な牙をチラつかせながら微笑むと、右肩の付け根から怖ろしいほどの強大な妖力が噴き出し、辺りの空気が一気にどんよりと悍ましい雰囲気へと変わり、俺は思わず額から冷や汗を流しながらも、いつでも動けるように受け流しの構えをしながら警戒し、賀茂憲成は小太刀を取り出しながら構え、土御門天子は狼型の式神を複数体召喚し、壁役なのか熊型の式神を一体召喚して自身の傍に控えさせているが、天之麻迦古弓を構えずにただ手に持ったままでいる菅原傑は、胡散臭い笑みをより一層深めながら。
「おやおや、軽い挑発だったのですが、今の攻撃で怖気ついてしまうとは、思ったよりも片腕を髭切で切られたのが堪えているようですし、封印せずに退治で良さそうですね」
と菅原傑は小馬鹿したような言葉を息を吐くように告げて挑発し、茨木童子は不機嫌そうな表情から、血管を浮き上がらせるほどの怖い笑みを浮かべながら、明らかに己から発する妖力が空間が歪んで見える程へと膨大していき、そして右肩の付け根から蒼く燃え上がる炎のような妖気が立ち昇ると、それが鋭い爪を持った巨腕へと変貌していく。
「おいおい嘘だろ、妖気を用いて右腕を形成だと!?あの片腕の鬼女、一体どれ程の妖気を用いればそんな芸当が出来やがる」
と遠巻きで様子を見ていた賀茂憲成は、立ち昇る妖気によって形創られた茨木童子の蒼い炎の巨腕に対して、信じられないものを見たと言って、驚愕した表情を浮かべながら、怖れで一歩後ろに下がってしまい、彼は明らかに逃げ腰になっているが、まだその場から逃げ出していないだけ上出来だろう。
そして先程から無言の土御門天子は、熊型の式神の後ろに隠れながら、菅原傑と茨木童子の会話を様子見しており、いつでも狼型の式神たちをけしかけられるように、待機或いは茨木童子の周囲を包囲するような位置取りにさせていたりと、堅実に対応しているようだ。
「あぁ?なんだ喧嘩してえならそう言えよな、ふんじゃ愚かしく地獄の底まで落ちて死んでいけやぁ!塩顔野郎ぉ!」
「おっと、こうも簡単に挑発に乗るとは、まぁやりやすいので良いのですが、まぁその自慢の鬼の力、私に見せてくださいな」
と茨木童子は殺戮に染まった瞳と、鋭く鋭利な牙と歯茎を剥き出しにするほどの笑みを浮かべると、蒼い炎の巨腕を大きく振り上げると、青い炎の巨腕が激しく燃え盛りながら、菅原傑を焼き潰さんと振り下ろされるが、寸前のところで蒼い透明な壁が出現したことで、茨木童子の攻撃は綺麗に受け流されることとなり、蒼い炎が周囲に点在する木々の残骸などを灰すら残さない速度で焼き尽くしていき、その光景を見た俺は、慌て蒼い炎から避けながら後退し、茨木童子と菅原傑の戦いの余波に巻き込まれないように気を付けながら様子を伺う。
「あの蒼い炎は結界術【障壁】で防げますが、防いだ際に周りに飛び散って二次被害を出して来る技のようですね・・・それならお返しを差し上げましょう」
と菅原傑は淡々とした様子で、蒼い炎の巨腕を防ぐと周りに飛び散る性質があることを確認するような呟きをした後、少し間を置いてからお返しを差し上げましょうと告げると共に、菅原傑は自然な動作で天之麻迦古弓を構えると同時に、手元に蒼白く輝く雷の矢が出現し、それを天之麻迦古弓に添えて狙いを定めると同時に、凄まじい雷音を響かせながら矢は放たれると、【障壁】と燃え盛る蒼い炎の巨腕を全て消し飛ばし、そのまま茨木童子の胴体に深々と雷の矢が突き刺さった瞬間、凄まじい輝きと共に電撃波が発生し、辺り一面の大地を粉々に吹き飛ばし、巻き上がった土煙が周囲を覆って見えずらくなっていく。
・・・菅原傑、あの幽香様が関心を寄せている術師、まさかこれほどの実力を有していたなんて、周囲に居る賀茂憲成も土御門天子も俺より実力のある術師なはずなのに、菅原傑が放つ攻撃の余波に巻き込まれないように行動するだけで精一杯の様子だし、この場に居る次期当主組だけじゃない、恐らく定例集会で居た術師の中でも間違いなく最強格の術師で間違いないだろう。
そしてあの雷の矢は、陰陽術の中でも極めて修得が難しい【天雷撃】を基盤に創られた自作の術だろう、術の改造とかまで可能なのか、どれだけ天才肌なんだ菅原傑。
「ぐはぁ~、ふぃー今のはすげぇー痛かったわよぉ、塩顔の人間よぉ!」
と殺気に満ちた怒声と共に土煙の中から左腕を殴り構えている茨木童子が出て来ると、獣の如き俊敏な動きと速度にて一気に菅原傑の傍まで近づくと、殴り構えていた左腕の拳を握り締めながら、菅原傑の頭部に目掛けて音速を超える速さで殴り掛かるが、不気味な笑みを浮かべて余裕そうな菅原傑は一言【超人化】と呟くと、茨木童子の殴り掛かりを笑みを浮かべたまま首を逸らして避けながら、一気に懐まで距離を詰めると、自身の右手で茨木童子の顔を掴んだと思った瞬間には、そのまま地面へとめり込む速度で後頭部を叩き着けられ、苦しむ茨木童子の姿がそこにあった。
菅原傑が行ったのは、相手の攻撃を寸前で避けてから、流れるように相手の顔を掴んで、地面へと後頭部を叩き着ける技、恐らく合気道の入り身投げをしたのだろうが、あそこまで綺麗に合気道の技を繰り出すとは、遠距離だけでなく近距離戦でも、あの天才は強いようだ。
「おやおや先程の威勢はどこに?鬼なら早く立ち上がってください、じゃないと退治してしまいますよ」
と菅原傑は余裕な笑みで浮かべて、茨木童子を挑発しながら、足を振り上げて勢いよく踵落としを繰り出して、止めを刺そうとするが、寸前で茨木童子が地面を転がりながら避けたことで空振りしたことで、地面へとそのまま命中して、凄まじい破壊音と砕けた地面が辺りへと飛び散って行く。
と言ったところでここまでです。
以前どこかで、風見幽香以外の東方キャラを出さないと言ったが、あれ撤回します(;´∀`)。
と言う訳で茨木童子正体は、東方の茨木華扇でした、まぁ特徴的なピンクな髪と、大人体型なキャラで、鬼の仙人と言うキャラですが、まぁこの世界線での茨木華扇は、酷いこと酷いこと、まず生まれた時から牙がある人間の子供だったので迫害されており、そして当時の飢餓で死ぬ人間が常に発生していた平安時代、当然異端な子は口減らしを理由に、両親に捨てられたのですが、何の因果かこの世界の酒呑童子に拾われ、百薬枡ですくった酒を飲み続けたことで、鬼女となり実の親のように酒呑童子に育てられました。
つまりこの世界での酒呑童子と茨木華扇は親子のような関係ですね、まぁ実際の伝承にも酒呑童子と茨木童子は親と子の関係とか言われているので、まぁ変じゃないでしょう。
そしてすくすくと色々なとこが成長した茨木華扇ですが、まぁ伝承道理に平安の世にて暴れまわり、最後は源頼光が率いる頼光四天王と藤原保昌ら総勢50数名による当時の人間側最高戦力を用いて酒呑童子一派はほぼ全滅し、大鬼と知られた酒呑童子、伊吹童子、星熊童子らは、討ち取られることになります。
ここの茨木華扇は戦闘に敗れながらも、何とか大江山から命からがら逃げ出すことに成功した鬼であり、その後は羅生門辺りで潜伏し、いずれ頼光四天王などに復讐する機会を伺っていたのですが、かの渡辺綱が度胸試しにて、単身一人で羅生門に来ると言う絶好の機会が訪れたことで、茨木華扇は容姿を変えてから奇襲を仕掛けたのですが、まぁ察しの通りに、見事に渡辺綱の反撃にあって、自身の右腕を切られ、髭切に宿る力によって、鬼の力を一部を失って、惨敗する結果へとなりました。
その後どのように神々の監視から逃れ、千年以上密かに生き恥を晒し続けていたのかは、ぶっちゃけ考えてないのですが、この世界の茨木華扇は仙人にもならず、ただの鬼として生き続けた場合の存在であり、まぁ分かりやすく言うなら生き恥を晒した鬼ルートって感じです。
ちなみに服装は、当時に大江山で着ていたであろう和服を偏見で決めた後、色合いは東方キャラに茨木童子の腕と言うのが居て、そいつの服の色合いが黒色だったので、そう決めました。