第36話
さて、茨木華扇の右腕にする予定のカラクリ義手を作るために、次郎吉が持っている吉右衛門の設計図を貸してもらえることと、カラクリ義手を組み立てる姿を見学しに来ることになり、工房部屋を眷属と共に片付けて掃除したりして数日が経過した頃、風見神社が管理している境内の駐車場に、鈴木財閥の高級車が来たこと感知し、藤也と共に迎えに出向いて来たのだが。
「あら、久しぶり会うじゃない史郎、あなたが次郎吉と一緒に来るなんて、どうしたのよ?」
「あぁどうも風見幽香様、お久しぶりにお会いましたね、いえ今回兄と共に理由は来たのは、カラクリ義手を作る場所を見学させていただきたく、一緒に来ました」
と恰幅が良く、人の良さそうな男性こと鈴木史郎が、次郎吉と共に風見神社へと来訪しており、何の理由で一緒に来たのかと問うてみると、どうやら私のカラクリ義手作りを見学したくて来たようで、まぁ見られても困ることもないので、次郎吉と共に見学していいことを伝えると、史郎は嬉しそうな表情を浮かべて、お礼の言葉を告げてくれる。
とりあえず、いつまでも境内の駐車場に居ても仕方ないので、二人を風見神社の工房部屋まで案内する道中で、私と一緒に居た籐也が、歩きながら次郎吉に話しかける。
「なぁ次郎吉よ、今回は吉右衛門の設計図を持って来ることと、幽香様のカラクリ作りを見学するつもりだと聞いて居るが、また変なことをするつもりなのか?」
「変なこととは失敬じゃな、まぁ籐也のお察しどうりで、ちょっと世界記録にでも挑戦しようかと準備しておるよ」
と籐也が呆れた様子で変なことをするつもりなのかと問われると、次郎吉は失敬だなっと苦笑いを浮かべつつ、何故カラクリ義手を作るところを見学するのかについては、何やら世界記録に挑戦する為の準備していると告げて、どういう目的なのかについては籐也だけでなく史郎も濁した発言しており、明らかに何かあるのか察せられる。
(うーん、次郎吉が挑戦する世界記録って、もしかして人類未踏の人力飛行機で、世界一周することだろうか?、へぇこの頃から計画とか準備考えているのねぇ、つまり私のカラクリ作りを見学するのも、人力飛行機を自作する際に、応用できそうな技法などがあれば学ぼうということね)
と私は何故次郎吉が吉右衛門の設計図を貸す対価として、カラクリ義手を作るところを見学させること言ったのか理解し、そして恐らく8年間かけて準備した人力飛行機での世界一周をした記事が三面に追いやられ、そして怪盗キッドの活動によって記事の1面から2面までを独占されると言う屈辱を持って、怪盗キッドの逮捕に挑んでいくことになると考えると、気の毒に思えて来る。
「さぁ着いたわよ、この部屋が普段私がカラクリなどを作る際に利用す工房よ、色々と古い作品とかあるから、気を付けてね、壊れたら爆発する物もあるし」
と私は工房部屋のカラクリを触られる前に、注意として落としたり壊れたりすると爆発する物があることを伝えると、次郎吉は興味深い棚や机に適当に置かれているカラクリなどを観察し、史郎は少し怯えつつも、興味心が勝っているのか、安全そうなカラクリなどを見ている。
「さて、早速カラクリ義手を作りたいから、持ってきた吉右衛門の設計図を、見せてちょうだい」
と私は今からカラクリ義手を製作し始めるので、持ってきた吉右衛門の設計図を見せてちょうだいと告げると、次郎吉は持ってきたカバンから古い設計図の束を取り出し、手渡してくれたので、私は丁寧に扱いながら目当ての設計図が無いかと束をめくっていくと、妖怪用に調整されて改良されたカラクリ義手の設計図を見つけ出す。
「おーあったわ、あら懐かしいわね、こんな風に設計していたのよね、それじゃ今から作り始めるから、しっかりと見学しなさいよ」
と私は懐かしい気分を抱きながら、後ろでカラクリなどを見物している次郎吉と史郎に、今から作り始めるから、しっかりと見学しなさいよと伝えながら、吉右衛門の設計図を参考にしながら、カラクリ義手作りを始める。
まず、最初にすることは義手の外装を作ることなのだが、装着者になるのは華扇なので、左腕を参考にしつつ、筋肉質でありながら細く綺麗な外装を備えた義手にしたいので、私は手始めに腕力で軽くスチール板を折り曲げてから、妖力で熱を加えて形を整えつつ、女性的なスマートな腕の外装に仕上げた後、次にするのは妖力に反応して指や肘を曲げたり掴んだりする神経機能を作るのだが、そこは吉右衛門の設計図を参考にして、大小様々な歯車や圧縮ピストン機などを複雑に組み合わせながら神経機能を作り終えると、先に作っておいた右腕の外装を神経機能に嵌めていけば、茨木華扇用に調整した、カラクリ義手が一応だが出来上がる。
「おー、巧みな指さばきで、カラクリの義手が出来おったわい、それで完成なのか・・・何じゃその微妙そうな顔わ?」
と後ろで見学していた次郎吉が、それで完成なのかと聞いて来るが、私の何とも言えない微妙な表情で、カラクリ義手を凝視しているのを見て、何故そんな顔をしているのかと問うかけて来る。
「うーん何だかつまらないのよね、義手として使うならこれで完成なのだけど、何か遊び心が無いのよねぇ、もう少し機能を継ぎ足しましょう」
と私は義手として使うなら完成しているが、遊び心が無いので、もう少し機能を継ぎ足すことを告げながら、カラクリ義手の外装を外すと、次々と様々な仕掛けや特殊機能などを継ぎ足していく。
とりあえず何となく趣味で、カラクリ義手に追加した機能は以下の通りよ。
任意で義手の腕を5倍程伸ばし放つことで、疑似的なロケットパンチを繰り出す『圧縮無限拳』。
使用者の霊力及び妖力を抽出することで、義手の指先から粒子光線を射ち放てる『粒子砲五門』。
籠手部位が開閉すると、中から敵に向かって自動追跡する妖力弾を発射される『小型誘導弾』。
霊力及び妖力を流し込むことで、カラクリ義手の外装が勝手に修復されていく『自己修復装甲』。
義手の掌から、直径1mに及ぶ刃が生えて、近接武器として扱える『格納式刀剣』。
などである、久しぶりにカラクリ作りに勤しんだから、余計な機能をいくつか追加したけど、まぁ使うのは華扇だから、多少物騒な義手でもいいでしょう。
そして私の背後から、カラクリ義手に追加されていく機能に、興味深く見物している次郎吉と、追加されていく物騒な機能を見て、怯えた表情を浮かべる史郎、そして興味を無くしたのか、既に工房部屋から居なくなっていた藤也などなど、三者それぞれの反応を感じながら、茨木華の右腕となるカラクリ義手が完成するのであった。
なお後日に使い心地を聞いたところ、以前よりも素直で、不快感も無く、自然体で腕を扱えると高評価だが、出来れば普通の義手が良かったと愚痴っていたとか。
と言ったところでここまでです。
とりあえず茨木華扇に取り付ける義手を作る話はこれで終わったので、次は新一くんとの絡みも書きたいです。
ただちょっとスランプ気味で、次の投稿はしばらくかかるかもです。