第39話 風見幽香の血煙の石川五ェ門①
第39話
:視点:アルセーヌ・ルパン三世:
俺は今、五ェ門の自暴自棄とも思える修行の様子を、次元と共に見届けている最中だ、何故五ェ門が滝の上から降ってくる丸太を切ることもせず、ただ吹き飛ばされて、浅い池の中へと落ちていくのをみて思わず、駆け寄りたくなるが、これは五ェ門がへし折れた尊厳を取り戻す為に、乗り越えるしかないことだと、耐える。
「おい、これは新手の自殺手段のなにかかよ」
と次元が五ェ門の自殺とも思える修行風景に、止めなくていいのかと視線を向けてくるが、俺は無言でダメだと言った雰囲気を出したことで、次元はそれを察してながらも少し不満げにお気に入りの帽子を片手で抑えながら、ゆらゆらと立ち上がる五ェ門の様子を痛々しく見守り続ける。
「それにしてもよ、あんまし、こういった自然豊かな日本の森に場合にいると、あん時のトラウマが刺激されてきて、落ちつかねぇよなぁ」
と次元は苦々しくそう呟きながら、上空を見上げて溜め息をしだしながら、懐からタバコを取り出し、一服し始める。
あぁ次元が言っているトラウマって言うのは、数年前に黄金の城の宝を巡って、風磨の連中とドンパチしている最中に突如として降臨してきた幽香神ことだろう、あん時は人生で1番肝が冷えた瞬間だったし、次元は恐怖に怯えて、不二子と一緒に盛大にビビっていたのを覚えている、そして今でも幽香神に殺される夢を時々見るくらいだ、だが最初の頃に比べたら落ち着いたってことだが、ただあの時の恐怖を忘れかけているだけだろうな。
「まぁ、そう心配するな次元、日本は狭い国と言われているが、世界基準なら十分でかい国だ、そう易々あの恐ろしい女神に遭遇することなんて、宝くじを当たる方が有り得るくらいだぜ、大丈夫だって」
と俺は心配性な次元を落ち着かせる為にそう言ってやるが、実際あの幽香神が根城にしている米花町からは、かなり離れた場所にある森だ、まず遭遇することも無いだろう推測している。
「そうか、それもそうだな、こんな森の奥に居る俺達に遭遇するなんて、運命の女神に呪われているってもんだ」
「あぁそうだぜ次元、だから肩の力を抜いておこうぜ、気にしていても仕方ないしな、ちゃんと五ェ門の様子を、見守ろうやぁ」
と次元と俺はそう会話をしていると、池からよろよろと立ち上がる五ェ門を見て、修行する場所を移るつもりだと察して、五ェ門の後を付いていく為に、その場から立ち上がったところで、途轍もない寒気を感じ取り、俺と次元は思わず懐の銃に手をかけながら、上を見るとそこには見覚えがありすぎる、花模様のある日傘をさしている緑色の髪をした美女が、滝が流れ出るすぐ傍の崖上から、俺らの様子を見下ろしている眼を目撃し、俺は思わず深層心理に刻まれた恐怖の日を思い出し、無意識に足が震えすくみ始める。
「あらあらこんなところで遭うなんて、偶然よねルパン三世、数年ぶりかしら?」
と緑色の髪をした美女こと風見幽香は、言い知れない不気味さを感じる笑みを浮かべて、そう挨拶をしながら日傘をさしたまま、崖から身を乗り出すと、そのまま空中を浮遊しながらゆったりと優雅に宙を歩きながら、俺達が居る場所へと向かってくるのその歩み姿に、俺は魂を刈り取る鎌を持った死神の姿が幻影として過ぎった瞬間、あの時の光景が記憶の底から蘇り、全身の神経が恐怖に打ち鳴らされ逃げろと感じ取る。
「「うぎゃあぁ、出やがったぁ!?」」
と俺と次元は口を大きく開いて、叫び声を上げながら、向かってくる風見幽香から、一歩でも遠くまで逃げる為に、俺と次元は森の茂みの中へと逃げ込もうとしたところで、突如として透明な壁らしき障害物に、二人仲良く同時に手加減なく激突したことで、少し鼻血を出して地面に倒れてしまう。
「いや、なに私の顔を見た瞬間、叫び声をあげて逃げ出してんのよ?、咄嗟に結界術の【障壁】を、逃げ先に展開しちゃったじゃないのよ」
と風見幽香は何故か左手の指2本を結びながら、逃げて透明な壁に激突したことで、血を流している鼻を抑えながら地面に倒れている俺と次元の姿を見て、呆れたような表情を浮かべながら俺らがいる場所へと降り立つ。
「いてぇぶつけたせいで鼻血出たわ、あぁそりゃあ逃げるだろう、あんたの裏社会での評判とその恐ろしさを身をもって味わって居るんだ、何もしてなくても逃げたくなるのが常識でしょうが!」
と俺は手で自身の鼻を抑えながら、いきなり退路を塞いで現れた風見幽香に対して抗議するが、すぐに真顔の笑みを浮かべながら逃げたくなるのはあっちこっちで怨みを買っているから、いつどこで命を狙われても仕方ない状況だからでしょうと、風見幽香に言い返されて思わず、無言になって目を逸らして、口笛を吹いて、ごまかす。
つうかよぉ、何でこんなところに風見幽香がうろついて居るんだ、ここは東京から相当遠い森だろうに、どうやら俺の予想よりも風見幽香の行動範囲は大きいわけかぁ、かーしかし油断してたな、風見幽香が殺し屋だったら今頃俺も次元も死んでいるぞこれ。
「そんで一体何用だよ風見幽香様、わざわざ俺らに話しかけて来たってことは、用件があるんだろう?」
と俺は敢えて痛そうに装いながら、風見幽香が偶然なのか要件があって話しかけて来たのか知るために、要件があるんだろうっと告げて、反応を伺う。
「え?あーあーそうね、要件と言うか、単純に修行している五ェ門の姿と、それを見物しているあなた達の姿を偶然見つけたから、話しかけただけなのだけど」
と風見幽香は真顔でただ偶然俺らのことを見つけたから話しかけたのだと答えられ、そして少し前に次元と話していた内容を思い出し、これがいわゆる遭遇フラグっと言う奴なのかと思いながら思わずため息を出してしまう。
「というか五ェ門よ、何であんな尊厳を折られたような雰囲気を醸し出しているのよ、何かあったの?」
と風見幽香はどこかへとゆらゆらと向かっていく五ェ門を指さしながら、何かあったのと問いかけて来たので、俺は五ェ門の身に何があった、あの状態に陥ったのかを、次の修行へと移る為に歩いて行く五ェ門の後を追いながら軽く説明などをして伝える。
「へぇ、弾丸を見切って切り落とすことが出来る五ェ門の居合を、片手で掴んで止めるだなんて、優れた技量と身体能力を有している人間なのね、そのホークって言う双斧の使いの殺し屋」
と風見幽香は五ェ門の身に何があったのかについて軽く説明を終えて、最初に呟いた感想が、五ェ門の尊厳を折ったホークの強さに、何やら興味があるような言葉だったことに、俺は何となく風見幽香から嫌な悪寒を感じて、思わず身体がぶるっと震える。
あぁ何だろうね、俺の隣で恐怖を誤魔化す為に、精神安定剤を飲んでいる次元じゃないが、すげぇ悪寒を覚えたのは気のせいか、俺の勘的に嫌な予感を感じるのわ。
「ねぇルパン三世、偶然会えたのも何かの縁だし、そうねぇ五ェ門が立ち直るまで、あなた達二人の命を、私が守ってあげるから、一緒に同行してもよろしくて?、あぁ勿論拒否とかないわよね?」
と俺の勘が的中したのか、風見幽香は五ェ門が立ち直るまでの間、俺と次元の命を守るので、その間同行しても良いかと言う提案だが、事実上拒否権の無い提案に、俺は苦笑いを浮かべ溜息を出しかけ、次元は物凄い引き攣った表情を浮かべているが、俺の脳内では五ェ門が戦えない以上、もし再びホークに襲われれば、今度こそ命を落としかねないことと理解し、そして何よりもあの風見幽香に不評を買うこと事態を引いても、代償がただ同行する許可を出すだけだので、メリットとデメリットの観点からしても、受けた方が身の為だろうと瞬時に判断し、風見幽香の同行を了承する旨を伝えると、無言で笑顔を浮かべて居る風見幽香の表情に思わず背筋が震える。
「なぁルパン、最近急に運が離れて行っている見てぇだが、大丈夫だよな俺ら?」
「あぁ気持ちを察するぜ次元、でもよぉ少なくともあの死期を告げる者と謳われる女が、同行してくれて、しかも命の保証付きは、デカいと俺は思うぜ」
と次元の心配性な言葉に、俺は思わずその心情を察しるが、少なくとも風見幽香から命を守ってくれると言う話だし、大丈夫だろうと意味を込めてそう言ってやるしかないと思うのだった。
と言ったところで、ここまでです。
とりあえずルパン三世視点で物事を進めて行こうかと思います、劇中でもルパンの視点が主だったし、語りやすいと思うので。
そして同行することにしたオリ主こと風見幽香の狙いとは?一体なんでしょうね、結構単純な理由だと思うけど、ルパンたちから見たらマジで不気味ですからね。