第48話
時は流れて、原作開始まで残り6年ぐらいになった頃、私こと風見幽香は、自宅の居間にて黒豆煎餅を食べながら、紅茶を飲みつつ、居間に面した縁側にて、裕也と籐也の将棋対戦を見物しながら、最近購入した旅行雑誌を読んでいる最中である。
ちなみに今読んでいる旅行雑誌は、海外の名所などを紹介している雑誌であり、何でそんな海外の名所を紹介する旅行雑誌を読んでいるのかと言うと、年中行事である神域の森での妖獣の討伐時期が終わって三日目も経って落ち着いて来たので。
私は風見幽香として転生してから初めて、自主的な思いの元、単身での海外旅行に行こうと思い至り、本当に珍しく海外への名所などを紹介している旅行雑誌を読んでいる訳である。
まぁ勿論ながら、旅行に行くのは分身の方であり、もし本体で海外旅行など行ったら、私から発せられる妖神としての気配に引き寄せられて、天使や悪魔などの神話存在が、喧嘩を売るに来る可能性があるかもしれないので。
そう言った面倒事が起こること予想し、未然に回避する為にも、初めて単身海外旅行では、念の為に本体の三分の一程度の力しか発揮できない分身で、向かう訳なのである。
まぁ本体も分身も、私としては同一の存在なので、別にどっちの体で行っても旅行は楽しめるのだけど、やはり海外の神話存在どもが、もう少し温厚ならば、こんなわざわざ分身で旅行することなどもせずに、本体で気軽に海外にも行けていたと思うと、ほんの少しだけだが、あの神話存在共に対して怒りを覚える気持ちである。
何かムカついてきたわね、八つ当たりで海底に眠るルルイエにでもカチコミ旅行しようかしら。
「幽香様、かれこれ数時間ずっと海外の名所を紹介している旅行雑誌と睨めっこしていますが、一体どこに行くのかいい加減決めたのですか?あ、はい、これで王手まであと三手になりましたよ、どうするお爺ちゃん?」
「うぅ!?これは、うむむ我が孫ながら小賢しい一手を指しおってからに、うーむどうしたものか…」
と籐也と将棋をしていた裕也が、どこに旅行しに行くのか決まらないのですかっと問いながら、籐也を王手にする一手を繰り出し、籐也は難しそうに表情を歪ませながら、王手まで後三手の状況にある将棋盤を睨み考え込み始める。
「いくつか候補は決まったけど、まだどの国に行こうか決まらないのよね、初めて私だけど海外旅行だし、ここは思い出に残る旅にしたいのよねぇ」
と私はそう返しながら、海外旅行先とする国が決まらずに、悩みに悩んで30分程経過した辺りで、ついに初めての海外旅行先はロシアのシベリア辺りに決めたのである、理由は前世の頃から自然豊かなあの大地を旅したいと夢抱いていたことを思い出したからである。
「よし、初めての単身海外旅行はロシアのシベリアに決定ね、防寒着が無くても平気だけど、一般人に見られても大丈夫なように、厚着で行かないといけないし、現地の土産品も欲しいからある程度のお金と、買ったお土産物を入れる旅行鞄も必要よね、あとは飛行機の時刻表も調べておかないと、後は国籍証明書も探さないと、どこに仕舞ったかしら?」
と私は海外旅行先を決めると、早速準備へと取り掛かる為に、ずっと箪笥の肥やしになっていた自身の旅行鞄と、国籍証明書を探しに行く様子を、見ていた裕也と、将棋盤を睨みつけて悩んでいた籐也は。
「幽香様本当に楽しそうに旅行の準備していますよね、やっぱ神様でも旅行は楽しい物なんですかね」
「そりゃあ最後に海外に出たのは裕也が生まれる数か月前じゃったからのう、これでどうじゃ」
と裕也は初めての単身海外旅行を楽しみにしている私の様子を見て、やっぱ神様でも旅行は楽しい物なのかと、籐也に問うと、将棋盤を睨みながら最後に出たのは裕也が生まれる数か月前が最後だったからと答えつつ、一手将棋を指してどうだと、告げるが。
「あーそう来るんですね、じゃぁこう指して行けば、王手に持って行きますけど」
「うがぁ!?まま参った…」
と平然とした様子でこう指して行けば王手になることを告げた裕也を見て、籐也は力なく降参するのであった。
:視点:石川五ェ門:
ここは南米チリの山岳地帯にて聳え立つ、とある宗教団体が運営する寺院のその塔にて、悟りへと開くための精神統一をしている石川五ェ門、太陽が昇る方角から来る大型航空機の存在と、背後にある階段から登って来る二人の存在に気づくが、振り返りはせずにそのまま修行を続けることにした。
何せその二人内の一人は、苦々しくも自身の雇い主であり、そしてこの寺院の所有する組織の教祖であるラスプートン、裏社会では『予言の大僧侶』と恐れらえれる人物であるからだ。
そして何よりも、拙者に害を及ぼす気があれば、もう一人の蒼く染まった髪と暗く濁んだ水色の瞳をした気味の悪い女が、すぐに襲って来ているであろうと予想できるので、今は修行に専念して居ても大丈夫だろうと判断したからである。
「悟りは開かれたかな?五ェ門殿」
と雇い主であるラスプートンはそう問いかけて来たので、拙者は悟りとは生涯掴みえるものでないと告げると、ラスプートンは興味的な笑みを浮かべて居るのか、ならば悟ったも同然よっと返す。
「悟りとはこの世の常識から決別する、決意のようなものだからなぁ」
とラスプートンがそう言い終えると同時に、寺院に備えられている滑走路に着陸した航空機より、現アメリカ大統領が降りて来る様子が見える。
「ところがだ、そういったことと決別する意志などを持ち合わせた者など、そうはおらん、ほら見ろ、私に救いを求めてやってきおった、奴のような権力の亡者のおかげで、世界十か国に存在する寺院を維持できるのだからな」
とラスプートンは見下出すように、航空機から降りて来る現アメリカ大統領を嘲笑いながらそう告げ。
「信じられるか、私に愚痴をこぼした挙句に、数万ドルのお布施置いて行く、おめでたい連中を…グハハハハさぁ商売商売♪」
とラスプートンはそう笑みを浮かべて笑いながらそう告げ終えると、蒼髪の女を置いて、寺院の塔から降りて行くのを振り返って見送りつつ、修行の仕切り直しだと、気合入れ直そうとしたところで、蒼髪の女が声をかけて来る。
「うふふふアハハァ!あーあの人はいつ見ても俗物気質で面白いわよねぇ、そう思わないかしら五ェ門様」
「…どうでも良い、拙者の修行の邪魔をするならどこかに行ってくれぬか竜胆彼岸」
と蒼髪の女こと裏社会にて『愉悦者』と恐れられている竜胆彼岸は、一体何が面白いのか、静かに笑みを浮かべて笑いながら、ラスプートンのことを俗物気質で面白い人物だと称し、そして思わないかと同意を求めて来るが、拙者はどうでも良いと言い返し、修行の邪魔をするなら他所に行けと告げる。
「あらあらつれないお人ねぇ、それではわたくしは暇つぶしに近くでうろうろとしておくは、今回はあのアメリカ大統領と同席することになるのですから」
と竜胆彼岸は金箔の扇子で自身の口元を隠しながら、どこかへと優雅に飛び立って行くのを見て、拙者ははぐれ術師ことなどを忘れて、再び精神統一して修行を再開するのだった。
と言ったところでここまでです。
次回より改変したロシアより愛をこめて編を始めるわけなのですが、何故海外を舞台にしたルパン三世の話に介入するのかと言うと。
まぁ裏で設定していた竜胆彼岸の逃亡先と、映画に出て来るラスプートンの設定などを思い出した結果、このまま風見幽香の介入なしで、ラスプートンと竜胆彼岸に最終局面にて対峙してしまうとですね。
普通にルパン一味が全滅エンドに向かってしまうことを、読み直したりルパン映画を調べていた時に気が付いてしまったので、急遽風見幽香の分身をシベリアにぶち込むことにしました。
なので今回の話では結構内容がかなり変化すると思いますが、どうか温かくお読みいただけるとありがたいです。
あと風見幽香の出番結構少なめになることもご両者を、だって出るのすげ後半になるし。