第56話 出雲大社での宴会と、異常な子の話
第56話
さて、シベリアに出向いてから数か月の月日が流れ、丁度今年も終わりを迎えようと言う時期となり、原作開始まで残り6年から5年へと切り替わり始める頃となり。
私こと風見幽香は祟り神或いは妖神として、年に一度の出雲大社での年末行事と化した神々の宴会席にて、知り合いの神から話しかけられていた。
「ねぇねぇ幽香ちゃん、あなたって人間の子と共に生活してるよね、ちょっと子供の育児について相談したいの」
「…はぁ?ちょっと待ってね、どういう経緯を辿れば私に育児について相談しに来たの?」
と黒く濁った蛙目に人間の幼い子供容姿と身体に、頭から複数の鹿角を生やした金色のおかっぱ髪をした、どう見ても冒涜的で邪神な見た目しているこいつは、長野県在住の土地神であるミシャクジ神の集合体である、最初は東方projectに登場する洩矢諏訪子かと思ったのだが、会ってみたら容姿も能力も似ておらず、合致している点が人間と暮らしていることぐらいだったのは記憶に覚えている。
そんな土地神界隈でも最高位に位置する強力な神格であるミシャクジから、人間の子供に関する育児相談をされて、戸惑い覚えているところである。
「えぇだって、幽香ちゃんって、自身の巫女や神主を務める子と一緒に住んでいるのだから、やっぱり子供の育児とかも何度かしているはずだし、詳しいでしょ?」
とミシャクジは一緒に巫女や神主となる子と一緒に住んでいるのなら、子供の育児とかにも詳しいでしょうと言う物言いに思わず、溜息を吐きたくなるが、本当に困った様子で相談しに来ているので、ここは我慢しておく。
まぁ確かに私は長いこと自身の住みかを管理維持してくれる風見家の子と衣食を共にして生活して来たので、今では完全に家族同然な状態で過ごしているし、子供の育児なども母親などが忙し時などに代わって面倒を見ていたことすらあるので、育児相談する相手としては正解なのだけど。
「えぇそうね、確かに私は自身の神社を管理する風見家の人たちと一緒に生活しているし、そりゃあ赤子の頃から子育てに協力とかしているから、それなりに詳しいけど、一体どんなことを聞きたいのよ」
と私は子供の育児についてそれなりに詳しいこととを告げてから、一体どんなことを聞きたいのかと、ミシャクジに問いかけてみる。
「実はちょっとね、うちに仕える風祝、あぁようは幽香ちゃんで言うところの神主を務める子が、何だか異常でさぁ、ちょっと相談したいのよ」
「はぁ異常って?一体どんな風に異常なのよ?あなたに仕える風祝の子は」
とミシャクジはそう言って、風祝私で言うところの神主や巫女に当たる子が異常なので、相談したいのだと言われて、私はどう異常なのかについて問いかける。
ミシャクジから話を聞いてみたところ、どうにも今のミシャクジに仕えている風祝の子は、まだ小学五年生ぐらい、つまり11歳くらいの幼い女の子なのだが、この神秘の薄れた時代では珍しい特殊体質持ちの子で、内容は一定以上の霊力を持つ人間からは、鮮やかな緑色の髪に見えてしまうそうだ。
(一定以上の霊力を持っていると鮮やかな緑に見える髪?何だか聞き覚えのあるよなぁ?)
と私は何とも言えない既視感を覚えていることなども知らずに、ミシャクジはその風祝の子についての相談事を話し続けて行く。
どうにもその風祝の子は、生まれた時から特殊であり、それは異常とも思える量の霊力を宿しており、ミシャクジが語るには、少なく見積もっても下級神格と同等であり、ミシャクジの風祝を務めて来たその家系では、数千年ぶりに力の強い子が生まれたと、大変喜ばれたそうだ。
そしてミシャクジ自身も、このまま風祝の家系が廃業して途絶えるのではと心配していた時だったので、その時は純粋に喜んでいられたのだが、その喜びも次第に困惑と畏れに代わっていったそうだ、その風祝の子が生まれてから5歳ぐらいの時に、見様見真似なのか、自然と空を浮遊出来るようになり。
続いて10歳の時には、風祝として必要な儀式手順なども、難なく覚えきり、それどころからミシャクジが気まぐれで教えていた高位の術までも短期間で学習して、今では普段使いできるほど、上達してしまったそうだ。
「うーんなるほどねぇ、それは確かに異常と言えるわね、と言うかその子、本当に人間なの?」
と私は一通りミシャクジが語る、その子の異常なことに関する話を聞き終えて、最初に告げたことは、本当に人間なのかと言う疑問を浮かべ、なげかける感想を告げると、ミシャクジも苦笑いして頭を傾げていた。
原因はわからないとの事だが、確かに普通なら有り得ない程の霊力を有しているのだが、私はミシャクジが大昔にやらかした出来事を覚えている存在である。
「いくら神に仕える家系に生まれたとは言え、初めから下級神格と比肩し得る霊力を持っているとか、普通はあり得ないことだけど、私の記憶が間違ってなかったら、あんたって確か大昔に人間の子を妊娠した時があったわよねぇ」
と私はまだまだ数百年歳だった頃に、ミシャクジが自身に仕えていた人間の子と、性行為に及んだ結果、妊娠してしまったと言う出来事を覚えていたので、その事を振り返りながら指摘してみると。
「え?うちが妊娠?……あぁ確か大昔に一度だけそんなことをやらかしたような…えぇ!?もしかしてあの子が下級神格に比肩し得る霊力を持っている原因って、私の血による先祖返りが原因ってこと?」
とミシャクジは妊娠という言葉に疑問符を浮かべて居たが、少し考えを巡らせたところで、その出来事を思い出し、自身の血が隔離遺伝的に目覚めたことで、先祖返りが引き起り、下級神格にすら比肩し得る膨大な霊力を有して生まれたのだろうと理解したようだ。
「まぁそうでしょうね、あと術を短期間で学習したことだけど、それは普通に天才ってだけよ、ほら菅原家の次期当主が似たような感じの天才だったし」
と私はその風祝の子が短期間で高位の術を学習したことは、単純に天才だっただけれだろうと指摘するが、ミシャクジはどうにも納得できない様子であり、たかが人間の天才だからと言って、自身の術を短期間で覚えられるのかと言う疑問を浮かべているようだ。
まぁ納得出来ない気持ちもわかる、神である自身が数百年かけて編み出した術を、高々数年生きただけの人間が、短期間で覚えられた事実に、心の整理が追い付いていないのだけだろうし、その異常だと言う風祝の子とより深く付き合って行けば、天才という常識は外れだと理解できるだろうし。
「それで相談事はそれだけなの?ならさぁその幼い風祝の子の名前教えてよ」
と私は相談事はそれだけなのかと問いてから、ならミシャクジが語るその幼くして高位の術などを短期間で学習した、天才疑惑の風祝の子の名前を教えてくれと頼んでみる。
「えぇ?良いけど、あぁ確か名前はねぇ《東風谷早苗》って言うんだけど、えぇどうしたの幽香ちゃん?」
とミシャクジは軽い様子で、風祝の子の名前が《東風谷早苗》だと告げられた瞬間だった、私の脳内に遥か昔まだ風見幽香として転生する前の頃の記憶が浮かび上がり、そして私の原点ともいえる東方projectについての記憶も数年ぶりに思い出していた。
(えぇ東風谷早苗って、東方projectに登場した、現人神の名前と同じじゃない、しかも一定以上の霊力があるものだけしか鮮やかな緑色の髪が見えないって言うのも、そのまんまだし、うーん法則性が全然わからないわね)
と私はこの世界に東風谷早苗が存在していることに驚きを覚えつつも、とりあえず詳しい容姿などについても問い掛けてみるが、ミシャクジ自身はあまり人間の容姿が区別出来ない為なのか、緑色の髪で美人な子供だと言う曖昧な特徴しか答えられず、私はもやもやした気分を抱きつつ。
とりあえずミシャクジの相談に則り、その風祝の子供との接し方などについて、アドバイスを軽くしておくのであった。
と言ったところでここまでです。
とりあえず現代で出せそうな東方キャラから東風谷早苗出させてもらいましたが、こちらの世界では八坂加奈子と洩矢諏訪子は登場しません、いやぁ元ネタ的にどうにも難しと言うか複雑で、生まれと経歴がある程度わかっている東風谷早苗だけ登場させました。
ちなみに本格登場は工藤新一が中学生になった頃に出す予定です。
そして今回登場させたこのミシャクジですが、彼女?数多のミシャクジの集合意志であり、そして集合体でもあり、姿形は伝承や現代に残る風習などの要素を加えた作者の偏見で作ったものなので。
ちなみに風見幽香と知り合ったのは出雲大社での宴会で、大体2500年以上続く仲です。