1人の男子生徒は学園生活部の一員として『日常』を取り戻したい   作:Kagura_fbk89

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ひとまず、滑り止め私立の入試が終わり、無事合格したんで 初投稿です。


…言ってみたかっただけです、ハイ。








ってわけで…あけまして、おめでとうございます。(2ヶ月と16日遅れ)


そして、これまたお久しぶりです


前回の更新が去年の11月と…いや、ほんと 時の流れって早いね。


最初にもあったように、私立が受かってひとまず安心…ってわけで、夜中にちまちま執筆を再開し、ようやく更新となります。


待たせた方、ごめんなさい!!ですが、言った通り 失踪せずこうやって帰ってきましたよ!!だから許して…____えっ?だめ?…


…あっ、ちょっ ちょっと待ってください!!待って!助けて!待ってください!!お願いします!!


アァァァァァァァァァァァッ!!!!


…はい、それじゃあ 15話、どうぞ











第15話 優しさの延長線に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「____先輩

 

 

 

 

 

 

声が聞こえる、だが まだ遠い

 

 

 

 

 

 

「_______起きて_____さい____先輩

 

 

 

 

 

 

先ほどよりも近くに聞こえる声

 

 

それと同時に、体を揺すられる振動が伝わる

 

 

段々 ぼんやりとしていた思考に光が差し込んでくるような感覚に見舞われる

 

 

そうして…

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____起きてください、先輩」

 

 

 

 

 

 

 

 

今度はしっかりと聞こえた

 

 

そして、それを境に浮上していく俺の意識

 

 

なんだか、随分長い間眠っていたような気がする

 

 

そんな感覚を覚えながら、だんだんと開かれていく己の瞼

 

 

その隙間から差し込んでくる太陽の光に、うっすらと聞こえてくる鳥の囀り

 

 

それらがまるで、自分に「起きろ」と言っているように思えた

 

 

 

 

「____おはようございます、先輩」

 

 

 

 

未だ差し込む光に慣れず、少し顰め面になってはいるが だんだんと意識が覚醒し、周囲の様子が視界に入ってくる

 

 

それと同時に、横から聞こえてくる……大事な後輩の声

 

 

ゆっくりと、俺は首をそちらへと回し…

 

 

「…おはよう、美紀」

 

 

「ええ…おはようございます、先輩」

 

 

先ほどからの声の主…美紀へと 朧げながらも返事をする

 

 

「先輩、寝すぎです…もう 朝ですよ?」

 

 

「…やっぱり?」

 

 

…どうやら、なんとなくさっきから感じていた違和感はこれだったようだ

 

 

夕日にしては彩度が高い日光、先程からの美紀の言葉遣い、外から聞こえる鳥の囀り

 

 

…寝坊と言うには、少々無理のある時間 俺は寝ていたようだ

 

 

段々と目が醒めてきて、ソファに転がり寝入るまでの記憶が段々と蘇ってくる

 

 

「あ〜…今何時だ?…つっても、こうやって起こされる時点で だいぶ寝過ごしてるってのは察しが付くんだが」

 

 

「…フフッ……大正解です、もう9時ですよ?」

 

 

「うげっ…何となく予想してたが、流石に寝過ぎたか」

 

 

時間にして17時間ほど…疲れていたとは言え、それだけの間ダウンしていたのは痛い

 

 

「いえ、良いんです…先輩は それだけ頑張ったんですから」

 

 

すると、後悔するような表情を浮かべた俺に 美紀がつかさずフォローを入れてくれる

 

 

とても優しい声で…なんだか、寝入る直前に 似たような声を聞いたようなきがしないでも無いが…まぁ 気にしないでおこう

 

 

再び、俺と美紀の間で 見つめ合う無言の間が生まれる

 

 

「…ククッ」

 

 

「…フフッ」

 

 

なんだかそれがおかしく思えて、次の瞬間美紀と一緒に笑い出す

 

 

…朝起きて、おはようと言われて それに自分もおはようと返す

 

 

ただそれだけで、俺は以前までの日常を感じることができた…まぁ、それは美紀にとっても同じなのかもしれない

 

 

そうして、起きてから穏やかな時間を過ごしていた俺と美紀であったが…

 

 

…俺は失念していた

 

 

…俺が寝ていたのは、生徒会室のソファだ……そう、()()()()()

 

 

今、この部屋は皆の共用スペースとなっているわけで…

 

 

「……ッ!!」

 

 

そう気づいた時には遅かった

 

 

しまったと思い、すぐさま美紀の後ろへ目をやると…

 

 

 

 

 

 

「「「「「……」」」」」

 

 

 

 

 

 

5つの視線が、俺と美紀のやり取りを 最初から見ていたようだ

 

 

胡桃・貴依さんはニヤニヤとした顔を、由紀はキラキラとした顔を、りーさんは微笑ましい物を見る顔を、先生は…何だか哀愁漂う顔を

 

 

各々が多彩な表情でこちらを見つめていた

 

 

 

 

 

 

「…?先輩、どうかしましたか?…」

 

 

 

 

 

 

美紀はこちらを向いているのでまだそれに気づいていない…それなら

 

 

 

 

 

 

 

 

「_____いや、何でも無いよ…ところで___」

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「いや流石に無理だろ)だよ)ですね」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

……何も無かった事にするのは厳しかったみたいだ

 

 

そうして、無事(?)美紀も後ろからの目線に気付き またしばらくお互いに気まずい雰囲気が漂う事になったのは言うまでも無い

 

 

「…まぁ、お熱いとこ悪いが 寝坊助さん、朝飯の時間だ」

 

 

「…おう」

 

 

「…先輩、肩 貸します」

 

 

俺は寝転がっていたソファから立ち上がり、脱いでいた半長靴を履くと 美紀の肩を借りて、皆が座るテーブルへと向かう

 

 

「すまん、待たせた…って これは…」

 

 

テーブルへ辿り着き 席へ座ると、卓上に広がる光景に驚いた

 

 

「…随分と、豪勢だな」

 

 

「昨日、優也くんが 背嚢?に入れてた物です…早速食べちゃいましょう」

 

 

そこには、先日自身がある限り回収してきたパン類が積まれていた

 

 

他にも、放り込んでいたおにぎりやカップ麺の姿が目に入る

 

 

…いや、よくよく考えたら本当になんで学校の購買なのにドラックストア並みの品揃えしてんだよ

 

 

_____そう喉まで出かかったが、その恩恵に預かっているのは自分たちなので それ以上気にするのはやめた

 

 

「早く食べようぜ、結局アタシらも昨日 晩飯食べる前に疲れて寝落ちしちまったんだ」

 

 

「あぁ、どうりで数が多いと思ったら…だったら ひとまずウィンナーパンでも______ッつ…!」

 

 

胡桃に促され 俺もひとまず目に入ったパンを手に取ろうとした…右手で

 

 

取ろうと腕を伸ばしたその瞬間、右腕の肩から下にかけて ズンと響くような痛みが走り、思わず腕を引っ込め顔を顰める

 

 

「…くっそ、そういや俺右腕酷使しまくったんだった…筋肉痛がやべぇ」

 

 

「あらら…だったら、左手で___「そっちは肩がいてぇ」…ってなると、残されたのは…」

 

 

その瞬間 俺は主張し始めた両腕の痛みの事を一瞬忘れてしまうほどの 嫌な予感がした

 

 

ただ、()()は俺の尊厳的にまずい…まずすぎる

 

 

それでも俺は、希望的観測を続ける そうだ、まだ()()が起こると決まったわけじゃ無いのだから

 

 

ただ、そんな俺の客観的思考とは裏腹に 今の胡桃とのやりとりを見ていた外野の視線が

「だったら…」「この場合は…」などと話しながら、ゆっくりと ある1人へと集まって行く

 

 

そう…それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ど、どうしたんですか?皆さん…顔に何か変な物でも?…」

 

 

 

 

 

 

 

 

察しの良い人はなんとなくわかっていただろうが……そう、その視線の先の人物は 手に黄色いパッケージが印象的なブロック状の栄養補助食を持った 美紀であった

 

 

皆の視線が自身に向いている物だと気がついた彼女は何事かと 恐る恐ると言った表情をしている

 

 

「…いや、美紀 別になんでもな___」

 

 

「おう美紀、どうやら先輩は腕が痛くて痛くて まともに飯が食えないらしい、席も隣なんだし ちょっと手伝ってやってくれないか?」

 

 

「____ちょっ、胡桃?!」

 

 

俺の言葉に待ったと言わんばかりに飛び込んできた胡桃は、俺が頑なに指摘しようとしなかったことをつらつらと述べていく

 

 

「ああ…そういうことですか…大丈夫ですか?先輩…」

 

 

「お、おう!!俺は全然大丈夫だから!全然1人でも飯食えるから!!……ッ」

 

 

美紀が「なるほど」と言うように納得した表情を浮かべているのを見て、すぐさま健康アピールをするべく 痛む腕を無理やり回して見せる…が

 

 

「…一瞬、目尻が上がりました…無理してますよね、それ」

 

 

「……」

 

 

「わ、私は…先輩の意思を尊重しますが…その上でって言うなら…構いませんよ?」

 

 

「……」

 

 

試しに左腕を上げようとしてみる…使えないことも無いが、絶対悪化するしめっちゃ痛い

 

 

では右腕を…うん、こっちに至っては動かすので精一杯なくらい 痛い

 

 

 

 

 

 

「……手伝ってもらって、いいか?…」

 

 

 

 

 

 

「ええ…もちろんです」

 

 

 

 

 

 

覚悟を決めた俺は、かろうじて動く右手でウィンナーパンを引き寄せ 美紀に手渡す

 

 

その際目が合った美紀の瞳に「失望」「嫌悪」と言った物は見えなかったのが 唯一の救いだろう

 

 

…それから何があったのかは…あえて言わないでおくが…まぁ、ご想像にお任せといこう

 

 

 

 

 

 

ただ、言える事なら……この日、俺の尊厳は死んだ

 

 

 

 

 

 

後日、周囲にいた人間はこう語る

 

 

 

 

 

 

『無糖のコーヒー缶があれば良かった』…と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もうお嫁に行けない…!」

 

 

「いや逆だろその台詞、何馬鹿なこと言ってんだ」

 

 

時刻は午前10時過ぎ、俺は自室として使っている教室で嘆いていた

 

 

その手には刀が握られており、その横に続いてレミントンとサベージが並べられている

 

 

やっているのは先日寝落ちして出来なかった武器の整備だ、装備も チョッキは中からプレートを抜き、美紀が水道へ 洗剤片手に洗いに行っている

 

 

隣では胡桃が、俺の作業を見ていた

 

 

「…しっかし、美紀も結構大胆だったな アタシは断られてお終いってオチと予想してたんだが」

 

 

「その大胆さで俺の尊厳が消し飛んだんだが?」

 

 

「でも、悪い気はしなかっただろ?」

 

 

「……まぁ、あながち否定はしないが…」

 

 

そんな話を続けながら、俺は作業を続ける

 

 

食後に貼り直した湿布やテープのおかげで、今朝よりもだいぶ動かしやすくなった両腕

 

 

鞘から抜いた刀の刃を見る

 

 

「…やっぱりちょっと欠けてるか…俺もメインを鈍器に変えるか?」

 

 

ゴム手袋を着けた上で 次に鍔や柄巻きに目釘、柄を外し、隙間に入った血液が無いかも確認する…血錆はごめんだからな

 

 

他にも返り血がないかを探したり、欠けた部分や劣化している部分がないかと 一通り刀の状態に目を通していく

 

 

…欠けたとは言え、刀身に調子はまだ良さそうなので引き続き使用することにした

 

 

「打ち粉も丁子油も、持ってきてないしなぁ…汚れを拭き取るだけで精一杯か」

 

 

隅々まで拭き上げた刀を、再び組み直し 納刀する

 

 

次はレミントンだ、内部に空薬莢が入ったままなため フォアエンドを後退させ、排莢する

 

 

空薬莢は…投げて音を立てさせる用に取っておこう

 

 

何度かポンプアクションを行い、完全に排莢されているかを確認…この時の音がまた良いんだ

 

 

薬室を開放したまま、掃除用具入れにあった棒ブラシと 適当な布切れ、そして いつしかのサバゲーで背嚢に入れたままにしていたのだろうWD40を用意する

 

 

最初に、ブラシでバレル内部と薬室部分を軽く清掃…あんまり汚れてないな

 

 

次に、先程ブラシで削られた煤を拭き取り 可動部分周辺も念入りに拭き上げる

 

 

最後に、薬室内部や装弾口 フォアエンドの間などの機械部分にWD40を吹き掛け、余分なオイルを拭う

 

 

「…まぁ、こんだけできれば上出来か」

 

 

分解清掃となると、それこそもっと専門的な機材が必要になる…あればできるんだよ、あればね

 

 

サベージも、同じようにコッキングレバーを引き 薬室を開放した状態で、バレル内の清掃を行う…こっちはそこそこ汚れてるな、ライフリングがある銃の定めかね…

 

 

機械部分にもオイルを吹き掛け、あとは軽く拭う

 

 

「…こんなもんか、あとは ナイフとか…マスクも拭いて干しとこう」

 

 

メインが終われば、残るはサブウェポン達だ

 

 

銃と刀をロッカーへ仕舞い、他の武器や装備品達を取り出す

 

 

「…いつ見ても、お前ら 重武装すぎんだろ」

 

 

「備えておいて、悪いことはない 違うか?」

 

 

「…まぁ、それもそうだな」

 

 

胡桃と話しながらも、着々とその他装備品のメンテは終わっていく

 

 

そして、30分もせず 俺は全ての作業を終えた

 

 

「…っし、終わったぁぁぁ」

 

 

「お疲れさん、こっちも見てて面白かったよ」

 

 

「ああ、こっちも話し相手になってくれて助かった」

 

 

さて、ひとまずやるべきことは終わった…あとは何をしようか

 

 

そう悩んでいると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パアァァン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「…なんの音だ?」」

 

 

お、ハモった…のは置いといて…俺たちは、微かに聞こえてくる音に違和感を覚えた

 

 

「…廊下のほうか?」

 

 

「学校の外からではないと思うが…見に行ってみるか」

 

 

俺たちはその音の原因を知るために、廊下へと出る…すると、案外すぐ その音の原因はわかった

 

 

「…あぁ、()()してたのか…」

 

 

そこには、他の面々の姿があった

 

 

そして、何をやっているかは…文字通り 掃除だ

 

 

「…りーさん、せーので行くぞ…せーのっ!!____」

 

 

パァァァン

 

 

そして、さっきから聞こえている音の正体…それは、3階制圧時に()()した元生徒達の遺体を 窓から外へ放り捨てている音だったみたいだ

 

 

「…人体の半分近くは水分でできてるから、強く体が打ちつけられると 水風船みたいな音がする……本当だったのか」

 

 

「わざわざ解説どうも…」

 

 

まぁ、この状況で火葬なんてする余裕も無いため これが最適解なんだろう

 

 

貴依ネキとりーさんが、遺体を投棄する役を 他の面子はモップやバケツ、雑巾で血痕や血溜まりの掃除を行っているようだ

 

 

まぁ、生活スペースは綺麗にしておきたいし 遺体がすぐそばにあるなんて…精神衛生上よろしくないからな

 

 

「…俺たちも手伝おうか」

 

 

「…そうだな…モップどこにあったっけか…」

 

 

勿論、それを指咥えて見ている俺たちじゃない

 

 

俺の場合、遺体の投棄は難しいが モップ掛けくらいはできるだろうと、早速その作業に加わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふぅ……中々に疲れるもんだな、掃除も」

 

 

「まぁ、もはやこうなると 掃除ってより、事件現場の後処理みたいな感じだな」

 

 

掃除を始めて…どんくらいだ?

 

 

チラリと廊下に掛けられている時計に目をやる…もう13時か、ってなると どうやら2時間以上掃除に明け暮れていたらしい

 

 

既に9割程度は終わっていると思う、遺体は既に捨て 大きな血溜まりも掃除した

 

 

残るは小さな血痕や、3階制圧戦で割れたガラスやフレームの片付けと言ったところか

 

 

「フレームは…木製だし、燃やしたりとか燃料に使えそうだな」

 

 

「んじゃ、屋上に置いてくるわ」

 

 

そう言って、外れたり折れたりしたフレームを 両腕いっぱいに抱え、屋上へと向かう胡桃

 

 

それを見送った俺も、割れたガラス片を集める作業に移る

 

 

「…あー…中々、腰にくる作業だ…それに、片腕だけでするのも、結構厳しいもんだな…」

 

 

そう愚痴を溢しつつも、テキパキとガラスを拾ってはバケツへ投げ入れる

 

 

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

「手伝いましょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?…あ、あぁ…美紀か、いつからそこに?…」

 

 

今朝のことが脳裏によぎり、俺は内心気まずさを覚えるが…美紀はそこまで気にしていないようだ

 

 

「いつからも何も…私、この教室の掃除をしていたんですよ?」

 

 

「そうだったのか……大丈夫か?…そう、色々あったが…」

 

 

知らぬ間に後ろにいた美紀へ、そう問い掛ける

 

 

指すのは…まぁ、()()あったことだ

 

 

「…あぁ、それなら大丈夫ですよ、なんせ____」

 

 

だが、俺が思うより 美紀は逞しい子らしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

「先程私が投げ棄てる時、関節全部逆にした後半長靴で思いっきり股間踏みつけてやったんで」

 

 

「そ、そうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「散弾銃で弾け飛んだ頭も、いい気味でした」

 

 

「それなら良かった…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ショットガン…と言うより、()って凄いですね」

 

 

「お?わかるか?美紀も()()()()来るか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら美紀も「銃」の魅力に気付いたらしい

 

 

指と弾1発であの圧倒的な威力を生み出せる、()()の真髄…

 

 

今度美紀にも色々教えてやろう…

 

 

そう、密かに決心する俺であった

 

 

「_____…まぁ、私は()()()()大丈夫です…手伝いましょうか?」

 

 

落ち着いた…のか?美紀が、手伝いを申し出るが

 

 

「…いや、これで最後だ…掃除終了、だな」

 

 

「そうですか…だったら、先輩…その…」

 

 

手伝いは無用の旨を伝えると、何かを言い出そうとする美紀

 

 

…なんだ?やっぱり今朝のことか?それとも、昨日の事か?…

 

 

「…その……この後、時間ありますか?…」

 

 

「…ん?…あ、あぁ…別に、やる事も無いが…」

 

 

…どういうことだ?

 

 

まぁ、時間はあるから肯定するが…

 

 

「…!!…そ、その…それなら、もし良ければなんですが____」

 

 

すると、少し表情が明るくなったと思えば 着ていたジャケットのポケットから板状の何かを取り出す

 

 

「…あ、それ…」

 

 

それは……先日、回収してきた 板チョコだった

 

 

「ええ、先輩____」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…その…誰かと一緒にいて欲しくて……今から、少し お茶しません?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ああ、その誰かが 俺で良いなら」

 

 

…どうやら、俺の予想は後者で合っていたようだった

 

 

 

 

 

 

そうして、いつもの部屋へと向かう

 

 

 

 

 

 

廊下を歩く俺と美紀の間に 会話は生まれない

 

 

聞こえるのは、廊下の床を叩く半長靴の音のみ

 

 

結局、そのまま教室へとたどり着いた俺は 扉を開き、美紀へ先に入るよう促し

 

 

「…さて…チョコだけじゃなんだし、紅茶かコーヒー どっちが良い?」

 

 

先に入室した美紀へ 扉を閉めながらそう問い掛ける

 

 

「そうですね…じゃあ、紅茶で」

 

 

「わかったよ…昨日、購買で良い茶葉を見つけて 取っておいたんだ」

 

 

そうやって、背嚢から茶葉、携帯コンロ、水、やかん、スチール製のカップを2つ 取り出す

 

 

「ほんと、あそこの購買 なんでもあるよな…この茶葉、ティーバッグとは言え 結構良いやつなんだが…」

 

 

「ここの学長が、あの購買の品揃えを考えたらしいですよ?」

 

 

「へぇ、あの木魚がか」

 

 

「木魚って…まぁ、言われてみれば そんな感じの顔と…()()してましたね」

 

 

「髪型以前にあの校長髪生えてねぇだろ」

 

 

「…スキンヘッド?」

 

 

「言い方変えてもハゲには変わらないぞ」

 

 

そうやって、しょうもない会話のラリーを続ける

 

 

その間にも、俺は紅茶を淹れる準備を進め たった今、水の入ったやかんがコンロに乗せられた

 

 

このサイズと量だし…沸くのに10分もかからないだろう

 

 

 

 

 

 

「…先輩…その、お願いがあるんです」

 

 

 

 

 

 

その間何を話そうかと悩んでいると、美紀が突然 畏まった様子で切り出してくる

 

 

「…どうした?…俺にできる事なら、どんと来いだが…」

 

 

「はい…えっと…」

 

 

そう、一呼吸開けて…

 

 

 

 

 

 

「先輩…私に、()を教えてください」

 

 

 

 

 

 

「…ほう、まさか美紀からその言葉が出るとはな…理由を聞いても?」

 

 

それはそれは、意外にも程がある申し出だった

 

 

「…その…恥ずかしいんですが…その_____」

 

 

 

 

 

 

「…昨日の先輩の、後ろ姿が…すごい かっこ良かったなって…」

 

 

 

 

 

 

「…そ、そう 直接言われると…なんだか恥ずかしいな」

 

 

「それに…」

 

 

「それに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…惹かれたんです、()という 絶対的な火力に」

 

 

そうやって、終始頬を紅く染めた美紀は締め括る

 

 

 

 

 

 

 

 

「…美紀って、結構武闘派だよな」

 

 

「…案外、そうなのかもしれません」

 

 

「…どうしてそう思う」

 

 

だが、まだ続きがあるようだ

 

 

「私、昨日…噛まれかけて 戦意喪失からの撤退になりましたよね…お恥ずかしながら」

 

 

「いやいや、あれは 運が無かったとしか言いようがない…本当に、美紀が無事だっただけで 俺は良かったと思う」

 

 

「…////!!、先輩 それ、毎回思うんですが、意識して言ってます?」

 

 

「…?いや、これは俺の本心だが…」

 

 

「…もう良いです、先輩はそう言う人ってわかって来たんで…………でも、そう言うとこも含めて…」

 

 

「…ん?なんか最後___」

 

 

「なんでもないです!!……話戻しますね、まぁその際 由紀先輩と若狭先輩に手伝ってもらって、後方へ下がったじゃないですか」

 

 

「ああ、そうだな」

 

 

「その時、私が思ってたのが…恐怖とショックもありましたが『もっと戦えれば…』だとか『飛び掛かりに上手く対処できていれば』…なんて、思ってたんです」

 

 

ナイフで突き刺してやれば良かったかも…と、美紀は付け加え…

 

 

「…最後、後ろ目で見た…銃を構えて、自分たちよりも多い『奴ら』に立ち向かう姿を見て…その隣に、並びたいと思ったんです」

 

 

「美紀…」

 

 

「だから、先輩…____」

 

 

そして、再び…

 

 

「烏滸がましい願いだとはわかっています…ですが、その上で 私に、銃を……先輩の隣に立てる ()の、扱い方を 教えてください」

 

 

そう、言い切った

 

 

「…美紀は、その願いが どれだけ罪深い物だか、理解しているかい?」

 

 

説教じみた口調にならないよう、そう美紀に問う

 

 

「えっと…銃は、普通じゃ違法であること____「違う、そこじゃないんだ」…?」

 

 

「…なぜ、違法なんだ?」

 

 

「……危ない、から…?」

 

 

「そうだ」

 

 

そう言うと、俺はおもむろに立ち上がり ロッカーへと向かう

 

 

「先輩、何を____」

 

 

「___美紀」

 

 

そして、俺は ロッカーから散弾銃(M870)を取り出す…そして

 

 

隣の紙箱から、1発の ()()を手に取ると

 

 

「あまり、こういう事はやるべきじゃないんだがな」

 

 

それを、開かれた薬室(チャンバー)へと放り込み、フォアエンドを前進させた

 

 

安全装置(セーフティ)は掛けてあるが、発射可能状態であるそれを 少し強引に、美紀へと渡し

 

 

「…それが、銃の()()だ……どう感じる?」

 

 

「…重たいですね…すごく……昨日撃ったときは、固定してたので こうやって、直接持ってみると…」

 

 

「だったら、抱えるだけじゃなくて 構えてみるんだ…こういう風に____」

 

 

「せっ、先輩?!何をして…!」

 

 

銃を抱えているだけの腕を、前に上げさせ 構えさせる…そして、その銃口の先は____

 

 

「…美紀は、この状態で 引き金を引けるか」

 

 

___俺の胸だ

 

 

「これ、実弾、入って…」

 

 

「…仮に、俺がナイフを持っている 悪党だとしよう」

 

 

俺は、美紀から数歩離れる

 

 

「この距離、歩いて3秒もかからん…その間に 美紀はその銃で、相手を撃てるか?」

 

 

「…あ、悪意持つ相手だと わかっているなら____」

 

 

そうやって、美紀は答えるが…

 

 

「じゃあ、その相手が 子供と妻がいて、食料がないから仕方なく 略奪をしているなら?」

 

 

「……」

 

 

「…銃とは、()()()()()なんだ…美紀、君の人差し指に3kg分の力を込めるだけで その相手の、数十年分の積み重ねを 一瞬で崩す事になる」

 

 

残された人々の分を含めたら、もっとだ と、付け加える

 

 

「…その上で、美紀 『奴ら』は勿論だが……人に対しても、引き金を引けるか?」

 

 

決して目は、逸らさない

 

 

見つめ合う美紀の瞳には、動揺・緊張・焦り…そして、恐怖が滲んでいるように見えた

 

 

呼吸は早まり、手先は震え 目の焦点は合いづらくなっている

 

 

だが、それでもやめない

 

 

美紀の答えを、聞くまでは

 

 

そうして 何秒だろうか、暫くの間 見つめ合った俺達だが、考えが纏まったのか 美紀がか細く口を開く

 

 

「私は……引き金を、引きます…」

 

 

「…どうして、その答えになったんだ?」

 

 

 

 

「…理由が何であれ、襲ってきている相手なら それは…純粋な()である…そう、判断しました」

 

 

 

 

「相手がもし、この騒動以前からの 知り合いであった場合は?」

 

 

「…それで撃たずに、2次被害で誰かが傷つくのは…嫌です……だから、そうであっても 私は撃ちます…撃ってみせます」

 

 

その瞬間、美紀の瞳から雑念が消え 指先の震えも収まる

 

 

そして…

 

 

「…良い目をしている…戦う人間の目だ」

 

 

「…何ですか、それ…映画の見過ぎですか?」

 

 

「…だったら、そういう事にしておいてくれ…そうでもないと、俺がとんでもなく痛いやつになっちまう」

 

 

…本人は気付いていないだろうが…美紀の手に持つ、レミントンの銃口は 迷いなく、俺の心臓を指していた

 

 

「…こりゃ、俺の心配は必要なさそうだ」

 

 

俺が確認したかったのは、()という鉄の悪魔と契約を結ぶ覚悟と 身の危機に瀕した際、迷いなくその引き金を引けるかの 二つの覚悟だ

 

 

その両方を、美紀は持っているようだ

 

 

…俺?…既に元生徒の頭を躊躇なく吹っ飛ばしたんだ、とっくにできてる

 

 

…まぁ、そんなこんなで話していると 10分なんてすぐで…

 

 

 

 

 

 

ピィィィィィィィィイッ

 

 

 

 

 

 

「おっと、沸いたか…んじゃ、話もひと段落したし…飲もうか、紅茶」

 

 

「そうですね…では、私はお菓子の用意でも…」

 

 

そうやって、テキパキとお茶の準備を始める俺達

 

 

火からやかんを退け、茶葉を入れたカップにお湯を注ぎ 適当な物で蓋をする

 

 

「…明日、朝飯食ったら この部屋に来い」

 

 

「それって___」

 

 

「…まずはしっかり座学からだ…2年生の教室、この階だろ?ノートでも取ってこい」

 

 

「…!!…はいっ!!」

 

 

「良い返事だ…ここまで言ったんだ、その分 しっかり学べよ?」

 

 

「勿論です」

 

 

まさか、こんな形で頭に詰め込んだ知識が役立つとは…数日前まで思いもしなかった

 

 

そのように感傷に浸っていつつも、手は止まらず

 

 

「…よし…シロップもミルクもない、ストレートだが…美味いはずだ」

 

 

渋くならないよう、蒸らしを終えたティーバッグを上げ 美紀にカップを差し出す

 

 

すると、美紀からは半分に割られたチョコが差し出される

 

 

そして、その状態で見つめ合う俺と美紀

 

 

「…ククッ」

 

 

「…フフッ」

 

 

なんだか、その状況に 変に笑いが込み上げて、笑い合う

 

 

 

 

 

 

_____あぁ…

 

 

 

 

 

 

「_______…日常って、良いもんだ」

 

 

 

 

 

 

「…そうですね」

 

 

 

 

 

 

茶と菓子を手に…友人…いや、違うな

 

 

 

 

 

 

()()と笑い合う ただそれだけで、俺は 幸せだ

 

 

 

 

 

 

「…じゃあ、食うか」

 

 

「…そうですね」

 

 

 

 

 

 

そうして、青年は紅茶を口に含み 少女はチョコを齧る

 

 

合間に2人は話しては、他愛のない話題で 笑いが起こる

 

 

換気で開けていた窓から、春先の風と 心地よい光が差す

 

 

手には温かい飲み物と、甘い菓子

 

 

それらは、掃除で疲れた2人の身体には 効果抜群で…

 

 

カップも空になり、手に残るのは銀紙だけとなる頃 会話の数も勢いも次第に減り…

 

 

どっちから…それすらわからないほど 同じタイミングで寝息を立て始める両者

 

 

 

 

「_____おーい、優也 美紀、いるか〜…って」

 

 

 

 

すると、そこへやってくる これまた別の少女

 

 

2人を探していたのだろうか、両者の名前を呼びながら 教室の扉を開く

 

 

が、そこに広がる光景に 一瞬息を詰まらせる

 

 

何故なら…

 

 

 

 

「…ほんと、何でこいつら これで付き合ってねぇんだか…」

 

 

 

 

目にしたもの、それは 壁にもたれる2人だ

 

 

 

 

だが、ただもたれるだけではない…

 

 

 

 

「…こりゃ、起こさない方が面白そうだな」

 

 

 

 

…寝息を立てる2人は、肩を寄せ合い 互いに寄り添いあって、眠っていた

 

 

 

 

 

 

吹き込む風は、どことなく鉄の匂いが混じり 開いた扉から見える廊下は、窓が割れ 所々に赤黒い斑点も見られる

 

 

両者も身に纏う服は迷彩服と 学舎に相応しい格好とも言えず

 

 

間に置かれる、散弾銃(M870)の姿はかなりの異物感を放っている

 

 

 

 

 

 

ただ、そこには______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______そこには 紛れのない…一つの、()()が、広がっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




…ってわけで、どうだったでしょう 第15話。タイトル通り、前回の“優しさ”の延長線についてに話でした。

戦闘描写無しの、文字通り「日常回」だったんで、物足りない方もいたでしょう。まぁ、そういう人 安心してください、『次回』頑張りますんで、またもうしばらくお待ちください…

ただ、進学してからも暫くゴタつくと思うので、次回更新は時間掛かると思います。
読者離れを感じて、少し寂しくもありますが…まぁ、こんな時期に2次創作やってる自分も自分ですので、仕方ないか


その上で、見に来てくださった読者の皆様…ほんまに ありがとうございます(*´꒳`*)

さっき言った通り、次回 頑張ろうと思いますので、どうか 更新を気長に待って頂けると幸いです。



アンケート(↓)も、次回で締め切ろうと思いますんで まだ投票してない方、是非是非ご参加ください。



それではまた、今度は…春先くらいに会えると良いですね(遠い目)



……ただ、何度でも言います___



___失踪は、しません



……以上です。


“登場させるならどれが良い?”第2回銃器アンケート

  • 89式小銃
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  • 64式小銃“狙撃型”
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