ついつい書き足しながら書いていたら、投稿が遅くなってしまいました。
前回の続きになります。
解釈違いだったらごめんなさい。
先生に抱きしめてもらって、とっても幸せな気分になった。けれど、先生はすぐに離れてしまった。
思わず、あっ……と声が出てしまった。
(先生、もうちょっとだけ、抱きしめてほしいな……)
私はそうお願いしようとしたけれど、先生はちょっとだけ顔を赤くしながら、少しはにかんで私たちに声を掛けた。
「はい、もう終わり! みんな、今日は仕事を手伝ってくれてありがとう。イブキも寝ちゃってるし。今日はもう解散しようね」
そう言われてイブキちゃんを見ると、先生に抱きついたまま気持ちよさそうにスヤスヤと眠っていた。
「ええ、そうですね。イブキは私の宿舎で寝かせます。それでは皆さん、私はお先に失礼します」
そう言うと、イロハちゃんがそっとイブキちゃんを背負い、先生の部屋を後にした。
「……そうね。残念だけど、私もそろそろ帰るわ。久しぶりに仕事が少なくて、久しぶりによく眠れそう。それじゃあね、先生、ミカ」
少し名残惜しそうにしながら、眠たげな顔をしたヒナちゃんは手早く帰り支度をして部屋を出ていった。
(もう終わりかぁ……残念だな……)
先生とお話したくて、先生の仕事を手伝ったんだし、ちょっとだけでも先生とお話したかったなぁ。
落ち込みながら先生の部屋を出ようとした時だった。
「ミカ? 元気無さそうだけど、大丈夫?」
振り返ると、心配そうな顔をした先生が私を見つめていた。
「……先生、ほんのちょっとでいいからお話しない?」
先生は、きっと断ると思う。先生の部屋で生徒と二人っきりなんて、先生は真面目だから。許してくれないよね?
それでも、ほんの少しでいいから先生といっしょにいたい。そう思って、ダメ元で先生にお願いしてみる。
「……んー、流石に部屋だとね……あ、コンビニで買うもの忘れてたから、良かったら一緒に来る? その道すがら、ミカの話したかったことを聞かせてくれるかな?」
まさかの提案が返ってきちゃった。
「え、良いの? 行く行く! ほら先生、早く行こー!」
私は嬉しくなって、先生の腕にしがみついて玄関の方へ引っ張っていった。
「ちょ、ちょっとミカ!? そんなに引っ張らなくても大丈夫だって! って、力強っ!?」
こうして、先生といっしょにコンビニへ向かうことにした。
「えへへー、先生とお出かけなんて嬉しいなー♪」
私は先生の腕にぎゅっとしがみつきながら歩いていた。
「あの、ミカさん? そろそろ離れてくれると助かるんだけどなー? その、歩きにくいんじゃない?」
「ううん、全然っ☆……あれー? 先生? もしかして、ちょっと照れてたりするのー? 先生もかわいいところあるんだねー?」
私はニヤニヤとしながら先生の反応を窺うと、先生は顔を赤くしながら、私が抱きついていないもう片方の手で、自分の顔を覆っていた。
「ミカ? あの、もう、離れてくれると……」
「あれ? 先生、お顔赤くなってないー? ホントに照れてるのー?」
私なんかで照れてくれてるんだ。そう思ったら、なんだか嬉しくなっちゃった。嫌がってる感じはしないし、もっと近づいてもいいよね?
先生の腕を潰さないように気をつけながら、さらに身体を寄せて密着する。
すると、慌てた様子の先生が、顔を赤くして私に話しかける。
「み、ミカ! あの、私の腕に、その……」
「どうしたの先生? 腕がどうかしたの?」
そう言われて目線を下げると、先生の腕に私の胸を押し付けていた。
「あっ……」
先生、それで照れてたんだ……
自覚してしまったら、抱きついているのが恥ずかしくなってしまい、先生の腕から手を離し、少しだけ距離を取った。
(どうしよう……は、はしたない子だって、思われちゃったかな? ……嫌われちゃったかな……?)
そう考えると、恥ずかしさと、不安でいっぱいになり、ドキドキが止まらなくなってしまう。
顔を両手で覆いながら、恐る恐る先生を見ると、まだ少し照れたような表情だった。
「ふぅ……ねぇ、ミカ? あんなに密着するのは、あまり良くないよ? 女の子なんだし、気をつけないと、ね?」
そう言いながらも、先生は恥ずかしそうに頭をポリポリと掻いていた。
……ふーん? お説教はしても、そんな表情をするってことは、別に嫌じゃなかったってこと、だよね?
焦りでドキドキとしていた胸だったけど、いつの間にか違う種類の、さっき先生に抱きしめられていた時のドキドキに変わっていたことに気づいた。
私は少しだけ目を細め、自分の胸を抱きしめながら先生を見つめる。
「……えっち」
「み、ミカ!? いや、確かに触れてしまったけど、生徒にそういう気持ちは持ってないから! 私は大人で、子供である生徒にそういう感情は持ってないから!」
へー? 先生、そんなこと言うんだ? ちょっとだけムッとしちゃうなぁ。
「……えいっ!」
動揺した先生の腕を、再度抱きしめる。
「ミカっ! ま、また触れてるって!」
「……先生は大人だから、私みたいな子供に、変な気を起こしたりするわけないんだよね? だったら私がくっついたって、何も問題ないよね? ……それでも嫌なら、振り解けばいいんじゃない? ほら、私ぜんぜん力を入れてないよ? でも、振り解かれたら少し傷ついちゃうかも……」
そうやって言えば、先生は生徒を傷つけるようなこと、しないもんね?
ごめんね先生。私は悪い子だから……
でも先生? 先生は恥ずかしいのかもしれないけど、私だって結構恥ずかしいんだからね?
「……うーん、コンビニに着くまでに離してね?」
観念したのか、先生は困り顔で私のされるがままになっている。
「うんっ! ……あ、先生? お話したかったことなんだけどさ。留学を勧めてくれてこと、先生にお礼が言いたかったんだー」
そう言いながら、先生を見つめる。
「……初めはね? ゲヘナなんかに連れてきて、先生ってどういうつもりなんだろう? って思ってたの」
先生に会う前の私なら、絶対に行くことなんてなかった。魂に刻み込まれているんだってぐらい、ゲヘナのことが嫌いだったから。
「実際、ゲヘナ学園に着くまでに、銃声や爆発音ばっかりだったでしょー? ホントに大丈夫かな? って、すっごい心配だった。でも、先生の言う通り、ゲヘナにもいい子だっているんだって驚いちゃった。私なんかと友達になってくれるってくれるなんて、それでこんなに嬉しくなるなんて、思いもしなかったよ」
ゲヘナの生徒の友達だなんて、今までの私だったら想像すら出来なかった。
「こんな機会をもらえたのは、先生のおかげだから、お礼を言わせて? ありがと、先生」
少し照れながらそう話すと、先生は優しい笑顔を浮かべて、そっと私の頭を撫でてくれた。
「ミカがそう思ってくれただけで充分だよ。それに、ミカは話せばちゃんとわかってくれる子だって、信じてるからね」
あったかくて優しくて大きい手で、私の頭を撫でながら、真っ直ぐ私の目を見て褒めてくれる。
さっきまで先生にしてきたことを考えると、少し後ろめたさを感じてしまうけど、私はまだ子供だし、先生は許してくれるよね? そう考えながら、足を止め、ちょっとだけ先生に身体を預ける。
……あ、これは聞いておかないと。
「でも、他の生徒にはもっとスキンシップをしてるよね? それに、イオリちゃんやヒナちゃんたちには、もっとすごいことしてるみたいじゃん? こんな風に撫でてくれたり、私にも、もっとしてほしいなー?」
チラリと先生の顔を見ると、ばつの悪そうな顔をしていた。
……なんでそんな顔をするの?
「先生……やっぱり、私のこと嫌いだった? 他の子には触れても大丈夫なのに、私に触れるのは、嫌なのかな……?」
そうだよね。私はみんなを傷つけるような悪い子だし、触れたくないよね。先生だから仕方なく接しているだけで……
「……そんなことないよ。ミカは、大切な私の生徒だから。表情豊かで、たまに勘違いしちゃって、人を思いやれる優しくて素敵な子だよ。そんな子を嫌いだなんて、思うわけないよ」
「……ウソなんてつかなくていいよ。どうせ私は……」
『魔女』だから、そう言うとした時、食い気味に先生が言った。
「『お姫様』だよ。ミカは、私の大切な生徒で、お姫様だから」
えっ? ……先生? 今、なんて言ったの?
予想していなかった言葉に驚いていると、先生は言葉を続ける。
「……ミカの言う通り、これまでミカにスキンシップをしてこなかったのは事実だよ。それで嫌な思いをさせてたらごめんね。でもそれは、過度に接してしまったら、ミカを鳥籠の中に仕舞うようにしてしまうんじゃないか、私に依存させてしまうんじゃないかって思ったからなんだ。私はそんなことをさせたくない。ミカには、もっと広い世界を見て、もっと遠くへ羽ばたいてほしいって思っているんだ」
先生は、ほんの一瞬だけ悲しそうな顔をしたけど、すぐにいつもの表情をして私を見つめていた。
「ミカが空高く羽ばたく為の第一歩として、この留学が役に立ってくれれば嬉しいな。私も出来る限りサポートするから、明日からまた頑張ろうね」
先生は笑顔でそう言ってくれた。
先生、ホントに私なんかを信じてくれているんだ……
いろいろと聞きたいこともあったけど、先生の言葉を聞いていたら、じんわりと、胸の奥から温かくなってきた。
ちょっとだけ、ううん、結構、嬉しいかも。
「わかった。私、頑張ってみるね。でも、今の話だったら、これからはもう少しスキンシップをしてくれるんだよねー?」
「あはは……ある程度は、ね?」
そう言うと、また優しい笑顔を浮かべながら、私の頭を撫でてくれた。
「えへへー♪ もっと早くこうして欲しかったなぁ。あ、足を止めちゃってごめんね? そろそろコンビニに行こ!」
そう言って、私はまた先生の腕を引くように歩いた。
〜数分後〜
買い物が終わり、宿舎に着いたあと、先生は私の部屋の前まで見送りをしてくれた。
「隣の部屋なんだから、わざわざ見送ってくれなくても大丈夫なのに……でも、すごく嬉しい。それじゃ、おやすみ先生」
「うん、おやすみミカ。いい夢を見てね」
ドアを閉めて、荷物と銃を置くと、私はベッドに飛び込んだ。
「今日はいつもより、先生の距離が近かったよね。距離を取ってたとは言ってたけど、正直に言ってくれたってことは、少しだけかもしれないけど、私に心を許してくれたってことなのかな?」
そんなことを考えていたら、色々と妄想してしまい、1人でキャーと喚きながら、ベッドの上でバタバタとする。
「あ、いけない。早くお風呂に入って寝ちゃわないと。寝坊なんてしたら先生にがっかりされちゃうよね☆」
私は急いでお風呂の準備をしながら、明日も先生やみんなといっしょだと思うと、嬉しい気持ちで溢れてくる。
「明日、楽しみだなー!」
「明日、どうしよう……」
先生は頭を抱えていた。
なんで、ミカに対して、あんなに近い距離で接してしまったのか。
これまでミカの為を思って過度なスキンシップを避けてきたのに、ここにきてかなりの密接に接してしまった。
私から距離を取った時の、あんな悲しそうな顔をしたミカに何もしないなんて、私には出来なかった。しかし、そんなことは言い訳でしかない。
むしろ、ミカの将来のことを考えれば、手を差し伸べずに見届けることこそが正解だったのかもしれない。
「私は一体何をしているんだ……まだまだ、私も未熟だなぁ……」
そう言いながら、気持ちを切り替えようとするが、気づけば、ミカのことが頭を過ぎる。
少し大胆なところがある生徒だけど、純粋故に繊細で、誰かが見ていないといけない。
そんな生徒だからこそ、先生である私が正しく線引きをしないといけないのだが……
「今日の対応は良くないな……『お姫様』なんて、なんで期待させるようなことを言ってしまったんだ……」
普通、生徒とあんな密接な距離にはならない。
「でも、今さら対応を変えると、ミカ、傷つくかもしれないよなぁ……」
多感な彼女だからこそ、急に距離を取るようなことをすれば、きっと心に傷を残すことになるだろう。
「今日のミカ、すごく喜んでくれてたなぁ。これまであんな距離で接して来なかったし……それなのに、明日からまた距離を取ったら、すごく悲しむよね……」
どうせなら、ミカには笑顔でいてほしい。
そう考えていると、ふと、ミカの眩しいくらいの笑顔が脳裏に浮かび、胸が温かくなる。
ーーいやいや、違うだろう? 私は先生で、大人なんだと頭を振る。
「私は何のためにキヴォトスにいるんだ? 生徒たちのためだろう? 個人の感情? そんなモノは彼女たちの為にならない。だから、余計な感情は持ってはいけないんだ。それに、私には見届けるべき生徒が大勢いるんだ……」
独り愚痴をこぼしたとて、この胸の内をどうすればいいかの答えが出るわけもなく、ただただ、軽くため息をついたあと、ベッドに飛び込んだ。
そして祈る。願わくば、ミカが私に対して親愛の感情を持ちませんように……
そして、ミカに向ける私のこの感情が、生徒として向ける感情として誤ったものでありませんように……
「……いやいや、またミカのことを考えているじゃないか」
深くため息をついた後、これ以上余計なことは考えまいと、私はベッドで横になると、目を閉じた。
気づけばこういう展開になってしまいました。
ただ、何分こういう展開の話は初めて書くので、物足りないかもしれません……
先生の志は大変素晴らしいのですが、何分書いている人間が俗物ですので、
キャラ崩壊をしておりますが、ご了承ください……