ミカ「留学?」   作:森竹

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今回はミカ視点です。

こんなこと出来るか? っていう部分もありますが、
苦手な方が居たらごめんなさい。



ミカ「美食研究会?」

 ホシノちゃんとユウカちゃんの制服を借り、着替え終わったあと、ヒナちゃんとホシノちゃんは凄い速さで現場に向かっていった。

 

 ……人って、あんなに早く走れたっけ?

 

 「さあ、私たちも行こうか」

 

 先生に促され、私たちはイロハちゃんが用意した戦車ーー超無敵徹甲虎丸に乗って美食研究会の目的地、給食部へ向かった。

 

 エンジンが唸りをあげ、無限軌道の駆動音が響く中で、イブキちゃんを膝の上に乗せて抱きかかえながらイロハちゃんに聞く。

 

 「ねぇイロハちゃん? その美食研究会ってどんな子たちなの? トリニティでもたまに名前は聞いてたんだけど、ゲヘナの悪い子たちなんでしょ?」

 

 「そうですね……一言で言うなら、テロリストですね。出された料理が不味かった、サービスと値段が不釣り合いだった等、彼女たちのポリシーに反する食事を提供している飲食店を爆破したり、非常時の混乱に乗じて水族館の魚を奪ったりと……数々の悪事を働いていますね。そのせいで風紀委員会や他学園の治安部隊に何回も捕らえているのに、懲りずに何度も繰り返すんですよね……」

 

 はぁ……と面倒そうに操縦桿を握りながら答えるイロハ。

 

 ヒナちゃんって、毎日そんなのを相手してるんだ……万魔殿のみんなも手伝ってあげればいいのに。今度マコトちゃんにも話してみよう。

 

 そんなことを考えていると、先生が苦笑いをする。

 

 「ははは……そこまで悪い子たちってわけじゃないんだよ? ただ、ちょっと自由過ぎるところがあるだけで……」

 

 「はい? 悪い子じゃない? そんなわけないじゃないですか。今月に入って何件の店舗が爆破されたと思ってるんですか? いくら生徒のしたことだからって、擁護して良いことと悪いことがあるんじゃないですか、先生?」

 

  あ、一件二件じゃないんだ。本当に悪いことしてる子たちなんだねー……って違う違う! 普通一件でも爆破したら大犯罪じゃんね? う〜、私ホントにゲヘナに染まってきたかも……

 

 「確かにやり過ぎる子たちではあるけどね。でも、私は先生だから。出来る限り、生徒の味方でありたいんだ」

 

 「は? 何を言ってるんですか、犯罪者なんですよ……って、まさか、他のテロリストや指名手配の生徒とも交流があるんですか?」

 

 「ははは……」

 

 「先生? それは肯定ということですよね? はぁ……ホントこの大人は……」

 

 先生ってば、生徒のためなら悪い子だろうがテロリストだろうが、なんでも受け入れちゃうんだね。

 

 ……そんな先生だから、サオリたちのことも、私のことも救ってくれたんだよね。

 

 先生には感謝してもしきれないなぁ。先生のおかげで、私はここに居る。先生のおかげで、友達も増えた。今度こそ、失敗しないようにしなきゃね。

 

 「それなら、その子たちを守る先生を私が守ってあげるね。悪い子の私でも、それぐらいなら出来ると思うからさー」

 

 「ありがとうミカ。でも、ミカは悪い子なんかじゃないよ。それに、ミカも私の大切な生徒なんだから、自分のことを優先していいからね」

 

 ふふっ、『私の大切』な、だって。……生徒って付くのが残念だけど、ね。

 

 「……ミカさん? 代理メンバーと言っても、あなたはマコト先輩から指名を受けた万魔殿の一員なんですから、先生のことばかり優先されると困るのですがーー」

 

 「イブキも先生とミカお姉ちゃんのお手伝いするー!」

 

 「はぁ……動き始める前に、まず私たちに相談をしてからにしてくださいね? 全員でやればすぐ終わるでしょうし」

 

 「あははっ! わかった、そうするね☆ イロハちゃんって、ナギちゃんよりも話がわかるし助かるよー!」

 

 「……ナギサさん、でしたっけ? 苦労されてるんですね。今度お会いする機会があれば労っておきますね」

 

 「イロハちゃんー? それってどういう意味かなー? ナギちゃんだって、結構やらかすんだからねー?」

 

 そんな話をしていると、ユウカちゃんがマジマジと私を見つめてくる。 

 

 「ユウカちゃん? 私の顔に何か付いてる?」

 

 「あ、ごめんなさいミカさん。実は、セミナーでもミカさんの話を聞いていたのよ。でも、ゲヘナの生徒ととても親しげに話しているから驚いてたの。ゲヘナ嫌いなんて、ただの噂だったのね」

 

 「ううん、その噂は合ってるよ。ほら、イロハちゃんやイブキちゃんってゲヘナっぽくないでしょ? だから大丈夫なのかも。それに、こんなにかわいいんだから、ゲヘナとか、そういうの気にならないよねー♪」

 

 そう言いながら、イブキちゃんを抱きしめる。

 

 「えへへ~♪ イブキ、ぎゅ~ってされるの好きー! イブキもぎゅ~ってするー!」ギュー 

 

 キャッキャと喜ぶイブキちゃん、ホントかわいいなぁ〜。

 

 「ね、ねぇイブキちゃん? 私の膝の上にも座ってみない?」

 

 「あはっ、ユウカちゃんもイブキちゃんを抱きしめたいんだ? でも今は運転中だから、席の移動は危なくない? だからイブキちゃん? もうちょっとだけ私と一緒にいようねー?」

 

 「うん! わかったー!」

 

 「……」

 

 「ユウカちゃん? そんな怖い目で見ないでくれないかな? 女の子がしちゃいけない顔になってるじゃんね? あとで交代するから、そんなに怒らないで?」

 

 「うん! イブキ、ユウカお姉ちゃんにもぎゅ〜ってしてもらいたいなー?」

 

 「イブキちゃん……!」

 

 イブキちゃんの一言で、ユウカちゃんの顔が一気に綻んだ! イブキちゃん凄いなぁ。

 

 「あ、そうだ! せっかく知り合えたんだから、ヒナちゃんのお手伝いが終わったあと、ヒナちゃんたちやフウカちゃんたちを誘ってお茶会なんてどうかな?」

 

 「えー! ホントー!? やったー! イブキねー? みんなも好きだけど、ヒナ先輩も好きー! それでね? いーっぱい手伝って、ヒナ先輩や風紀委員会の先輩たちに褒めて貰うんだー♪」

 

 「あははっ☆ ホントイブキちゃんは良い子だねー! ……ねぇイブキちゃん? やっぱりトリニティに転校してみない? ナギちゃんもセイアちゃんも、イブキちゃんなら大好きになると思うなー?」

 

 「その人たちって、ミカお姉ちゃんのお友達? イブキも会ってみたーい!」

 

 イブキちゃんを勧誘していると、ユウカちゃんが割り込んできた。

 

 「ちょっと! 何勝手に話を進めてるのよ。私だってイブキちゃんをミレニアムに勧誘……じゃなくて、招待したいのに」

 

 「2人揃って何をバカなことを言っているんですか? イブキを渡すわけないでしょう? あとミカさん、なんでイブキを膝の上に乗せてるんですか?」

 

 操縦桿を握りながら、ムスッとした顔をしたイロハちゃんがこちらの様子を伺ってる。

 

 「やだなぁイロハちゃん。冗談だから怒らないでよー☆ 私がこうしてイブキちゃんを抱っこしていれば、狭い戦車の中でもスペースを確保出来るでしょ? それにお話も出来て一石二鳥って感じかなー? ほらほら、イロハちゃんは運転に集中して? 脇見運転は危ないんだからね? あ、イブキちゃん、先輩がしてるからって余所見して運転するなんて真似、しちゃダメだからねー?」

 

 「はーい! イブキ、運転出来るようになっても、ちゃんと運転するー!」

 

 「……なるほど。ミカさんは徒歩がお好きだったんですね? どうぞどうぞ。今すぐ出ていってもらって構いませんよ。生憎急いでいるので速度はこのままになりますが」

 

 あ、ちょっと眉がピクピクしてる。ちょっと弄り過ぎたかな?

 

 「も、もうやだなー? ちょーっと誂っただけじゃん? ねっ?」

 

 「……イブキ、給食部に着いたら私のところに来てください。あの2人に近づくと拉致されてしまいますからね」

 

 「もうイロハちゃん~! そんなに警戒しないでよー!」

 

 「どうして私も含まれてるのよ!? そんな犯罪紛いなことなんてしないわよ!」

 

 「私だってそんなことしないよー! イブキちゃんとトリニティでいっしょに通えたらいいなー? って思っただけだよー?」

 

 「まったく……そんなにイブキと学校に通いたいなら、ミカさんがゲヘナに転校すれば良いだけじゃないですか」

 

 「えっ……? そ、それは……ちょっと、ね?」

 

 「おや? 即決しないんですか? ゲヘナ嫌いで有名なミカさんはどこへ行ったんですかね? 意外に、押せば何とかなるってことですかね?」ニヤニヤ

 

 「えっ? ミカお姉ちゃん、ゲヘナに来てくれるの!?」

 

 「う、うーん、それは無理かな……これで私がゲヘナに行ったら、逃げたみたいに言われちゃうじゃない? そうなったら、私の為に動いてくれたナギちゃんとセイアちゃんの気持ちを無碍にしちゃう。そんなことはしたくないからね」

 

 「そうなんだ……残念……お別れしたくないなぁ……」ウルウル

 

 「イブキちゃん、それはズルいんじゃないかな!? ……ごめんねイブキちゃん。そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、私はずっとは居れないんだ。それでも、私がゲヘナにいる間は仲良くしてほしいなー?」

 

 「……うん、わかった! イブキといっしょに、いーっぱい遊ぼうね!」

 

 「さて、一段落したようですし、そろそろ行きましょうか」

 

 イロハちゃんが声をかけたところで、虎丸が停車する。

 

 「では、行きましょうか」

 

 私たちは給食部の入口へと向かうが、何やら言い合いをしているような声が聞こえる。

 

 「どうやら相手はもう来てるみたいね。何か話をしているように聞こえるけど、大丈夫かしら?」

 

 ユウカちゃんが心配そうに尋ねると、イロハちゃんが面倒くさそうな顔をした。

 

 「一足遅かったみたいですね。面倒ですが、さっさと押し入って片付けましょう」

 

 中に入ると、そこには猿ぐつわに簀巻きをされて、今にも運び出されそうになっているフウカちゃんがいた。

 

 「ん゛、ん゛んん゛ーー!!!!」

 

 オロオロとしているジュリちゃんと、簀巻きにされたフウカちゃんを運び出そうとする4人の生徒が私たちを見た。

 

 「み、皆さん、助けてくださいー! フウカ先輩が、連れて行かれちゃいますー!」

 

 「あれ? 風紀委員会じゃないんだ? それならいつもより簡単そうね♪」

 

 赤髪ツインテールのこじんまりとした子がそう言うと、その横にいたハンバーガーを頬張っている子が同意する。

 

 「来たのが風紀委員長じゃなくて良かったー! それじゃ、早くフウカちゃんを連れていこー?」

 

 「ん゛ん゛ん゛ーー!」

 

 2人がぶんぶんと首を振っているフウカちゃんを運びたそうとしていると、金髪で変わった瞳孔の子が先生に向けて話しかけてくる。

 

 「あら。先生もいたんですね〜。私たち、これから向かうところがあるんです。なので、先生もご一緒してもらいますね〜」

 

 「うーん、今ゲヘナ学園から離れられないから、ちょっと難しいかな。ねぇアカリ、フウカは連れて行かないでほしいんだけど、お願い出来ないかな?」

 

 「ん〜? いくら先生の頼み事でも、それは出来ない相談ですね〜?」

 

 アカリと呼ばれた子が目を細め、そのスキマから覗かせる瞳孔を怪しく光らせながら笑みを浮かべている。

 

 アカリの手にはかなりカスタマイズされている銃が握られている。

 

 いざとなったら、私が先生の前に出ないと……

 

 そう考えていると、もう一人の生徒がこちらに歩み寄ってくる。

 

 「ふふっ、アカリさんの言う通りですわ。私たちにはやらねばならないことがあるのですから。先生、万魔殿の皆さん、ごきげんよう♪ 少しの間、フウカさんを借りていきますわね」

 

 優雅に礼を言う姿は、とてもゲヘナの生徒とは思えないけど、やっていることは私が嫌いなゲヘナそのもので、つい目が据わってしまう。

 

 縛られてるフウカちゃんもかわいそうだし、ジュリちゃんも泣きながら訴えてるのに、それでもやめないなんて……

 

 「ん゛ん゛ん゛ん゛ーーー!」

 

 「や、やめてくださいー! 今フウカ先輩を連れていかれたら、今日の給食が用意出来なくなりますー!」

 

 「ねぇハルナ? フウカもジュリも困っているし、ここは諦めてくれないかな? こんなことをしなくても、何か力になれるかもしれないし、ハルナたちの目的を聞いてもいい?」

 

 「申し訳ありませんが、私たちが追求する美食のためにも、諦めることは出来ませんわ。私たち美食研究会の友であるフウカさんに、とある催しに参加してほしいのです」

 

 「催し? それって、なにかの試合かな?」

 

 先生が尋ねると、ハルナと呼ばれた子が口を開く。

 

 「えぇ! その通りですわ! フウカさんには、ゲヘナを一周するカーレースに参加してほしいんです。優勝賞品はゴールドマグロ一本! 勝利という最高の調味料を添えていただくわけです。……ふふっ、これぞ美食の名に相応しいと思いませんか?」

 

 ……え、レース? マグロ? 何を言ってるのこの子?

 

 混乱している私を余所に、ハルナは話を続ける。

 

 「そのためにも、フウカさんのお力が必要なのです。レース参加のために車両も用意しないといけないのですが、幸いなことに給食部の車がありますので、改造して出場していただこうと思っております。そして、その後はそのゴールドマグロを料理していただきますので、やはりフウカさんにはご協力をお願いする他ありません」

 

 自信満々な表情で目的を話すハルナに対して、先生は苦笑いを浮かべながら確認をする。

 

 「それって、フウカにはちゃんとお願いしたのかな?」

 

 「えぇ、勿論ですわ! フウカさんも喜んで参加すると言ってくれています」

 

 「ん゛っん゛ん゛ん゛ーー!」ブンブン

 

 「違いますっ! フウカ先輩は嫌って言ってましたよ!」

 

 「……どうやら違うみたいだね? 今回は諦めてくれないかな?」

 

 「……今度からはジュリさんの口封じも必要ですね。こうなれば、さらなる美食を追求するために、先生にも協力してもらうことにしましょう」

 

 「えっ? 私?」

 

 「先生は、私が以前言った言葉、覚えていらっしゃいますか?」

 

 「えっと、美食にとって大切なものは、料理と相手、そして時期。それと同じくらいシチュエーションもなくてはならない、だっけ?」

 

 「えぇ、だいたいその通りですわ。そのためにも、先生にもご一緒に来ていただきますわ。一番好きな御方と一緒に食べることこそ、最高の美食なのですから!」

 

 ……この子、ホントゲヘナらしい子だね。自分たちの都合しか考えてないじゃん。自分の気持ちをまっすぐ伝えるところは、私も見習いたいけど、私だって、好きな人とは一緒にいたいし、嫌がるフウカちゃんたちを放っておけないじゃんね?

 

 「うん。だいたいわかった。だから、あなたたちは行かせないよ」

 

 私は美食研究会の子たちの方に向かって進め始める。

 

 「そうですか。それなら仕方ないですわね。皆さん、先にこちらの方を片付けましょう」

 

 「サクッと片付けて、先生をお持ち帰りしましょう〜。その後は……どうしましょうね〜先生? ふふふ♡」

 

 2人がこちらに向けて銃を構える。でも、私はそんなことに気も止めない。

 

 私の先生に色目を使うなんて、許せないよねー?

 

 「先生は、渡さないよ」

 

 私は思い切り足で床を踏んだ。

 

 足元の床は鈍い音をたてながら砕け、粉塵を生じて2人の視界を遮る。

 

 「くっ! ……あ、足で床を砕いたんですか? 万魔殿にこんな生徒がいたなんて……力だけならヒナさんに匹敵する強さじゃないですか?」

 

 「も〜、ビックリしました〜! ですが、この距離なら外しませんよ〜? 視界が晴れたら、ハチの巣です♪」

 

 アカリっていう子、銃を構えて粉塵が収まるのを待っているみたいだけど、動かずに待ってていいのかな?

 

 私、もうあなたの目の前にいるのにねっ!

 

 粉塵の中から拳を振り抜くと、風圧で粉塵を晴らしながら、金髪の子を的確に捕らえ、パァンと乾いた音がした。そしてワンテンポ遅れて衝撃音が響く。

 

 さっきまでアカリがいた場所には、誰もいなくなっていた。

 

 ……あっ、ちょっとだけ本気出しちゃったけど、大丈夫かな?

 

 「あ、アカリさん!? い、一体どちらへ!?」

 

 急に消えたアカリの行方を確認するため、ハルナがキョロキョロとしていると、後方から声がかかる。

 

 「は、ハルナぁ〜!? 勢いよく何かが飛んできたと思ったら、アカリが潰れた空き缶みたいになってるんだけど!? ゴリラか何かと戦ってるの!?」

 

 「なっ!? あ、あんなところまで……? まさか、ここから数メートル後方まで殴り飛ばしたというのですか!?」

 

 「ん〜、腕と足が折れてしまって、動けなくなっちゃいましたね〜こんなに強いなんて、予想外でした〜」

 

 あ、無事みたい。良かった〜! 重症だったら先生が悲しむもんね。

 

 「風紀委員長がいないから楽だと思ったのにー! あんなの勝てっこないじゃん! 私、いつも逃げ遅れて捕まるから、先に逃げるからね! あとは頑張って〜!」

 

 「ちょっとイズミ! 私も行くから置いていかないで〜!」

 

 奥でフウカちゃんを積み込もうとしていた2人が逃げ出しちゃったみたい。

 

 「あはっ。あなたはいいの? お友達、あなたを置いて行っちゃったみたいだけど? もちろん、逃がすつもりはないけどね☆」

 

 「ふぅ……今後、あなたがいる時は覚悟を決めて美食の追求をしないといけませんね。良ければお名前を伺ってもよろしいですか? 私は美食研究会の黒館ハルナと申します。以後お見知り置きを」

 

 私とハルナの目が合うと、私はにこやかに告げた。

 

 「私はトリニティ総合学園の聖園ミカだよ。今は交換留学でゲヘナに来てるんだー。それじゃ、そろそろ終わりにしよっか☆」

 

 私は銃を構え、戦闘に備えたけど、ハルナは両手をあげた。

 

 「えぇ、降参しますわ。流石にこの距離であなたとやり合っても勝てませんもの。ミカさん? どうしてアカリさんを先に攻撃したかお聞きしても?」

 

 「……だって、あの子、先生に何かする気だったみたいだし……先生を取られたくなかったし……」

 

 「あら? あらあら? もしかして、あなたも先生のことをお慕いしていますの? それなら、私たちはライバルであり、同志ですわね。今度、お茶でも一緒にいかがでしょうか?」

 

 「は、ハルナちゃん? 急に距離を詰めてくるじゃんね? さっきあなたのお友達を攻撃しちゃったのに、なんとも思ってないの?」

 

 「アカリさんは慣れているので大丈夫ですわ。それに、我々は己の美食を追求するために4人で協力をしておりますが、求める美食も考え方もそれぞれですので、お気になさらなくても大丈夫ですわ」

 

 「そ、そうなんだ……じゃあ、よろしく? あ、知り合ったからって、風紀委員会に引き渡しはするからね? それと、せ、先生の前であんまり好きとか言うと、先生に聞かれちゃうから恥ずかしいよ……」

 

 「それなら大丈夫ですわ。今先生は他の生徒さんと一緒にイズミさんとジュンコさんを捕まえに行ってますから」

 

 後ろを振り向くと、先生もイブキちゃんたちもいなくなっていた。

 

 「あれ? どこに行ったんだろ?」

 

 私が首をかしげていると、無限軌道の音が聞こえ始めた。

 

 念の為ハルナの手首を掴み、給食部の外に出ると、イブキちゃんが虎丸の上から手を振っていた。

 

 「ミカお姉ちゃんー! 悪い人たち捕まえて来たよー!」

 

 虎丸の砲身の先端に、イズミとジュンコと呼ばれた生徒が簀巻きにされて吊るされていた。

 

 「イブキちゃん凄いねー! お手柄だよー!」

 

 イブキちゃんに手を振り返していると、背後から声がかかった。

 

 「ミカさんってとても強いんですね〜?」

 

 振り向くと、さっき吹き飛ばしたアカリと呼ばれた子が立っていた。

 

 「えっ!? もう立ってる?! あなた、足が折れたって言ってなかった?」

 

 「あれはウソです♪ スキを見て逃げ出そうとしたんですが、戦車もあるなら逃げられそうにないですからね〜?」

 

 ニコニコとした笑顔のままで話すアカリが正直怖かった。

 

 「そ、そう……ねぇ? あんまり暴れるとヒナちゃんが大変だから、ほどほどにしておいてくれない? じゃないと、次は本気出しちゃうよ?」

 

 「あ、あれで本気じゃないんですね……でも、それは難しい相談ですね〜? ねぇハルナ?」

 

 「そうですわね。美食の追求には犠牲が伴うこともありますから……って、ミ、ミカさん? 冗談ですから、その振り上げた手を下ろしていただけませんか?」

 

 「……あ、冗談だったんだー! それなら良かったー! ゲヘナだし、『コレ』が手っ取り早いのかと思っちゃったー☆」

 

 「……ある意味、ヒナさんより恐ろしいですわね」

 

 こうして、美食研究会の4人を捕まえた私たちは、身柄の引き渡しのため、風紀委員会に連絡をすることになった。

 

 イロハちゃんが通信端末を使い、風紀委員会に連絡をすると、初めて見る子が映っていた。

 

 「こちら万魔殿のイロハです。美食研究会を捕縛したので、これからそちらにお連れしますね」 

 

 「はい、ありがとうございます。皆さん、お疲れ様でした。……そちらの方がミカさんでしょうか? 初めまして。私は風紀委員会の救護担当、火宮チナツです。現在、ヒナ委員長もアコ行政官も不在のため、私が担当させていただきます。今回は風紀委員会にご協力いただき、ありがとうございました」

 

 「あはっ、とっても丁寧な子だねー! 気にしないでチナツちゃん? ヒナちゃんのお手伝いしたいなーって思っただけだから。それじゃ、今から風紀委員会に行くからよろしくねー」

 

 話し終わり通信を切ったあと、ニコニコとしているアカリちゃんが、よりにこやかな笑顔になっていた。

 

 ……アカリちゃん、何かするつもりなのかなぁ?

 

 何か企んでそうなアカリちゃんの風紀委員会へと向かうのだった。

 




次のゲヘナのイベント楽しみですね!
やっと運営がジュリの二着目を出してくれて、うれしい反面また天井からの景色を見ることになるかと思うと……

少し投稿が遅くなるかもしれませんが、ご容赦ください。。。
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