前回の続きです。
地の文少なめですが、よろしくお願いします。
先生はしゅんと肩を落としながら、自分のスマホを見つめた。
「あんなに可愛く撮れたのに……これ、消すのもったいないな。」
しかし、その思いはミカとイオリの冷ややかな視線に打ち砕かれる。
「先生〜? まだ懲りてないのかな〜?」
「私たちだけの話だけじゃ理解できないようなら、委員長を呼んでもいいんだぞ?」
「ひ、ヒナを!? あ、あの、反省してますので、どうかそれだけは……」
「……急にしおらしくなっちゃった。ヒナちゃんって、そんなに怖い子なの? さっき会った時はそんな風に見えなかったけど?」
「委員長は悪人に対しては全力で潰しにかかるけど、あくまで違反生徒に対してだ。だから、先生としては、何か別の理由があるんだろうな。」
「あの、2人とも? そ、そんなに詮索されるのは少し恥ずかしいと言いますか……」
ちらりと先生を一瞥したあと、2人は話を続ける。
「散々変なことしてたあの先生が恥ずかしいって感じるんだって? イオリちゃん? どういうことだと思う?」
「あれか? 委員長は頑張り過ぎてるからあまり頼りたくないって感じじゃないか? 委員長って、前に先生に頼られたってアビドスに行った時があったんだけど、帰って来た時にはズタボロだったんだよ。」
「……ふーん? 私を頼らないで、ヒナちゃんを頼るんだ?」
「いやいや、ミカには門限があるでしょ! 私忘れてないからね! ミカの部屋に行ったとき、点呼の生徒が来てたでしょ!」
「ミカ……お前、そんなことしてたのか……」
「ち、違っ! あれは……その……ほんのちょっとでいいから、先生と一緒にいたかったの……でも、あの後、先生に怒られたから反省してる……」
「……あの先生が怒る? 先生? 私たちとミカでは、対応に差がある感じがするんだけど?」
「そ、そんなことないよ! みんな等しく大事な生徒だよ!」
そんな話をしている時、アコから通信が入る。
『イオリ! いつまで遊んでいるんですか! 早く撤収して、レポートを書いてください! せっかく万魔殿のタヌキがいなくて仕事が早く終わりそうなんですから!』
「えっ、私が怒られるのか?」
『レポート、10枚追加で書いてくれてもいいんですよ? あ、所要時間は通常の枚数分でお願いしますね。』
「わ、わかったから! なんで私がこんな目に……おい先生! 今度話しを聞かせてもらうからなっ!」
そう言うと、イオリは急いで帰っていった。
「うーん、私も聞きたいこと、いっぱいあるけど、今日はいいかな。先生? いつまで座ってるの? ほら、手を出して?」
地面に正座している先生に手を差し出し、立つように促す。
「う、うん……ありがとう……」
正座させたの、ミカだったよね? と内心思いながら、手を取り立ち上がる。
「ねぇ先生? 今度は私も頼ってよ。私だって、先生の役に立てると思うからさ?」
「……わかった。もしもの時は、ミカにお願いするね。」
「うん! 約束だからね!」
眩しいくらいの笑顔で言うミカ、そこにイロハたちが近づいてくる。
「もうお説教はおわりましたか?」
気だるげにイロハは話をして、イブキはミカに向かって駆け寄っていく。
「わー! ミカお姉ちゃんの笑顔、すっごくかわいいー!」ギュッ
「あはっ☆ イブキちゃんだって、とってもかわいいよっ!」
キャッキャと笑い合う2人を見て、心にあたたかいものを感じている先生に、イロハが尋ねてくる。
「さっきまであんなに不機嫌そうだったのに、先生、ミカさんにいったい何を吹き込んだんですか?」
「吹き込んだなんて、人聞きが悪いんじゃない? 別に大したことはしてないよ? 強いて言うなら、ミカと約束をしただけかな?」
「……はぁ、2人は秘密の約束をするくらい、とても仲が良いんですね。」ジトー
「そ、そうじゃないよ。なんか勘違いしてない?」
「いいえ? そんなことありませんよ? だって、何とも思っていない人に、あんな笑顔をしますか?」
「それだけミカから信頼されてるってことかな。先生冥利に尽きるよ。これからもみんなの期待を裏切らないようにしないといけないな。」
「本気で言ってるんですか?……いえ、そうでした。先生はそういう人でしたね。はぁ……私ももう少し頑張らないといけないですかね。」ボソッ
「ん? イロハ、何か言った?」
「いえ、何でもありませんよ。もう今日は遅くなってしまったので、2人を宿舎まで案内しますね。さぁイブキ、行きますよ?」
「はーい! ミカお姉ちゃん! イブキが案内してあげるね!」
「うんっ☆ ありがとうイブキちゃん。そう言えば、先生はどこに泊まる予定なの?」
「あー、そう言えば、マコトにお願いしたのはいいけど、場所は聞いてなかったなぁ。イロハ、何か聞いてないかな?」
「ええ、知ってますよ。ちょうど空きがある物件がありましたので、私が確保しておきました。ミカさんの宿舎の隣です。」
「そうなんだー……え、今なんて言った?」
「ですから、ミカさんの宿舎の隣です。」
「……わーお。」
「……イロハ? どうしてミカと隣同士の部屋に?」
「その方が管理しやすいんですよ。あ、私の部屋は、ミカさんとは逆側の先生の隣なので。よろしくお願いしますね、先生?」
「……あぁ、なるほど。宿舎探しって面倒だもんね。うん、よろしくねイロハ。」
「……先生? イロハちゃんの発言もびっくりしたけど、それで納得しちゃう先生にもびっくりなんだけど?」
「え? 私、何かおかしいこと言ってたかな?」
先生に少し呆れつつも、思いがけない宿舎に少し嬉しくなるミカ。
「まぁ、いいや。先生、これからよろしくね! ……あ、そう言えば、今日やることが終わったら、先生のお手伝いをする約束してたよね? 早速先生の部屋にお邪魔してもいいかな?」
「あ、そうでしたね。ではこれからみんなで乗り込みましょうか。」
「わーいっ! イブキもお手伝いするねー!」
そう言うと、イロハに先導されながら、ミカたちは宿舎へと向かう。
「……生徒を自分の部屋に招き入れるって、すごく抵抗があるんだけど? そもそも、この人数って入れるの?」
「これ以上増えなければ大丈夫ですよ。あと、今断られるとイブキが悲しむのでやめてください。」
「……まぁ、みんな一緒なら大丈夫かな? あれ、ここの建物って……」
見覚えのある建物に案内をされ、あの生徒もここに住んでいたなぁ。そう思案していた先生の背後から、その生徒の声がかかる。
「もしかして、先生?」
声のする方へ振り返ると、ヒナがいた。
「先生、まさかこんなところで会うだなんて。いったいどうしたの?」
「あぁ、そうだよね。ここはヒナが住んでる場所だったよね。実は、私がゲヘナ滞在中の宿舎もここみたいでさ。よろしくねヒナ。」
「そうなんだ。よろしくね。」
短く淡々と返事しているだけに見える。しかし、よく観察すると翼がぴょこぴょこと動いており、明らかに嬉しそうにしている。
「わー! ヒナ先輩だーっ!」ギュー
「イブキも遊びに来たのね。」
イブキがヒナと話をしている間に、ミカとイロハは声をひそめる。
「ちょっとイロハちゃん? ヒナちゃんってあんなにかわいい子だったの? 昼に会った時は姿を隠してたってこと?」ヒソヒソ
「えぇ、風紀委員長は見た目も能力も先生のお墨付き、ですからね。」ヒソヒソ
「そこの2人、何の話をしているのかしら?」
「え? ヒナちゃんはかわいいなーって話だよ?」
「……お世辞はやめて。かわいいって言うのは、ミカみたいな子のことを言うんでしょう? 私にはそんなの似合わないもの。」
少し目線を落とすヒナに対し、ミカはヒナの手を取って否定する。
「ううん、そんなことないよ。もっと自信を持って? ヒナちゃんはこんなにもかわいいんだから。」
ミカの行動に少し驚きつつ、ヒナは少し目を伏せたまま、ぎこちなく言葉を紡ぐ。
「……急に言われても困る。……でも、ありがとう。」
翼が少しぴょこぴょこと動き、どこか嬉しそうにも見える。
「あ、そうだ。ヒナちゃん、私たちこれから先生の部屋に行って、仕事を手伝う予定なんだけど……」
「行く。」
「即決!?」
「ねぇ、イロハ? これ、人数入るの?」
「……よく詰めて座りましょうね。」
どうやら、まだまだミカたちの1日は終わらないようだ。
次の投稿で、1日目が終わる感じになると思いますが、2日目以降も同じ感じに進めるかどうするかはまだ考え中です。
……ヒナとイロハが住んでいる場所が、同じ建物だなんて表記はないと思いますが、違うとも書いてなかったですよね……?
もし、そういう記述があった場合には修正します。