ミカ「留学?」   作:森竹

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前回の続きです。

念の為、タグを追加した原因の回です。


ミカ「先生!?」

 ナギちゃんの連絡のあと、私たちは先生の仕事の手伝いを再開することにした。

 

 暫く書類作業をした後、ようやく全ての作業が完了したので、ベッドルームの扉をノックして、先生に声をかける。

 

 「先生ー、こっちは終わったよー」

 

 しかし、先生の返事はなかった。

 

 「んー? 先生、どうしたの?」

 

 何かあったのかと気になり、試しにドアノブを回すとカギはかかっていなかった。

 

 そのまま部屋に入ると、先生は気持ちよさそうにスヤスヤと眠ってしまっていた。

 

 「……先生のために仕事終わらせたのに、寝てるなんてひどいじゃんね?」

 

 ちょっとだけムスッとしながら、徐に先生に近づき、先生の頬をツンツンとつつく。

 

 「うーん……」

 

 つつかれた先生が寝言を言うも、まったく起きようとしない。

 

 「全然起きないなー。……もう少し触ってみようかな?」

 

 少し考えたあと、気づいてしまった。

 

 「これって、先生に触るチャンスじゃない?」

 

 そうであれば早速! と触ってみようとしたところで、ヒナちゃんも部屋に入ってくる。

 

 「そこまでにしておきなさいミカ。先生だって疲れてるだろうから、少し寝かせてあげて?」

 

 ヒナちゃんから制止の声が上がるも、私は自分の好奇心を抑えることが出来ない。

 

 「だって、こんな無防備な先生を見るチャンス、なかなか無いよ? ヒナちゃんもどう? ……わー、結構太い。ほらヒナちゃん、先生の腕、結構ガッチリしてるよ?」

 

 そう言いながら、私は先生の腕に触れ、感触を楽しんでいた。

 

 「……それ以上はダメよミカ。さもないと私……」

 

 少し眼光を鋭くさせて制止してくるヒナちゃん。

 

 でも、私は今、先生の前にいるからねー?

 

 「……さもないと、どうするの? もしかして、私に向けて、ここで発砲でもしちゃう? 流れ弾とか危なくない? 先生、無事でいられるかなー? それよりもさー? ほら、今なら先生に触り放題だよ? ね?」

 

 寝てる先生に軽く触れながら、ヒナちゃんにもう一度提案をしてみる。

 

 「……私が先生にそんなこと……」

 

 ……あれはもう堕ちる寸前じゃんね? ヒナちゃん、口ではダメダメって言うけど、先生のことチラチラ見てるのバレバレだからね?

 

 モジモジとしているヒナちゃんが堕ちるのを待っていると、イロハちゃんが横から入ってきた。

 

 「ヒナ委員長、そんなに遠慮しないで触ってみればいいじゃないですか? ミカさんの言う通り、こういう機会はなかなか無いですし。おぉー、先生の腕、本当にガッチリとしてますね。」

 

 おぉーと感嘆しながらペタペタと先生の腕を触るイロハちゃん。

 

 「……筋肉はついてるのに、私たちよりも力が弱いんですよね……」

 

 ……イロハちゃんが危ない発言し始めたじゃんね。イロハちゃん? 先生に触れながら薄っすら紅潮してない? 流石にダメだよ? 私だってガマンしてるんだから。

 

 「……じゃあ、少しだけ……」

 

 イロハちゃんの動向を伺っていると、ヒナちゃんが意を決したように、先生へと近づき始めた。

 

 「そうこなくっちゃねっ☆」

 

 ヒナちゃんは、先生の頭の方に近づくと、徐に頭の匂いをかぎ始めた。

 

 「「えっ!?」」

 

 思わず声を上げるイロハちゃんと私に驚き、ヒナちゃんも咄嗟に離れる。

 

 「えっ、な、何かおかしかったかしら!?」

 

 「だって! に、匂いをかいだよね!? それも頭の!?」

 

 「風紀委員長、私もそこまでは想定していませんでしたよ……」

 

 「……先生が、私の匂い、お日様みたいな匂いで好きだって言ってたから、私も先生の匂い、嗅いでみたいなって思ってて……」

 

 恥ずかしそうに顔を赤くして、顔を伏せるヒナ。

 

 ……え、ヒナちゃん、先生に匂い嗅がれたの? 先生? 本当に何してるの?

 

 「……うん、それは先生が悪いから大丈夫☆ ヒナちゃんは悪くないよ。でも、先生が起きたらまた問い詰めないとね。」

 

 「……この人は本当に何してるんですかね? どうして捕まらないのか…ヒナ風紀委員長? 出番なんじゃないですか?」

 

 「は、恥ずかしかったけど、嫌ではなかったから……」

 

 そう言うヒナちゃんは、まんざらでもなさそうな顔をしていた。

 

 風紀委員会って、もしかして取り締まる側じゃなくて、乱す方だったり……いや、ヒナちゃんがそういうことするわけないか。

 

 それにしても、先生の匂いか……そう言えば、嗅いだことなかったかも。

 

 少し気になった私は、先生の隣で横になり、先生の頭に自分の顔を近づけてみることにした。

 

 「ちょっと良い匂いかも……」

 

 「ちょ、ちょっと、何してるのミカっ!」

 

 「ミカさん、それは大胆過ぎじゃないですか!?」

 

 焦ったように声を出す2人。

 

 ……確かに、一緒に横になるっていうのは、流石にやり過ぎかもしれない。

 

 2人に言われて、恥ずかしくなった私は起き上がろうとした。

 

 「うーん……ミカぁ……」

 

 しかし、先生は、寝言で私の名前を呼びながら、寝ぼけてぎゅっと抱きしめてきた。

 

 「きゃっ!」

 

 急な出来事に思わず声が出てしまったが、抱きつかれていること以外問題はなかった。でも、私の心を取り乱すには充分だった。

 

 何とか落ち着き、状況を整理しようとすると、頭に何か乗ってる感触がある。

 

 恐らく、先生に頭を捕まれ、鼻先を頭皮に押し付けられているのだろう。

 

 先生に抱きしめられているというほんの少しの多幸感と、今匂いを嗅がれてる? と自覚すると、顔が真っ赤になるくらいの羞恥心を感じた私は、先生の腕から抜け出すことにした。

 

 「せ、先生? 起きてるの? わ、私が悪かったから、離してくれないかな?」

 

 そう問いかけるも、まったく離してくれない。

 

 それどころか、そのまま寝息を立て始めた。

 

 「ふ、2人とも助けてっ! 私が引き剥がそうとすると、先生ケガしちゃうかもしれないからっ!」

 

 思わずヒナちゃんとイロハちゃんに助けを求める。

 

 「まったく、何をしているの……」

 

 「はぁ……仕方ないですねぇ……」

 

 2人は呆れながらも、私を助けるために近づいてくる。

 

 その時、スマホの着信音が鳴った。

 

 「またナギちゃんかな? 今それどころじゃないし、こんなのところ見られたら誤解されちゃうから、スルーしておかないと……」

 

 着信拒否をしようとしたが、先生に頭を抱えられながらスマホを操作していたら、ポロリとスマホを手から滑らせてしまった。

 

 拾い上げようと持ち上げた時に、どうやらビデオ通話のボタンを押してしまったらしく、持ち直した時には通話が始まるところだった。

 

 「あっ……」

 

 停止させようにも間に合わず、そのまま電話をかけてきた相手と通話をすることになってしまった。

 

 『やぁミカ。ナギサがミカの様子を見てほしいとうるさくて……』

 

 電話の主はセイアちゃんだった。

 

 「あ、あはは……やっほーセイアちゃん……」

 

 精一杯笑顔を作ろうとするが、上手く出来ず、驚きで目を丸くしたセイアちゃんに、先生に抱かれながら一緒に横になる姿をしっかりと見られてしまった……

 

 『……あー、私はお邪魔だったかな?』

 

 「待って、違うのセイアちゃん。違くないけど、兎に角違うのっ!」

 

 『……ミカがトリニティに帰って来た時には、御赤飯を用意しておくよ。なぁに、ナギサはちょっとうるさいかもしれないけど、私はミカを応援しているさ。しかし、こんなにも早く友人が大人の階段を登ってしまうとは……』

 

 「せ、セイアちゃんっ!? 盛大に勘違いしてるっ!? ヒナちゃん! イロハちゃん! フォローして! これは事故だからって!」

 

 『何っ!? 複数の生徒と一緒に同衾していると言うのかい!? それは感心しないぞミカっ』

 

 「ヒナちゃーん! イロハちゃーん! 本当にお願いっ! セイアちゃんを説得してーっ!」

 

 その後、セイアちゃんをヒナちゃんたちが説得してくれて、なんとか誤解を解いてもらった。

 

 「……というわけで、ミカは別にやましいことをしていたわけではないわ。少しイタズラの度が過ぎてしまってはいるけれど。」

 

 「うーん、アレをイタズラと言っていいんですかね?」

 

 『なるほど。事態は把握した。なんだ、その、空崎ヒナと、棗イロハ、だったね? ミカが君たちに苦労をかけているようですまない。今度トリニティに来ることがあれば、是非ともお茶会に参加してほしい。精一杯のもてなしを約束するよ。』

 

 「うんうん、みんな仲良くなって良かった☆ ところで、そろそろ私を抱えている先生の腕を剥がすのを手伝ってくれないかなー?」

 

 「……」

 「……」

 『……』

 

 改めて手助けをお願いしたら、怪訝そうな目でヒナちゃんたちがこちらを見てきた。なぜだろう? それに、画面越しのセイアちゃんもそんな目をしてそうに気がする。

 

 「あれ? どうかしたの? 2人とも急にだんまりしちゃって? せめて手は動かしてほしいなー?」

 

 『……すまない。悪い子ではないんだ。悪い子ではないんだが、たまに、いや、そこそこやらかすのがミカでね。』

 

 「……お互い苦労をしているみたいね。」

 

 「ミカさん、わざと言ってるわけじゃないと思うんですけどね……」

 

 「ねぇ? 仲良くなるのはいいけど、その前に助けてくれないかなっ!?」

 

 その後、ヒナちゃんの力を借りつつ、先生の腕から何とか脱出する。

 

 「ふぅ、助かったよヒナちゃん。ありがとうね!」

 

 「……本当に助けが必要だったのかしら? 困った顔というよりは、少しニヤけた顔だったように見えたのだけれど?」ジトー

 

 「本当に必要だったよ! あの状況は、嬉しくなかったと言えば嘘になるけど、ちゃんと意識がある状態で抱きしめてほしかったなぁ……」

  

 また先生の頬をつつきながら先生が起きるのを待つことにしたが、セイアちゃんの一言で状況が変わった。

 

 『いや、先生はさっきから起きているだろう。だから、ミカの望みは成立したと言えるはずだ。』

 

 「えっ?」

 

 言われて先生を見ると、まだ目をつぶったままであったが、よく見てみると耳が少し赤くなっていることに気づいた。

 

 「先生、本当に起きてるの?」

 

 少しずつ先生に近づく。

 

 「早く起きてこないと、またイタズラしちゃうよ?」

 

 『……やはり、御赤飯は準備しておくべきだろうか?』




更新優先にしたので、濃ゆい内容にはならなかったですが、ご容赦いただけば幸いです。
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