僕と霖之助さんは僕が元いた世界、つまり、幻想郷でいう外の世界について話し合った。
会話の中で僕は幻想郷やここ、香霖堂の知識を僅かながら知ることができた。
まず、幻想郷は日本の山奥にある、結界と境界によって隔離された場所らしい。
結界、境界についての説明はよく理解できなかったが、それらがあることによって幻想郷には外の世界で非常識、幻想となったものが流れてくるそうだ。
そして、ここ、香霖堂は流れてきた幻想のものを拾い集め売っている古道具だという。
その話を聞いてから改めて店内を見渡してみると一昔前のパソコンやゲーム機などが置いており、確かにその通りだった。
「ほう、外の世界はもうそんなにも発展しているのか」
カランカラン――
僕と霖之助さんが他愛のない雑談を繰り広げていると、そんな聞き覚えのある音がなった。
「いらっしゃい……って、何だ。魔理沙か」
僕は知らない名前に店の入口に目をやる。
そこにはやけにでかい帽子を被った金髪の少女が居た。
「店は閉めていた筈なんだが……」
「閉まってなかったぜ。開店のままだ」
「そうか。今度こそちゃんと閉めておくとしよう」
「お?? 客人とは珍しいな、こんな店に」
「客人ぐらい来るさ、『こんな』店でもな。まあでも、この人は普通のお客さんではないよ」
「どういう意味だ??」
「この人は外来人、ついさっき幻想入りした人間だ」
「が、外来人?! まさかこんなところで会うとはさすがの私でも予想できなかったぜ。大抵は博麗神社かその周辺の森で舎利になってるかだからな」
「あぁ、僕もこんなことは初めてだからね。どうするか決め兼ねていたところだ。とりあえず、霊夢が来るのを待とうかと思っていたが、丁度いい。魔理沙、皐月君を博麗神社まで連れてやってくれないか??」
「いいぜ。そのぐらいならお安い御用だ」
そこまで会話をすると、魔理沙と呼ばれる人物は僕の方へ向き直った。
「皐月、だったか。私の名前は霧雨魔理沙だ。短い付き合いか長い付き合いになるかは知らんが、とりあえずよろしくな」
「僕は鈴々木皐月です。こちらこそよろしくお願いします」
話の流れがうまく掴めていないが僕は魔理沙さんに博麗神社とやらに連れて行かれるらしい。
「ところで、魔理沙は何の用で店に来たんだい?? 君のことだから、大した理由もなさそうだが……」
「いや、今日はちゃんと理由があるぜ。実は今日は流星が見える日の確認に来たんだ。前に訊いたがメモを取るのを忘れちまってな」
「そうか。……ふむ、確か『今日』じゃなかったかな。流星群の日は……」
「そうか、今日だったか。そうだとするとさっさと『用事』を済まして流星祈祷会を開くとするか」
そう言うと魔理沙さんは僕の手をガシッと掴んだ。
「ほれっ、行くぜ」
そのまま魔理沙さんに引っ張られるように僕は店の外まで出た。
「魔理沙、何をするか知らないが彼をあまり手荒に扱うんじゃないよ」
「判ってるぜ」
魔理沙さんはそう言って何処かからおもむろに箒を取り出した。
そして、僕にそれに乗るよう促す。
何をするつもりか判らなかったが一先ず指示に従うことにした。
「よしっ、乗ったな?? しっかり捕まっとけよ?? 飛ばすぜ!!」
「魔理沙、まさか……」
刹那、僕たちの体は中に浮かび上がり、まるで水星のごとく空を突き進んだ。