ズドーンとあまり穏やかではない音で僕たちは着地した。
しかし、魔理沙さんは乗り慣れているためか衝撃を地面に流し、逃がした。
そのため、体がバラバラに砕けるような酷いことにはならなかった。
「着いたぜ。ここが博麗神社だ」
着地の際に舞った砂ぼこりが晴れ、博麗神社と呼ばれる建造物が姿を現した。
日がすっかり落ち、月光に照らされている神社はまさに幻想だった。
「ちょっと何?? 人が夕飯を食べているときに……」
騒がしかったため、神社の巫女さんらしき人物が表に出てきた。
僕はその人を一目見ただけでこの人が霖之助さんが言っていた紅白の巫女だと理解した。
「いや、ちょっとした異変が起こってな」
「だからといってそんなに荒々しく着地することないじゃない。誰がそこを掃除すると思ってるの??」
「別に汚れた訳じゃないだろ?? 箒ではいたんだからな」
「随分と、力が強いようで」
「お?? やるのか??」
「それもいいかもね。ただ、そこの人間を放って置くわけには行かないわ。ちょっとした異変ってその人のことでしょ??」
まさに一触即発のような状況だったが、霊夢と呼ばれる巫女さんのおかげで何とか落ち着いた。
魔理沙さんとは性格がまるで真反対のようだ。
「そうだな。まずはこっちを片付けるか。弾幕ごっこはその後だ」
「言っておくけど私はやらないわよ?? こんな時間にしたら目が冴えちゃうわ」
霊夢さんはそう言うと、魔理沙さんはわかりやすく残念そうな顔をした。
そんな魔理沙さんを横目に霊夢さんは僕の方へ向き直り、話しかけてきた。
「あなた、名前は??」
「僕は鈴々木皐月です。あなたは霊夢さんですよね??」
「そう。私は博麗霊夢よ。……ところで、あなたは外の世界から来たのよね??」
僕はコクリと頷いた。
霊夢さんは魔理沙さんとは違って、状況を冷静に判断できるらしい。
まだ外の世界のその字も言っていないのに霊夢さんはそう訊いてきた。
恐らくは僕の服装、魔理沙さんの行動、発言からその答えを導き出したのだろう。
霊夢さんの圧倒的な状況判断力に感嘆していると、霊夢さんは僕に今後の人生を分ける究極の質問をしてきた。
「あなたは外の世界に帰りたいのかしら?? それとも、幻想郷で暮らしたいのかしら??」
「おいおい、霊夢。いきなりその選択を迫るのはあまりにも尚早すぎないか」
「私の業務時間はもうとっくに終わってるわ。いきなり舞い込んできた仕事を速く終わらせたいというのは普通の思考ではないかしら」
「それはそうだが……」
「魔理沙さん。僕は別に問題ないですよ。すでに答えは決まってます」
「あらそう。なら話は速いわ。訊かせてもらおうかしら。その答えを――」
あの不思議な出来事から一週間が過ぎた。
忙しなく動く人々、都会の喧騒はあの出来事が夢だったという思考を強調していた。
だが、僕はあれは夢ではなかったと、そう思っている。