貞操逆転世界で危機感0でも案外、平気っぽい   作:陽波ゆうい

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第12話 王子様系幼馴染とクール系美少女に挟まれたんだけど、平気っぽい?

 正門を抜けて、俺たちは帰り道を歩き始めた。

 

「まさか両方選ぶなんて、一季も見ない間にずいぶんと大胆になったね」

「本当ね。むしろ、女たらしと呼んだ方がいいんじゃないかしら?」

 

 彼方が言い出し、氷川までもそう言う。

 

「……なんで俺に矛先向けられてるんだ?」

 

 俺は思わず立ち止まり、2人を交互に見た。

 

 さっきまで彼方と氷川の間でピリピリした空気が漂ってたはずなのに……今ではすっかり俺がターゲット。

 

 状況を整理すると――

 

『さあ、一季。今日もボクと一緒に帰ろう』

『更科君? 今日は私と帰るって言ったわよね?』

 

 2人にどちらと帰るか選択肢を迫られた俺。

 

 2人が一緒に帰りたいと言ってくれるのなら、俺としては彼方とも、氷川とも帰りたいので……「両方と帰る」という選択肢を取った。

 

 そうしたら……。

 

『……』

『……』

 

 彼方と氷川は互いに無言で顔を見合わせた後、クスッと笑った。

 

『今回は引き分けにしようか』

『ええ、そうした方がいいわね』

 

 なんだか2人は、お互いの意見が一致したみたいな雰囲気になっていた。

 

 で、現在3人で帰っている。

 しかも俺は、彼方と氷川の間に挟まれていた。

 

 右には、王子様系イケメン女子の彼方。

 背が高く、キリッとした顔立ちと爽やかな笑みが女子を虜にするタイプだ。

 

 左には、クールビューティーの代名詞のような氷川。

 整った顔立ちに冷静な物腰で、女子でも思わず目で追ってしまうタイプだ。

 

 そんな2人が並んで歩いているとなれば……当然、目立つ。

 

「ねえ、あのイケメン女子めちゃくちゃかっこいい!」

「クールな子もいいっ! めっちゃ綺麗なんだけど!」

 

 道行く女子たちがざわざわと騒ぎ出し、チラチラとした視線やひそひそ話もしている。

 

 彼方と氷川に視線が集中しているのは言うまでもない。

 

 そしてフツメンの俺は、ただのモブだ。

 主役は、両隣の2人なのだからな!

 

 やっぱり貞操逆転世界といえど、イケメンと美女は注目浴びるし、モテるよなー。

 

「でも、やっぱり真ん中の男子だよね〜」

「どっちかは彼の同伴者だよね?」

「じゃあ片方は友達ってこと?」

「男子が同伴者以外とも一緒に帰らせているなんて珍しいよね〜」

「あの男子は女子に対して少しは免疫あるのかなぁ〜?」

「なら、私たちにもチャンスが……」

 

 ここからは話している内容は聞こえないが……女子たちは、さっきよりも何やら盛り上がっている様子だ。

 

  もしかしたら、彼方と氷川に話しかけたい的なやつだろうか?

 

 でも2人は俺と一緒に帰っているから、話しかけられると困るなぁ。

 

 って……話が逸れたな。

 

「俺が両方を選んだのがそんなに意外だったのか?」

 

 俺としては普通のことを言ったつもりだったし、正直に選んだだけなのに。

 

「まあ、そうだね。そもそもボクは、氷川さんを放課後の同伴者にするっていう話をさっき聞いたばかりだしね」

「私も佐宮さんが一緒に帰ると言い出した時には驚いたわよ。更科君は佐宮さんを選ぶのかもとも思ったわ」

 

 やっぱり、意外のようだ。 

 というか、貞操逆転世界ならでは反応なのか?

 

 俺以外の男子は、基本的に同伴者としか帰らない。

 

 まあ、信頼できる人として同伴者を選んでいるんだから、その人以外となるとまだ慣れないのかもな。

 

「けど俺は、彼方と氷川と帰りたいって素で思ったからな! まあ何はともあれ、3人でこうして帰るのは初めてだよな。今週の金曜日は甘瀬兄妹と合わせたこのメンバーでパンケーキ食いに行くけど」

 

 千種がテンション高めに教室で言っていたが、あれから5人のグループチャットで日程を決めたのだ。

 

「楽しみだよなー、パンケーキ。というか、放課後に寄り道するっていうのがワクワクだ」

 

 前世では学校帰りに寄り道なんて当たり前だったが……男女比1:10となれば、それも気軽にできなくなる。

 

 俺は大した差じゃないと思うけどなー。

 

「へぇ、更科君。寄り道はよくしているわけじゃないのね?」

 

 氷川が意外そうなトーンの声で聞いてきた。

 

「ああ、頻繁に寄り道はしていないぞ。でも、1ヶ月に2回ぐらいは寄り道してる。な、彼方?」

「うん、そうだね」

 

 俺の言葉に、彼方は頷く。

 

 俺の放課後の予定は、必然的に彼方と同じ内容になるからな。

 

「そうなのね。てっきり、更科君は外に出たがるタイプだからそれに佐宮さんが付き合っているのかと思っていたわ」

「なんかその言い方……俺が犬で彼方が飼い主みたいなんだが」

「まあ、近いんじゃないかしら?」

 

 え、そういう風に見られてるの!? 

 

 そういえば、前に母さんから「見事に手懐けてるわねぇ〜」って言われたこともある。

 

 俺、周りからそんな風に見られてるのか!?

 だらしない男とか思われちゃったりするのか!?

 

「でも悪い意味ではないわよ? 更科君と佐宮さんは幼馴染で仲も良いし……まあ、比喩みたいなものかしら?」

「悪い意味じゃないかったらいいやっ。そうだな。放課後は彼方と遊ぶことが多いぞ。俺は彼方にゲームで連敗記録更新中だ!」

「最後のは、キリッとした顔で言うことなのかしら?」

「確かに」

 

 でも、負けっぱなしだけど彼方とゲームするの楽しいんだよなー。

 

 最近は惜しい試合もしているし、勝つまでやってやる!

 

「つまり、放課後は佐宮さんと過ごすことが多い……佐宮さんの()()()()ってことなのね?」

「? まあ、そうだな」

 

 氷川の独占状態って言葉は気になったが、実際一緒にいる時間は長いので頷く。

 

「――じゃあこれからは、その時間も減るかもしれないわね」

 

 氷川が微笑を浮かべて、そう言う。

 

 俺は首を傾げたものの……すぐにピンときて、教室のやり取りを思い出す

 

『彼方と同伴者を変わって、自由な時間を作ってあげるってことだろ?』

『ま、まあ更科君の言う通りの狙いだけど……』

 

 氷川は、彼方に自由な時間を作ってあげるって意味で言っているんだな!

 

 そういえば、さっきから彼方が話していないと思い……チラッと彼方を見る。

 

「……」

 

 彼方は俺ではなく……氷川の方を真顔で見つめていたのだった。

 

 




 
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