クレープを食べ終わり、俺たちは足を進めて……。
「おっ、ついたついた」
俺は足を止める。
目の前には、見慣れた建物があった。
だって、俺の家に着いたからな。
「へぇ……ここが更科君の家……。それで、隣が佐宮さんの家ねぇ。加えて、幼馴染で同伴者で……本人は独占欲が強い。そりゃ、他の女の子たちが軽々と間に入れないわけよね……」
氷川が何か呟いていたけど、聞き取れなかった。
まあ俺が気にすることではないよな。
ということで……無事、家に着いたのだ。
氷川は、同伴者としての役割を終えたということになる。
まあ同伴者としてじゃなくて、単に友達と楽しく帰ったという感じだったけどな。
でも、同伴者としても俺の隣にいてくれたんだ。
ちゃんとお礼は言わないとなっ。
「氷川! 今日は一緒に帰ってくれてありがとうな! クレープも美味しかったっ」
「ええ、私も楽しかったわ。それに、同伴者の件を受けてもらえて良かったわ」
「こっちの台詞でもあるぞ!」
『彼方と同伴者を変わって、自由な時間を作ってあげるってことだろ?』
俺たちの本来の目的は、今日のところは達成できなかったけれど……。
「また時間があったら、同伴者お願いしてもいいか?」
「ええ。もちろんよ」
氷川は微笑を浮かべながら、頷いてくれた。
「ありがとうな、氷川! やっぱり氷川は優しいなっ」
俺はニカッと、笑う。
「貴方は……やっぱり危機感を持つべきね」
「ん? 別に俺、襲われそうになってなくね?」
氷川の言うことはよく分からないが、ひとまずそう返す。
すると、氷川が俺から視線をずらした。
俺も釣られるように視線を追うと……彼方が目に入った。
「……」
彼方はというと、腕を組んで俺たちを静かに見守っている様子だった。
彼方は今日は同伴者ではなくて、個人的に一緒に帰ってくれたけど……。
これからは、彼方が同伴者を休みたいと思う時に、氷川に同伴者を頼めばいいよな!
そっちの方が彼方も自由になれていいに違いない……。
「なんか、いい感じに話が纏まったみたいだけどさ」
「彼方?」
彼方が腕を組むのをやめて、俺の隣に並んだ。
そして、妙に真剣な眼差しを氷川に向けていて……。
「ボクはそう軽々と隣は渡す気はないけど?」
「か、彼方……?」
声色がいつもより低いし、雰囲気も違う気がする。
どこか不機嫌に見えるような……?
「ふふっ」
そんな彼方を前にしても、氷川は少し笑っていた。
「貴方のそんな顔が見られるだけで成果があったと思うわ。今日のところは大人しく帰るわね。でも、いつでも狙っているから。私だって……隣にいたいから」
「へぇ……宣戦布告って感じ?」
「ええ。そう受け取ってもらってほしいわね」
「……」
「……」
彼方と氷川が無言で見合っている。
えっ、なに?
2人とも何か、争っているの?
「じゃあね、更科君。また明日、隣の席で」
「お、おう。また明日な。ありがとうな、氷川〜!」
氷川は自分の家のある方向へ歩いて行ったのだった。
「じゃあ俺たちも家に……」
「今日……いや、今すぐに一季の部屋に行ってもいい?」
俺が言い切る前に、彼方がそう言ってきた。
なんか、随分と食い気味な気もするけど……彼方が家に来る。
遊ぶのはいつものことだしな。
「お、おう。いいけど……」
「ありがとう」
彼方がフッと笑う。
「じゃあ早く行こう。君の部屋にね」
「はいはい、ちょっと待ってな。今家の鍵を……」
俺の部屋に来るってことは、ゲームで遊ぶってことだよなぁ。
お久しぶりです。
次回は、凄いことになりそうですね。
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