美味しそうな匂いが漂う。
クッキーやケーキ・チョコレートといった菓子類が存在している。クリームをかき混ぜている泡だて器・型でくり抜いたばかりのクッキー・新鮮で美味しそうなケーキ…… お菓子好きの人から見れば夢のような空間だろう。まるでヘンゼルとグレーテルに登場するお菓子の家のようにも見えるだろう。
空中に浮かんでいるクッキーやケーキなどのお菓子は密接に並んでおり、まるで通路のように見える。実際にお菓子を見てみると、クッキーや飴が壁のように配置されていたり、直ぐ近くにチョコレートやクッキーの足場があったりと、迷路のようにお菓子が並べられている。
そんな甘いお菓子のストリートを通るボールがあった。
コロコロコロ…………
クッキーの上を転がっている。ボール。いや、ボールと言うより飴と言った方が正確だろう。黄色い、美味しそうなキャンディ。
このボール、キャンディはこのお菓子の足場を橙色のクリスタルを接しながら転がっている。クッキーやビスケット、ケーキの上を転がり、クッキーの壁に当たる事があれど、難無く橙色のクリスタルに触っていく。
途中で不思議な床がある足場に辿り着く。その床は海やソーダのように青く、一面に広がっている。どうやら氷の床らしく、滑りやすい床のようだ。人間や動物であればツルツル滑ってしまう事から移動に危険を感じてしまうだろう。
だが、転がって移動するボールであればその問題は起きない。
ス――…………
キャンディのボールは氷の上を滑るようにして移動している。一切回転する事無く、氷の上を難無く移動している。氷上には所々穴が空いている。穴から落ちてしまうかもしれないが、キャンディのボールはそれらをかわして、落ちる事無く移動する。スイスイと移動する様子はまるでローラースケートのようだ。
氷の上を滑り終わると、今度はクッキーで造られた迷路だ。クッキーの床や壁が沢山並べられており、お菓子の家のように見える。外から見ればクッキーのせいで中の構造が見えない為、正解のルートを導くのは難しいだろう。
となれば、やる事は一つ。
コロコロコロコロ…………
地道に正解のルートを導くために、迷路の道を総当たりするしかない。
キャンディは迷路内に入って行く。クッキーで構成される迷路の通路を進み、行き止まりにぶつかったら戻り、別の通路を進んでまた行き止まりにぶつかったら、別の道に進む。それの繰り返しだ。出られるまでにどれ程の時間がかかるのか……
無視すれば良いのでは? と思うかもしれないが、中には橙色のクリスタルが置いてあるため無視する訳にはいかない。橙色のクリスタルは玉にとって、引き付ける魅力があるのかもしれない。
キャンディは迷路の中を時間をかけながら進んでいく…… 事は無かった。道順は橙色のクリスタルの置かれた通路が道順となっていたからだ。行き止まりにぶつかったら、戻って別の通路に行ったり…… なんて事も無く、順調に迷路内を進んでいった。
そして、キャンディはから迷路から脱出した。クッキーの壁から抜け出し、周辺の風景を見れた事に少しだけ感動してしまう。クリームの匂いが懐かしく感じる。といっても、1分程度しか迷路にいなかったが。
キャンディが転がり始め、次のお菓子の足場に移動しようとした。
すると、近くの足場に別のボールを見かけた。
コロコロコロコロ…………
そのボールは緑と黒の縦縞模様が浮かび上がっている、果物のように見えボール。一部が切り取られており、中には赤い果肉のようなものが見える。
このボールは野菜の一種であるスイカだ。
このお菓子の一本道の中に野菜のボールが入ってきた訳だが、スイカのボールは次のエリアに当たる、ロールケーキのステージに入ろうとしている。
ロールケーキのステージは外縁部が坂であるため、中央から外れると坂によって転がってしまい落下する恐れがある。そのため、慎重に移動する必要がある。少し難しい一本道だ。このロールケーキには橙色のクリスタルが複数個配置されているため、ボールはクリスタルを手に入れようとしても難しそうに見えて進のを戸惑うかもしれない。
だが、スイカは戸惑う事無くロールケーキの道を進み始めた。
中央をきっちりと転がっており、外縁部に寄る事無く進んでいき、ロールケーキ上に置かれた橙色のクリスタルに次々と触れていく。何のトラブルも無く転がって行く様子は多くのステージを経験してきた、ベテランのボールなのかもしれない。
キャンディもその後を進む。少しふらついているものの、何とか中央部を進んでいく。外縁部に近付きそうな時があるものの、何とか落ちずに済んでいる。前を進んでいるスイカと同じく橙色のクリスタルに触れていく。これにより次々とロールケーキの足場を進んでいく。
ロールケーキの足場の他に、バウムクーヘンやチョコレートの足場を通る。そこに置いてある橙色のクリスタルに難無く接していく。
スイカはロールケーキの足場を渡り切った。後ろに続くキャンディも渡った。
次の足場は小さなチョコレートの足場に乗って移動する足場だ。その先にゴールがある。キャンディもスイカもこのまま進む事にした。
しかしチョコレートの足場は、ボールが2個入れる位の狭い面積しかない。
チョコレートの足場に乗ったが…… 狭い。ボール2個分の面積しかない。つまりギリギリ。下手すれば落っこちてしまう。
キャンディもスイカも落ちないよう、なるべく動かずに足場に留まる。この2個のボールからすれば、落ちないように身を寄せ合っている状態だ。チョコレートの足場は上に移動し始める。キャンディもスイカも、チョコレートの足場から落ちないようなるべく動かないようにしている。上昇の時の揺れは無いのだが、足場が動いている以上上昇の感覚を感じており、落ちないかと不安を感じてしまう。
しかし、上昇時間は5秒程。
短時間とはいえ、足場が動いていたのだから2個のボールからしたらヒヤヒヤしただろう。直ぐに次の動かないお菓子の足場に移動した。その前方に青く輝くゴールがある。もう直ぐゴールだ!
キャンディとスイカはゴールに到達した。
キャンディもスイカも嬉しそうに少しだけピョンピョンと跳ねている。
遂にゴールに辿り着けた事を喜んでいるのだ。お菓子だらけの不思議な一本道を通り抜けて、橙色のクリスタルを触れてゴールに辿り着いたのだ。喜びは大きいだろう。
だが、緑色のクリスタルは見つかっていない。
そういえば何処にあるのだろうか?
キャンディとスイカは一本道があった方を見てみる。するとロールケーキの切り口部分に小さな凹みがある。その中に緑色のクリスタルが置いてあった。コロコロと転がっている途中に、後ろに振り向かなければ気付かないであろう。
そこに、カエルのボールが緑色のクリスタルにくっついていた。
ゲコッ♪ ゲコッ♪
カエルは自身と同じ体色である緑に惹かれているのか、ピタッと引っ付いた状態だ。クリスタルを気に入っているように、頬をすりすりとしている。
キャンディもスイカもその様子を見ると、しばらくそっとしておいた方が良いだろうと、心の中で思ったのだった。
そういえば、何故カエルが此処にいるのだろう? どちらかというと公園にいるのでは? そう思ったが、カエルの口元を見てみると、クリームやパンの食べかすが付いている。どうやらお菓子が美味しそうに見えたから来たのだろう。
あれ? そしたら自分達も食べられるのでは?
いや、流石に食べないか…………
キャンディもスイカはこっそりと、転がる音を立てずにその場を後にした。
クリスマスといえばケーキと美味しそうな肉ぅ! あとお菓子ぃ!! 綺麗なイルミネーションと美味しい食事は最高の一時…… クリスマスは1年で一番好きです!
次回は2025年1月1日21時00分に投稿予定です。