転がる玉の日常   作:青色好き

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あけましておめでとうございます。
今年も細々と小説を書き続けます。


3話:おもちゃ

 何だかとても賑やかだ。

 

 まるでおもちゃを散らかしたような部屋。床には積み木が沢山置かれており、その上には太鼓をたたく人形・光を放つ木の飾り物・馬の形をした木製のロッキングチェア・ジタバタと動くロボット…… おもちゃと呼べる物が沢山置かれている。更に、飛行機のおもちゃが部屋内を飛んでいる。部屋内のおもちゃにぶつからないように飛んでいる事から、まるで人が乗っているような飛行だ。プレゼントが置かれている事から、その中のおもちゃなのかもしれない。

 

 近くには窓枠のような物が置かれているが、その内の一つは開いており、そこには綺麗な青空と白い雲が広がっている。恐らく空を描いた絵だろう。そこに飛行機のおもちゃが飛んでくると、まるでおもちゃの飛行機が本物の飛行機のように飛行しているように見える、不思議な光景となった。

 

 そのおもちゃの王国とも言える空間の上空に、足場が浮かんでいる。

 その足場は所々に小さなプロペラが付けられており、それのおかげで浮いているらしい。小さなプロペラで重そうな足場を浮かせるとは、浮力が相当なものだろう。

 

 その足場に、あるボールが転がっていた。

 

 プップー!

 

 車のクラクションのような音が鳴り響く。

 

 そのボールは多数の車が寄り集まっている、車の塊とも言うべきボールだ。この車のボールはスピードが非常に早く、猛スピードで転がっている。そのスピードはまるで本物の車のようだ。

 その車のボールが橙色のクリスタルと接触するために、猛スピードで転がっていく。木製の、おもちゃのような足場の上を転がっていく。橙色のクリスタルが木製の足場の上にあるため、それに接触しようとする。

 

 橙色のクリスタルは細い木の棒が二本並んでいる、細い道がある。その上に橙色のクリスタルがある。ボールであれば木の棒に跨るようにハマるため比較的落ちる心配は少ないのだが、車のボールは転がる速度が速い。狭い木の棒に跨ろうとしたら、勢いの余り落ちる可能性がある。このまま木の棒に乗ろうとするのは危険なのでは……

 

 ガタン!

 

 しかし、車のボールは難無く乗る事に成功する。

 多くの難しい足場(と言うよりステージと言った方が正しいか)を乗り越えて来た猛者なのだろうか。それともただの偶然なのだろうか。車のボールは次々と細い木の棒の上を速い速度で移動している。どうやら前者のようだ。

 

 二本の棒を渡り切った。次の足場は…… ベルトコンベアだ。黒いベルトコンベアが何台も並べられており、ベルトはせわしなく動いている。まるで工場の様にも見える。車のボールはこのベルトコンベアの道を渡ろうとすると、前方に別のボールがベルトコンベアの道を渡っている様子が見えた。

 

 それはビー玉だ。透明な球体の中に青い平面上の物体が入れられている事から、綺麗なボールに見えるだろう。小物屋などで売られていそうな、美しいビー玉だ。

 

 コロコロコロコロ…………

 

 ビー玉はベルトコンベアの道を渡ろうとしているのだが、コンベアが速く流れているため、移動しづらい。ビー玉の転がる速度はコンベアの流れる速度より少し速い程度だ。前進に時間がかかっている為時間が経つ割にはあまり移動出来ないのだ。

 

 ビー玉の目の前には橙色のクリスタルがある。それに接しようとしているのだ。もう少しでクリスタルに…… そう思っていた。

 

 ビー玉が橙色のクリスタルに接しようとした、その瞬間だった。

 

 車のボールがビー玉を追い抜いて橙色のクリスタルに接した。

 

 ッ!?

 

 突然ビー玉を追い抜いて来た車のボールに、ビー玉は驚く。突然現れた事だけでなく、あまりのスピードにも驚いた。ビー玉は色んな場所で転がり、色んなボールに会ってきたが、あの車はかなりの速さだ。

 あまりの驚きにより転がるのを止めてしまいベルトコンベアによって来た道を戻されてしまう。車のボールは橙色のクリスタルに触れると、直ぐに次の足場に向かっていく。ビー玉は自分も後に続こうと思い、転がる速度を上げて何とか車のボールに追いつこうとする。早く追いつきたいと思っているため、何とか短時間でベルトコンベアを抜け出せた。

 

 次の足場に辿り着いた。

 

 どうやら木製の足場がスロープのような坂となっており、その端に橙色のクリスタルが置かれている。その構造が何重にも連なっている。もしもこの坂を下れば突き当りに差し掛かった際に勢いの余り下に落ちてしまう可能性がある。移動スピードが速い車であればその危険が高い。

 

 ……………………、

 

 車のボールは少し悩んだ。このステージは難しい。生半可な覚悟で行けば奈落の底に落ちてしまう。と言っても奈落ではなくおもちゃだらけの床だが。

 後からやって来たビー玉もスロープ状のステージに着いた際に一旦立ち止まった。此処が難しいステージだと直感で察したのだろう。どうしようかと考えている。

 

 暫く時間が経った。

 

 車のボールは意を決して、坂を下り始めた。

 

 車のボールは猛スピードで転がり始め、坂を下っていく。その様子にビー玉は驚きを隠せなかった。このまま坂を下っていけば間違い無く止まり切れずに落ちてしまう。ビー玉はハラハラしながら車のボールの様子を見ていた。

 

 車のボールはどんどん転がっていく。柵や壁の無い木製の道を落ちずに転がっている事から、正確に転がっている事が分かる。もう直ぐ突き当りに入る。橙色のクリスタルがあるが、その先は柵も壁も無い行き止まり。この勢いでは間違い無く落下してしまう。一体どうやって落ちずに止まるつもりなのだろうか。

 

 車のボールはどんどん近づいていき…………

 

 橙色のクリスタルに接近した直後、

 

 クリスタルに接した直後にUターンして次のスロープに入った。

 

 …………!

 

 その様子を見ていたビー玉は驚愕し、車のボールを見続ける。

 あのクイックターンはかなりの高精度だ。あの技術は生半可な経験で得られるものではない。かなりの場数を乗り越えて来たのだろう。恐らく、ビー玉よりもずっと…… そう思ったビー玉は、あのボールみたいに熟練者ならぬ熟練ボールになりたい。そう思った。

 

 ビー玉は車のボールの後をついて行くように、スロープを下り始めた。

 ビー玉は転がっていき、速度を上げていく。だがビー玉はブレーキを数回かけて速度を抑えながら坂を下りていく。橙色のクリスタルに触れると同じ要領で下りていく。車のボールよりは速度が遅いものの、足場から落ちる事無く下の方に下りていく。出来れば早く下りたいのだが、欲を優先したら碌な目に遭わない事もある。

 

 少しずつスロープを下りていき、どうにか下段の方に辿り着いた。

 

 車のボールは下の方で、先の方を見つめていた。その方向の先には、空中に浮かぶ虫眼鏡が光を集めて炎を出している。小学生の理科で行うであろう、虫眼鏡で熱を集める実験のようにも見える。

 

 それが目の前でボールの脅威として立ちはだかっている。ボールにとって高熱は十分脅威だ。虫眼鏡が回る速度はそこまで速くないものの、当たればただじゃ済まないというプレッシャーを感じる。車のボールはタイミングを計って進むつもりのようだ。ビー玉も同じ様に虫眼鏡の熱に当たらないように動くつもりだ。

 

 虫眼鏡は狭い範囲を動いている。その足場はそこまで広くはない。そして虫眼鏡が集めている光の範囲は非常に狭い。つまり、退避場所は無いが、危険な範囲も狭い。何とか無事に通り抜けられそうだ。

 

 車のボールは虫眼鏡と光の焦点を見つめる。目が無いためどのような視線で見つめているか分からないが、間違い無くベテランの、厳しい目つきに違いない。ビー玉もじっくりと虫眼鏡を見続ける。

 

 5秒…………

 

 10秒…………

 

 20秒…………

 

 しばらく時間が経ち………… そして…………

 

 車のボールとビー玉は勢いを出して足場を進む。虫眼鏡の光の焦点の後をつけるように移動し、次の足場へと繋がる足場に移動した。

 

 車のボールとビー玉は無事に危険な場を潜り抜けた事に安堵した。

 

 次の足場は木製の輪っかが何個も付いているのだが、それは下方向に向いている。どうやらこの下に向かえという事らしい。車のボールとビー玉はその木の輪っかを潜って下りていく。

 

 その輪を潜り抜けていき、下を見るとそこには青色に光る台がある。

 

 ゴールだ。

 

 車のボールとビー玉はゴールに到達した。

 

 ビー玉は喜びを表すかのように跳ねている。難しそうなステージをクリアしたのだから嬉しくなるのも仕方無いだろう。車のボールはその様子を見て初心者だった頃の自身を思い出している。昔の自分はこんな感じだったなぁ…… そんな風に物思いに耽っているのだった。

 

 

 

 

 

 その頃、このステージのとある場所では……

 

 

 

 

 

 足場の下側にある緑色のクリスタルがある。その下には別の足場があり、上の足場から降りて緑色のクリスタルを取る構造だ。そんな中……

 

 サッカーボールとバスケットボールが緑色のクリスタルを取ろうと、足場からジャンプしており、ラグビーボールはその様子を見守っているのであった。




おもちゃだらけの部屋って、「散らかってる」というより「こんなに沢山おもちゃがあるって、ある意味羨ましいな」と思ってしまったり……

次回は2025年1月8日21時00分に投稿予定です。
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