転がる玉の日常   作:青色好き

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昼の町と夜の町って明らかに同一の町だよね? と言う訳で1つの話に纏めました。決して話数を減らすためではない(キリッ)。

夕方の町とかあっても良かったかも。


4話:町

 朝日が車や電車の行き交う都市を照らしている。

 多くの車が道路を通っており、電車もひっきりなしに運行されている。それらの数からこの都市の人口は非常に多く、かなり発展している事が分かる。

 

 その上空では、宙に浮遊する足場が多数存在している。

 

 その足場は道路のように車線と白線が描かれており、所々にガードレールが設置されている。道路という事もあり、車が通っている筈…… なんて事は無く、車は通っていない。いや、車が数台停車している程度。結構車が少ないのだ。車が少ないという事は、通りやすいという事だろうが。

 

 そんな道路で、あるボールが転がっている。

 

 車のボールだろうか。

 

 だが、音からして違う。

 

 それは、薄い緑色で非常に重たそうな重厚感のある音を出しながら、道路の上を転がっている。重たそうな音を出しているが、道路は凹んでいるようには見えない。音は重そうだが実は軽いのか、道路が非常に頑丈なのか…… それも気になるが、このボールは一体何なのか。

 

 一言で言えば、ガスタンクである。

 

 このガスタンクは、道路の足場を転がっている。何処に向かうのかは分からないが、何か目的があってこの道路を通っているのだろう。だが、その様子は大きな音を立てながら転がっているせいで、通行の為に通っているというより、工場のガスタンクの固定が緩かったせいで転がっているような…………

 

 最初に通る道は、細い道だ。

 見た感じでは、一車線の細い道路だ。田舎にありそうな、車が1台ギリギリ通れるような道だ。ガードレールは所々付いておらず、下手すれば真下に落下してしまう危険な道だ。

 それにガスタンクは非常に重く動きが遅そうに見えるが、実際はかなりの速さだ。それこそ車の塊のボールに負けないだろう。それ程の速さで動こうとすると移動直後に落下する恐れがある。ガスタンクはこの細い道を上手く渡れるのだろうか。

 

 ガスタンクはこの細い道を見て、一旦止まった。どうやらこの細い道を見ているようだ。通れないと思って立ち止まっているのだろうか? しばらくの間この細い道を見つめているように立ち止まっている。

 

 少し時間が経つと、ガスタンクは動き出し……

 

 この細い道を通り始めた。

 

 端から見れば落ちてしまう。と思う様に見えるだろう。

 

 だが、そのような事は起きなかった。

 

 ガスタンクは細い道でも落ちる事無く、余裕と言わんばかりに進んでいく。落ちそうになる事も無く、道路の中央をきちんと転がっていく。これ程狭い道を正確に転がれるとは、かなりのバランス感覚と言えるだろう。

 

 あっさりと細い道を通り抜けた。

 次の道はグルグルと円状に道が連なっている。上から見ると巻き貝の模様に見える、少し目を回しそうな道路だ。壁は防音壁と言わんばかりに大きくて厚い。ガスタンクはそのような風変わりの道路を通って行く。ゴロゴロと音を立てながら転がっていく。

 

 ガスタンク視点だと同じ方向に曲がり続ける。同じような道が続いているように見えるので、何だかアニメや映画において同じ場面を見続けるような錯覚を感じてしまうが、それに惑わされないように移動する。

 

 そして、行き止まり地点に着くとそこに玉が入れる位の大きさの穴がある。そこを通れと言う事だろう。ガスタンクはその穴に戸惑う事無く入った。

 

 下に落ちた。

 穴の先には、別の道路が続いていた。

 二車線になっており、ガードレールが所々にある。しかし、微妙に傾斜が付いている事で傾きやすく落下しやすい、少し厄介な道路だ。ガードレールがあれば安全なのだが、ガードレールの無い場所に傾斜が付いている箇所が多いようだ。その道路の各所には橙色のクリスタルが配置されており、どちらも傾斜のある個所に置かれている。

 

 少しでも速度を緩めれば傾斜により底に落下してしまう。だが、速度を出せば勢いの余り落下してしまう危険がある。中々危険な道路と言っても良いだろう。

 

 だが、ガスタンクはそのような道路でも、諦めたりはしない。

 

 ガスタンクは道路の中央に描かれる黄色い線に沿って転がり始めた。傾斜何てなんのその。一切傾斜の影響を受けていないように、ピッタリと中央を転がり続ける。道路上にある橙色のクリスタルに次々と触れていく。

 

 ガスタンクが転がっている内に、緑色のクリスタルを見つけた。だが、緑色のクリスタルは道路の上を浮いており、ジャンプでもしなければ届かない。緑色のクリスタルの上には別の道路が宙を浮いている。恐らく、此処から飛び出して緑色のクリスタルを接するという事なのだろう。

 これは中々難しい。上にある道路から落ちたとしても上手く緑色のクリスタルを触れられるとは限らない。少しでも軌道がズレたら緑色のクリスタルに触れられずに下の道路に戻ってしまう。元の場所に戻るのも時間がかかるだろう。

 

 難易度が少し難しそうな緑色のクリスタル。ガスタンクはこの緑色のクリスタルを触れる事が出来るだろうか?

 

 ガスタンクは迷うことなく、橙色のクリスタルに触れながら道路を進んでいき、緑色のクリスタルの上部の道路に着いた。

 

 すると、ガスタンクは緑色のクリスタルに向かって、道路から下りた。

 そして、そのまま落ちる事無く緑色のクリスタルに触れ、下の道路の中央に華麗に着地した。

 

 多くのボールはこの場所で緑色のクリスタルに上手く触れず下の道路や奈落の底に落ちてしまう事が多い。仮に緑色のクリスタルを触れても、そのまま下の道路に上手く着地出来ず道路の下に落ちてしまう事が多い。

 

 だが、このガスタンクはそういった難所を難無くやり遂げた。そのカッコよさは正にガスタンクの中のガスタンクである。

 

 ガスタンクはそのままゴールのある方向へと転がっていく。こうして、この難しそうな道路を難無く制したのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 暗闇が訪れた夜。

 周辺のビル街は灯りが点いており、暗い世界を明るく照らしている。下の世界では車が昼と同じくせわしなく動いており、白い光が絶え間無く動いている。鉄道も昼と同じくかなりの頻度で行き交っている。鉄道が駅のホームに停車してドアが開くと大勢の人々が出てくる。夜になってもこれ程の人々が行き交っている事から、やはりこの町は賑わっている事が分かる。

 

 ガスタンクが道路を転がっている中、別のボールを見つけた。

 

「ふっ! やぁ!」

 

 何やら人の声が聞こえる。下から聞こえるのだろうか? いや、声を聞く限り上からのような……

 

 上を見てみると、上部に浮かぶ道路ではとあるボールが転がっている。それは、ガシャポンのカプセル内に人が入っているという、様々なボールの中でも特に特異な見た目のボールだ。このボール(あるいはボール内に入っている人)の名前は「チャーリー」と呼ばれており、素早く転がる事が得意なボールだ。中の人は目が回らないのだろうか……?

 

 そのチャーリーは、少しゆっくりとした速度で道路を転がっている。恐らく夜なので暗いからであろう。暗い中の移動は危険だ。何処から誰が飛び出してくるか分からない。それ故に昼の時よりも速度を押さえて移動するのだ。これは当然の事だろう。

 

 ガスタンクはふと上の道路の更に上、空に浮かぶ星々を見た。

 この美しい星空にどのような足場・ボールがあるのだろうか? 他の惑星にもあるのだろうか? 宇宙と言うのは未知の世界だ。自分達の知らない存在が多いのだろうか。そのような機会があるのかは分からないが、もしもそのような機会があれば…… 是非とも見てみたい。そう思いながら夜の町の道路を転がるのであった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 此処は黒が支配する空間。

 しかし、所々様々な色の光が点在している、不思議な世界。

 大小様々な岩が浮遊する、特殊な場。

 

 此処は宇宙。

 人類やボールにとって、完全に未踏の世界。

 未だに全体のほんの僅かしか解明出来ていない、不思議が多いフロンティア。

 

 その宇宙で、不思議な足場が浮かんでいる。

 

 その足場に、奇妙なボールが転がっている。

 

 銀色の乗り物、その乗り物に付いている窓には宇宙人と思しき人が乗っているUFO。

 

 薄茶色の球体で周りに薄い環が付いている土星。

 

 そして、宇宙そのものがボールになったような、銀河。

 

 地球には無いであろう、不思議なボール達。

 

 今この瞬間も、

 

 何処かでコロコロと転がっている……




前回出した車のボールをこの話の主役にすべきだったかな…… ガスタンクって街中にある…… よね?
そういえば、チャーリーって何者なんだ……?

次回は後書きです。2025年1月15日21時00分に投稿予定です。
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