カンパニー社員の俺は仮面の愚者に人生台無しにされる   作:塊ロック

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第13話

 

今日は、散々な目に遭った。

 

海賊に襲われるわお客様は怪我するわ、俺が存護の力を使えるのに役に立たなかったと先方にめちゃくちゃ怒鳴られ。

 

「………………」

 

誰も居なくなった事務所に戻り、静かにパソコンへ文字を打つ。

俺に科された処分は、減給。

 

「くっだらねぇ……」

 

原因は先方の不用意な刺激。

そしてこちらには伝えられていなかった奇物の存在。

 

特に先方の重役の葉に衣着せぬ罵倒は辛辣だった。

傍から聞いていた俺も居た堪れなくなったものだ。

 

『営業部の仕事が出来ないだけじゃなくて警護もまともに出来ないわけ?』

 

先ほど言われた上級部署からの小言がフラッシュバックする。

 

「はぁ……」

 

すっかり意気消沈。

こんな姿、花火ちゃんに見せられないな。

 

「……ハッ。なんでこんな時に花火ちゃんのこと思い出すんだよ」

 

思えばこのところずっと傍に天真爛漫な少女がいた。

彼女に構っていると落ち込んでいる暇すら無かった。

 

「いやいや……年下の女の子に会いたいとか情けなさ過ぎるだろ……」

 

強がりだ。

本当は会いたい。

 

初めて出会った、カンパニーなんて何も関係ない人間。

あの屈託の無い笑顔に、いつの間にか救われていたのかも知れない。

 

「……ああクソ!」

 

結局、書きかけの反省文を全部消して俺は飛び出した。

 

「はぁ……」

 

ひとしきり走った後……社宅近くの公園で一人、項垂れていた。

 

「……きっつい」

 

思っていたよりも、ダメージがデカかった。

そう自覚する。

 

「………………花火ちゃん」

 

ぽつり、と弱音が落ちた。

 

「……会いたい」

「ハァーイ?そんなに花火に会いたかった?」

「遂に幻聴まで聞こえた……もう俺は駄目かもしれない……」

「ちょっとちょっと〜?お兄さん流石に笑えないよ?」

「……え?」

 

顔を上げる。

確かに目の前に居た。

短い間だが、ずっと俺の隣に居た少女。

 

「もぅ、ちょっと見ない間に随分追い詰められて……わっ!?」

 

よろよろと立ち上がり……俺は、花火ちゃんの小さな身体を抱き締めていた。

 

「お兄さん……?」

「ごめん……俺……その……会いたかった……」

「……お兄さん」

「ごめん……もう少し……このまま……」

「いいよ、泣いても」

「泣きは……しない……」

「お兄さんは頑張ってるよ。よしよし」

「くっ……うっ……うう……」

 

花火ちゃんに慰められて、我慢していたものが溢れ出した。

 

「俺は……俺は……!何のために……戦ってるんだ……!」

 

溢れた。

溢れてしまった本音。

私欲を殺し、ずっと故郷の為に戦ってきた。

 

だが、いつ報われる?

 

「……そうだよね。先が見えないもんね。怖いよね」

「ああ……怖い……無力でちっぽけな自分を認めるのが……怖い」

「うんうん、そうだよね。お兄さんは真面目すぎるんだよ……ほら、帰ろ?」

 

花火ちゃんが、俺の手を取り指を絡めてくる。

 

「帰る……?」

「取り敢えず、お兄さんの家に行こっか」

 

 

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