カンパニー社員の俺は仮面の愚者に人生台無しにされる   作:塊ロック

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新年明けましておめでとうございます。

遂に愉悦の運命のキャラが発表されましたね。


……はい??火花?????


第15話

 

……どれくらい眠っていただろうか。

 

窓の外はすっかり明るい。

夜はとっくに明けていた。

 

「………………」

 

起き上がる。

身体は若干楽になった。

 

「昨夜は……」

 

確か、花火ちゃんとサンポが……。

 

「あ、お兄さん。おはようございます」

「サンポ……」

 

三角巾とエプロン姿のサンポが土鍋を持っていた。

土鍋なんてあったのかウチ。

 

「食欲、あります?」

「………………ある」

 

中身はおかゆらしい。

良い匂いがして、腹が鳴る。

 

「どうぞ、作ったのは僕ですが」

「……助かるよ」

「いえいえ……花火さんのお願いですので」

「……それでも。迷惑かけるな」

「気にしないでください……お仲間(トモダチ)じゃないですか」

「ありがとう……」

 

れんげを渡されてひとくち。

……味が分からない、けど、

 

「………………」

 

ボロボロと涙が出てきた。

 

「ちょ、お兄さん……!?大丈夫ですか……!?」

「すまん……誰かが作った食事とか……久しぶりで……」

「あー、サンポちゃんがお兄さん泣かせたー」

「違うんですよ花火さん……!」

 

姿が見えなかった花火ちゃんが戻ってきた。

髪が少し濡れているのをみるに、シャワーでも浴びていたのだろう。

……よく見たら制服のシャツじゃなくてサイズがだいぶ大きい俺のシャツ着てるし。

 

「おはよ、お兄さん。眠れた?」

「ああ……」

「ほらほら、お兄さん泣かないの。花火は何処にも行かないから。サンポちゃんも居るよ」

「ごめん……」

「大丈夫大丈夫。お兄さんは頑張ってたから。ちょっと休んだってバチは当たらないよ〜」

「そう、かな……」

「そうだよね、サンポちゃん」

「エッ、僕に振るんですか……?僕はお金好きなんで働くたちなんですけど……」

「ほら、サンポちゃんも大丈夫だって」

「言ってませんよ??」

 

二人のやり取りに、ついつい破顔する。

思えばこうやって、気安い関係の友人も居なかったなと。

 

「……やっと笑ったね」

「え?」

「お兄さん、ずっと辛そうだったから」

「……参ったな。見透かされてる気分だ」

「ふふ、取り繕ったって無駄だよ〜。花火はお兄さんが抱き着いてきてわんわん泣いてるのずっと見てたからね」

「ぐ………………」

 

今更になって恥ずかしくなってくる。

年下の、こんな小さな女の子に縋ってしまった自分が。

 

「……ねぇ、お兄さん。花火ね、今度お仕事でピノコニーに行くんだ」

「ピノコニー?ピノコニーってあの……宴の星?」

「そう!調和セレモニーに出るの」

「花火ちゃんが?何で……」

「花火さんは、ソコソコ名の知れた役者なんですよ」

「そうなの!」

「え、そうだったの……?」

 

じゃあ何でインターンでスターピースカンパニーに来たんだ……?

いや、違和感はそこじゃない。

 

「……花火ちゃんはピノコニーのファミリーの一員なのか?」

 

調和セレモニーは本来身内でしかやらない。

そこに行くということは、花火ちゃんはどこかのファミリーの一員だと考えるのが自然だ。

 

「違いますよ。今回の開催に限ってファミリーは様々な組織に招待を出しているんです」

「そうなのか……」

「カンパニーにも招待が行っているそうですよ」

「はぁ……」

「それでね……お兄さんが良かったら、一緒に行かない?」

「え?俺が?」

 

ピノコニー。

聞くところによると夢を使った歓楽街と言った場所らしい。

 

「うん!沈んだ気分も、明るい場所に行ったら元に戻るよ」

「……いや、俺は……いい」

「え?」

 

つい、そんな言葉が口を出る。

 

「どうして?花火と楽しいことしようよ〜」

「俺は……」

「……仕事?」

「……っ」

 

自分の仕事。

必死にしがみついてはいるけど、薄々信じ切れなくなっている自分がいる。

 

「お兄さんの努力を搾取してるあそこが、お兄さんの居場所だと思ってるの?」

「それ、は……」

「花火さん。お兄さんは病人ですよ……もう少し、休ませてあげましょうよ」

「も〜、サンポちゃんは呑気なんだから……サンポちゃんも来ないんでしょ?」

「あそこは僕の性に合ってませんからね……住んでいる人々に必死さが足りませんから」

「ふーんだ。薄情なサンポちゃん」

「真夜中にいきなり電話されて買出ししてくる情に厚い男、僕以外にいます?」

「違いない」

「あ!お兄さんサンポちゃんの味方するの!?」

「今日は味方が居ないですよ、花火さん」

「えーん!サンポちゃんとお兄さんが虐めるよ〜〜〜〜」

 

……なんだか、久しぶりに感じる賑やかさにまた目頭が熱くなる。

けど、涙を流すと……この二人はきっと心配するから、耐えた。

 

花火ちゃんの目は、俺をじっと見ていて……笑っていなかった。

 




今年もぼちぼち更新していきますのでよろしくお願いします。
ダリア欲しかったんですけど貯金する目的が見付かってしまったので泣く泣くスルーです……。

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