衣玖「私です」
天子「は??????」
「…参ったな?」
深く深く。沈んだ先にあった道はなんとも肥溜めのような臭いがした。つーか肥溜めだなこれ。落とし穴に肥溜めとか。ただでさえ竹林で迷子になってたのに。竹林ごと燃やしてやろうか?魔法でまだ空飛べないし、炎で空飛べないし…そうだ、炎で地面掘り進めりゃ良いのか。
「どっこいしょ…」
「あれ、鈴仙じゃない」
「そこの白髪の方、こっから引き上げてくれませんかね」
「おいおい、これでも私は女の性別だ。人1人を持ち上げられるほど力持ちじゃない」
すまん、顔も姿も見えん。髪の毛もチラッと見えたくらい。だから種族わからんのよ。魔力を込め更に炎で地面を削る。掘り掘りして、ようやく上半身が地面につき、地上に寝転がれると。目の前には先ほどの白髪のお方がいた。目で見た限り、人ではないように見える。初めてみる種族だ。
「…お前、よく登ってこれたな。火も使ってたか?」
「破ぁっ」
炎を出してみた。すると、なんか知らんが相手も炎を出して来た。うわあつっ。
「でも私と同じじゃない…か。なんでここに来たんだ?」
「絶世の美女がいると聞いて。人外狐お姉さん(大きい)よりもドストライクな俺の好みはいないと思うが、その美女を見て心が揺らぎでもすれば…」
「すれば?」
「やむを得ない。自殺する」
「覚悟ガンギマリだなキモいぞ」
「と言うわけでその美女を探している途中だった。貴女お名前は?」
「あ?妹紅だ。そう言うお前は」
「金田〜」
「…そうか」
竹林の中を歩み続ける妹紅に続いて俺も歩き続ける。人の後を歩くのは、なんと言うか。先ほどの落とし穴もそうだが、この竹林は絶対普通じゃないだろう。まあ幻想郷だから仕方ないか。幻想郷には人外狐お姉さん(大きい)がいるんだ、まあ他に地獄と地続きだろうが天国と地続きだろうがまあ驚きはしない。
「…それで。まさかとは思うけど、貴女がその美女か?」
「そう勘違いされるのは嬉しいけど、違うな」
「だよねぇ」
「おい今のどういう意味だ」
八雲藍より魅力が欠ける貴様に、絶世の美女は合わん。もしそうであれば、俺が絶世の美女という言葉を八雲藍さんに返還させる準備をしなければならない。具体的にはどうすれば返還できるんだろうか。どっかで調べなきゃ。しかし絶世の美女か。やはりそれはお淑やかと言うジャンルに分類されるのだろう。妹紅について行き、変な屋敷に着いた。
「ここだ」
「ほぇー」
「ま、あとは頑張れよ。ここに人喰いはいないからそこは安心しな」
「うい」
そうして。屋敷の門を叩く。おら出てこいや!八雲藍さんに劣るという、絶世の美女を出さんかいワレェ!…不在かな。全然出てこない。こうなれば魔法で焼き尽くすしか…と、手を構えたところで門が開いた。その中には兎耳のブレザーを着た変な奴。ま、こいつは見た目まんまに絶世の美女ではない、ただの兎耳がある人外だ。
「ここに絶世の美女がいると聞いて」
「はぁ…失礼ですが、お名前は?」
「金田」
「金田さんですね。少し待っててください」
そう言われて少し待機する。すると今度は赤青のガチで変なやつが出て来た。半々に赤青の色が塗られている白髪の美人さん…だが。見た時に分かった。こいつ、妹紅とかいう人外と同じだ。種族はわからずとも、同じ種族か否かは分かる。妹紅と同じ…だが、先ほどの兎耳は違った。
「妹紅と同じ人種?」
「ええ、そうよ。で、貴方は…見たところ人間ね。人間がウチの姫に何かしら」
「会いに来た」
「…?」
とりあえずと屋敷に連れられ、そのまま待っていろと言われたので待つ。姫、というのがやはり絶世の美女なのか。俺の考える美女は人外狐お姉さん(大きい)…つまりは、八雲藍さん本人である。今の俺なら、好みドストライクの人と出会い、触れ合った俺なら。絶世の美女ごときに靡く由もない。
「はぁ…もう、折角のお客人なんですから、出たらどうですか?」
「だーかーらー!会いたくないの!」
…声を聞く限りではおてんば娘と言った感じか。残念ながらお淑やかとは正反対とも言える人種だ。何かあったのか。しかしここで待機していろと言われた身なのだから、待つしかないか。何をするわけでもなく、ただただ待つだけ。姫と赤青の奇抜な服装をした人外は、どうやら変に争っているらしい。
「知らないわよ!」
「なっ…はぁ。」
「苦労してそうですね」
「うわびっくりした」
「こう寝転がってるのには訳がありまして」
「…痺れたの?」
「ええ、その通り」
「そう…でも、多分聞こえていた通りに姫は会わないと」
「ふーん…」
ならお見えになるまでここで暮らしても良いが。何やらここはここで変に忙しそうだ。客人を泊める部屋もあるか怪しい。となれば、やはり俺は会えるようになるまで毎日通い続けるとするしかなさそうだな。
「…別に良いわよ?」
「えっ」
「ここまで足を運んで姫を見たいなんて、珍しいし。今どこに住んでるの?そこまで着替えを取りに行くなら運んで行くけど」
「博麗神社」
「…え?」
兎耳を付けたブレザー姿の小娘に担がれ、博麗神社。着替えを取って、蜻蛉返り。巫女さんには数日神社を離れることを伝え、ブレザーに担がれ戻る。うーん。なんだか、もう少し運び方とやらがないものか。まあ、多分ないんだな。離れていく大地が竹林となって、身体に刺さりそうな速度で着地。怖かった。
「それじゃあ、金田さん。ここで暮らしてくれる?」
「ありがとう」
「…そういえば」
「?」
「どうして私が妹紅と同じってわかったの?」
「同じ種族かどうかは見れば分かる。俺の目にはあんた達の身体に模様みたいなものが見えてるだけだ」
「なるほど…」
輝夜「いやー!知らない人に会いたくなーいー!」
永琳「全く!折角会いに来てくれたんですから会わなければ失礼でしょう!!」
こんな感じの言い争いしてた。