「宇佐見とこんなところで会うなんてな」
「やだなぁ、私たちが初めて会った時はもうちょっと変な場所でしたよ〜」
「…??」
俺が初めて会ったのは小学校…何年生だっけな。しらね。公園で寝転がってたら登校する宇佐見がいて。なーんだかなーとベンチに寝転がってた俺に、宇佐見が興味本位で近付いて話しかけて来て声高らかに変な話をふっかけて来たんだっけか。どんな話だっけ…あー、変な話としか覚えてねーわ。
「ってな感じ」
「…一つ疑問」
「何?レイムッチ」
「小学校って、寺子屋みたいなものでしょ?紫から聞いたんだけど、アンタ達の話を聞くと、なんで菫子が登校してる時に金田が公園で寝てるの?」
「なんでって…なんでなんですか?」
「ん、あー、親だな。たまにいるでしょ、頭のおかしい奴。俺はアレが親だったからね。学びよりも外で遊べとか言ってくるタイプの」
「うわぁ」
「そんなにおかしいの?」
「例えるなら…マリサッチに対して魔法よりもお勉強とか言うレベルの…」
「…なんとかわかる」
そんな話は置いておき。いやしかし宇佐見とこんなところでかぁ…世の中って、狭えなぁ。神社の中から茶葉を出して、湯を注いで、飲む。親の話は本当にどうでもよくてね。まあ公園でほぼ一日暮らしてた経験が博麗神社の暮らしをそんなに苦にはならなかった…訳ではある。仕方ないでしょ。
「そんで、宇佐見は顔馴染みのようだが…」
「はい!私は寝てる間だと幻想郷に入れるようになったんです!!」
「…なんだそりゃ」
じゃあ、なんだ。こいつはもしかしたら人外狐お姉さん(大きい)と面識があったのかもしれない、のか?人外狐お姉さん(大きい)と??…八雲藍さんと、か…良いなぁ。最近は色々と動き回ってたから、八雲藍さんに想いを馳せる余裕がなかった。こう言うのは感謝が大事なんだよ。誓いだって一回やるよりも三千回やった方が良いんだからな。
「まあ」
「…輝夜か」
「うわっ美人!」
「圭さん、貴方…まさか、え?」
「安心して欲しいがそう言う関係じゃない。」
蓬莱山輝夜、と声を大きくしながら去った記憶が蘇る。何せ俺はそう言うことに全然慣れていない。むしろ俺は輝夜の方も宇佐見の顔も巫女さんの顔も、ほぼ全てが同価値に見える。八雲藍さんだけが、他と並ぶ山々の中でも、その山脈の中でさえ頭一つ抜けて見えている山のように、美しく見えているだけなのだ。どうなっているんだ、本当に…うっうっ。
「もー!」
「良いでしょう別に」
「寝てもないのに寝取られたかと焦ったわ」
「本当に珍しいわねぇ。なんでそんなに外に出るのよ?」
「私の美しさに酔わず、挙句の果てに永琳の方が魅力なんて言われたからよ。ちょっと台所貸してもらえる?」
「良いけど」
「永琳に御料理教わったの!」
…心のどこにも、輝夜と八雲藍さんが心の中で立場を入れ替えるなんて選択肢は思い浮かばなかった。それほどに八雲藍さんが素敵なのだ。対する相手を恨むことはせぶ、自身の精進に充てることだ。とかやってたら料理出て来た。もうすか。なんか早くない?作られた料理は焼き肉だった。それにしても早くない?
「んー…焼き加減は良いが…」
「でしょ!」
「なんか出てくるの早くない?普通に中身クッソ赤いかと思ったらそんなこともないし」
「ですねぇ…私の超能力でもそこまでは」
「強火でササッと」
「あいつ料理も出来るのね」
永遠亭で料理を作ったことがあったが、炒飯を作ったら評判だったのを思い出す。そうか、そういう飯を食ったことがないから美味いとか言ってたのか。そういやいつも焼き肉とか焼き魚とかまあ原始的…と言えるかは別として、たまに兎の肉が出て来たりもしたな。ブレザーとてゐの顔は死んでいた記憶がある。
「これ何の肉だ?」
「さあ?永琳に渡されたから、私は…」
「んー…美味いんだけどな。食ったことのない味だから気になった」
記憶のどこにもこの肉の感触はない。見ても人外であることしかわからない。見た覚えはあるんだ。現代の畜産の奴らだとは思うんだがなぁ…ふと輝夜を見る。んー…いや、まさか。そんなまさかですよ。あの永琳先生がね。俺に人肉食わせることなんてないんですよ。だったら多分、畜産のどれかを不死身にでもしたのか。
「…まあ良いや」
「あんま気にしない方が良さそうね」
「勘が鋭いよ巫女さん」
「良し、それじゃあ次に会う時は別のことを身につけてくるわね!」
「はいよ〜」
「…このお肉…」
「見た感じだとな。多分、永琳さんとか、輝夜さんとか、妹紅さんとかと同じような肉だ」
「は?」
「畜産の肉を無限に取れるようにしただけ…って思いたいんだけどなぁ。いや、永琳さんだから流石にそれは…」
あり得ないと思いたいのだが。まああの人は倫理観とかしっかりしてる人だろう。多分。恐らく。そうであって欲しいという勝手な願いにはなるが。うーん。更に言えば強火でとは言え肉があんな早く焼けるのか。そこは不思議であるけれども、まあ。あれだ。永琳さんが多分品種改良しただけ!と思いたい。
「金田さんの右腕ってどうしたんですか?」
「今更か?」
「うーん…見たところ、義手になってるんですよね?」
「おうとも。才能があってな。ほれ、炎が龍になったりする」
「うわすっご!マリサッチ涙目じゃないこれ」
「実際妬んだのか勝負を挑んできたことあったわよ。大人気ない」
魔理沙「なにやら博麗神社で私の噂をしている気が」
アリス「神社に住んでる片腕黄金の男って、それもう人間なの?」