人外狐お姉さん(身長が大きい)大好きな男   作:覚め

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ま、金田くんの場合は腹と足だけども。


頭の蛆虫

君と私は縁がある。そう言われて俺は手を開いて拒絶の意思を伝える。三日もいたくない。さっさと帰りたい。こんなやつと出会ったのだから出来れば八雲藍さんに手を握られたい。声をかけてもらっても良い。姿を見るだけで満足ではあるが。どうして俺はこういう奴と縁が出来るんだ。出来る縁は住処と八雲藍さんだけで良いのに。

 

「…で、何?」

 

「何って、酷いなあ」

 

「我は物部布都と言う。よろしく頼む」

 

「あ、どうも」

 

「私は蘇我屠自古だ。よろしく」

 

「あ、これまた御丁寧に」

 

「そして私が豊聡耳神子。わかりやすく言えば聖徳太子だ」

 

「…1400歳くらいのお婆ちゃんか〜」

 

「ま、言い得て妙ですね」

 

1400歳くらいと言われて少しも眉を動かさない。普通、女というのは年齢に関して言われたらキレる筈だが。なんだろうか。酷く存在感が精神を逆撫でして来ている。こちらに微笑まれてもなお嫌悪感が止まらない。全体的に青い人である青蛾さんの方が存在としてはマシである。どちらともさっさと俺を神社に返してくれれば良いのに。チッ。

 

「私の教えに共感するつもりはないみたいだね」

 

「人と話す時にヘッドフォンを外さない奴よりは人の言うこと聞いてるつもりだ」

 

「そこからか…私は耳が良くてね。君の欲を聞ける。しかしだ、そんな欲には見るのも嫌な欲がある。そう言うことを防ぐためのものなんだよ、これは」

 

「そうか。じゃあ真っ赤な館の妹君にでもその能力つかったれ。そいつのせいで片腕ないんだわ」

 

「君は」

 

そう言って神子の口が止まる。その時、神子の耳が変な模様を見せて来た。やめろと言いたいがまあ、やめろと言ったところでだ。俺が本気で歯向かってもなぁ、多分返り討ち。良くて逃げ切るくらい。それを考えるなら、ジッとしてた方がよかろう。どうか俺に不利益が降りかかりませんように。

 

「そうか、吸血鬼に…しかも博麗神社で巫女と同居…」

 

「あー、こうなると長くなりますね」

 

「我は茶を持って来よう」

 

「頼む」

 

「…長くなるんだったら、今のうちに帰って良いか?」

 

「そこまで長くはならん。それに、太子様がこれだけ考えるとなれば。お前の未来は中々に波瀾万丈とも言える。」

 

「…屠自古さん。未来わかるの?この人外」

 

「予測でしかないけどな。でもまあ、当たる」

 

「そうか。じゃあ帰りたい」

 

席を立とうとしたら後ろにいた青蛾さんに肩を掴まれて座らされた。くそっ。どうなってんだこれは。あーさっさと帰りてー。ちっくしょーどうなってんだか。まあ、まあ良い。それはどうでも良い。さっさと考えを纏めてもらって、満足してもらったら帰ろう。流石に五日間も急に神社を空けるとなれば巫女さんが黙ってない。

 

「…君は、中々に面白い人間だね」

 

「面白くてもなぁ」

 

「そう言わないで欲しい。悪い意味じゃないからね。どうだろう、君さえ良ければ、ここで住んでも良いんだが…」

 

「太子様、本当ですか?」

 

「本当だ。」

 

「断る」

 

「あら」

 

「…理由は?」

 

「俺は人外狐お姉さん(大きい)と出会うために幻想郷で暮らしてるんだ。博麗神社も、そこの巫女さんが人外狐お姉さん(大きい)と知り合ってそうだったから住んでる。」

 

「嘘つきだなぁ。そこの巫女が可哀想だったからじゃないかな?」

 

あー、やっぱこいつムカつくな。なーんでこんなにもムカつくのやら。人外狐お姉さん(大きい)でも無いくせに。そう思って目線を下げようとしたが、やめておく。聖徳太子あいてだから何されるか分かったもんじゃねえぜ。さてどうしたものか。存在感で嫌悪感を与えて来る上にお喋りで嫌悪感を募らせる相手だ。どうしようもないと言うのが答えか。

 

「君は…そうだな。寂しいのかい?小さい頃の学舎に行けなかった経験に、御両親との確執…概ねそんなところかな?」

 

「青蛾さん、俺こいつ苦手です」

 

「そう言わないで欲しい。君が私に抱いてる嫌悪感も、私の耳には届いているんだから」

 

「…なんだお前。俺に嫌われたくないのか」

 

なんだか、変な奴だ。俺に嫌われた程度で外の人間全員に嫌われるわけでもないのに。俺に嫌われても良いのなら嫌ってさっさと帰れるし、嫌われたくないなら帰すことを勧められる。完全に無視されても帰れる。良い手だ。ただ一つ、この考えがおそらく相手に筒抜けなのと、ここ霊廟から博麗神社、人里、命蓮寺、永遠亭などの、比較的安全な場所が近くにあったとして、どれくらい離れているのか。そこが分かっていない。

 

「…そんなに、博麗神社に帰りたいのかい?」

 

顔を伏せられた。表情が見えない以上声だけで感情を判断するしかない…が。全然わからない。先程と全然変わらぬ声で話された。心なしか、周りの目がこちらを品定めするような目に感じる。茶を取ってきた物部さんは、雰囲気を察して茶を何も言わずに置いていた。ふむ、さてどう答えようか。茶に手を伸ばし、飲む。むせる。

 

「ぁー…そうだな。あそこが住処だしなぁ」

 

「その住処を変えても良いだろうと聞いているんだ」

 

「そりゃなんだ。こっちに引っ越したら俺は幸せにでもなるのか?」

 

沈黙が続く。そろそろどんな図太い人間でも居づらくなってきた頃合いだ。さっさと俺を帰してほしい。具体的には、青蛾さんが置いている手。その手の力を緩めるか離して欲しい。

 

「…なんだろ。こういう話はさ。俺と貴女だけでするべきだと思うんだよね。少なくとも、言うこと間違えたら殺されそうな場所で答えたくないんよ」

 

「そうか。すまない、屠自古、布都。青蛾も席を外してくれるかな」

 

「わかりました」

 

「あ、じゃあお茶もう少し持って来ます」

 

「さよなら〜」




巫女「…茶葉、もう少し高いのにしようかしら?」
輝夜「彼は!?」
巫女「一週間くらい前からいないわよ」
輝夜「はぁ!?」
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