巫女「話は聞こう。赦しはない」
「…それで、どうだろうか」
「しないよー」
「そうか…なら仕方あるまい」
神子が席を立つ。俺も席を立ちようやく帰れるんだと安堵する。はぁー、安心安心。さて。個室の扉をさっさと開けて欲しい。なんだろうか。トイレが開くのを待っている感覚だ。と、神子が振り返ってきた。なんだ?と思っていたら衝撃的な一言が放たれた。
「…開かない」
「は?」
開かない。ドアノブが回らんのか?俺が握ってグイグイと回す。全力で押してみる。びくともしない。こう言う時は大体、扉の前に何かある筈だ。押してもびくともしないのは、外側から抑えられているか扉が重いかの二つくらい…のはずだ。
「…燃やしても?」
「構わないが…」
魔法で炎を出して焼いてみる。するとどうしたものか、燃えるよりも前に焦げない。どんな素材で作られてるんだこの扉?まあそれはそれとして、だ。全力でやるわけだ。どうしてこんなクソみたいなことになってんだおかしいだろう!と言うかどうして俺はこいつに引っ越せ引っ越せ言われてるんだよ!!
「なあ」
「何!?」
「その魔法の炎…出し過ぎたら私はともかく君は酸欠で死ぬのでは?」
「それ早く言えや」
「まあ、な。」
倒れる。普通に疲れた…なんてやったら扉が開いた。内開きだった、なんてつまらない終わり方はせずに済んだ。あーよかったー。神子に引き摺られながら出て来た部屋を見る。扉の後ろに物部さんと屠自古さん。なるほどつまり俺たちはあの2人に閉じ込められたと言うわけか。ほほーん?
「で、あの、俺いつ帰れるの?」
「…青蛾」
「はーい。それじゃこの穴の中に」
嫌な感じの穴を抜け、大地にこんにちはをすると。博麗神社に着いた。キョロキョロと周りを見ていると、頭に向かって何かが飛んできた。かなりの速度で。勢いよくぶつかる。この速度…くっ、まさか永遠亭の輝夜か…!?と思い、飛んできたであろう方向を見る。巫女さんと輝夜がいた。
「もう!どうして私が来たのにいないのよ!!」
「仕方ないでしょ拉致られてたんだから」
「ちょっと、その足どうしたのよ?」
「キョンシーに食われた」
「はぁ!?」
「永琳に頼んでそいつの首取って来てもらおうかな」
輝夜は飯を作りに来たらしく、魚を食わされた。やっぱ永琳さんって原始的な料理上手いんたな。実感したのでさっさと食う。美味い。素材は知らない。うーん、うまうま。でもなぁ。安全を保証された肉が食いたかった。まあ霊廟だとようわからん野菜出されたから魚でも肉でも嬉しいんだけどね。嬉しいんだよ!!
「それじゃあね!」
「ういよ〜」
「…輝夜がアンタのことを好きだと思う?」
「ありゃ気の良い友人くらいにしか思ってないと思うが」
「そうよねぇ」
「だから俺は八雲藍さんに出会い恋しているんだな」
「隙をみつけたら意気揚々と好みをぶちまけないで。」
「すんません」
あんな辛い思いをして帰って来たんだから合わせてくださいませんか八雲藍さんに。いや、腹と足が死人になってんだから少しはよくない?ねえ、良くない!?…願っても願っても八雲藍さんは出てこなかった。八雲紫は出て来た。今神社の中で煎餅食べてるよ。
「藍、会わせてあげた方が良いかしら?」
「良いんじゃない?」
「…でもそしたら私がここにいられないのよねぇ」
「本当?じゃあ早く藍を呼んで。今すぐ」
「…紫ちゃん泣いちゃう…」
「八雲藍呼んでくれるって〜」
「マジ!?」
ワクワクしながらその場に走り込む。転がりながらも畳で肌を擦りながらもその場に着く。八雲紫が何やら複雑そうな顔をして空間を裂き、その中へ。そしたら出て来たのはなんと八雲紫。…巫女さんと口を揃えて、はあ?と言ってしまった。それくらいに残念っつーかハズレ。どうして?どうしてそういうことするの??意味わかんない!
「…藍にね。『くだらないこと言わないでください。家事の邪魔です』って…」
「家を追い出されたお父さんか?」
「何をどうしたらそんなこと言われるのよ」
「しばらくこっちで暮らします…」
「え、迷惑なんだけど」
「俺は別に…」
「こいつ、前泊めた時に自分ルール出しまくったからね。風呂上がりは下着一枚よ」
「迷惑です」
八雲藍さん以外の下着姿なんて、下衆の死に様よりも醜い。あー嫌だ嫌だ。けっ、ぺっぺっ。さっきまで座ってた場所に戻り、縁側で茶を飲む。飲み干し、ため息と共に茶飲みを置く。鬼に肩を叩かれながら慰められるくらいには落ち込んでいる。八雲藍さんが来てくれると思ったのに…出て来たのは、八雲紫…もう嫌だぁ…
「ちなみに私は人外鬼お姉さん(大きい)にもなれるけど、どうする?」
「八雲藍さんに代替品はないので…」
「まあそれもそうか」
「萃香さぁん」
「なんだ」
「俺は八雲紫に失望したので一発殴って来てください」
「やだよ」
「何故」
「お前性癖イカれてるし。私を乗せた状態で…その、な。その時のお詫びもまだだろ」
「ぁ…そうっすね」
であれば、膝枕をしてもらっているこの状況もなかなかに不味いか。起き上がって姿勢を整える。うーむ、今思ってもかなり悪いことをした。大変申し訳ない。この亜黄金の右腕でもあげようかと言ってみると、使えない腕はいらないと言われた。まあ、うん。そこは俺もそう思う。
「…まあ良いけどさ」
「あ、そうなんですか?」
「お前性癖が尖り過ぎててもうないだろ。あんな狐で興奮することなんて」
「多分」
げせんなきつね「何か悪寒が…」
げせんなきつねの持ち主「…日頃の行いでは??」