当たるな!!
霊廟から帰って来て少し。御守りを売り払い帰って縁側で茶を飲んでいた時。空間が裂かれ、その中から変な子供が出て来た。出て来たついでに俺の顔面にぶつかり、子供とは思えぬ推進力で俺は地面に頭を強く打った。流石に気絶はしなかったが、子供はそうといかなかったらしく。気絶してしまった。そしてこの空間の裂け目。八雲紫と同じ裂け目…よってこの子供も八雲藍さんの知り合い…!
「とりあえず寝かせはしたが…」
「橙がなんで寝てるのよ」
「…なんでか知らんが俺の頭にぶつかって来た。裂け目から出て来たから多分八雲藍さんの知り合いかなと」
「起きたら教えて。後で紫に回収させるから」
「はーい」
空間の裂け目を使い、巫女さんが八雲紫の名を出すと言うことは。それこそやはり俺の考え通りの人外…つまりはこいつは八雲藍さんを知っている…または、八雲藍さんに物理的にに近い人外!!くっ、俺がこうも恋焦がれ顔合わせをしたいと願う相手の身近な人だけが俺と会うなんて…何故!
「にゃ…わっ人間!?」
「あ、起きた」
「あ、あれ!?確か、藍様と喧嘩して、それで…」
「藍様…?」
「…あれ?」
「と言うことは君は八雲藍さんの…」
「ぁ、はい!式神です」
式神…だと…!?式神の式神…!?だと…!?!?う、羨ましいと思った俺は、どうすれば…いや、その身分ですら俺の身の丈には長すぎる…ステイ、ステイだ俺…そう、顔を合わせ会話をすることで俺は身の丈に合うのだ。その先?望むものか。誰がどうやって望んでも、叶えようとは思うまい。
「巫女様〜」
「はいはい…あら、起きたのね。じゃあ紫呼んでくる」
「…何故ここに紫様が…?」
なんだか知らんが、八雲藍さんに邪魔だからと言われてここにいるぞ。そう説明して、俺の部屋を使っているから少し大変なんだと付け加える。どうかこの人外に唆されて自分の家に戻ってはくれないか。そう願うばかりである。恩を売って八雲藍さんと?そんなこと、考えた時点で下衆も高貴な位置に見えると思え。たまにいるんだ、そう言う不粋な奴。
「ちぇ〜ん…早く帰りましょ〜」
「はい!」
「帰ってくれたのか…?」
「まあね。三日もいなかったら、流石にあの狐でも寂しくは思うでしょうし」
「あのね…その、申し訳ないんだけどね?」
「まじか」
「紫だけ追い返されて来たのか」
「なんだか生意気だわぁ」
「何が原因なんでしょーかね」
「…さあ?」
さて。そろそろこちらでの永住権を獲得して来た頃合いだと思っているので。縁側で寝転がる。あー。日光が暖かい。日光によるエネルギー補給が、素晴らしい。というのも、俺はそもそもとしてお日様は好きなんだ。暑いのは嫌いだけど。その上で俺の近くには立たない方が良いんだよ幻想少女達。今は八雲紫さん。
「…何がいけないのかしら?」
「わかってるくせにぃ」
「貴方そもそも私で興奮しないでしょ?」
「それはそう。だが、だからと言って絶対領域を覗く訳には行かんだろう。」
「あら、紳士なのね」
「アンタに藍以上の魅力はないって言われてるだけよ」
そう言われて露骨に元気を無くす八雲紫。俺としてもそこには同意なので、特には何も言わない。すると八雲紫は不機嫌になり、寝ている俺の腹を枕にし始めた。身長180くらいはある癖に。ちなみにやはり人外であるからか、俺の腹を掴んでずらして心地のいい場所を探す程度の腕力はあるらしい。俺が動けないのでやめて欲しいのだが。
「藍とくっつけたらこのお腹枕は私のものか…」
「八雲藍さんと俺がって言うのはないですね。200%ない。証明しましょうか?」
「いいわよ。証明されたらそのまま舌切って死にそうだもの。」
「そう?」
「少なくとも私と霊夢にはそう見えるわ」
まあ、それは、そうとしてだ。事実であろうが事実でなかろうが、まあ置いておこう。腹を枕にされている俺は起き上がることが出来ないのだ。服の上から感じる八雲紫の頭の感触に悩まされながら、眠ることを心がける。ん、なんか胸あたりに感触増えたな。目を開けてみれば巫女さん。俺は目を閉じて眠ることにした。
「…いや眠れないよこれ」
「私はもうそろそろ眠れそう…」
「私も」
「…三人で布団の上行きましょ。雑魚寝」
「賛成しかねる」
「まじか」
「私は別に構わないわぁ」
「…はぁ。ほら、これでどう?」
指を鳴らされた後、目を離す間もなく布団の上にいた。つーかこの匂い、八雲紫の部屋か。うっわ香水の匂いする。いやこれアロマか?線香ですらないのにこんなに匂うなんて…巫女さんはどうなんだ。いやでもこの人図太いからなぁ。匂いくらいなら別に無視して眠るとかあり得そうで怖いよ。まあでもうん。匂うな。
「うっ」
「あら、興奮した?」
「この匂いでやられたんでしょ。なんの匂いなのよこれ」
「ん〜…安眠」
「安眠!?アンタが!?」
「藍に拒絶され続ける夢を見てて…そしたら若干不眠症になって…」
「何やってんのよアンタは…」
「腹の上で騒がないで…」
「あ、ごめん」
このままでは、腹の上で永住権取られそうだな。しかし。布団の上で雑魚寝をするのは良いが、これは足が寒い。しかも俺以外のやつは布団に足突っ込んでるし。俺、俺にも布団を!あの、片足冷たくてもね、感覚はあるんですよ。謎に。だからね、ちょーっと、布団をかけてくれると助かるなぁって。思うんだがどうですか。
「んー…はい」
「あざす」
「そういえば貴方のお腹、一部分だけ冷たいんだけど?」
「そりゃ、死人の肉ですから」
「…良く霊夢が退治しないわね」
「被害者が良いって言ってるんだから良いのよ」
神子「つまり言質を取れば何をしても良い…!?」
輝夜「マジ!?」
永琳「黙ろうか?」