人外狐お姉さん(身長が大きい)大好きな男   作:覚め

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本作では、尻尾をとって再生するので力に変動はないものとしています。
しかし取れた尻尾にはその生き物の強さがそのまま宿るものとしています。


ぬいくるみ、だーいすき

「…アンタ、何してるの?」

 

「ぬいぐるみ、だーいすき」

 

あの美しいという存在を生かして伝える為だけに生まれ、その他を貶めることができる美貌を持った八雲藍さんの尻尾が、贅沢にも一本分使われているらしかった。そんなぬいぐるみを粗末に扱うなんて、あってはならないことだ。あってはならないというより、そんな扱いしたら自害するくらいには大切なものだ。

 

「尻尾が丸々一本かぁ…だからアンタも分かったのね。藍の尻尾の毛って」

 

「あー…八雲藍さんを感じる」

 

「もはや病気ね…」

 

「でもさぁ、一本丸々だろ?霊夢が気づかないくらいの力しかないのは不思議だよなぁ」

 

「ぁー…それなんだけど。藍は隠れることも上手だから、あんまり指標にならないのよ。見える見えないって」

 

さて、それはそれとして。これを持ってからというもの、何やら変な感覚がまとわりついている。何かあったのかな。このぬいぐるみが八雲藍さんの尻尾丸々一本使われているのだから…うむ、このぬいぐるみに違いない。この感覚はこのぬいぐるみの近くにいるという事実!あー美しい狐のぬいぐるみ。

 

「そういえば、最近霧雨魔理沙を見ないが」

 

「あー、あいつね。多分だけど長い間姿を見せなくなるって言ってたわよ。魔法ってのはよくわからないけど、多分実験じゃない?」

 

「ま、実験か」

 

「ほっと」

 

酒呑童子の見た目が大きくなる。大人になったなぁ。八雲紫みたいな身長の行き来をする。八雲紫はたまに俺より小さい時がある。普通は俺より高いのに。八雲藍さんよりも少し高いくらいにはあるのだがなぁ…小さくなった方が良いことなんてあるのか?俺は知らないぞ?

 

「えっへへ。どう?ぼりゅーみーでしょ」

 

「この牛が」

 

「嫉妬の声が聞こえるなぁ〜」

 

「ちょっと、一応男がそこにいるんだから…」

 

「八雲藍以外だとこいつ狐にしか興奮しないしな」

 

「…それもそうね」

 

何がそれもそうなのかは知らないが。八雲藍さんからは『出来るだけ常に持ち歩くように』と言われている。が、どうやって持ち歩けば良いんだ?一応掌サイズくらいなんだから、仕舞う場所だって…頭に乗せる…!?外に出歩く時はどうやって持ち歩けば良いんだ…魔法で持ち上げれば良いのか!?

 

「この巾着袋なら入るか…」

 

「…アレ、誰のだと思う?」

 

「誰の?」

 

「輝夜、永遠亭のお姫様よ」

 

「たまに料理作ってくる奴か?うへぇ…流石にさ、無いでしょ、それは」

 

何やら俺に対する非難が飛んできている気がするが…知らん。無視だ、無視。巾着袋に狐のぬいぐるみを詰め込み、締める。正直に言おう。俺は、少し直視出来なくなっていた。何度見ても慣れることのない、八雲藍さんの姿が、このぬいぐるみを見たその時から頭に流れてくるのだ。うぁ、俺の脳内に断片的な八雲藍さんの姿が…!

 

「あ、いた」

 

「巫女さんのお客さんですよ」

 

「どう見てもアンタよ」

 

「まあ酷い…」

 

「十六夜、なんでここに来てんだ。メイド服はどうした?」

 

「本日はお休みです」

 

「はぁ?あの館、休暇なんかあるの?」

 

「ええ。だから今日はこっちで過ごすつもり」

 

そう言って、普段着らしい格好で俺の近くを陣取る。どんな服装か。うーん…シャツズボン以上、で済ましても問題ないくらいの簡素な格好だ。寝転がっている俺の腹に頭を乗せて来たことには目を瞑ろう。そんなに俺の腹は心地が良いのかね。巫女さんは何もせず、今回は胸の辺りが無事そうだ。

 

「どうした」

 

「人喰いからすればあなたは美味しそうなんでしょ?」

 

「らしいねぇ」

 

「えっ」

 

「…いや私を見られても…まあでも、美味そうではあるよ?」

 

「だって言うのに、どうして貴方は八雲紫から食べられずにいるのか。不思議よねぇ」

 

まあ、確かにと言えば確かに。あーでもやっぱ八雲藍さんに喰われるならやっぱ俺は文句ないわ。こう、腹から直接バクバクと食ってほしい。美味いとこから喰われて、最後に不味いとこしかないから捨てるくらいの扱いだと、俺はとても嬉しく思う。不味いとこから草木生やして見せるから、どうだろうか。俺が植物になれば多分、三年燃やされても大丈夫なくらいの森になって見せる。

 

「美味そうってのはなぁ…こう、ガツガツと食べたいって感じじゃないんだよ。」

 

「どんな感じなの?」

 

「落ち着いた雰囲気の店内で、騒いだり音を立てて食べるような客いないだろ?そういう雰囲気」

 

「あー…アンタ、上等な肉だって」

 

「八雲藍さんがガツガツと音を立てて食べるわけないだろう。よってその例えは出す必要のない無駄な例である」

 

「うっわこいつめんどくさ」

 

「…でも、紫が食べないのは不思議よね。初対面の時とか。外来人は別に食べても良いのに」

 

「何それ知らない」

 

要するに、だ。幻想郷の中にいる人間(巫女を除く)は、手を出さない限り食べられない。しかし外来人は普通に食べても良い。ということらしい。えぇ…じゃあなんで俺は紅魔館とか命蓮寺とか…あ、待てよ。紅魔館は妹君に喰われかけたか。命蓮寺はなんだ?今度行ったら喰われるのか?なんか怖いな。やめとくか…?

 

「まぁ、萃香が食べない理由も気になるけど」

 

「だってこいつ面白いじゃん。狐関係で」

 

「同感です」

 

「十六夜…まあ良いけど」

 

「あ、どーせなら狐持ってこようか?あの小さい狐」

 

「かかってこいや」

 

そうして、俺が八雲藍さんガチラブ勢であることを証明する為、さっさと構えることにした。待つこと5分程度。十六夜咲夜は巫女さんと話をしている。俺を誑かした狐が来た。なんだか死にかけのような雰囲気で。

 

「…」

 

「どうだ?感想は」

 

「何故俺はこんな奴に…」

 

「は?」

 

「な、面白いだろ?」




ちなみに金田君は輝夜姫が作った巾着袋について大事に扱っています。
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