八つ当たり
「うーむ…術は良いのだがなぁ」
「あの後、右腕の賢者の石も壊れてること分かったしなぁ」
「もうあの芸は見られんのか。悲しいなぁ」
「物部さんが酒飲めば見れるんじゃない?幻覚で」
「お主、たまに変なこと言うな」
右腕の賢者の石が壊れてるのになぜ右腕が使えるのか。それは…知らん。俺も俺単独で魔力を生成出来るようになったのか、この死体のおかげなのか。わからないが、右腕は普通に使える。多分魔法は無理。だから俺は今度かの緑髪の人外に会ったら確実に死ぬ。神子を呼ぼうが死ぬと思う。まじで。
「…それで、お主はこれからどうするのじゃ」
「どうするって言ってもなぁ…このお札が取れない限りはここに居るよ。身体の使い方も学ばなきゃいかん」
「そうか。太子様も喜ばれる」
「そのために俺の体もう一回削ろうとか考えるなよ。意外と気に入り始めてんだからなこれ」
「…そんな青蛾殿のようなことはせん。儂をなんだとおもっとる」
物部さんこそ青蛾さんをどう思っているのか。俺からすれば…命を一度取られかけた奴を使役してる奴で、俺の命を二度救ったお方だぞ。プラマイで言えばプラス一択。八雲藍さんの次に位置する巫女さんの次である神子の次くらいには感謝を感じている。要は四番目くらいには俺の幻想郷ライフに関わった人物だ。五番目はパチュリーさん。
「見るからに動きづらそうだな」
「屠自古さんから見てもそう思います?」
「まあな。でも、芳香のやつよりはマシだな。あいつは膝も腕も曲がらん」
「ほぇー」
「青蛾の奴からお前が食えるもののリストは貰ってる。お前も持っとけ」
「あ、あざす」
「お前を助け出すのもかなり疲れたんだよ」
聞けば。俺を殺した人外はなんと風見幽香と言うらしく、その場に神子と屠自古さんと物部さんが乱入。土を足で流し込んでいる風見幽香を神子が吹き飛ばし、穴の中で死にかけている俺を物部さんが運び、屠自古さんが電気ショックやらなんやらで延命。青蛾さんを呼んでそこから脱出、身体接着とのことらしい。んー、巫女さんになんて言えば。
「ここなら八雲紫だって来ない。どうだろう?やはりここに引っ越すつもりは…」
「すまんがない。博麗神社でタダ飯食った期間が少なくともあったんだから、そこらへんの恩返しはしたいしな。」
「ふむ…そうか」
「しっかし、この身体のことをどうやって巫女さんに伝えれば良いのやら…」
「その心配をするのは君らしいが、別に心配しなくても良い」
「なんで?」
「博麗の巫女は昨日見舞いに来てたからね」
言葉を失う。お、おお、おま、お前なぁ!?起こせよ!一緒に八雲紫殴ろうぜしたかったんだけど!?いやでも、うーん。弾幕ごっことかになったら俺はてんでわからんから、味方を引きつれるくらいしか出来ないけど。八雲紫に言われた才能云々も嘘だったし。はー許せねえよ俺。十六夜咲夜が酒入りの肉を食わせて来たときくらい許せねえ。
「その身体は腐ったりしないから安心して良いよ」
「まじか。死体にしては珍しい」
「よほど激しい使い方をしなければ修理もいらないと青蛾からは言われているからね。」
「安心して動けると。…でさ、心残りっつーか、気になってることがあるんだけど」
「何かな」
「俺が死にかけてる辺りに、こう、巾着袋なかった?妖気が漂ってるやつ」
「妖気が…?うーん。なかったと思うよ。屠自古達にも聞いてみようか?」
「いやそれはいい。あー…八雲藍さんになんて言って謝るべきか…」
「その前に。君は紅魔館だろう。その右腕は見てもらわなければならないはずだ」
「それもそうなんだけどさぁ…」
「そんなに博麗の巫女が大切なのかい?」
大切っつーかな、住処の管理人なんだな。まあ大元の管理人は八雲紫だが。俺あいつ嫌い。いや、俺を殺そうとして来た風見幽香はね、そう言う生態だって話で納得はできるけどさ。八雲紫はお前なんだよあいつ。何をどーしたら危険生物の生息地に俺を連れて行こうとするんだ。実験か?理解はできるが納得はしないぞ。くたばれ。
「まあ、我々としてはいつでも迎え入れる準備はできている。前向きに考えてほしい」
「んー…八雲藍さんに会いたいけど、八雲紫からは遠ざかりたい…」
「自由に考えてもらって構わないよ。どうする?そろそろ帰る?」
「…その前にこの服どうにかならない?」
「ならない。私の好みだから」
「くっそ」
今の俺は、なんだろう。芳香というキョンシーが来ている服の、スカートが中国風のズボンになった感じと言えば良いだろうか。なんだろ、全身チャイナ風なので。この神子はこう言うのが好みなのか?美鈴さんが男になれば俺の身代わりにできるな…魔法でそう言うのができるかどうかは知らないが、そもそも紅魔館側から許可が出るのか。出ないな。
「じゃあな神子。世話になったし助けてもらった。この恩は死ぬまで忘れん」
「死んだら甦らせるが?」
「怖えよ…」
霊廟を出て、そのまま博麗神社へ。神子がワープゾーンみたいなのを作ってくれたから一足で行けた。ちなみにお土産として変なものを身体のどこかに埋め込まれたらしく、念じれば神子のいる霊廟まで行けるワープゾーンが出るらしい。死にそうになったら死ぬ気で逃げ込む道があるのは良いことだ。もっと良いのは使うことがないことだが。
「…やっほ」
「紫はとりあえずシバいたから。」
「ごめんなさぁいね」
「こいつのせいで右腕の賢者の石壊されたんだが」
「それは風見幽香に言ってくださる?」
「アンタが連れて行かなかったらそこで終わりだっての」
「きゃっ、ちょっと、お祓い棒はやめて!」
金田「俺12%」
菫子「味の薄いカルピスみたいな濃度してますね」