「えっほ、えっほ」
「私より少し早いくらいで調子に乗らないで」
背後からちょくちょくビームが飛んでくる。天気は晴れ時々曇り也。飛びながらも冷静な分析をしたいから飛び回ってはいるのだが、うん無理。一撃でも喰らえば死ぬので。しかもビームにいちいち反応してたら追いつかれて死にそうだ。霊廟に逃げ込みたいが、近すぎる場所で逃げ込もうとして風見幽香までついて来たらもうおしまいだ。仕方ない魔法の森に逃げるか。
「っか、やばっ」
「私の力、知らないみたいね…っ!?」
草木を操ろうが無駄だ。炎魔法で蜃気楼を発生させ、少し見えるところをズラしている。俺を捕まえろ的な操り方だと俺は捕まるが、風見幽香から見た俺の足元を締め上げるような操り方なら効果は抜群。つーかそもそもこいつは走る方が速いのか?俺が低空飛行やりながら並走されかけてるんだが。さっきより離されてない。
「森は厳しかったかな…」
「捕まえたっ!?」
「今だ!」
風見幽香が空振ったので、魔法の森上空に出て博麗神社に死ぬ気で加速。なんとかいけるか?あ、今頭の上ビーム通った。多分無理だったっぽい。動きを止めてワープゾーンを作ったところでビームが背後に。今度は生きて残れるかもわからない…神子を呼ぶわけにもいかない。どうしたものかな。どうしようもない?それは置いといて、だな。
「炎念『ファイヤースパーク』」
一ヶ所に集めて押し出す。こうすれば多少は時間稼ぎができるはず。どうにかして次の手を…妖怪に恥じらいがあるのなら服を燃やし尽くしてみたいが…神眼を使ってみるか。いまなら
「ちょっと、服が燃えるからやめてくれる?」
「っ」
効き目ゼロ。なんなら距離を詰められたので、もう一度逃げ出す。逃げるしかない。捕まったらアレだろ。首から下もう一回取り替えなきゃならんだろ。流石に青蛾さんの負担が大きいから無理だよ。こういう時、頼れる存在…八雲紫は論外、聖白蓮は布教に行ってるなら頼れないか。やっべ巫女さんはどこにいるのさ。
「どうにかしてどっか行ってもらえませんか!」
「無理」
「あー泣きそう!!」
霧雨魔理沙は…無理だ、死にそうな奴は基本除外する。となれば…神子…は駄目だ。前頼んだばっかりだし。逃げる時間を稼いで、霊廟に逃げ込む…そんな技は何もない!十六夜咲夜から炎狐はあいつに気がなさそうだし!
「あやや、何をしているんですか?」
「飛び込み逃げ台車」
「はぁ?…はぁ!?なんで風見幽香が追ってきてるんですか!?」
「博麗神社にいたの。逃げてきたの」
「そんな蜂を刺激するようなことしないでくださいよ!」
俺の横には天狗。確か…射命丸とか言ってたかな。あれ思い出せない。いまそれどころじゃないからか。誰か助けて!巫女さん!俺もう勝手に泊まりに行ったりしません!八雲藍さん以外からの泊まりは絶対報告します!助けてくださーい!
「はぁ…はぁっ…」
「良い記事が書けそうです」
「ねえ横でやるのやめてくんない?必死なんだけど」
「失礼ですね!私も仕事なので一生懸命ですよ!」
「そこの鴉、邪魔」
「ぎゃっ!?」
天狗が堕ちた。今度は俺!?ええい、もう恥じらいがあることに賭けるしかない!神眼『爆☆殺』でどうにかできないものか!あーでも怖い!弾幕ごっこくらいの距離じゃないと発動しないんだよ神眼!スペルカードって不便、不便なのね!!やばっそんなこと考えてる暇ねえわ。どうにかして時間を稼がんといかんのよ。やってみるだけやるか!
「神眼『爆☆殺』」
「あら?」
着火を確認!すぐに逃げ出す!恥じらえよ…恥を知っててくれよ…そうじゃなかったらただ逆鱗に触れただけの馬鹿になるからな…頼むぞ。神眼でまず服を燃やせ!…そもそも燃える生地なのかな、あの服って。耐火の服だったら逆鱗にすら触れられないぞ。
「やっ、ちょ」
「今のうちに!霊廟への扉開けゴマ!」
「あっ待ちなさい!」
掛け声は適当に。これでどうにかなったのだろうか。なってて欲しいな。飛びながら入って、ワープゾーンを振り返る。なんもない。つまりは、俺が心配したようなことにはならなかった…のか?風見幽香は入って来ずに、俺は霊廟に逃げ込めた、ということだ。ラッキー!と思えたのでさっさと帰りたいのだが、どうすれば良いんだ。というかここは霊廟のどこだ。
「…お主、どこにいるのかわかっているのか?」
「うお、物部さん。ここどこですか?」
「厠だ」
「…?」
「トイレだ」
「…男女兼用だったり…?」
「しない」
「あー…で、出ますね!出ますから!」
「そこまで謝らなくても良い。別に見られたわけではないのだからな。それに、お主の体に埋め込まれたモノの仕業だろう」
「仕組み知ってるのか」
仕組みを聞けば。まず霊廟にいる誰かがランダムで選ばれ、その近くに俺が移動できるようにするらしい。俺空飛びながら入ってたから、下手したら俺トイレの上の隙間に…やめよう、考えないようにしよう。物部さんと共に出る。そもそも今は霊廟に物部さんしかいないのだとか。布教活動中なのかな?
「そういえばお主目が良いと言っていたな」
「自慢じゃないですけどね」
「…厠の扉を透視したりできたりしないだろうな?」
「出来ないよ。そしたら俺は常に物部さんの裸見てることになるじゃん」
「なら良い。そろそろ太子様が帰って来られるが…」
「なんかあんの?」
「うむ…かの宿敵、聖白蓮を連れて帰ってくるらしい」
「まじか」
巫女がいないのは、神子が聖白蓮を連れてくる時に一悶着あったため。