「え、何?なんで神子がここにいるのさ?」
「武芸とか言ってたわよ」
「我が霊廟では武術も学べるんだ。君にもその一端を見せようと思っていてね」
「武芸ねぇ…」
昔、外の世界で見たことがある三日月蹴りをやってみせる。そのまま宙返りをしようとして地面にぶつかる。束の間の静寂を感じて恥ずかしくもなるが、まああれだ。見た目はどうかは知らんが、真似は出来る。目が良いしな。今のは、その、見た奴と今の俺の体が違いすぎたってことで、どうか。
「可愛らしいな君は」
「うっせ!」
「…木相手にするものじゃないでしょ」
「うーん…そうだな、私とやってみようか。手加減はもちろんするさ」
「俺は全力だぞ」
「勿論。魔法でもなんでもどうぞ」
と言われたので。動きやすそうな服を適当に見つけて着たいが…外の世界の服でさえもう着る気にはならない。のでさっさとそのままの服で土俵に立つ。どうにかして一撃入れてみたいもんだなぁ。
「さて…どこからでもどうぞ」
「言うて俺も魔法は炎しか出せないしなぁ…」
勝つためにはなんでもやる。そう言う言葉は好きだし、炎でやれることをやるか。武術なら見たことが多少はある。それくらいなら多分出来るだろ。付け焼き刃だけどな。いやでも見ただけで真似できるくらい目が良いからもう目が武器なのでは…?
「神眼『爆☆殺』」
「ぇあっ」
「からの掌底!!」
「おっと」
神眼は届いたが、拳は届かない。うーんこれは厳しい。さっさと引く。神眼の反応はまずまず。恥じらいがあって助かった。乙女ですねぇ聖徳太子は。
「回し蹴り」
「こちとら服ひん剥いてる最中だぞ回し蹴りとか」
「このスカートの丈で蹴り技はない、と思ったのかい。驕りだ」
「神眼『爆☆殺』」
「読めてるよ」
俺の脇腹に掌底。神子のやつは手加減してるのかよほんとに。意味わからん。そんな衝撃で俺はとっとと吹っ飛ぶ。炎でなんとか威力の減衰を狙い、そのまま踏み止まるも…この関節の可動域が小さい死体ではバランスを取るのも一苦労か。ならば一か八か以下のアレコレを試すしかない。常に手を燃やし続けることで神子の服を完全に剥ぐ。
「辱めか…相手が君であれば嫌いではないよ」
「左フック!」
「と見せかけての蹴り、だろ?」
その足に対するカウンター。それ以上曲がらない足が、もっと曲がるところだった。そういやこいつ、心の声が疑似的に聞こえるとか言うチートだったな。とか思ってた時に腰の入ったパンチを喰らう。地面に沈みながら思ったのだが、こう、八雲藍さんに殴られてみたいものだ。対話をすると言うことは、すなわち喧嘩に発展する可能性もあると言うこと。八雲藍さんがどんな人であれ、受け入れるためには数発は耐えれるような体にせねば…
「さて、私の武芸を見せようか」
「…どうでも良いがな、神子。服着ろ」
「あ、身体に目が行ってしまうかな?」
「巫女さんあいつぶち殺しましょうや」
「いやよめんどくさい」
服を着てもらい、技を見せてもらう。うん、意味なさそうな技の数々だ。俺にとって、攻撃手段は今ので足りている。八雲藍さんから殴られた時用に受け身などを取れるようにするだけで良い。八雲藍さんが殺しに来るならとても喜んで受け入れてそのまま殴打による死を求めるが。神子に力のいなし方を知りたい気はあるが…知らん。
「力の?んー…例えばだな。試しに殴ってみたまえ」
「うらぁ」
「よっほっと」
腹をとらえたはずが、そのまま滑るように神子の脇、腕を通り手へ。そのまま俺の拳を握られ、勢いを利用してくるりと一回転。あぶねー。死にそうだったわこっわ。いやね、普通に死体の身体でも痛いものは痛いからね。たまに勘違いした奴がいるんだ。よくわからん奴どものせいで俺の痛覚がないとか思ってる奴がいるんだよまじで。
「こんな感じだ。最低条件に目で見えると言うものはあるが、君はクリアしているだろう」
「いやでも関節だよな…」
「え、もうこれ以上曲がらないわけ?紫でももう少し曲がるのに…」
「流石に曲がるだろ」
説明を聞き、ほんほんつまりこう言うことだな?と解釈。八雲藍さんと喧嘩したとしても俺は生き残れる。よしそうと分かったら八雲藍さんと会話をする準備だ。今までに見た時はすべて一方的に喋られるか気を失うか意識を保つだけで精一杯だったり。精神統一の手段は誰が…神子は…そうだ寺!前思いついたけど全然行く気にならんかったわ!…今は気まずいか。
「私の知り合いにちょうど良い奴いるわよ」
「え、誰?」
「華扇」
「そいつに連れられた帰りにゾンビ化手術(準)されたから嫌」
「それについては私たちの非なんだけども」
「けっ」
「…それ以外は知らないわね。あーでも、体を強靭にする桃なら知ってるわよ。前来てた天子とか言う奴なんだけど」
成程、身体を強靭にしてしまえばなんとかなる、ということか!よっしゃその天子とか言う奴探し出して桃食うか!そうすれば八雲藍さんが俺を殺しに来た時に時間をかけれるし、もし喧嘩になってもなんとか生きて対話に戻せるかもしれない…!
「ん、なんだ萃香」
「…お前、こんなストレートに好意伝えてくる奴がいるのに、なんで八雲藍一筋なんだ?」
「俺の好みどストレートだからって言っただろ。人外狐お姉さん(大きい)が大好きなんだよ」
「青蛾に狐になる方法を聞かなければ」
「なーにやってんだこの変態神子は」
「神子って呼ばないでくれる?なんか私が呼ばれてる気がするのよ」
「巫女さんはかなり純粋だよ」
八雲藍「…とか言われてますけど」
八雲紫「その前に貴女が彼を殺しに行くことになってそうだけど?」