トムノカチデース
「お、菫子」
「お兄さん見るたびに人外が進むね」
「んー…そうか?」
「そうよねー、私も住まわせてるのが人外になったら退治しなきゃ行けないし、面倒だわ」
身体は人外、でも心は人間。しかし菫子はどうやって寝てる間だけここに来れるんだ。なんで菫子だけだったんだ。俺も生まれた頃からここで過ごし、健やかに育ち八雲藍さんという存在を知りたかった。くっそ、どうしてこうもこの幻想郷は素晴らしいんだ。神様が愛しててももう少しバランスを取るぞ。
「でも私はこっちの世界も好きかな。眠ってる間だけってのが良いよね〜。お兄さんもいるし」
「うっわそれ危ないぞお前」
「え、なんで?レイムッチはわかる?」
「…いや、私に聞かれても…」
「現実で辛いことがあるからって眠りまくって、現実と睡眠の境目がぐっちゃになってしまうやつ。」
「へー…ま、私には関係ないですね」
「けっ」
「あ、そうだそうだ」
菫子が俺に対してとある紙を差し出して来た。真っ赤〜な字で死ねって書いてあるわ。お前これ夢に持って来たの?化け物じゃない?俺に対する宣戦布告?あ、お前への宣戦布告なの?マジ?お前これ、マジ?裏面は白。なんも書いてない。こんなくだらない、いじめ漫画でももう少しまともなやり方あるぞ。
「お前いじめられてるのか」
「これも単に、私が優秀すぎるからか…天才には嫉妬がつきものね」
「あー…んー、まあ、お前がそうならそうで良いんだがなぁ」
「いじめねぇ…そういう重いやつは神社に願っておさらばしましょ。ほら、賽銭箱」
「外の世界のお金しかないけど…」
「紫に換金してもらうわよ」
マジでどうでも良いような態度をしている。神子あたりに頼ってみるか?菫子も過去の偉人に会えて嬉しいだろ多分。恐らく。俺は大学ちょっとしかいなかったからわからんが…底辺高校の推薦で大学行った身だから俺には難しい問題だ。まあ良い、同じ小中(行ってない)の身だ、一回頼んでみても良いか。
「俺の知り合いに相談得意な奴がいるけど、相談するか?」
「何言ってるのお兄さん。私は全然気にしてないよ。その証拠にほら。」
別の紙を貰う。写真だ。しかもプロマイド写真。見てみると菫子と同じような服を着たやつの背中に『お前がな』と真っ赤な字で書かれた紙が貼られている。つまり菫子はやり返したということだ。すげーな菫子、才能じゃなくてそれはもう根性だよ。男は度胸、女は愛嬌って言うだろ。お前度胸があんの?すげーな。
「私に喧嘩売ったから…」
「お前超能力があるんだからそれで嫌がらせしときゃ良いじゃん」
「あっ」
「まあそれでもあんまり調子には乗らないことだ。俺は調子に乗らずしてこうなったからな」
紅魔館もキョンシーも風見幽香も俺は悪いところないし。調子に乗ってたわけでもない。神子とタメ口なのが調子に乗ってる部分にはなるかもだが。まああれだ。神子がタメ口許してんだから良いだろ。俺が敬語使うの無理なのもありそうだけどね。紅魔館を選んだのは俺だけど、あれはお嬢さんが悪い。あと妹君な。あいつが諸悪の根源な。
「…それはお兄さんが弱いからでは?」
「俺の知り合いは強えぞ。ついでにキモい」
「え、誰それ?」
「あー…あいつね。」
「レイムッチ知ってるの!?」
「萃香のことでしょ?」
「神子のことだが」
呟いてみると、ずいっと右目の視界に変な穴が。あ、もしかしてこれ俺の右目に穴空いてる?それとも右目の前に出てるのか?そしたらやばいな。多分この穴から神子出てくるんじゃないか?やべえどう動いても穴が離れねえ。どうなってんだこの穴?つーかこの目自体知らねえぞ!?目は無事だったら!?
「…今日は青蛾に頭から水をかけられてな…すまない、今日は無理だ」
「あ、そう…」
「へ、へぇ…」
「あ、なんかあった!?おい待て、なんて言った!?全然聞こえなかった!…あ、右目戻った」
「今のが?」
「そうよ。命の恩人のはずだけど」
「一応二度救われてはいるはずなんだがな。ちなみに今の挙動は完全に知らない。マジで今の何?」
「うわ、それはキモい」
「こういうの、外の世界ではなんて言うのよ。あるでしょそう言うの」
「…ストーカー?」
どっちかって言うと変態恋情込み込みの…あ、ちげーわこの機能仕込んだの多分青蛾さんだ。ちっくしょーあの人余計なことしやがったな。神子の名前に反応して神子が召喚される…と言うより目の前に出れるようにするって感じか。性能紹介の時には一切触れてこなかったよな。あれか、隠しステータスか。今時流行らんぞ多分。
「マリサッチ!」
「…金田ってもう改造する場所ないよな」
「何?お前も俺の体改造したいの?パチュリーさんと青蛾さんに許可とってこいや」
「あの邪仙をさん付けか…まあ良い。霊夢!今日もまた弾幕ごっこで勝負だ!今日はとんでもないスペルを」
「きょーみなーい」
「…ドライだね、レイムッチ」
「俺もやったけど正直言って終わった後の疲労が嫌い」
「お兄さんも!?」
何驚いてんだお前は。外の世界の頃から結構動いてただろ。あれもあれで、読む本がないし公園しか娯楽がないって理由はあったんだがな。動くしか娯楽がなかった時と八雲藍さんと言う存在を感知する完全健康薬がいる今では違うだけ。…いやでもそうか。そもそも菫子が通りかかる時は全く動いてなかったな。
「しっかし、飽きないよなぁ」
「マリサッチは努力家だからねぇ」
「いや、お前いじめてるやつ。」
「あ、話戻すの?」
「お前、いじめても面白くないだろ?」
「知らないよそんなの」
「…ま、良いけど。俺の携帯やるよ」
「えっ!?古っ!」
「バイト代貯めてようやく買えた中古品だ。現実世界に持っていけたら保管しといてくれ」
「お兄さんの匂いは…しない」
「汚ねえことしてんじゃねえよ」
宇佐見「…近所の憧れのような存在だったお兄さんからもらったこの携帯…どうしよう」
香霖「珍しきもの、発見」