「安楽椅子たのし〜」
「それだけでもう五時間も潰してる…」
ゆらゆら、ゆらゆら。地底世界も何やら地上と変わらないほど暇である。うーん、俺を地上へ持っていく人材が早く来てくれることを願うばかりである。巫女さんが恋しい…いや、恋しくねえな。八雲藍さんが恋しい。一眼見るだけで脳細胞が全てを肯定するのにな。くっそどうなってんだ。
「考えてることもしょうもない…」
「俺も目が良くなりゃあ心が読めんのかな」
「私の能力は文字通り読むだけ。心の中を文字にして、その文字を読み上げるだけの能力。貴方には無理です」
「俺は見るだけで服燃やせるぞ?」
「それは眼力じゃないですよね」
扉が大きな音を立てて開かれる。先日俺をここに連れて来た勇儀さんが来た。ありがたや、ありがたや。さて扉を大きく開けた意味はないらしく、ここの主人であるさとりさんと話し始めた。俺は関係ないから話には入らない。何やら俺が地上に向けて発射されるような話が聞こえてくるが知らない。
「聞こえてるんじゃないですか」
「さとりの前で隠し事は辞めた方がいいぞ」
「…別に辞めなくても、知ってる奴が増えるだけじゃん。なぜ辞めねばならぬのか。」
「屁理屈だな」
屁理屈も理屈、俺は対して間違ったことは言ってないはず。ちなみにいまだに俺は安楽椅子の上である。しかしなんか、猫がずーっと膝の上にいる。なんだろ、俺マタタビの匂いでもするのかな。対猫ドーピング剤的な。まあ良いや。尻尾が二本あるけど知らんぷりだ。あー、八雲藍さんをもう一回で良いから見て〜
「…んぐがっ、いかんまた寝てた」
「後あいつ多分身体脆いからな。そこらへんも考えなきゃいかん」
「お燐、こっち」
「はーいさとり様!」
「猫消えてる」
「どうだった?」
「あれは混ざり物はあるけどほとんど死体だよ!」
「よねぇ」
「そうは言っても、この身体もほとんど他人が寄越してくれた貰い物だからなぁ。壊したくない」
「うわっ!?」
「起きたのか。まあその右腕は多分無事だろうけど、それ以外はなぁ…やっぱり萃香に運び出してもらう方が良いんじゃないか?」
「勇儀さんでも良いでしょうけど、何か抵抗が?」
「前、萃香から話聞いたんだよ。あいつ萃香を乗せながら狐見ただけで盛ったらしくて…」
「あー…」
「お兄さん、それマジ?」
「俺の思い出したくない思い出を掘り返すのはやめようか。悲しくなってくるから。」
「…すまん、近づかないでもらえるか」
過去は消えないし認めるしかないのか。うーん、今の自分からしてみたら、どうしてあの狐で興奮したのかわからない。なんでだろ?人外狐の部分でかなり反応してしまったのか、八雲藍さんという理想を見つけたおかげで、あんな狐では興奮しなくなったのは事実だ。お姉さん属性は必須!
「男の鬼に運ばせるとどうなるかわからないしなぁ」
「途中で食べそうですよね」
「死体を!?」
「頭を」
「あー、脳みそは美味いって聞きますもんね。青蛾さんに頼んでスペアもらわなきゃ」
「脳みそ作る奴が地上にいるのか…そうだお前、空飛べるか?」
「出来ますよ。めっちゃ高くは無理ですけど」
地底もどれだけ飛べば出れるのかわからない以上、下手に飛んで航空限界にぶち当たって何も出来ないわーってなるの怖いし。どーにかならんかな、こういうの。ま、どーにもならんわな。訓練って言ってもする気ないもん。あ、でも八雲藍さんが空高く飛びたいって言ったら…俺も高く飛べるようにするか!
「よし、お前を遙か上空に飛ばすことに決まった。そこから先はお前が飛んで地上に降りるんだぞ」
「待て待て待て待て」
「カタパルト方式で打ち上げますから、結構衝撃強いですよ」
「ねえ首の骨折れるって、待って待てよおいそんな叩いた強さ分パンケーキがもらえる古い洋画見てーなパンチングマシンらしきものでうぢっ」
飛んだ。正々堂々と。てっぺんまで。空なのにてっぺんはおかしい?俺もそう思うね。でも実際、上まで行きすぎてもう妖怪の山越えたんだわ。早いね。もしかして地底っていうほど地底じゃなかったのかな?それとも俺が飛ばされすぎてんのか?少なくとも俺は今幻想郷で一番空高く飛んでいることだけはわかる。たかーい。あ、なんか天空に岩がいっぱいある。
「ぅぁぁぁあああ!!」
落ち始めた!!空飛ぶ!あ、ダメだこの高さはまだ無理だった!いやこれはもう冷静になった方が良い。八雲藍さんに会えない死に様と言うことだけが不満なんだよ。それ以外に不満はない。ないったらない。あ、やべこれそんな余裕持てない奴だ。
「はいっとった!」
「ぬおっ!?」
「アンタ…なんでこんな高いところまで飛んでるのよ?」
「知らん知らん知らん俺が聞きたいもん俺が」
「自分で飛べないところに飛ぶなんて、バカじゃないの?…ま、良いわ。地上に降ろせばいい?」
「…すまん、その前に大地のありがたみを知りたいから、そこの岩で」
「はいはい」
大地に足をつける。あー、安心。巫女さん達はこう言う感覚に慣れてるのか。すげーよなぁ、強いよなぁ。俺は全然無理なんだけど。足ガクガクよ。つーか勇儀さんがおかしい。本気であのパンケーキのやつで打ち上げて来やがった。アレをカタパルト方式とはぜっったいに言わない。それだけはわかる。
「生まれたばっかの子鹿でももう少ししっかり立つわよ」
「死ぬかと思ったんだよ本当に」
「…まあでも、少ししたら降りるから。その足治しときなさい」
勇義さんの力で飛び出た時のG?知らん