人外狐お姉さん(身長が大きい)大好きな男   作:覚め

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黄泉の果て


誘い誘われ

「…」

 

「妖夢だけじゃ飽きちゃうのよ。従者も、料理も」

 

なんだろうか、違和感がある。初めて見る相手なのだがなんだか。俺の目が更に良くなってるならまだしも、違和感を感じるほど俺は人に精通してる覚えはない。そして先ほどから出続けている蝶だが。なんだろうか。すっごく触れてはならない何かを感じる。なんだろう、あれか。ガチの禁足地で見たことのあるような。そんなものが見える。

 

「貴方、避けるわね」

 

「そういう西行寺さんこそ。何やら迷ってるんじゃないですか?相談相手にならなりますよ」

 

「あらあら。死んだ後でよろしくしても?」

 

よろしくないから避けているのだ。つーかこの人、飛ぶの結構速い。幽霊だから森の中行ってもすり抜けてくるだろうし、最悪だな。逃げ出しても追いつかれるのが容易に想像できるし、なんなら蝶があの人より早く動けたりしたら、と思えば逃げるのはやめである。レミリア嬢が言うイベントは…後何個なんだ?

 

「っあ!?」

 

「…あら?」

 

「あれ?」

 

今体に蝶が当たったと思ったのだが。どうやら感触だけで何もない。どうなってんだ、これ。よくわからんが…まあ、生きてる。どうやら恐ろしいのは見た目だけだったようだ。もしくは、俺の体のほとんどが死体なことに起因するのかもしれない。もし当たった場所が死体だから無事なのなら、頭に当たれば何かが起きる可能性もある。

 

「逃げだ逃げ!」

 

「逃さな〜い」

 

「げっ」

 

「とは言っても。私の蝶で捕まえられないなら何もできないのよねぇ…」

 

「お?」

 

「男性に抱きついて捕まえるのもアレだし…妖夢ー!」

 

「はい」

 

いつぞやの辻斬り出現。なのでさっさと神眼『爆☆殺』を発動。そのまま逃げ出す。いやまあ、アレだ。レミリア嬢の話を聞く限りでは今ので死ぬ可能性もあった。弾幕ではなく斬られて死ぬ。あー死にたくねえ。どうせ死ぬから八雲藍さんの目の前で死にてえよ。どーなってんのさマジで。

 

「くっそ。巫女さんのお守り持ってくればよかったな…」

 

「よく逃げ回るのねぇ」

 

「っ…八雲紫」

 

「停戦…いえ、賞金首を取り下げても良いのよ?条件はあるけど」

 

「何?」

 

「一つ。博麗の巫女から離れなさい。理由は貴方には関係のないこと。

一つ。博麗神社から出て行きなさい。こちらの理由も同じ。

一つ。幻想郷において、惨めに寂しく、山の中で死ぬまで何もせず寝転がってなさい」

 

要約。博麗の巫女の預かり知らぬところで死ね。うーんこれは却下。早く逃げ出そうか。しかしまあ、そもそもなぜここに八雲紫が来たのか。どうしてこの選択を押し付けてくるのかを考えてみる。無理、わかんない。つまりは、山で妖怪の糧になって死ねだろ。嫌だよそんなの。大体博麗神社で住むのを許可したのお前だろ何言ってんだばーか。

 

「断るのは私だから?藍なら許可したのかしら」

 

「いーや、断るね」

 

「それはまた、どうして?」

 

「そうしたら八雲藍さんと話せる時間増えるだろ。馬鹿かお前?」

 

貯めた魔力を一気に炎へ。ガチの緊急脱出である。はるか上空に飛び出した後、空を飛んで逃げ出す。どうにかして生き延びれば、この賞金首も形骸化すれば。俺はまた八雲藍さんに会えるかもしれないのだ。おのれ八雲紫。俺が何をしたと言うのか。博麗神社に住んだ?そんなもん今更だろうが。

 

「通行止めよ」

 

「ぉぐっ」

 

横から出てきた八雲紫に叩き落とされてしまった。そういえばあの妖怪、巫女さんの話によればどこからでもどこへでも行ける能力らしいな。まあ、地面で這いつくばってたら関係ないが。

 

「生きてるもんだな」

 

「見つけた」

 

「妹君だ」

 

「苦労させてくれるわね」

 

「風見幽香だ」

 

「緊張感ないわぁ」

 

「神子!」

 

まあ禁じ手を使うしかなくて。神子に背負われガチ逃走。霊廟にはまだレミリア嬢がいるらしく、そこでイベント数を合わせておこうか。開けゴマして霊廟へ入り込む。霊廟に入った途端神子が急ブレーキをかける為に俺はちょっと圧力で死にかけたが、まあ良いか。いやしかしなぁ…賞金首なんだろ、俺。八雲紫がやりやがったんです、俺は知らないんです。

 

「…八雲紫が取引?おかしいわね。そのイベントは少なくとも四回目のはずなんだけど」

 

「運命をねじ曲げちまったか」

 

「妹様に襲われ、その後人里を出てから妹様と風見幽香に襲われ、西行寺幽々子に襲われ、八雲紫に取引を持ちかけられて…そのあとは?」

 

「その後?逃げ出したら八雲紫に叩き落とされて風見幽香と妹君に囲まれたよ」

 

「お嬢様」

 

「…驚きよ。貴方明日死ぬんじゃない?」

 

「えっ」

 

「いや、んー…だって、もう五回しかないのよ?一日で死ぬことが確定するイベントが五回も来るなんてあり得ないわよ。咲夜より面白い運命してるのね」

 

「…永琳さんって確かクソ強かったよね?」

 

「強いけど、彼女はそこまで事を荒立てたい人間ではないだろう?」

 

「…そうね。少なくともあそこの住人が関わることはないと思うわ」

 

「まじか」

 

「…え、どうすれば彼助かるの?」

 

「え?助からないけど」

 

「…え、ええ!?」

 

「知らなかった?」

 

「私は既に聴いていました」

 

「…君は?」

 

「聴いてた。運命ねじ曲げる気満々だったし」

 

そうか。神子はあの場にいなかったな。だから知らねえんだ。まあそれはともかく、俺としてはもう助からないって状況に際してどう抗おうかと言うことなんだ。例えば首を絞められてる最中にどう抵抗するか、みたいなもんだな。しゃーないしゃーない。切り替えても無駄だし、死にに行きましょ。

 

「…あ、やばいわこいつ。もう運命一つしかない」

 

「結果は?」

 

「死ぬ」

 

「俺の人生のネタバレはお控えください」




レミリア嬢「…ちなみに、私の能力は本当に当たるから」
咲夜「この身で経験しています」
神子「おかしくないかな。おかしいよね?」
金田「巫女さんに頼もうとすると八雲紫の邪魔が絶対入るからなぁ」
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